二次元裏@ふたば

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1151848 B26/09/22(火)21:58:18No.1471011665そうだねx3 23:14頃消えます
クルーズイベの焚竜の話です
スプシで話しかけたり話しかけてきてくれた人たちをお借りしています
fu7302199.txt
…126/09/22(火)21:58:32No.1471011758+
ある日のこと。
焚竜の元に一通の招待状が届いた。
「なにこれ?」
中身を読んでみようとした次の瞬間、彼はどこか知らないところに転移させられていた。
「ここ…どこ?」
「レッシェン・ジーク号へようこそ。ここはレッシェン・セレブリティ・クルーズ社が誇る、ラグジュアリークルーズ船でございます。」
そう彼に教えたのは、人間の姿に化けたネオデスジェネラルの一人、ドラグーンヤンマモンだった。
焚竜はデジモンが人間に化けているということにはすぐ勘付いたが、彼にはそれよりももっと気になるものがあった。
「なんか…美味しそうな匂いがする…」
「お食事をご希望ですか?それでしたら上の階にレストランが───「ほんと!?行ってくる!」
焚竜は話を聞き終わるよりも先に走り出していた。
…226/09/22(火)21:58:51No.1471011879+
少し迷いはしたものの、匂いを頼りに焚竜はレストランに辿り着いた。
この船のレストランはバイキング形式で、好きに料理を取って席で食べる方式だ。
しかし、焚竜にバイキングの経験はない。
彼は料理の乗った皿をテーブルまで丸ごと持っていき、次々と食べ切っていくというとてもお行儀がいいとは言えない食べ方で、
なぜか同じくレストランにいたば〜ぷモンと競い合うように出来立てのローストビーフやキャビアにフォアグラ、デザートのフルーツを貪っていた。
「ちょっ、タケルあなた!どうしてこんなとこにいますの!?」
そんな彼を見て驚いたように話しかけてきたのは”穂村百合華”。
以前から度々彼に世話を焼いている少女…?であった。
…326/09/22(火)21:59:04No.1471011962+
「……まあいいわ、食べすぎてあそこにいるば〜ぷモンみたいにならないように気をつけて。」
「食べられる時に食べないと死んじゃうから…お腹空いて死ぬのって苦しいんだよね…。」
まるで母親であるかのように彼を軽く諌める彼女に、焚竜はいつものように少しズレた答えを返した。
デジタルワールドは、いつも好きな時に好きなものを楽に食べられる環境ではない。
そんな環境での暮らしが長いことも彼にそう答えさせた理由の一つではあるが、彼が人間であったころの環境もまた、その答えの理由だった。
「…アレ、ちょっとまずくないかしら?重みで床が抜けそうっていうか……」
百合華はば〜ぷモンの方に向かったが、焚竜はそれを気にすることなくしばらく食べ続けていた。
…426/09/22(火)21:59:22No.1471012068+
と、そんな風に空腹を満たしていたのはもちろん焚竜だけではない。
「ウメェー!ココの料理ウンメェー!!」
そう感嘆しながら肉や魚を食べ進めていたのはやたらと背の大きいムーチョモン。
彼は”近一ゲキ”のパートナーデジモンであり、焚竜とも幾度か拳を交えた相手だ。
「…オッ、オメーもここに来てたのかぁタダメシ喰らえてラッキーだなぁ。」
食材を枯らさんばかりの勢いで手当たり次第に料理を腹に流し込んでいた焚竜に気がついた彼は、まるで友人にでも話しかけるかのような様子で声をかける。
「とりにく…食べるにはちょっと小さいかな…。」
そんなムーチョモンを見て、焚竜は小さくそう呟いた。
思考が口から漏れてしまったと言った方が正しいかもしれない。
何せ、彼にとってデジモンは生存競争の敵であり、そして食物だからだ。
…526/09/22(火)21:59:34No.1471012139+
「今日んトコは大食い勝負だけならうけてやってもいいぜぇ」
「…勝負?あははっ。ぼくに勝てると思わない方がいいよ。戦いも、大食いも!」
挑発的に笑うムーチョモンの誘いを、焚竜は真正面から受け止めた。
少なくとも、彼が今までしてきた戦いの中ではかなり穏健な方に入るだろう。何しろ、悲鳴を上げるのはこの船の料理人だけなのだから。
…626/09/22(火)21:59:57No.1471012284+
「ふー…そろそろお腹いっぱいになったし…なにしよっかな〜。」
おおよそ常人の一週間分ほどの量を食べ切った焚竜は、どこに行こうという訳でもなかったが、レストランを出て船内を探索し始めた。
船の甲板の方まで上がっていくと、そこにはインフィニティプールがある。
無限の名の通り、縁が見えないように設計されているそれは海と繋がっているように見える。
普通の人間が見ればその景観に感動したり泳ぎたいと思うところだが、彼は水が苦手だった。
「ん…甘い匂い?」
その匂いの元を辿ってみると、そこには褐色の肌に金髪が映える少女”ソフィー・カンブルラン”がいた。
彼女の手元にあるバスケットには、缶詰がいくつか収められている。
…726/09/22(火)22:00:14No.1471012410+
「それ、美味しそうだね。ちょうだい。」
焚竜はそう言いながら勝手に缶を手に取った。
「うふふ、毎度あり……まさか今食べたりしないわよね……?」
ソフィーがそう言うのを意にも介さず、彼は素手で無理やりに缶をこじ開けてその中身を喰らった。
彼が食べたのは『ヘビーいちごチョコパン』一度口にすれば体重を大幅に増やしてしまうという効果付きのシロモノだ。
しかし、ブラックアグニモンというデジモンの燃費は想像を絶するほど悪く、少し戦えばすぐに体重は元通りだ。
彼は戦いを求め、また船の中へと戻って行った。

ちなみに、焚竜が踏み倒したこのヘビーいちごチョコパンの代金は百合華が支払ったのだが、それを彼が知ることはなかった。
…826/09/22(火)22:00:36No.1471012557+
船の中に戻った焚竜は、自分と近い存在である、スピリットを使う者たちへ所構わずに戦闘を仕掛けていた。
時には小柄な金髪の少女が進化するガルムモンに「まぶしい…光のスピリットか…その力、見せてよ」と襲い掛かり、
フィットネスエリアでは「変な形…なんのスピリットかな…?戦えばわかる…!」とセフィロトモンに喧嘩を売った。
その後には「なまぐさくてさわやかな…海の匂い…あのおばさん…水かな?水は…いいや。」と青髪の女性を避けたりもしたが、
赤い髪の少年には「火のスピリット…ぼくと同じ…その炎…ほしい!」とスピリットを奪い取ってみようとしたり、結局は戦いに明け暮れていた。
そうして何時間かが経って焚竜がそれに飽き始めたころ、彼は覚えのあるデジモンの匂いを嗅ぎつけた。
「かいだことのある匂い…トウジ?やっぱりトウジだ!久しぶり。」
河戸トウジ。
焚竜とは一度共に戦ったことがある…厳密に言えば戦いに付き合わせたことがある少年だ。
…926/09/22(火)22:01:07No.1471012753+
焚竜と違い、トウジは一人でこの船に来たわけではなかった。
「あ!タケルくんだ!久しぶり!」
そう、屈託のない笑い顔を見せる彼を肩車していたのは、河戸リンドウ。
トウジの父親であり…焚竜とは敵対したことのある──少なくとも焚竜はそう認識している──相手だ。
「………あー…そっか。」
トウジを肩車している者が誰であるか、そのことをはっきりと認識した焚竜は自嘲するように呟く。
「やっぱりそうかぁ」
本当のところは、最初からうっすらと勘づいていた。
「似た匂いだもんな。」
元々の体臭、使っている石鹸の匂い、生活空間に由来する匂い。
トウジとリンドウの匂いはよく似ていた。
「…進化。」
彼はデジモンとしての姿へと変わり、両手に炎を滾らせる。
いつもなら先ほどまでと同じように即座に襲いかかっていただろうが、今度はなぜかそうしなかった。
その理由は、彼にもわからなかった。
…1026/09/22(火)22:01:20No.1471012839+
黒いアグニモン…トウジの友達か?」
「うん!」
ブラックアグニモンを警戒しながらも関係を確認したリンドウに、トウジはまたも屈託なく答える。
その返事を聞いて、彼は悩んだ。
ブラックアグニモンは攻撃力と不死性、残虐性を兼ね備えた間違いなく危険なデジモンだ。
しかし、焚竜は息子の友達である上に、見た目上は子供だ。どうしてもリンドウは甘くなってしまう。
「…この間はすまなかったな、これからもトウジと友達でいてくれるか?」
彼が選んだ答えは、そんなものだった。
「…っ!………仲良いんだね、トウジは…!」
それは、単純な攻撃よりも焚竜に痛みを与えた。
リンドウの憐憫と父性が混じり合ったような視線が、焚竜の身体に突き刺さる。
「なんでそんな風にぼくを見る…!その目は…なんだよ…!」
彼の両腕に滾った炎は勢いを増していたが、それが二人に向けられる様子はなかった。
ブラックアグニモンの目元を覆っているバイザーからは、涙かのように火の粉が散っている。
彼は自分の中に渦巻いている感情の名前も、それがどういうものであるのかも、どうやって発散すればいいのかもわからなかった。
…1126/09/22(火)22:01:33No.1471012913+
「…そうだ…ぼくはデジモン…戦わなきゃ…。戦えばきっと…!」
だから彼は、自分が一番慣れきった解決策を取ることにした。
戦えば自分を害するものを殺せる。
戦えば自分の腹を満たせる物を手に入れたり、相手そのもので腹を満たせる。
だからきっと、戦えばこの感情もどうにかなるはず。
彼はこの船で最も戦いの匂いが濃い場所、船底の倉庫に向かった。
…1226/09/22(火)22:02:13No.1471013187+
キリがいいので貼る分は以上です
続きは冒頭のtxtよりどうぞ
…1326/09/22(火)22:21:13No.1471020810+
うちの百合華を毎度ありがとうございます
今の百合華の焚竜くんに対する感情は少々複雑ですがこのあたりはいずれ個別にスレを立てて解説する予定です
>………そっか。ぼくが楽しみなんだ、この人の。
は百合華自身も強く自覚している感情ですね

>焚竜が踏み倒したこのヘビーいちごチョコパンの代金は百合華が支払った
「バイト代がぁ!衣装代がぁ!」と悲鳴をあげながらも支払いますね…間違いなく
…1426/09/22(火)22:54:51No.1471034261+
トウジとお話ししてくれてありがとう
焚竜くんがどういう風になるのか楽しみです
…1526/09/22(火)22:59:52No.1471036205+
王水麗/東雲龍飛/クリフ・エックス/世路恵一/闘条楓がお世話になりました
賭場の客がえらいことになってますが楓は「わぁ残念」くらいで引き摺らないと思います
…1626/09/22(火)23:00:47No.1471036581+
>「バイト代がぁ!衣装代がぁ!」と悲鳴をあげながらも支払いますね…間違いなく
取引の概念が薄い上に力こそ全てなやつなもので…毎度ご迷惑をおかけしてます
>トウジとお話ししてくれてありがとう
>焚竜くんがどういう風になるのか楽しみです
こちらこそありがとうございます
スピリットと融合してる限りは状況が前に進みそうにない…かもしれませんね


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