二次元裏@ふたば

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213712 B26/09/11(金)21:59:10No.1467428481+ 23:10頃消えます
父の香りがする。
幼いころ、雷雨の夜に、尻尾を丸めて怯えていた私を優しく抱いてくれた父の香りが。
私がマスターを慕うのはそれが原因なのか、それとも別に理由があるのか、わからない。
「あー! またブルボンがぽかんとしてる!」
マスターは私が呆けているところを見るのが好きだった。
河川敷で、子供たちが歓声を上げながら凧揚げする姿をじっと見守っていた。
その時、私の口は半開きになっていて、視線は果てしない空に向いていたのだという。
マスターはその様子を気に入っていて「平和だなあ」と楽しそうに呟いていた。
体温、平常。脈拍、異常なし。酸素濃度、99%。
ライス、心配ありません。私はことのあらましを、冷静に述べることができます。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
…126/09/11(金)21:59:40No.1467428691+
マスターはトレーナーであると同時に機械工学者でもあった。
飛び級で博士号を取り、海外の大学に留学したこともある英才で、ことあるごとに図面を引いては材料を揃えて、人型ロボットを組み立てていた。
シュガーライツ博士とは仲が良く、ロボット工学の行く末やら機械の代替可能性を良く議論していた。
だけどそんなマスターにも持論があるらしく、私を訓練している最中に口を酸っぱくして言った。
「いいか、ブルボンはメカじゃない。ブルボンはウマ娘だ。誰が何と言おうとこれは絶対だ」
私はその言葉をどう受け止めればいいのかわからなかった。
私はメカでよかったし、マスターの忠実なサーヴァントであれば何も文句はなかったからだ。
「血の通っているウマ娘であることを、みんなに知らしめよう!」
マスターは意気盛んだった。機械工学者であると同時に、ウマ娘賛歌が好きな人だった。
…226/09/11(金)21:59:59No.1467428805+
運命の針がどこで狂ってしまったのか、私にはとても見当がつかない。
しかしNASA――アメリカ航空宇宙局が宇宙怪獣の接近を観測してから、確実に世界が変わっていったように思える。
宇宙怪獣は意思疎通が不可能なケイ素生命体で、侵略と破壊だけを身上として、数々の文明を滅亡に追いやっている宇宙のギャングだった。
各国は総力を結集して交渉に乗り出して、何とか侵略を食い止めようとしたが、無駄だった。
月の裏側を根城とした宇宙怪獣たちは地球に決死隊を送り込んで、上陸殲滅作戦を各地で展開した。
日本は連合国として参戦を余儀なくされ、国民の義務として徴兵制度を復活させた。
もはやレースどころではなかった。マスターも否応なく徴兵されて、厳しい訓練の下に置かれた。
人員はどこも欠乏していて、一通り訓練を受けた兵隊はすぐに前線に送られた。
…326/09/11(金)22:00:17No.1467428938+
マスターは、とても勇敢に戦ったのだという。
逃げ遅れた味方を逃がすために、自動追尾弾を装填した機関銃を手にして、四方八方に撃ちまくって宇宙怪獣を撃退した。
そして、最後の一人まで味方が脱出するのを見届けてから、敵の自爆攻撃をまともに浴びて、粉々に砕け散った。
「立派な最後でした」目撃者は言う。
足元に転がってきたマスターの頭部を二等兵が抱えて戻ってきて、急いで生命維持装置につないだ。
…426/09/11(金)22:00:38No.1467429116+
その知らせを受けて私は膝から崩れ落ちた。誰が信じることができるだろう。
最愛のマスターが宇宙怪獣の突撃を受けて、生首だけになって帰ってきたなどと。
培養液の中で生前と同様の姿で眠るマスターが目を覚ますことはなかった。
たくさんのパイプに繋がれてブドウ糖が供給されて、それでどうにか脳は生きているのだという。
体温、上昇。脈拍、160超。酸素濃度、95%。
心配ありません。ライス。私は最後まで知っています。話せます。
私はシュガーライツ博士に一つのお願いをした。それはマスターが徴兵される前にまとめた論文を実現させることだった。
「ウマ娘バスターマシン化計画――宇宙怪獣対抗最終強行策――」
シュガーライツ博士は難色を示した。決して首を縦に振ろうとはしなかった。
「これを実行したら、君はウマ娘ではなくなってしまう! 本当に、メカになってしまうんだぞ!」
構わない。私をウマ娘だと信じてくれたのはマスターだけだったから。
私は闘う。この地球と全人類を救うために。
…526/09/11(金)22:01:00No.1467429274+
◯◯月✕✕日、私は種子島航空宇宙センターより、月に向かうロケットに乗って旅立った。
バスターマシン手術を受けた私は、メカとなって生まれ変わり、敵の本丸に単騎潜入することになったのだ。
燃料は、片道分しか搭載されていない。最初から、私が帰還する確率はゼロに近かった。
接近に気付いた宇宙怪獣たちは蜂の巣をつついたようにロケットに群がってきた。
カタパルトから射出された私は、その場でくるくると回転し、体操選手のような身軽さでドラグーン・システムを展開した。
宇宙怪獣たちが襲い掛かってくるところに、無数のホーミングレーザーが降り注ぐ。
論文内では「イデオンのような――」と記載されていたが、私にはイデオンが何なのかわからなかった。
記憶にあるのは、体のあちこちから発射されるレーザーが、敵を粉々に蹂躙していたことだけ。
…626/09/11(金)22:01:29No.1467429521+
私は敵司令部の中枢まで潜り込んで、宇宙怪獣の親玉の居場所を突き止めた。
バスターコレダー、バスタービーム、あらゆる武装を駆使して敵をなぎ倒していく。
意思疎通不可能と思われた宇宙怪獣の首魁は、窮地に追い詰められたら意外にもあっさり日本語を使って命乞いをしてきた。
「ミホノブルボン、落ち着いて……まずは話し合おうじゃないか、なあ?」
私はメカであった。感情はなかった。怒りや、憎しみといった負の感情は一切湧いてこなかった。
ただ、論文に書かれていたことだけを忠実に、確実に再現するようにプログラムされていた。
「敵の大将に出会ったら……こう言ってやれ! 俺たちの地球を舐めんなよって、そして――」
そして――こう告げるのだ。
「地球にようこそ、クソ野郎」
…726/09/11(金)22:01:51No.1467429685+
すべてが終わって、爆発と共に私は宇宙空間に投げ出された。
体中のエネルギーを使い果たして、あとは宇宙に漂うデブリとなって一生を終えるはずだった。
だからあれは奇跡だったと言って差し支えない。確率としては0.0001%もなかったはずだ。
まだ宇宙怪獣の侵攻を受けていなかった月周回宇宙ステーションが、私の慣性航行軌道上とぴったり一致したのだ。
私は神を信じない。でもマスターのことは誰より信じている。
だからここで救出されたのも、マスターのおかげだったと思っている。
…826/09/11(金)22:02:13No.1467429871+
地球に帰った私はひっそりと、マスターの生首と共に生きていくつもりだった。
しかしひょんなことから、シュガーライツ博士がやってきて、マスターを詳しく検め出した。
「機械のボディをつけてあげれば、意識が蘇るかもしれない!」
私の心を希望が満たした(メカに心はないけれども)。手術はそれから間もなく行われた。
コネクタをすべて付け終えてから、うなじにある電源ボタンを押下する。
きゅいいいいっと通電する音が鳴って、背中にあるファンが静かに回り始めた。
マスターの瞼がぴくん、ぴくんと痙攣してから、不意にかっと見開かれた。
「やったー!!」
光沢のあるメタルボディが手術台から飛び上がり、私を抱きしめた。
「俺……生きてる! ブルボンのことがわかる! やったー!!」
…926/09/11(金)22:02:33No.1467430035+
子供たちの笑顔が戻ってきた。
河川敷のグラウンドには戦争前と同じように、子供たちが集まって凧揚げに興じていた。
「俺、なんであんなにもメカじゃないことに固執していたんだろうな……メカでいいじゃん。ブルボンも俺もメカになっちゃった。でも全然いいよ。俺、今、幸せだ」
私の体内を温かいものが満たした。それは一般に愛と呼ばれるものだったが、もちろん私はメカなので、そんなものはわからなかった。
「あっ! ブルボンがぽかんとしてる! ぼんやり凧を眺めてる! やーはは、やったーー!! 平和を取り戻したんだ! 俺たち、生き延びたんだー!!」
マスターの頬を涙が伝っている。首から上は生体なので、涙もきっと本物だ。
潤滑油の匂いがする。ギアが滑らかに回る音がする。メタルボディの輝きだ。
もう、マスターから父の香りはしない。
でも、マスターが好きだ。
…1026/09/11(金)22:02:38No.1467430074そうだねx5
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セックスの為の「雌」!?
…1126/09/11(金)22:04:34No.1467431034そうだねx1
うん…うん…?
…1226/09/11(金)22:06:22No.1467431922+
種子島だぁ!?
…1326/09/11(金)22:06:52No.1467432097そうだねx3
スレッドを立てた人によって削除されました
この前感想すら自演だったのバレたのにまだやるの
…1426/09/11(金)22:07:51No.1467432484そうだねx3
何の何の何????
…1526/09/11(金)22:21:19No.1467438424+
ハッピーエンドならまあ良いか…
…1626/09/11(金)23:07:30No.1467457300+
香りはしない
でも触れてそこにいる
それは幸せなんだ


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