二次元裏@ふたば

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28440 B26/08/23(日)18:49:37No.1461442711そうだねx1 20:12頃消えます
Ev3-1 ミッション・ポッシブル

 ――――かくて因果はひと巡り、報いをもたらすというわけさ。

 カラカス、エリア3商業区。
 大きな公園の外れを大統領宮の方角へ少し進み、角を曲がったところに小さなパン屋がある。
 特別立派なわけでも、有名なわけでもない。退役したニンフとウンディーネが二人で始めた、近所の住人に朝食やおやつを提供するだけの素朴なパン屋だ。
 シラユリがドアを開けると、ベルが軽やかに鳴った。
「いらっしゃいませ」
「ワッフルを下さい」
「あ、ごめんなさい!」カウンターに立つニンフが申し訳なさそうに両手を合わせた。「ワッフルは月曜日しか焼かないんです」
「そうですか」シラユリはふう、と息をつき、「チョコと、マーマレードと、メープルシロップが三分の一ずつかかった特製ワッフルを一ダース欲しいのですが、それも品切れですか?」
「……ああ!」一瞬だけ考えたあと、ニンフがぽんと手を叩く。「それならあります。ちょっと待ってください」
126/08/23(日)18:50:09No.1461442885+
 ニンフはいったん奥に引っ込んで、大きな紙袋を持ってきてシラユリに手渡した。シラユリは袋を受け取り、代金を払って店を出ると、公園までのんびり歩き、人気のない片隅のベンチに腰を下ろした。
 袋の中から、ていねいに一つずつ紙でくるまれたワッフルを取り出していく。十二個すべて出してから、もう一度袋へ手を入れると、古めかしいオープンリール式の小型テープレコーダーと、一枚の封筒が出てきた。
 膝の上に置いて、スイッチを入れる。封筒を開けると、中には一枚のエルブンの写真と、彼女の経歴を記した履歴書が入っていた。》
226/08/23(日)18:50:30No.1461443010+
《お早う、シラユリ君》テープレコーダーから声が流れ始めた。《彼女はエルブン・フォレストメーカーgtF3c36。旧ガイアナ、ジョージタウン拠点で暮らしていた平凡なバイオロイドだ。姉妹機のダークエルブンgtF3n09があるときトリニダード・トバゴ拠点へ招聘されたが、それきり行方知れずになったという。こちらで調べてみたが、当時トリニダード・トバゴにダークエルブンが配属された記録はなく、行方不明扱いになっている。
 そこで君の使命だが、このダークエルブンを探し出し、姉妹と再会させてやることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは負傷しても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る》
 音声が終わるとシラユリはワッフルを丁寧に袋へ戻し、封筒とともに小脇に抱えてベンチを立った。後に残されたテープレコーダーは、突然パンと音を立てて火を噴き、あっという間に燃え尽きてしまった。
326/08/23(日)18:51:02No.1461443203+
「先日の報告書です」
 ドクターと雑談していたところへシラユリが入ってきて、いくらか乱暴に書類をデスクへ置いた。中を見ると、以前から定期的に実施している、PECS支配下で暮らしていたバイオロイド達の再会支援サービスに申し込んだエルブンの調査結果だ。
「どうやら当時、移送中に鉄虫と戦闘になり、グアノコ拠点で治療を受けてそのまま居着いたようです。安否を確認し、迎えを送っておいたので、来月にはジョージタウンに戻れるでしょう」
「ありがとう。さすが、仕事が早いね」
「特段の困難はありませんでした」シラユリは一礼してから、ちょっと険しい顔になってデスクに手を置いた。「それよりなんです、あのテープレコーダーは」
「いいだろう、あれ? 素材を工夫してね、環境にも優しいんだ」
 俺ではなく、デスクが得意げにしゃべり出した。

 あの後、到着した太平洋艦隊の部隊にコロニアの調査を任せ、俺たちとノーワンはカラカスまで戻ってきた。いや、ノーワンは机になったまま動こうとしなかったので、ノーワンをカラカスまで持ち帰ってきた、と言うべきか。
426/08/23(日)18:51:18No.1461443286+
 俺はノーワンに……もちろん、ドクターやスカディーによる徹底的なチェックを経た上でのことだが……オルカの080機関の局長兼、俺の執務机として働いてもらうことにした。もちろん懸念の声はあったし、
「正気かね? あんなことがあった後で、この私を司令官の一番近くに?」
 ノーワン自身からもこんなことを言われたくらいだが、今のオルカを知ってもらうにはこれが一番いいと判断したのだ。
 何より、
「なあ、この一列に並んだボタン何?」
「各支部の支部長に繋がるホットラインを接続していたボタンだ。今なら各部隊の指揮官などにつないでおくといいかもしれないな」
「引き出しの中になんか出っぱりがあるんだけど」
「右に三回、左に二回押してみたまえ。足下の隠し引き出しが開く」
「肘掛けの下にあるこのスイッチは?」
「緊急用のマシンガンと防弾スクリーンがポップアップする。危ないから無闇に押さないでくれよ」
 こんな面白いギミック満載の机、使いたくなるじゃないか。
526/08/23(日)18:51:37No.1461443382+
「ドラマの見過ぎです。無駄に回りくどいだけで、秘匿手段としてはあまりに時代遅れ。そもそも、別に秘匿する必要などない普通の指令ではないですか」
「特製ワッフルはどうだったかね」
「たいへん美味でしたが、それとこれとは別です」
「ニッキーやトモにはたいへん好評なんだが」
「その二人だけでしょうが!」
「私もわりと面白いと思ったけど」ドクターが笑い、シラユリは頭をかかえた。
「あなたまで……」
「そういえば、ヴァイオラが使ってた装備もノーワンが造ったと言ってたな」
「あれは自信作だ。特に腕時計、あのサイズに七つもの機能を詰め込むのは苦労したんだよ」
「まったく……私たちのトップが、こんな性格だったとは……」
 頭をふりふりシラユリが出ていくと、俺はドクターと顔を見合わせて笑った。
「私の下にいたシラユリモデルとは別人のようだ。丸くなったものだなあ」
「そうでもないよ」ドクターは小さなお尻を机にひょいと乗せた。
「実はそう丸くないと?」
「逆、逆」ドクターは指を振る。
626/08/23(日)18:51:57No.1461443485+
「ずっと昔、私がいた支部のみんなはね……本部と連絡がつかなくなって、補給の当てもなくなって、もうどうしようもなくなった時、人間の救助要請に応じて出動していったんだ。どうせヒュプノス病にかかった人達で、助かる見込みなんてなかったのに」
「……どうなったんだね、それで?」
「全滅しちゃったよ、もちろん。でも最後に、ノーワン局長と同じようなことを言ったよ。人類がいなくなった今くらい、本当にしたいことをするんだ、人を守るために戦いたいんだって。だからさ」ドクターはいたずらっぽく笑った。
「080機関の人って、長くやってるとみんな同じような気持ちになるものなのかもよ」
「そうだな。……そうかもしれないな」
「さて、今日の仕事も終わった。いい天気だし、ちょっと散歩しようか。ノーワン、つきあってくれ」
「いいとも」
726/08/23(日)18:52:26No.1461443634+
Ev3-2 カラカスより愛をこめて

「あっ、司令官様だ!」
「司令官様、それかっこいい!」
「やあみんな、遊びに来たよ」
 公園でボール遊びをしていた子供型のバイオロイド達がいっせいに駆け寄ってくる。俺は椅子に座ったまま手を振って答えた。
 最近はこうして、ノーワンの人型モードに乗っかって街を散歩することが多い。てっきりノーワンが自分で自分を改造したのだと思っていたが、人型モードは最初から設計されていたのだそうだ。非常時に要人……つまり、この机に着いている人間を守るための機能だそうで、ノーワンが変形すると座っている俺は椅子ごとノーワンの背中に半分埋め込まれるような形になる。なんとなく、ロボットのコクピットにいるようで気分がいい。
「旧時代、本来の意味でその椅子に座った者は誰もいなかったがね。私も百年越しにようやく、ふさわしい主人を得たというわけだ」
「お世辞はいいよ」
「いやいや、本心だとも」
 この状態で外を歩くのにはもう一つ効能があって、今みたく子供たちがめちゃくちゃ食いついてくる。
「司令官様、コクピットに乗せて!」
「私も、私も!」
826/08/23(日)18:52:42No.1461443711+
「はいはい、順番にな」
 俺は椅子から降りて、かわりに子供たちを順番に乗せてやる。ノーワンも心得たもので、ポーズをとって写真を撮らせてあげたりしている。そのうちヒーローショー用の外装でも作ってもらおうか……などと考えていると、広場でサッカーをしていたグループがこっちに気づいて駆け寄ってきた。その中の一人、栗色の髪にスカートの子がひときわ大きく手を振る。
「司令官様! ボス!」
「ヴァイオラ、元気そうだね。カラカスはどう?」
 ヴァイオラ……今はもう男装をやめ、どこから見ても普通の女の子になった彼女は輝くように笑った。
「楽しいです! いろんなことができるし、ご飯は美味しいし、夢みたい」
「サッカーはそんなに好きじゃない、って聞いた気がするけど」
 俺がちょっと意地悪して聞いてみると、ヴァイオラは恥ずかしそうにうつむく。
「やっぱり、体を動かすのもけっこう楽しくて……でも! このあと、エリー姉さんにお茶会のマナーを教わりに行くんです!」
「おっ、そうなのか。エリーは結構厳しいらしいから、頑張ってな」
 とたんに不安そうな顔になったヴァイオラに、俺とノーワンは顔を見合わせて笑った。
926/08/23(日)18:53:28No.1461443954+
「ねえ、空飛べる? 飛べる?」
「残念ながら空は飛べないなあ。設計中だったオプションユニット『リトルネリー』が完成していればねえ」
「地面は? 地面はもぐれる?」
 ヴァイオラを見送ったあともノーワンは大人気で、子供達が列をなしている。俺は邪魔にならないようそばにあったベンチに腰をかけた。
 さて……

【ノーワンの体が空くまで待ってようか】
【先に大統領宮へ帰っておくか】
【少しお腹が減ったな】
【エリーのお茶会につきあってみるか】
【そこらを散歩でもするか】
1026/08/23(日)18:53:40No.1461444034そうだねx1
イベントスレ「」が作れ…
1126/08/23(日)18:54:56No.1461444468そうだねx2
長いので続き
fu7157535.txt

第1部
fu7140681.txt
第2部
fu7146137.txt
長いことお付き合いいただきありがとうございました
新規イベがなければ自分で書けばいいじゃない!
1226/08/23(日)18:55:37No.1461444704+
ふくろうの後継者にスレ「」がなればいいのに
1326/08/23(日)18:56:40No.1461445037+
ふくろうの後継はもう決まったよ
1426/08/23(日)19:01:59No.1461446893+
今回使ったオリキャラはこちら
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去年のキャラクター公募展に応募したやつです
1526/08/23(日)19:32:07No.1461458610+
カーンさんのイベントとかサレナのイベントとかあるし
出来がいいなら外部の作品をイベントにしてもいい気もするけど
そもそもこっちは本国イベも全然消化出来てないから厳しいか
1626/08/23(日)19:38:53No.1461461412+
スレ「」の書いた話だとドラキュリナとダッチちゃんのが好き


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