二次元裏@ふたば

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203352 B26/07/31(金)00:00:09No.1453976177そうだねx2 02:09頃消えます
浮気調査の時間だぜ!!
あなたは、唐惟元に売りつけられた秘笈を手に唐門を飛び出した。

近頃、夫がおかしいのだ。
いつもは真面目に古巣の手伝いをして雑用や指導をおこなっているのだが、休みの日だと様子が変わる。
ふらりと昼過ぎに出かけたまま、日が落ちるまで戻ってこない。
行先を訪ねても『遊んでた』と要領を得ない返事だけ。

『浮気っすね』

『娼館だろ』

チリンチリン。

揶揄う唐門師兄姉の言葉に、あなたの悋気は爆発した。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
126/07/31(金)00:01:07No.1453976482+
ノルマの薪を宝剣でみじん切りにした後、すぐさま夫を追いかける。
この瞬間、あなたの貢献度は最近裏庭で飼われている鮒以下となった。
地獄の溫夫人が泣いている。

傾き始めた陽光を浴びつつ斜面を駆け下り、買った秘笈を開く。
表紙には『趙活行動履歴集』との文字が書かれていた。
唐四はこれに商機を見出したのか。正気を疑う。

書かれていたのはそれほど遠くない場所。
妓楼どころか民家でもない。
こじんまりとした森の、少し入ったところにある開けた場所だった。
子供たちが来るには深すぎて狩人が来るには淺すぎる、中途半端な場所。
そこにあなたの夫がいた。

木漏れ日に照らされた背中はなんだか、普段よりもずっと小さく見えた。
226/07/31(金)00:02:18No.1453976813+
後ろ姿の醜郎は、僅かに肩を震わせしゃがみ込む。
あなたが見ている間、その動作を何回も繰りかえした。

頭に上っていた血は、やがて喉奥の苦みに変わり、最後は胸元の重みになる。
見ていられないのに、目を逸らせない。
あなたの単純な思考では、何をすべきかが全く思い浮かばなかった。

「――――活君」

ようやく吐き出したのは、童に掛けるような言葉。
あなたは、怒りとは違う熱で頭が茹で上がりそうだった。

「湘お姉ちゃん」

弟は振り向かず、ぼうっと立っている。
326/07/31(金)00:03:18No.1453977095+
あなたが来るとは、露程にも思わなかったらしい。

「活君、どうしたの?」

自分でも驚くほどやさしい声だった。
少年は後ろ姿のまま、小さく首を振る。

「うまく飛ばないんだ」

ようやく許可が出た気がして、あなたは恐る恐る足を踏み出す。
薬品の匂いがする肩口から、手元を覗き込む。
そこには、安っぽいつくりの竹とんぼがきゅ、と握られていた。

「葉兄から貰ったんだけど、僕、やったことなくて」
426/07/31(金)00:03:57No.1453977290+
飛ばないはずだ。とあなたは思った。
羽はよれていて、軸は曲がっている。とんでもなく不細工な玩具だ。
余程下手糞が作ったのだろう。怒りすらわく。
理不尽な苛立ちをおくびにも出さず、あなたは言った。

「お姉ちゃんに貸してもらえる?」

「うん」

そっと、宝物でも扱うように差し出された竹細工を、あなたは両手で受け取る。
片目を閉じ、角度を確かめたあと、両手をこすり合わせた。

ぶうん。

あなたの手で、醜い蜻蛉は宙へ見事にはばたいた。
526/07/31(金)00:04:58No.1453977565+
「お姉ちゃん、すごいね」

弟の感嘆が聞こえ、あなたは微笑む。

「ままごとよりも、こっちの方が好きだったの」

師は厳しかったが、無情とは程遠かった。
幼いあなたが街に出かけるときには、付き添いの師姉に小遣いを持たせてくれた。
あなたはそれで、色々な玩具を買ったものだ。
それらは今でも、あなたの部屋の中にある。

「あんたも、すぐにうまくなるよ」

落ちて来た竹細工を受け止め、両手でそっと差し出した。
626/07/31(金)00:05:35No.1453977742+
あなたは彼の指先に触れ、どのように手を動かせばよいかを指導する。
普段の様子からは信じられないほど、弟は不器用で、姉は器用だった。

何度も何度も失敗し、そのたびにやり方を変えた。
武功の特訓で硬くなった掌の皮が擦り切れるほどに。
地面に落ちるたびに、醜い玩具はますますひどい姿になった。

それでもあなた達は諦めなかった。

ようやく朱い光のなかで、弟の手から蜻蛉が飛び立つ。
ぶうん、と小気味の良い音を上げながら、醜細工の玩具はみるみる小さくなっていく。
寄る辺なく宙を漂ったあと、風に吹かれて何処かへ消えてしまった。

「あ」
726/07/31(金)00:06:21No.1453977969+
探しに行こうとする弟を、あなたは手を握って引き留めた。

「そろそろ門限だよ」

「もんげん」

あなたの師匠は厳格で、厳しい門限を幼いあなたに課していた。
それを少しでも過ぎて帰ると、酷く鞭を打たれたものだ。
日が落ちて来た時の緊張感を、今でもよく憶えている。
遅れてしまった時の恐怖は、今でも体に刻みついている。

それを知らないことは、きっと悲しいことなのだ。

掴む手の力を強める。
826/07/31(金)00:08:25No.1453978483+
その刻を告げられるのは、あなたをおいて他にはいない。

「活君、帰ろう?」

「うん」

驚くほど素直に、彼は頷いた。
きっと、親のいうことをよく聞く、賢い子だったのだろう。
そんな子を持てた親は、幸福な君子以外ありえない。

すっかり暗くなってしまった、弟の手を引いて歩く帰り道。
あなたの後ろで、小さな声が聞こえた。

「ありがとう、龍姉」
926/07/31(金)00:09:37No.1453978803+
途端、あなたの内は誇らしさでいっぱいになった。
全身に力が漲るような、今までにない不思議な感覚だ。

耐えられずあなたは振り向き、夫へ唇を寄せた。
星明りに切り取られた、二人の影が重なる。

いくつかの流れ星が過ぎ去ってようやく、あなたが身を離した。
夫は、照れくさそうに笑っていた。

「ただいま」

闇の中でも、あなたには見えている。

「おかえりなさい」
1026/07/31(金)00:09:50No.1453978873そうだねx4
同じ表情をしているのだから。
1126/07/31(金)00:13:25No.1453979919そうだねx2
>地獄の溫夫人が泣いている。
まあ…泣かせとけばいいか…
1226/07/31(金)00:15:26No.1453980521+
急にショタになった!?
1326/07/31(金)00:15:37No.1453980566そうだねx2
唐門外から失礼します!!
趙活×龍湘を広めるために活動している者です!!
活俠傳が盛り上がってる内にここでもっと語れねえかなと思っています!!
湘姉はQA曰く自室に幼いころの玩具をしまっているそうです!! 可愛らしいですね!! そこから着想を得て書きました!!


唐門のスタンスである「いつでも帰ってきていい家」というのは、とてもやさしく趙師兄を尊重していると同時に残酷な言葉なのではないかと思います。
門限は帰ってきて欲しいから決めるものであり、それが無ければいつまで経っても帰れない。
家出宿屋ルートの趙師兄は迎えに来てくれる妹が居てとても救われたのではないでしょうか。
帰る家なんて唐門以外はじめからないのに。
唐門外から失礼しました!!
1426/07/31(金)00:16:56No.1453980956そうだねx1
>急にショタになった!?
師匠ルートで弟子をしているときの趙師兄が僕口調になってるのに習いました!!
きっと報われなかった幼少期を取り戻そうとあがいているのでしょう!!
可愛いですね!!
1526/07/31(金)00:17:39No.1453981167そうだねx2
>師匠ルートで弟子をしているときの趙師兄が僕口調になってるのに習いました!!
>きっと報われなかった幼少期を取り戻そうとあがいているのでしょう!!
>可愛いですね!!
道徳↓
1626/07/31(金)00:18:16No.1453981388そうだねx2
>「葉兄から貰ったんだけど、僕、やったことなくて」
>飛ばないはずだ。とあなたは思った。
>羽はよれていて、軸は曲がっている。とんでもなく不細工な玩具だ。
>余程下手糞が作ったのだろう。怒りすらわく。
葉兄は剣術以外の全てが不器用なだけだからあんま怒らないであげて…
1726/07/31(金)01:41:44No.1454002111+
童心に帰るのは良いよね…
帰りすぎだよ怖いよ
1826/07/31(金)02:04:50No.1454005108+
夕餉の匂いの中を帰るんだよ…


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