二次元裏@ふたば

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182463 B26/05/30(土)21:58:41No.1435132636そうだねx2 23:08頃消えます
我……。
我、いちゃラブ星の使者なり。
若者よ。
ウイニングチケットとの恋愛を成就させよ。
こちらから告白してはならぬ。自然な成り行きで相手に自覚させよ。
期日までに目標が達成されない場合、多数の星間ミサイルが地球を襲うであろう。
かしこ。
126/05/30(土)21:59:03No.1435132811+
ぱくぱくぱくぱく。
「そのペースだと上映前になくなるよ」
「あっ! そっかー! トレーナーさんも食べて食べてー!」
残り少なくなったポップコーンをつまむとブザーが鳴って照明が落とされた。
朝一の上映に飛び込んだはいいが、客が少なくほとんど貸し切り状態である。
「あー始まっちゃう! しー、だね! しー!」
無駄口のほとんどはチケットのものなので特に注意する必要もない。
トレーナーはスマホに映ったいちゃラブ星人の脅迫文をちらりと見て、電源を落とした。
226/05/30(土)21:59:22No.1435132934+
選択した映画はもちろん恋愛映画だ。
女子高生が新しく赴任してきた教師と恋に落ちるという内容だが、主人公の天真爛漫な性格が良い方向に働いているのか、年の差を感じさせない爽やかな青春ものに仕上がっていた。
ラストシーン、二人が結ばれる場面を見計らって、トレーナーはチケットの手に自分の手を重ねた。
クライマックスの後、感情の高ぶりに合わせて距離を縮めようという狙いだ。
(さすがに安直すぎるだろうか?)
拒否されることを恐れたがすぐに杞憂であるとわかった。
チケットはトレーナーの手をきつく握り返し、涙でぐしゃぐしゃな顔をこちらに向けてきた。
「ぐすっ、トレーナーざぁああん……」
326/05/30(土)21:59:45No.1435133090+
「感動じだよおお〜、おろろ〜ん! うおおおーん!」
劇場に明かりが戻ると堰を切ったようにチケットが号泣する。と、それを見て思う。
チケットは話の筋をきちんと理解しているということだ。
繊細な心の機微をとらえる感性がなければ恋愛映画で泣くことはありえない。
ということはチケットの中に恋愛という概念は一応存在するのだ。
後はその矢印が自分に向いているのか、そもそも矢印を持っているのかどうかが問題だ。
「はーすっきりした! トレーナーさん、お腹減っちゃったね!」
お昼にはいい時間帯だったので、ゆっくりできるファミレスを選んで入店した。
426/05/30(土)22:00:11No.1435133280+
パンフレットを開き、ストーリーを反芻しながらチケットは叫んだ。
「見て! トレーナーさん、二人の後日談が載ってるよ! うわぁ〜青春だああッ!」
「チケット、教師と生徒の恋愛についてどう思った?」
「どうって?」
「道徳的に問題じゃないかとか思わなかった?」
「なんで? 好きになった人が先生なんだよね? いい話だよねッ!」
「設定が非現実的じゃないかとか思わなかった?」
「えー! だってアタシもトレーナーさん好きだよ! ダメかな?」
ハヤシライスをすくうスプーンがぴたりと止まった。またチケットの認識を修正する。
チケットはこちらが好きらしい。ただその意味合いは定かではない。
さっき言った好きだよというのは、タイシンが好きというのと同じかもしれない。
526/05/30(土)22:00:37No.1435133485+
すると通路を挟んで逆側のボックス席にいる男女が騒ぎ出した。
「すげーでけー! 二人で食べきれるかな!」
「あたしカメラ撮るからまだ手を付けないで!」
両手に余るほどの巨大なパフェがテーブルに運ばれてきた。スプーンが二つ付いている。
メニューを見直すとカップル限定超巨大イチゴバナナパフェという記載があった。
チケットの目はパフェにくぎ付けになっている。よだれが口から落ちてきそうな勢いだ。
「こっちも頼むか?」
「え? でも、カップル限定って書いてあるよ?」
「カップル限定の意味は分かっているのか?」
「え!? トレーナーさん、カップル限定の意味知らないの!?」
「知ってるよ」
これは意外だった。カップルという言葉も、その関係もちゃんと理解しているらしい。
まだ自分たちがそうではないことも、きちんとわかっている。
626/05/30(土)22:01:01No.1435133652+
結局、パフェは頼んだし一緒に食べた。
しかしこうなるとチケットという存在がどうにもわからなくなってくる。
もともと共感力は高い方だったし、人の気持ちを思いやる力も人一倍あった。
恋愛面にだけ隙があるという思い込みこそ間違いだったのかもしれない。
「トレーナーさん! 中州があるよ、中州!」
食後の散歩にと河川敷を歩いている最中に手を引かれて、堤防の下まで降りていった。
川がYの字に分かれているところがあって、チケットの言う通り中州になっていた。
川岸から中州までは飛び石が整備してあって、誰でも渡れるようになっている。
726/05/30(土)22:01:23No.1435133819+
チケットは楽しそうに飛び石を飛んでいった。途中でくるりと振り返りこちらに手を振る。
「おーい! トレーナーさんも早く早くー!」
この辺りは下流も下流で、水深は浅く水底の細かい砂が透けて見えた。
トレーナーはちょっと戸惑った。飛び石を渡ることが怖かったわけではない。
ただ何となく、このままチケットに近づくことが躊躇われたのだ。
「トレーナーさん?」
「チケット、そのままで聞いてくれ」
さらさらとしていて水音はあまり聞こえない。
「実は今、重大な任務を抱えてこの場に立っている」
「任務?」
826/05/30(土)22:01:48No.1435134013+
「そのためには、チケットが気づいているかが問題になってくるんだ」
いちゃラブ星人が指定してきた条件とは一つだけ。自然な成り行きで相手に自覚させよ。
ほとんどルール違反の危ない橋を渡ることを決めた。
「率直に聞く。チケット、気づいているのか?」
「なになに? どーいうこと? アタシ、トレーナーさんに何かしちゃった? ひょっとして、ホイップクリームが口についたままになっていたとか……? うわぁあああ! 恥ずかしい〜〜!」
少し脱力する。やはり遠回しすぎたかと思われた、次の瞬間。
「なんてね」
チケットは頬をかきながら照れくさそうに答えた。
「えへへ、気づいてたよ。これ……デートだよね」
926/05/30(土)22:01:58No.1435134073+
1026/05/30(土)22:02:14No.1435134172+
川面は陽光を反射し、銀片をばらまいたように輝いた。
「アタシね。今日はずっとほわほわして夢見心地でうおぉ〜〜! これがデートかぁああ〜! って胸がドキドキしてたんだ! 信じられないくらい興奮して、レース前みたいに熱くなる感じ!」
小さな飛び石の上でぴょんぴょん飛び跳ねるので見ていてハラハラする。
「トレーナーさんの優しさがひしひし伝わってくるよぉおお! って感激しちゃった、でもね」
「でも?」
「これも”任務”だったんだね。えへへ、そうだよね。真剣にするはずがないよね」
諦めと悲しみがないまぜになった表情。
瞳が潤んでいるのに、一滴も流れないようにこらえている。
二人の間の三つの飛び石が、無限の距離のように思えた。
1126/05/30(土)22:02:39No.1435134361+
足が凍る。
誤解を解こうと口を開こうとしたその時。
特急列車が目の前を通過するときのような強風が吹いて、チケットの体をふわりと浮かせた。
「あっ」
バランスを崩したチケットはそのまま前のめりに川面へと倒れていく。
トレーナーは反射的に動いていた。一足飛びに近づいてバレー選手のようにチケットに飛び込んだ。
ばしゃーん。小さな水柱が立つ。
下が浅瀬で、しかも砂がクッションとして働いていたので大きな怪我はなかった。
それでも落水は免れず、二人は仲良く一緒にずぶ濡れになった。
1226/05/30(土)22:03:05No.1435134553+
トレーナーが下に、チケットが上に跨る形になった。
水温は高く、冷たいと言うよりぬるいと言った方が正しかった。
チケットは目に見えて動揺し、心配した様子で顔を覗き込んでくる。
「ごめん」
顔だけ水面から出しながらしごく真面目にトレーナーは言った。
「信じてもらえないかもしれないが、今日したことはすべて俺の本心だ」
「……本当?」
「ああ、嘘はつかない」
手を持ち上げて、小指を立てて指切りげんまんの形を作った。
「約束だ」
1326/05/30(土)22:03:30No.1435134757+
チケットはひとしきりその小指を見つめていた。涙腺はとっくに決壊している。
小指も腕も無視してチケットはトレーナーに抱きついてきた。
「うわああああ〜〜ん! 怖かったよおおお! 良かっだあああ〜! トレーナーさんだずげでぐれでありがどおおおおお! うおおお〜〜ん! アタシ幸せものだぁああ! 今日はほんどに楽じがっったよおおお〜〜!!」
息が詰まりそうになるくらい強く抱きしめられた。
全身びっしょり濡れた中で、触れ合ったチケットの肌だけが暖かかった。
トレーナーは静かにチケットの背中に腕を回した。
1426/05/30(土)22:03:55No.1435134950そうだねx2
我……。
我はいちゃラブ星の使者なり。
全武装を解除した。
さらばだ。
1526/05/30(土)22:06:50No.1435136155そうだねx8
よくわからんがありがとういちゃラブ星の使者…
1626/05/30(土)22:07:32No.1435136470+
いい星もあるんだな…
1726/05/30(土)22:09:43No.1435137418+
チケゾーみたいな子がちゃんとわかってると嬉しい委員会の者です
1826/05/30(土)22:11:43No.1435138282+
これからも交流を頼むぞ使者
1926/05/30(土)22:14:47No.1435139573+
トレセン学園に降り注ぐ無数の電波
2026/05/30(土)22:17:24No.1435140650+
ただいちゃラブ星人が介入するのはいいのか?
2126/05/30(土)22:20:12No.1435141763そうだねx4
>いい星もあるんだな…
ミサイルで脅迫してるのはいい星かなぁ!?
2226/05/30(土)22:23:09No.1435142934+
女性なんだないちゃラブ星の使者…
2326/05/30(土)22:23:44No.1435143160+
元気っ子のいちゃラブはめちゃくちゃ好きだからこの星人とは気が合うんだよね
ちょっと手段はアレだけど
2426/05/30(土)22:27:39No.1435144707+
ユニちゃんもっと平和的にやるようメッセージ送っといて
2526/05/30(土)22:32:17No.1435146659+
クソボケかましそうなやつには必要な荒療治なんだ
2626/05/30(土)22:33:53No.1435147338+
>クソボケかましそうなやつには必要な荒療治なんだ
ルビーヴィルシーナハヤヒデあたりにも介入しろ
2726/05/30(土)22:34:17No.1435147543+
地球なんていつだって存亡の危機に立たされてるってMIBで言ってた事は本当だったんだな…
2826/05/30(土)22:37:07No.1435148893+
>>クソボケかましそうなやつには必要な荒療治なんだ
>ルビーヴィルシーナハヤヒデあたりにも介入しろ
その気がない奴に無理矢理やらせるのはいちゃラブに反するから…あくまで意識してるやつの背中を押すだけだから…
2926/05/30(土)22:40:14No.1435150357+
ほんの少し啓示を与えて本人に気付きを与えるのは良しとされていますよ
3026/05/30(土)22:43:27No.1435151781+
良いものを読ませていただいた…ありがとういちゃラブ星の使者…
3126/05/30(土)22:45:09No.1435152503+
チケゾーにラブコメ適性があると異星人に教えてもらった…
3226/05/30(土)22:51:11No.1435155213+
>期日までに目標が達成されない場合、多数の星間ミサイルが地球を襲うであろう。
え…?


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