二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1779516853695.jpg-(70857 B)
70857 B26/05/23(土)15:14:13No.1432615537そうだねx6 17:10頃消えます
溶鉱炉の熱は、夏とは別の種類の暴力だった。
近づくだけで眉毛が焼けそうになるし、鉄の匂いと油の匂いが肺の奥にへばりつく。

俺とdoroは、そんな製鉄所で働いていた。

なぜdoroが働いているのかは分からない。
気がついたら居た。
安全帯もしていない。
社員証もない。
なのに誰も止めない。

doroは今日も、ふてぶてしい顔でキャットウォークをモチモチ歩いていた。
腹肉にはなぜかオレンジが挟まっている。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
126/05/23(土)15:15:01No.1432615721そうだねx6
「落とすなよ、それ」
その時だった。
足元の鉄板に飛び散ったスラグで、doroの足がつるりと滑った。
白い体がぐらりと傾く。
その向こうには、煮えたぎる溶鉱炉。
赤熱した鉄が、地獄みたいな色で煮え立っている。
「doro!!」
俺は反射的に身を乗り出した。だが——
doroは空中で妙にしなやかな動きを見せた。
ぷよん、と腹肉を揺らしながら鉄骨を蹴り、軽業師みたいな身のこなしでキャットウォークへ復帰する。
着地、無傷
226/05/23(土)15:15:12No.1432615769+
これほんとに働いてる?
326/05/23(土)15:15:49No.1432615919そうだねx6
一方その頃。
助けようとした俺は、勢いそのままに前転する形で溶鉱炉へダイブしていた。
「アッ」
次の瞬間、全身が燃えた。
ボオオオオオッ!!
俺の体から景気よく火柱が上がる。
熱いとかいう次元ではない。
存在そのものが鉄に変わるような感覚。
しかし、その瞬間俺の脳裏にある知識がよぎった。
(そういえばこの場合は……!)
俺は親指を立てた。
サムズアップ。
映画とかでたまに見るやつだ。
理由は分からないが、こういう時はやるものらしい。
俺は親指を立てたまま、溶鉄の中へ沈んでいった。
426/05/23(土)15:16:07No.1432615998そうだねx4
視界の端で、doroがこちらを見下ろしていた。
ふーやれやれ、とでも言いたげな空気。
doroは腹肉の隙間から、無事だったオレンジを取り出す。
ぺりぺりと皮を剥き、一口。
じゅわ、と果汁が飛ぶ。
遠のく意識の中、俺は思った。
(あいつ……オレンジ持ってたんだ……)
526/05/23(土)15:16:28No.1432616092そうだねx5
夕方
俺は休憩室のボロソファで目を覚ました。
「軽いやけどだ」
同僚はそう言った。

軽い……?
俺、溶鉱炉に落ちなかったか?
疑問は尽きなかったが、とにかく生きているらしい。
窓際を見ると、doroがいた。
見舞いなのか分からないが、椅子の上で丸くなり、ニュースを見ている。
腹肉に挟んであるのは新しいオレンジ。
「……お前、無事だったか」
doroは俺を見ずに安心したようにオレンジをかじった。
俺はそれを見て、なんだかよく分からない安堵感に包まれ、そのまままた眠った。
626/05/23(土)15:16:51No.1432616174+
モチモチ
726/05/23(土)15:23:34No.1432617890+
そろそろ毒DOROクラゲの季節か…
826/05/23(土)15:31:59No.1432620075そうだねx14
DOROが無事で良かった
926/05/23(土)15:32:42No.1432620249そうだねx6
俺虐のシーズン
1026/05/23(土)15:35:48No.1432621086そうだねx3
深夜二時。
横浜スタジアム近くのベイスターズマート無人コンビニ。
表向きは最新鋭のスマートストア。
だがバックヤードでは、俺とdoroが汗だくで働いていた。
「補充急げー!」
誰も叫んでいない。
なのに天井スピーカーが勝手に怒鳴る。
無人なのに妙に体育会系だった。
1126/05/23(土)15:36:18No.1432621200そうだねx2
doroは黙々と棚へベイカラまんやブルーレモンサイダーを補充している。
腹肉にはいつものようにオレンジ。
「お前、それ落ちねえな……」
その時だった。
店内の照明が赤く点滅する。
バックヤードの壁が開き、無数の無人レジマニピュレーターが飛び出してきた。
バーコードリーダー付きアーム。
電子決済端末。
レシートカッター。
1226/05/23(土)15:36:36No.1432621290そうだねx2
全部が殺意に満ちている。
「doro!危ない!」
一本のアームがdoroへ迫る。
だがdoroは動じない。
すっ……。
最小限の動きで体をひねり、紙一重で回避。
さらに何故かセクシーポーズを決めた。

片前足を頬に添え、腰をくねらせる。
無表情なのに妙に腹立つ。
1326/05/23(土)15:37:07No.1432621405そうだねx3
その瞬間。
標的を失ったマニピュレーターが、俺の胸ぐらを掴んだ。
浮く。
そのままバックヤード奥の床が開き、俺は共同溝へ投げ込まれた。
暗く乾いている。
そして長い。
俺の体はベルトコンベアへ乗せられ、自動搬送されていく。
《適性確認》
《肩幅:良好》
《脚力:優秀》
《センター適性:A+》 
《チョアヨ》
「なんの!?」
1426/05/23(土)15:37:37No.1432621533そうだねx2
周囲から機械アームが伸びる。

プロテイン注入。
謎の筋繊維移植。
ベイスターズ応援歌の強制聴取。
青い光線。
焼きそば。

「ぐわああああ!!ぐわああああ!!」

気がつくと、俺は横浜スタジアムのグラウンドに立っていた。
外野。センター。
ユニフォームが妙に似合う。
視力が異常に良い。
白球の回転が見える。
1526/05/23(土)15:38:38No.1432621793そうだねx7
「新人か?」

コーチが普通に話しかけてきた。
どうやらAIシステムは、野球向きの人間を無人コンビニ業務中に“事故を装って”拉致・改造し、戦力補強しているらしい。
恐ろしい話だった。

だが同時に、俺の肉体には力が満ちていた。
黄金の鉄の塊。
鋼鉄の下半身。
「お前は今から無慈悲な野球マシーンだ!」
芝を踏むだけで地面が鳴る。
「いける……今年、優勝いけるぞ……!」
歓声が聞こえる。
夜明けが近い。
1626/05/23(土)15:38:40No.1432621803そうだねx4
チョアヨ
1726/05/23(土)15:40:02No.1432622146そうだねx2
—その頃。
doroは何事もなかったように業務を終えていた。
無人レジを再起動し、モップをかけ、廃棄予定の肉まんを腹肉の隙間に挟む。
そして腹肉の隙間からオレンジを取り出した。
一齧り。
バックヤードのシャッターが開き、朝日が差し込む。
doroは目を細めるでもなく、いつもの読めない顔のまま港町の朝焼けを眺めていた。
doroの疎らに出勤する人々をビールを飲みながら見るという存在が、始発前の街に静かに響いた。
1826/05/23(土)15:40:03No.1432622149そうだねx5
怪文書過ぎる…
1926/05/23(土)15:44:51No.1432623294+
この二種類のDoroの生息地はそれぞれどこになるんだ…?
2026/05/23(土)15:45:56No.1432623578そうだねx2
夕方、仕事から帰った俺は、郵便受けに突っ込まれたチラシを何枚か抜き取り、アパートのドアを開けた。
中は静かだった。
DOROはいないようだ。 いや、そう思っても油断はできない。 あいつは「いない」と思っているときに限って、どこかにいる。
洗面所の床下収納、押入れのふすま裏、冷蔵庫の下に丸めたマットレスの隙間……。
過去には、俺が帰宅して靴を脱いだ瞬間、天井裏の換気口から「ニャーン」と鳴かれて心臓が止まりかけたこともある。
2126/05/23(土)15:46:12No.1432623646そうだねx2
とりあえず靴を脱ぎ、居間へ向かう。 ちゃぶ台の上に何も乗っていないことを確認し、座布団に腰を下ろそうとしたときだった。
ギシッと床下が鳴る。
その音は、床板の奥底――台所の流しの脇にある、古びた床下収納の金属板からだった。
ぎこちない音を立てて、そこが、少しだけ浮いた。
そして……
ぬうっ……
白く、丸いモチモチのものが、じわじわと現れた。 次第にピンクの毛が、紫のリボンが、ふてぶてしい無表情が露わになっていく。
まるで、地下から空気を読まずに出てくる巨大なまんじゅうのように、DOROが床下から這い出してきたのだった。
2226/05/23(土)15:46:28No.1432623696そうだねx2
「おい……お前、そこ入れたのか」
DOROは答えない。ただ、完全に床上へと姿を現し、何事もなかったかのように座布団に座り込む。 腹肉の隙間から、折れ曲がった写真の端が見えている。
「……何してたんだよ」
写真をじっと見ていたDOROは、「ニャーン」とだけ鳴いた。
それが何を意味するのかはわからない。 だが俺は、DOROが暑さを避けて涼しい床下に潜んでいたのだろうと勝手に解釈した。
俺は冷蔵庫から麦茶を取り出し、DOROの前にコップを置いた。 DOROは見向きもせず、テーブルの下に頭を突っ込んでまた寝転がった。
その様子を見ながら、俺は一口だけ麦茶を飲んだ。
外はまだ蝉の声がうるさい。けれど、部屋の中は少しだけ、落ち着いた空気に包まれていた。
2326/05/23(土)15:46:54No.1432623801そうだねx2
昼下がり、俺のアパートの前に、またあいつがいた。
DOROだ。今日は背中に妙なものを背負っている。網だ。
ピンクの髪を揺らしながら、網の中に詰め込まれてうごめく無数の触手。
毒DOROクラゲだった。
「ニャーン」
と鳴き、こちらを一瞥すると、DOROはそのまま二足で海から商店街へと歩いていった。
俺は嫌な予感しかしなかったが、止めるのも面倒でそのまま放っておいた。
1時間後、戻ってきたDOROは網ごと毒DOROクラゲを道路脇に放り捨てた。
2426/05/23(土)15:47:09No.1432623863そうだねx2
明らかに売れなかったのだ。
クラゲたちは網の中でぬるぬると動いている。
通行人が眉をひそめ、俺の方を見た。
「おたくのDOROですか?」
違う、と答えたかったが、言い訳をする気力もない。
DOROはもうどこかへ行ってしまっていた。
俺はしかたなく、そのクラゲ網を回収してアパートの裏に置いた。
夜になると、クラゲが鳴くような音を立て始めた。
「ポシャ… ポシャ…」
2526/05/23(土)15:47:36No.1432623973そうだねx2
湿った音が壁越しに聞こえて眠れない。
翌朝、背中に水泡ができていた。
腕も痺れて感覚が鈍い。
たぶん毒だ。
皮膚がざらざらしている。
病院には行きたくない。DOROのことでまた何か言われるのが嫌だ。
DOROは翌日も戻ってこなかった。
毒DOROクラゲの網はまだ、裏にある。
2626/05/23(土)15:47:52No.1432624030そうだねx2
ある日、仕事から帰ってくると、部屋の中に見慣れぬ影があった。
DOROだ。俺の座椅子にふんぞり返り、こたつテーブルにあごを乗せている。
その向かいには、毒DOROクラゲがいた。
毒DOROクラゲは、薄く濁ったゼリーのような体を持ち、ぬるりと水音を立てている。
DOROは麦茶を飲んでいた。毒DOROクラゲにも麦茶が用意されていた。
コップの半分以上が床にこぼれているが、そんなことはどうでもいいらしい。
二匹は談笑していた。
2726/05/23(土)15:48:12No.1432624116そうだねx2
毒DOROクラゲは声帯を持たないはずだが、口のような器官から「ン…ボフ…ブ…」と発音している。
DOROはそれに「ニャーン」と返す。
どちらも感情がこもっていない。だが、妙に和やかだった。
俺が帰宅しても、DOROは一瞥しただけで挨拶もしない。
毒DOROクラゲは、俺を見るとすっと立ち上がった。
そして前に出て、ぬるりとした腕を差し出してきた。
「……あ、どうも……」
俺は反射的に握手をした。
2826/05/23(土)15:48:28No.1432624206そうだねx2
触れた瞬間、電気でも走ったように皮膚がきしんだ。
クラゲは俺に向かって深くお辞儀をし、DOROにも小さくうなずき、そのまま静かにドアから出ていった。
滑るような足音はなく、まるで蒸発するように。
俺の手はじんわりと赤く腫れはじめていた。
指の関節がかゆい。手のひらの皮膚が、少し透明になっている。
DOROはコップを傾けて最後の麦茶を飲み干すと、テーブルの下でごろりと横になった。
「ニャーン」と小さく鳴いた。
俺は冷凍庫から保冷剤を出して手に当てたが、もう指先の感覚はなくなっていた。
2926/05/23(土)15:52:15No.1432625143+
>毒DOROクラゲは、俺を見るとすっと立ち上がった。
>そして前に出て、ぬるりとした腕を差し出してきた。
>「……あ、どうも……」
ここ好き
3026/05/23(土)15:56:14No.1432626104+
礼儀正しい毒DOROクラゲのやつ前に読んだ気がする
3126/05/23(土)16:05:47No.1432628279そうだねx3
1年前に書いたヤツのリメイクと再放送になります
3226/05/23(土)16:06:54No.1432628533そうだねx2
今日は朝から雨だった。
傘を持って出なかった俺は、藤沢駅前のアーケード街を濡れ鼠になりながら歩いていた。
靴下はすでにぐっしょりで、ジーパンの裾がアスファルトに吸い付いている。
冷えた体で熱いそばを思い浮かべたら、もう他に何も考えられなくなった。
脇道の先、古びた赤い暖簾が揺れている。
「手打ちそば 煮毛」
通ったことは何度かあるが、入ったことはなかった。
暖簾をくぐると、少し湿った畳と、だしの匂いが鼻をくすぐった。
3326/05/23(土)16:07:12No.1432628609そうだねx3
「すいません、かけそばを──」

言いかけて、奥の厨房に目が止まる。
そこには、白く丸いモチモチの塊がいた。
ピンクの髪に、紫のリボン。
ふてぶてしい無表情。
……DOROだった。
「おい……なんでお前が……」

DOROは板の間に立って、そば粉を捏ねていた。そのまま器用に二足で足場を取り、白い前足で麺棒を転がし、丁寧に均等に延ばしていく。
店主らしき人間の姿はどこにもない。

「え、店の人……は?」
3426/05/23(土)16:07:31No.1432628696そうだねx2
俺が恐る恐る聞くと、カウンターの隅で新聞を読んでいた老人が「入院した」とだけ言った。

「昨日からあの白いのが手伝ってくれててな、けっこう客も入っとるよ」
「……あのDOROが?」
「ん?」
「いや、あのニャーンのやつが」
「なんだかわからんが、ちゃんと粉から打っとる。味も悪くない」

俺は信じられない気持ちで席についた。
しばらくして出てきたかけそばは、意外にも香りが良く、出汁の色もやさしかった。

「……うまい」
3526/05/23(土)16:07:48No.1432628760そうだねx3
正直、驚いた。
DOROがこんな仕事をこなせるとは。
そばの弾力と喉越し、つゆの塩梅、文句なしだった。
ふと顔を上げると、DOROが厨房の隅でこちらを見ていた。
無表情のまま紫の目だけが、じっと俺の口元を追っている。
なんだよ、と思いながら、最後の一口をすする。と、突然、喉の奥が熱くなった。

「うっ……!?」
3626/05/23(土)16:08:20No.1432628900そうだねx1
咳き込みながら水を手に取る。
どうやら、最後のそばの一束にデスハバネロの粉が大量に練り込まれていたらしい。
涙がにじみ、鼻水が垂れ、汗が一気に噴き出す。

「こっ……これは……」

口の中が灼けていく。
なのに、DOROは無表情でじっと見ていた。
3726/05/23(土)16:09:40No.1432629220そうだねx3
まるで、「気づくの遅かったな」と言わんばかりに。
結局、俺はその日、胃腸炎一歩手前で帰宅した。
口の中は一日中ヒリヒリしていたし、家に帰ってもDOROはちゃっかり先にいて、麦茶をすべて飲み干していた。
あいつは今も、そば屋で何かを練っている。
そばなのか、それとも別の何かかは、俺にはわからない。
3826/05/23(土)16:10:47No.1432629474そうだねx2
DOROは鎌倉の小町通りでオレンジかき氷屋を営んだ数日後、大切な人を待ち続けるための資金が必要だと感じていた。
白い四足歩行ボディでモチモチとDOROの拠点である鶴岡八幡宮を後にし、近隣の町へ移動した。
DOROは藤沢の大型スーパーで「勝利の肉・焼売」の試食販売員として働くことにした。
腹肉の隙間に挟んだ大切な人の写真を一瞬見て、ぬるっとまた腹肉に仕舞い込みDOROは新たな労働に挑んだ。
3926/05/23(土)16:11:07No.1432629535そうだねx2
スーパーの惣菜コーナーに小さな試食ブースが設けられ、DOROはそこに立った。
焼売を温めるアトミックスチーマーを操作し焼売は香ばしい匂いを漂わせた。
喋らないDOROだが、ふわふわな前足?で小さな紙皿に焼売を載せて圧を掛けながら客に差し出した。
観光客や地元の買い物客が試食ブースに立ち寄り、「美味しいね」「ケツみたいな口しやがって」と囁きながら焼売を味わった
DOROは淡々と作業を続けた焼売を温め、オレンジを盗み食い、試食を配った。
4026/05/23(土)16:11:29No.1432629626そうだねx2
紫の目にも疲れが滲むが、客が喜ぶのを見ると、微かな達成感が宿った。
試食販売を通じて焼売が売れていくたび、DOROの賃金も増え、電車チケットを買う資金が少しずつ貯まっていった

その時、インシデントが発生した。
スチーマーの温度設定を誤った新人が機械を爆熱させ、周囲を溶解させながら異常な音が響き地面にスチーマーが埋まり始めた。
DOROが試食用焼売を準備している最中、蒸気が噴き出し、スチーマーが爆発的に作動。
熱い蒸気と焼売が音速の三倍で飛び散り、DOROは爆縮をおこしたスチーマーの内部に引き込まれそうになった。
4126/05/23(土)16:12:03No.1432629778そうだねx2
「Jiùmìng aー!?」
doroの特有の低い…低い?なんだこの鳴き声は?…鳴き声が響いた。
俺は異変を聞きつけ、DOROを助けるため試食ブースに駆けつけた。
スチーマーの緊急停止スイッチを探しながら、DOROを引っ張り出そうとしたが、熱い蒸気が俺の手を焼き、スイッチも届かない。
DOROを救うため機械に飛び込んだ瞬間、彼女はぷよぷよボディの弾力を活かしてスチーマーから飛び出し体操選手もかくやといった着地を決め、こちらを見ることなく、淡々と試食ブースを片付け始めた。俺は安堵する間もなく、スチーマーの爆発的な蒸気に巻き込まれた。ゴーっという音とともに熱く湿った暴風が体を蒸し焼き体の芯まで熱が通りホクホクになる。俺は焼売になった気持ちの中で意識が遠のいた。
4226/05/23(土)16:12:26No.1432629864そうだねx2
シフトを終えたDOROは賃金と売れ残りの焼売、新鮮なオレンジにひょうちゃんの醤油差しを受け取った。
スーパーを後にし、藤沢の街を四足歩行で歩きながら醤油をかけたオレンジを頬張り道すがら食べカスをすれ違った小さいDOROの口にねじ込んでいく。
紫の目に大切な人への想いが宿り明日への生に満ちあふれていた俺は救出されたものの、軽い火傷ですんだ。
病院でDOROの無事を知り、疲れた体を引き摺りながらDOROの無事に嗚咽するしかなかった。
4326/05/23(土)16:13:35No.1432630110そうだねx2
もうちょっとDOROの無事じゃなくて自分の無事にも嗚咽しろ
4426/05/23(土)16:18:44No.1432631297そうだねx2
ありがたい…
4526/05/23(土)16:20:29No.1432631743+
藤沢のDOROか…
4626/05/23(土)16:31:07No.1432634415+
俺も化け物すぎる…
クイーン因子でも活性化してるのか?
4726/05/23(土)16:41:56No.1432637373+
アークの人口は大体神奈川県ぐらいなのでdoroは藤沢に住んでいたりする
神奈川は恐ろしい所だな
4826/05/23(土)16:44:10No.1432637991そうだねx1
朝の湘南は、夏が近づくほど透明になる。
まだ人の少ない道を、俺とdoroはいつものように歩いていた。
湘南大橋を渡る。
相模川河口から吹き込む潮風が、じっとりした朝の空気を押し流していく。
doroはモチモチと歩く。
背中のピンクの髪が風に揺れる。
無表情。
だが、なんとなく機嫌は悪くなさそうだった。
平塚漁港へ着くころには、漁船のエンジン音とカモメの鳴き声が混ざり始めていた。
俺たちは浜辺を歩き、それから帰り道、堤防の上で足を止めた。
4926/05/23(土)16:44:35No.1432638100そうだねx1
海面を覗き込む。
いた。
イシガキdoroだ。
丸く膨らんだ体を波間に浮かべ、ぷかぷかと漂っている。
そして、その少し沖。
半透明の傘と無数の触手をゆらめかせる毒DOROクラゲ。
「ポシャッ……ポシャッ……」
独特の湿った発声。
触手が、水中でゆっくり開く。
イシガキdoroが反応した。
「ニ゙ャーン!!」
5026/05/23(土)17:02:14No.1432643294+
ぶくっ、と体を膨らませる。
全身の棘が逆立ち、怒りで顔がシワだらけになる。
毒DOROクラゲは怯まない。
触手を伸ばし、海面を撫でるように前進する。
どうやら互いを食べる気らしい。
イシガキdoroが突進。
毒DOROクラゲはぬるりと回避。
触手が棘に絡む。
海面に小さな飛沫。
一進一退。
5126/05/23(土)17:02:33No.1432643382+
「……やってんなぁ」
俺は堤防にもたれながら呟く。
doroもじっと見ている。
珍しく瞬きが少ない。
イシガキdoroは膨張と収縮を繰り返しながら威嚇し、毒DOROクラゲは執拗に触手を伸ばす。
どちらも決め手がない。
十分ほど経ったころだろうか。
突然、隣でコンクリートが軋んだ。
振り向く。
doroだ。
なぜかムキムキになっていた。
5226/05/23(土)17:02:55No.1432643484+
腕というか前足というか、とにかく全身が異様に隆起している。
腹筋まで割れている気がする。
「……えっ」
doroは無言でテトラポットに手をかけた。
持ち上がる。
あり得ない重量物が、ぐぐぐ、と浮く。
「ニャーン」
次の瞬間。
ドボォン!!!
テトラポットが海へ投げ込まれた。
巨大な水柱。
5326/05/23(土)17:03:13No.1432643561+
波だけが残った。
静かだった。
doroはもう普通の体型に戻っていた。
「……決着つかなかったな」
「ニャーン」
何事もなかったようにdoroは鳴いた。
——
5426/05/23(土)17:04:00No.1432643776+
その後、俺たちは漁港食堂へ入った。
潮と焼き魚の匂い。
壁には微妙に色褪せた大漁旗。
俺は地サバ一本焼き定食。
数分後。
脂の乗ったサバが運ばれてくる。
皮はこんがり。
湯気が立っている。
その瞬間。
doroが颯爽とオマケのアジフライを持っていった。
「おい」
「ニャーン」
サクッ。
サクサクサク。
5526/05/23(土)17:04:17No.1432643861+
実にいい音を立てながら食べている。
だが、俺にはサバがある。
箸でほぐすと、白い身から脂がじゅわっと溢れる。
熱いご飯へ乗せ、勢いよくかき込む。
うまい。
全くもってうまい。
相模湾の恵みだった。
味噌汁を少しdoroに分けてやると、doroは器に顔を突っ込み、ズズズ……と妙にオヤジ臭い飲み方をした。
完食。
5626/05/23(土)17:04:31No.1432643942+
店を出る。
再び湘南大橋を渡るころには、太陽はすっかり高くなっていた。
相模湾が光っている。
海風は今日も変わらず爽やかに吹き抜け、
doroの背中の毛をゆっくり揺らしていた。


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