『──あたしね、最初はそこまでデュエルが好きじゃなかった』 『え?』 『周りがやってるからただそれに合わせて…って、そんな感じで始めたから』 『でも、すみれと出逢ってから変わった。あの屋上で出逢う前の…お互い名前も知らないで一緒にタッグを組んでカードショップの大会に出た時から、あたしはデュエルが好きになったんだと思う』 『ふうか…』 『…ね、すみれ。これからもあたしと一緒にデュエルしてくれる?』 『…うん。私もふうかとするデュエル、大好きだよ。だから──何度でもやろう?楽しいデュエル!』 豊鶴市にある港に近い倉庫街。 そこでひとりの魔法少女──夜明すみれが海へと沈む夕暮れを見つめながら1枚のカードを握り締めていた。 「ふうか…」 (ブラック・ローズ・ドラゴン…蓮さんがふうかに渡したお守りのカード。ふうかが魔女になる直前に、彼女のデッキと一緒に託されたもの) (本当なら元々所持してた蓮さんに返すべきなんだろうけど…それをしたくないと思っている私がいる) (ふうかが使っていたエースモンスター…この子を蓮さんの元に返してしまったら、私とふうかの絆が失われてしまいそうな気がした) (──ふうかが、私の傍から、いなくなってしまいそうで…) 「…寂しいよ、ふうかぁ…」 彼女の嘆きは、ただ静かに波の音と共に呑まれていった───。