ソリン・ゲオルゲ [メイン]
「………」
あの時、俺を支えてくれたシャルさんが。
こんなに不安を抱えてたなんて、思わなかった。でも。
……シャルさんも、一人の人なんだというのに……ふと気付かされた
「………俺は、何も言わずに旅立ったことなんて、沢山ありました」
俺は話した。自分が生まれてからのことを。……初めてのことだった。
生まれた時には親族は母さんしかいなくて。しかも俺はアルヴだった。
それでも母さんは優しかった。こんな俺を大事に育ててくれて、料理を教えてくれたり……吸精もさせてくれて。
……でもそんな母さんが体調を崩して亡くなったのは、本当に病気だけだったのだろうか。
俺を保護してくれた養父母も優しかった。俺を成人まで育ててくれて。
でもそんな養父母がある日蛮族に襲われて亡くなったのは、偶然逃げおくれたからだったのだろうか。
『アイツは吸血鬼だ!』『優しい顔をした蛮族だ!』
そう言われて追い出された時、俺はあまりショックを受けなかったのは、
そう言われても仕方ないことを薄々分かっていたからだ。
いや、分かってたけど目を逸らしていたからだ。
深い関係になると相手を傷つける。愛されたからこそ、愛してはいけない。
だから俺は……いや、僕は…。アルヴだから…。
『助けて頂いてありがとうございますお嬢さん……お礼に食事でも如何ですか?』
『マナをくれて本当にありがとうお嬢さん。……じゃあ僕はここで失礼するね』
(いやぁ…楽しかったなぁ…でもこれであのお嬢さんも俺と今後会おうとは思わないだろうな……仕方ないな……)
こんな生き方しかできないんだ。