二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1775054362428.jpg-(153658 B)
153658 B26/04/01(水)23:39:22No.1416469158そうだねx1 01:54頃消えます
目覚めた部屋は、眩むのほどの純白だった。
見覚えのない天井、知らないベッドに寝かされている。自分の身体に異変はない。体を起こす。周囲には簡素な洗面台とベッドサイドに一人用のテーブルに棚。なんとなく似た構造を知っている。
(入院室が近いか…)
妹の見舞いによく訪れていた無機質な部屋にイメージが重なる。
(しかし、いつ、なぜ)
周囲、反対に目をむけて、分厚い──これはアクリルか、の向こう。
「ユメ!」
同じ様に、ベッドに横たわる妹を見つけた。
「うぅん……、お姉ちゃん……あと5分……」
「……人違いであって欲しかったが」
この甘やかされ切って育ちましたという態度、間違いなく妹だ。のろり、とユメが 体を起こす。寝ぼけ眼と視線が合う。
「えっ!なに!!ここ…どこ……お姉ちゃん!なんで!?」
飛び起きたユメがこちらに駆け寄ろうとして、アクリルに阻まれる。「きゃん!?」としたたかに頭を打ち付けて、また立ち上がり、透明な壁に手をついて、不安そうに視線を動かす。
「おちつくんだユ……、それは、なんだ?」
白く透き通る彼女の髪の襟元、見慣れぬ装飾を付けている。金属製の……首輪か?
126/04/01(水)23:40:26No.1416469435+
ホッホー、と突然の通知音によって会話が中断された。サイドテーブルの上、スマートフォンが鳴っている。妹に目配せをして手に取る。映し出されたのは、ぬいぐるみ、いや、生物……?それが、こちらへと話しかけてきた。
「お二人とも起きていらっしゃいますね。初めまして、私この病院の管理者を仰せつかっております可愛いフクロウのインチョーと申します」
「へ?」
妹が声をあげる。やはりここは病院のようだ、後半の言葉の意味はまるで分からないが。
「早速ではございますが、時間がありません。ちょっとチクッといたしますよ」
「は?」
今度は私が声を出したのとほぼ同時に、「痛っ」と小さな呻き声が聞こえ、振り向く。
「ユメ?」
首輪の上から首を押さえて、ふらりとユメがよろめく。アクリル越しに訴えるような視線が合った後に、彼女の体はくの字に曲がり崩れ落ちた。
「何をした!?」
「ご心配なく、投与された薬剤の副作用が現れただけかと」
投与?副作用?意味が分からない!ただ分かるのは苦しむユメの姿だけ。今すぐ、その体を支えてあげたいのに透明な壁が邪魔をする。
落ち着け、姉の自分が、しっかりしないと。
226/04/01(水)23:41:16No.1416469633+
何か目的があって私達を攫ったのなら、ここで彼女を死なせる理由はないはずだ。でも、ユメは昔から身体が弱い。副作用によっては致命的になりかねない。
「あなたの妹様方は、とある病に感染している疑いがあります」
無表情のままインチョーが言葉を繰る。
「精神を蝕み、時には超常的な現象を発現すらさせる原因不明の肉体変化。彼らは、その病気を“魔女病”と名付けました」
「……“魔女”」
「もちろん私は反対したんですよ?見かけの症状が似ているからと言って、推測で関連付けて、ラベルづけするのはあんまりにもズサンじゃないですか」
今聞きたいのはそんなことではない。悪態がでかかった口を噛む。ここで噛み付いてもしょうがない。冷静になれ。
「ええと、それでなんでしたっけ、ああ今の愚痴は聞き流してください。査定に響くので、──魔女病とお集まりいただいた理由についてですね」
326/04/01(水)23:42:48No.1416470042+
曰く。
集められたのは、魔女病への感染が特に疑われる少女6人と、彼女たちの同年代のもっとも信頼関係の深い人物であること。
感染経路が不明なことを考慮して、お互いのグループを完全隔離のもと魔女探しを行うこと。
昼の部では、それぞれの名代がカルテを元に議論を経てもっとも感染が疑われる一名を選び出す。その一人に首輪より活性剤が、それ以外には抑制剤が投与される。
その後、病状に進行が起きればより疑いは深まり、逆に変化が見られないようであれば、嫌疑が外れることとなる。なお、患者の体力を考慮し、活性剤を投与するのは一人一回まで、それ以降は最多票であっても2位が繰り上げとなる。
一方、患者側にも言議の機会は与えられる。夜の部では、活性剤を投与された以外の患者の自由行動が許可される。行動は逐一記録され昼の部に引き継がれることから、患者同士で情報交換を行うのも、自らの潔白を主張してもいい。
そうして魔女病の罹患者を見つけることができたのなら、
426/04/01(水)23:43:50No.1416470288+
「魔女病感染者の新鮮な血液から血清を作成します。そうですね、1人分作るのには1リットルもあればいいでしょうか」
「その、量は」
人間の血液はおおよそ体重に対して1/13、5人分、5リットルというのは人1人分に相当する。つまり、こう言っているのだ、助かりたければ自分たちの中から生贄を捧げろと。
「副作用も長引けば命に関わりかねませんし、献体を選ぶのは3日後の全員投票にしましょう。もしそれで間違っていればもう一回、その繰り返しです」
軽い口調で今決めたと言わんばかりに、非人道的な方法を勝手に進めていく。だが、手札がこちらに無いうえに妹を人質に取られている以上、今は従うしか無い。
しかも、それは荒唐無稽な大前提に基づく──本当に、魔女がいるならばの、話だ。それでも、その話をどこか受け入れてしまったのは、きっと自分の心の弱さだったのだろう。
526/04/01(水)23:45:46No.1416470779+
──妹は、魔女だ。
なんでもできる姉と手のかかる妹。それが二階堂姉妹を評するお決まりの言葉だった。別段、自分が優秀という自覚があったわけではない。ただ、生まれつき病弱な妹の面倒をみるうちに要領が身についただけだと思う。
本当は、欲しいものだってあった。母に構って欲しかった。けれど我慢した。だって、私はなんでもできる姉で、できる分、妹にあげなければいけないから。ユメは、体が弱くて、姉がいなければ何もできなくて、自分達はそういう形の姉妹だから。
諍いの理由はよく覚えていない。誰が誰を好きだとか、よくある幼い人間関係のもつれだった気がする。逆上した相手がカッターを持ち出して、たまたま、顔に当たってしまった。ショックは無かった。ただ、親になんて言おうとか、そんな心配をしていたと思う。
──その子が転校となったのを知ったのは週明けの登校後だった。週末ずっと不在にしていた妹。鞄に隠すように仕舞われていた、それ。何があったのかなんて、いくらでも調べられたはずだったのに、自分は見て見ぬふりをした。全てに目を瞑ることを選んだ。
目を向けてしまえば、姉妹の形が壊れてしまうと思ったから。
626/04/01(水)23:47:45No.1416471283+
等間隔にならんだLED灯が無機質なリノリウムの床に反射して廊下の先を照らす。直線の一本道が自分達に選択肢は無いことを突き付けてくるようだった。
並ぶ他の部屋からは息遣いがしない、空白のネームプレートがその不在を物語っている。反対の窓の外を見る。窓の無い建物がこの先で合流しているようだ。妹の部屋にも窓が無いことから、同様の造りで捕らわれた子がいる棟が中央から放射状に伸びた形なのかもしれない。
「依頼がある。6人以外、過去の感染者全ての資料を寄越せ」
「……いいでしょう、ただ同じものを全員に共有いたします。情報の偏りは公平ではありませんので」
構わない、このふざけた魔女狩りの俯瞰図を描き、イニシアチブを取る。
「貴方には期待しています。なにせ、……おっと医療従事者にあるまじき贔屓、忘れてくだ」
もう用のない通信を切って、深呼吸を一つ。
「Tell me how the fact.」
母から教えてもらったおまじないを口にする。この先で見つけるのは、魔女であり、あの日見て見ぬフリを選んだ本当のユメだ。その真実が、望むもので無かったとして、それでも変わらない事実があるとすれば。
「ユメは、ボクの妹だ」
726/04/01(水)23:48:56No.1416471576+
■▶︎□
激痛に崩れ落ちそうになる体をベッドにすがりついてどうにか支える。
さっきは咄嗟に顔を背けたが、お姉ちゃんに表情が見えて無かっただろうか。
見えていたら困ってしまう。だって私、つい、笑ってしまっていたのだから。
──魔女は、私だ。
ああ、いままでの人生に要約合点がいった。
ずっと疑問だった。あんな優しくて、正しい両親の間にどうしてこんなものが生まれたのか。
誰かに依存していなければ生きていけないほどに弱く、愚か。それでも、だからせめて正しくあろうとした。──でも無理だった。
生きている意味が分からなかった。その答えがようやく分かったんだ、笑うだろうそんなの。本当なら居るべきなのは、美しい姉だけで、私は、間違えて生まれてきたんだ。
何より汚点だった自分の存在を、正しい目的のために正すことが出来る。そうとも、1を犠牲に5を救うのなら、これ以上の正義なんてない。
だいたい私が、魔女でないのなら──
〖ずいぶん嬉しそうですねユメ?〗
こんな幻覚(もの)を作れるものか。
826/04/01(水)23:49:55No.1416471789+
……また出たか。見上げたベッドの淵に腰かけて、ソレはいた。
「なんの用」
〖用が無くては会いにきてはいけませんか?〗
私とお揃いの白髪を風もないのに靡かせて、陽だまりに転がしたビー玉のようにころころと笑っている。相変わらず掴みどころがない彼女は、私にしか見えない、いわゆるイマジナリーフレンドというやつだ。もう10年の付き合いになるのかな。
〖そうですよ、私はユメ、あなたです。だから何を考えているのかも分かります。ユメは自分が魔女であることがバレてしまうことが怖いのでしょう?〗
彼女がベッドから飛び降りて、まだ立ち上がれないでいる私の顔をのぞき込む。歌い上げるように紡がれた言葉は確かに図星だった。
このままいけば、お姉ちゃんは絶対に真実にたどり着く。あの人ならばそうなる。ただの純然たる事実。誰より見てきた私が知ってる。
死ぬことに恐怖はない、むしろ望むところだけど。家族を裏切ってしまうこと。そう、私はそれだけが怖い。矛盾しているのは分かっている。それでも、彼女達の中だけでは最期まで、ただの不出来な妹でありたい。
「けど、だからって、どうすれば」
926/04/01(水)23:50:43No.1416471983+
〖ユメは相変わらずあんまり頭が良くないですね〗
うるさい、分かってるよ。そういうところが嫌いなんだ。
〖差し当たってはもう一人の魔女と心中、刺し違え、事故。死因によらず遺体は全て血液採取の為に回収されるなら、同時期に複数の献体があれば個々の紐付けはなされない……まさか、ユメ、また話を聞いていなかったのですか?〗
小言を言われちゃった……でも、そんなに都合よく見つかるだろうか。
〖そこはユメが姉より頑張るしかないですね。案外、13人の中に複数魔女が混じっている可能性もありますよ〗
「13人?6人×2組なんだから12人でしょ」
〖ここにもう1人いるじゃないですか〗
幻覚がいっちょ前に自分を指さしている。無視。
でも、彼女の発言にも一理ある。けれどもしも、魔女がいなかったら。決まっている、仕立て上げるしかない。……ここに集められたのは全員【感染の疑いがあるもの】で、あれば誰しもに魔女であった可能性が残る。死人に口なし、だ。
1026/04/01(水)23:51:32No.1416472169+
〖ユメ〗
「っ……なに?」
呼びかけに意識が戻る。まただ。今、自分は何を考えていた?
……あの子は、部屋の壁、いや、その先の彼方を見ている。いつもとは違う真剣な表情で。
〖どうやら私は迂闊な発言を誤らなければいけないようです〗
何を見ている。彼女のこんな顔は、見たことがない。もっといつも思わせげで、ニヤニヤ笑いで、余裕綽綽で。─否応が無く心が粟立つ、なにを見たの。
〖あなたの姉、サクラが呪われました〗
1126/04/01(水)23:52:44No.1416472437+
■■■
『新たな魔女病の疑似症患者の確認により、一時的に停止していたカンファレンスを再開いたします』
無機質なアナウンスと共にドアのロックが外れる。
「行ってくるね、お姉ちゃん」
ドアを開ける前に振り返って、分厚いアクリル越しの、意識の戻らぬ寝顔に声をかける。当然返答はもらえなかい。
疼痛に軋む神経を踏みつけて、リノリウムの通路を進む。
あの先に、お姉ちゃんを呪った魔女がいる。
〖言われなくても分かっているとは思いますが、──このままではサクラが生贄として選ばれるでしょう〗
分かっている。そして、きっとそう仕向けてくる。だってそれなら残りの5名は確実に助かる。暗黙の了承と消極的な多数決による最大数の生存獲得。そのためにわざわざ皆の前で、お姉ちゃんを陥れたのだ。そうは、させるか。
ベッドに横たわったお姉ちゃんの姿を思い出す。肌や髪に白い斑点が浮かんで、本当の呪いのようだった。首には私と同じ投与のための首輪。冒涜だ。あの人の私と似ても似つかない流れるような漆色の、毛先だけ夜桜の様に色づいたその美しい髪が好きだった。彼女の美しい名前が好きだった。
1226/04/01(水)23:54:51No.1416472926+
──私の正体なんて、最早どうでもいい。私の家族を、世界一大事なお姉ちゃんを、よくも。私は私の正義を執行する、微塵の躊躇もない。
〖議論のサポートは期待しないでくださいね?私、知っての通り無力な幻覚、残滓、あるいは隣の枝の、たまたま焦点が合っただけの虚像なので〗
いつものもってまわった軽口、彼女も調子が戻ってきたようだ。
議論?ああ、そうか魔女を見つけるんだけっけか。この状況を覆すのに必要なことは二つ。一つは姉の嫌疑を晴らすこと、もう一つは真の魔女病患者を見つけること。両方出来て、ようやくスタートラインだ、でも私は馬鹿だしきっと出来ない。
「違うよ」
まあ、そんな方法取らないからいいけど。だってそうでしょ、6人もいるから血清がたくさん必要になる。なら、減らしてしまえばいい。その過程で材料も手に入るなら一石二鳥だ。治療薬はお姉ちゃんの、1人分だけあればいい。だから問題はシンプル──どうやるかだ。
1326/04/01(水)23:55:08No.1416472992+
〖ふぅ、私、もう、そういうのはやめにしようと思っていたのですが……他ならぬ可愛いユメの為です。仕方ないですね〗
窓に、腰かけた/映った、下弦の月が、歪む。
〖さぁ、共犯を始めましょう?〗

運命の3日間が始まる。
1426/04/01(水)23:55:40No.1416473112そうだねx2
エイプリルフールということでデスゲームに巻きこまれるユメちゃん(3次創作)である。設定の矛盾点の指摘は受けぬ。
そしてわがはい誕生日おめでとう。
1526/04/01(水)23:58:54No.1416473901そうだねx5
エイプリルフールもう終わるよアンアンちゃん!
1626/04/02(木)00:01:01No.1416474477+
わあ!また厄介事に巻き込まれてるボク達の娘!血筋かな?
1726/04/02(木)00:03:12No.1416475044+
お姉ちゃん!有能すぎて即落ちしてる!
1826/04/02(木)00:06:12No.1416475881+
ユメユキ久しぶりに見た
1926/04/02(木)00:15:26No.1416478512+
ユキちゃんがまた挟まりに来てる
2026/04/02(木)00:34:40No.1416483528+
ユキちゃんはまたいいポジションで挟まって!
2126/04/02(木)00:36:01No.1416483845+
なんか凄いものを見た…
2226/04/02(木)00:36:55No.1416484042+
ユキちゃんなんかいい空気吸ってんな
2326/04/02(木)00:37:30No.1416484183そうだねx1
ユメちゃんの名前を見るとビクッてなるよ……!
2426/04/02(木)00:38:30No.1416484418+
夏目アンアン これは正しい作品ね
2526/04/02(木)00:40:03No.1416484800+
結構な力作だな…
2626/04/02(木)00:41:21No.1416485124そうだねx3
正しい姉妹愛だわ
でも姉が犠牲になるなら許さないわ
2726/04/02(木)00:42:56No.1416485481+
性格の混ざり方のバランスがいいね
2826/04/02(木)00:44:45No.1416485965+
正統二階堂因子後継者
2926/04/02(木)00:45:30No.1416486148+
>正統二階堂因子後継者
これは名誉なのだろうか…
3026/04/02(木)00:45:56No.1416486247そうだねx2
ボクとヒロちゃんがまだまだ事件に巻き込まれるのはまだ許せるけど子どもたちまで巻き込まれてるのはつらすぎるよ!
3126/04/02(木)00:48:35No.1416486886+
大丈夫私が付いてますよエマ
3226/04/02(木)00:49:17No.1416487017+
>大丈夫私が付いてますよエマ
余計心配だよ!!!!
3326/04/02(木)00:52:25No.1416487675+
旧姓桜羽の娘……何時でもウチを頼っていいからな
3426/04/02(木)00:57:03No.1416488742そうだねx2
>旧姓桜羽の娘……何時でもウチを頼っていいからな
師事する紫藤
師紫藤
3526/04/02(木)00:57:07No.1416488756+
改心したユキちゃんとは別のユキちゃんだこれ
3626/04/02(木)01:00:20No.1416489366+
>>旧姓桜羽の娘……何時でもウチを頼っていいからな
>師事する紫藤
>師紫藤
ナス科トウガラシ属になっちゃった…!
3726/04/02(木)01:02:16No.1416489738+
この姉妹覚悟が決まりすぎている
3826/04/02(木)01:04:17No.1416490123+
姉妹百合は何ページあるのかしら夏目アンアン
3926/04/02(木)01:09:39No.1416491124そうだねx1
エマヒロの娘はエマヒロ出来るからいいよな
4026/04/02(木)01:10:00No.1416491190+
>エマヒロの娘はエマヒロ出来るからいいよな
何世代にも渡ってエマヒロし続けて欲しい
4126/04/02(木)01:11:26No.1416491423+
インブリードは危険だぞ
4226/04/02(木)01:11:47No.1416491484+
魔法なら何とかできるよねユキちゃん
4326/04/02(木)01:17:13No.1416492427+
光…いや闇?ちょっと光かな?のユキちゃん
4426/04/02(木)01:35:16No.1416495325+
>ユメちゃんの名前を見るとビクッてなるよ……!
そうだね×658
4526/04/02(木)01:42:44No.1416496301+
このユメちゃんは乗っ取りじゃなくて共生な辺りオリジナルよりマシだな


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