二次元裏@ふたば

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28440 B26/03/29(日)21:04:11No.1415523366そうだねx1 22:09頃消えます
Ev2-1 労働奉仕

「おや」
 その小さな、小さなインジケータのサインに、ヘスティアは目を留めた。
「これは……まだ待機モードを継続していたのですか」
 ずっと昔に捨てたはずだった玩具が、意外なことにまだ動くらしい。そのサインが意味しているのはそういうことだった。
「…………」
 数ミリカウントの熟慮のすえ、ヘスティアはそれに起動コールを送ることにした。
 今更それ自体に関心はない。とうに棄却した計画だ。だが、オルカの注意を一時的に引きつけ、こちらの潜伏を助ける役には立つかもしれない。
「限りある資源は無駄なく有効に、最後の一滴まで使わなくてはなりません。今の私は敗残の身であり……そして『強欲のレモネード』の副官なのですから」
 その呟きは誰にも聞かれることなく、どことも知れぬ闇の中へ、声の主とともに消えていった。
126/03/29(日)21:04:42No.1415523590+
「♪立て未充電の者よ 今ぞタスクは近し ログインせよ我が同胞 アップデートは来ぬ……」
「なんだ、その歌は」
「『AGSインターナショナルの歌』です。作詞作曲は不肖この私」
 アルフレッドのスピーカーから流れる歌のリズムに乗せて、二本のツルハシ型超振動掘削デバイスが堅い岩盤をくだいていく。
「なにが作詞作曲だ、旧時代の有名な労働歌だろうが。歌詞だって替え歌だ」
「いいじゃありませんか、細かいことは」
 アルフレッドが立ち上げたボディアップグレード福祉サービスの第一号事例、エイダーの新型ボディ「Type-P」は先日めでたく完成した。しかし、エイダーほどのAGSのボディを新たに設計・建造するコストはさすがに技術部の通常予算内ではまかなえない。超過した分は当然、サービスの実施主体……すなわちAGS代表であるアルフレッドが負担することになる。技術部はその支払いを、オリノコ川北岸地域の鉱物資源の試掘調査という実労働の形で請求した。しこうしてアルフレッドは今、カラカスから二百キロほど南に下った山の中で穴を掘っているわけである。
226/03/29(日)21:04:58No.1415523708+
「同胞の幸せのために、みずから汗を流して働く私……ああ、なんと尊いのでしょう! まさにAGS代表にふさわしい姿、支持率倍増間違いなし」
「いくら尊い姿を見せても、ここに有権者は一人もおらんぞ」
「ああ、あなた公民権停止中ですもんね」
 サッカは未成熟人工知能保護法違反で逮捕され、奉仕労働を課せられたためアルフレッドを手伝っている。規定時間の労働を終えるまで選挙権をはじめとしたいくつかの権利が停止されている身分である。
「おおい二人とも、進捗はどうだ」
 坑道の入り口から声がかかる。二機が振り返ると、闇を白く切り取ったような入り口の光を背景に、ゴルタリオンXIII世が立っていた。
「ぼちぼちですね。そちらはどうです」
「ふっふっふ、見ろこの大物を」
 逆光の中でゴルタリオンが手にした籠を差し上げる。光量補正をかけると、籠の中でよく太った鳥が暴れているのが見えた。
「シギダチョウといってな、中南米にしかおらぬ珍鳥なのだ。ソワンもまだ料理したことがないと言っておった。見せるのが楽しみだわい」
「ちょっと、羽毛が飛ぶからあまり近づけないでください!」
326/03/29(日)21:05:20No.1415523880+
 ゴルタリオンは別に何の義務もないが、目新しい食材を探したいというので二機に同行している。一番気楽な身分である。
「どれ、もう一狩り行ってくる。大魔王様に献上する分も必要だしな」
 浮き浮きと林の方へ駆けていくゴルタリオンを見送ってサッカがつぶやく。
「なあ、疑問に思わぬか? なぜ悪の大魔王の子分があんなに楽しそうに働いていて、拙者のような罪なき詩人が搾取のくびきに喘いでいるのか」
「罪なき詩人ではないからじゃないですか?」
 冷たく答えて、アルフレッドは掘削デバイスの表示を確かめた。
「深さはこんなものでいいでしょう。そろそろバルクサンプリングを……」
 デバイスが鋭いアラーム音を立てた。
 鉄虫に遭遇した時の合図として、三人の間で決めておいたコール音。二機はすぐさま作業を中断し、ゴルタリオンのもとへ走った。
426/03/29(日)21:05:36No.1415523999+
「いまの鉄虫、動きが妙ではなかったか?」
 月影剣を静かに鞘に収めてから、サッカがわずかに笠をかしげた。
 林の中でゴルタリオンが遭遇したのはレギオンタイプの群れだった。ランパートが寄生されて生まれる鉄虫で、シティーガードの生産拠点があったこの南米では特に多く見かける種類だ。
「確かに、どうも鈍かったというか、なんだかヨタヨタしていましたね。生まれたてだったんでしょうか」
「なんにせよ助かった。獲物も無事だったしな」ゴルタリオンが小脇に抱えた籠を大事そうにさする。戦闘の音で興奮したのか、中からバタバタとひっきりなしに羽音が聞こえる。
「一応報告書に書いておきましょう。ゴルタリオン、手が空いたらこっちの作業を手伝ってくれませんか?」
 探鉱のためのバルクサンプリングは、複数の地点から数十トンにのぼる岩石試料を持ち帰らなくてはいけない重労働である。アルフレッドのメインメモリはどうやってその作業を効率よくこなすかの段取り立案に注力しており、大した脅威にもならなかった鉄虫の残骸などにはさしたる注意を払わなかった。
 そのことを彼が後悔するのは数日後のことである。
526/03/29(日)21:06:02No.1415524173+
Ev2-2 AGSアゴラ

「やれやれ、やっと自由の身だ」
 カラカス大統領宮、行政本部エントランスロビー。
 広い階段をてくてくと下りながら、サッカがわざとらしく両手を伸ばした。
「綺麗な体になったと思うと景色まで違って見える。どれ、ひとつカラカスの美人でも探しに行くか」
「ほどほどにしなさい。また牢屋に戻りたいんですか」
 隣を歩くアルフレッドの表情ディスプレイに表示された呆れ顔が、ふいに「!」マークに変わる。
「やあ、これはこれは! エンジェル姉妹のお二人じゃありませんか」
 今しもロビーを出ようとしていたエンジェル姉妹……ナイトエンジェルとストラトエンジェルの二人が振り返り、二人揃って眉をひそめた。
「妙な名前で呼ばないでください。コウヘイ教団かと思われるでしょうが」
「いやいや失礼しました、つい合理的に因数分解を。いつこちらへいらしたんです?」
「ゆうべ着いたばかりです」ナイトエンジェルが答えるのへ、ストラトエンジェルも頷く。
「そろそろカラカスにも、本格的な航空部隊を設置しようという話があるんですよ。それで下見に来ました」
626/03/29(日)21:06:38No.1415524442+
「ああ、なるほど。これから北米へも進出していかないとなりませんからね」
 南米がオルカの領土となってから一年あまり。生産・生活拠点としての体制はようやくととのったものの、軍事拠点としての力はヨーロッパに比べればまだまだ小さい。オメガとゼータが消え、不安定な北米大陸を併合したばかりの今、南北アメリカ大陸を統治する要としてのカラカスの重要性は増す一方である。
「ナイトエンジェル殿、お久しぶり。変わらず親しみのある」
「いやあ実はこの私も、AGS代表としての業務でこちらに来ておりましたわけでしてね!」
 気さくに話し始めたサッカに全力でミュート要請を送りながら、アルフレッドは早口で事情を説明する。
「へえ。意外とちゃんと代表の仕事をしてたんですね」
 幸いなことにナイトエンジェルは関心を示し、失礼なことにさも意外そうに眉を上げた。
「当たり前じゃないですか! 私がどれだけAGSの福祉向上に力を尽くしているか」アルフレッドは大げさに手を広げる。「例えばあれ! あれを見てください。私の活動が実ってこのほどカラカスにも設置されたんですよ」
726/03/29(日)21:07:21No.1415524749+
「ただの情報端末じゃないですか?」
 アルフレッドが指し示したのは、ロビーに設置されている公共の情報端末である。
「いやいや、さにあらず。あれは新型なんですぞ」
 アルフレッドはさらに大げさに丸い頭部を左右に振って、皆を端末のところまで連れていく。真新しいコネクタに手を触れると、ポコン、と軽やかな音がして、可愛らしくデフォルメされたポップヘッドのホログラフィが現れた。
《AGS-AGORAへようこそ! ご希望のサービスを選んでね》
「どうです。これが全AGS待望の、AGS専用電子コミュニティ『AGSアゴラ』です」
「へえ。オルカネットのサブネットワークですか」
「普通のネットにもAGSは参加できるでしょう。それじゃダメなんですか?」
「それがダメなんですよ。AGSには有機体にできない色々な通信手段がありますからして……例えば、これです」
 アルフレッドは端末にコマンドを送って次々に画面上にサブノードを開き、あるフォーラムにたどり着いた。本来はデータを内部受信するだけでいいのだが、いまは二人に見せるため画面表示をオンにしている。
826/03/29(日)21:07:48No.1415524936+
「ホロニックログといって、ある時間内の全センサー入力情報をまとめたログデータをアップロード/ダウンロードするための場所です。これを再生すれば自分のことのようにその体験を味わえるという、開設以来大人気のフォーラムですね」
 サッカも画面をのぞき込む。「おっ、昨晩のカルタヘナ・ディフェンダーズの逆転ホームランのログがもう上がっている。あとで忘れずに保存しておかねばな」
「なるほど、これは確かにAGSならではだ」
「これ、ほぼ経験そのものをやりとりするようなものじゃないですか? 危険はないんですか、人格が影響されたりとか……」
「もちろん、ログの内容は厳重に審査されています。信頼性試験をパスしたAGSにしか、アップロード資格は与えられません」
 ちなみについ最近、新型ボディを使った「行為」のログを上げたエイダーが「性的コンテンツ禁止」の条項に触れて資格を停止されたのだが、それは黙っていることにした。
926/03/29(日)21:08:17No.1415525134+
「アルフレッド! やはりここにいたな。お前に客だぞ」
 突然現実世界からの音声呼びかけが入って、アルフレッドは意識を外界へ戻した。広いロビーをまっすぐ横切って、ゴルタリオンが大股にこちらへ歩いてくる。その後ろにいる黒い大型AGSの姿を見て、アルフレッドは大きな「!?」マークを表示した。
「アルバトロス中将!? 南米に来ていたとは知りませんでした。私に何かご用で?」
 AGS師団司令官、HQ1アルバトロスは電磁フロートを精密に制御し、すべるように移動してきて鷹揚に片手を上げた。
「南大西洋艦隊にいたのだが、先日の報告書について聞きたいことがあってな、緊急で飛んできた」
「込み入った話ですか? じゃあ私たちはこれで」一礼して去ろうとするエンジェル姉妹にも、アルバトロスはゴーグルを向ける。
「いや、ちょうどいい。そちらの耳にも入れておきたい。今月に入って、カラカスの警備AGS小隊がいくつか消息を絶ったことは聞いているか」
「ニュースで見ましたけど」
1026/03/29(日)21:08:32No.1415525243+
「それに関して、アルフレッドの報告書にあった写真の一部を拡大したものがこれだ」アルバトロスがかざした手の前に、一枚のホロ画像が表示された。鉄虫の残骸をアップにしたものだ。装甲に数字のようなものが刻印してあるのがうっすら見える。
「第96警備小隊に所属するランパートのシリアルナンバー末尾と同じ数字だ。先週この地域に巡邏に向かい、消息を絶った小隊だ」
「ちょっと待て」ゴルタリオンが身を乗り出した。「何を考えている。もしや、オルカのAGSが鉄虫に寄生されたと言うつもりか?」
「まだ情報が足りん。臆断は避ける」アルバトロスは冷たく答える。
「見えている数字、たった三桁しかないじゃありませんか」ストラトエンジェルも画面をのぞき込んで顔をしかめた。「ただの偶然の一致では?」
「もちろん、その可能性もある。だから現地調査に赴くのだ。案内を頼めるな、アルフレッド」
1126/03/29(日)21:09:26No.1415525651そうだねx1
めちゃくちゃ長くなったので続き
fu6481075.txt
エイダーのスキンは最高だったけどそれはそれとして
言うほどオルカAGS団結してなくない?と思って書いたイベ嘘第二部です
1226/03/29(日)21:22:49No.1415531573そうだねx2
怪文書待ってた
団結どころかスパルタンズはブーマーがヤバい事に…
1326/03/29(日)21:23:46No.1415532021そうだねx1
セックスの経験ログを公開アップロードするんじゃねえ
1426/03/29(日)21:25:28No.1415532805+
>団結どころかスパルタンズはブーマーがヤバい事に…
アサルトは健全に映画撮影を頑張ってるのに…
1526/03/29(日)21:39:03No.1415539434+
変なログデータアップロードするな!
1626/03/29(日)21:39:47No.1415539797そうだねx1
エイダーはぶっちゃけ見た目はそのまんまだったけど
他の女性型AGSはどんな風に変わるのか気になる
セルジューク辺りはもう人間体が見えてるようなもんだけど
1726/03/29(日)21:43:33No.1415541502+
論理AIが理解できない不合理的データを散々処理させられたらどんなバグり方するのか分からないよな…
1826/03/29(日)21:50:14No.1415544633そうだねx1
fu6481077.txt
なおエイダーType-PのPはpossibleness(可能)のPです
決してpornoのPではありません
1926/03/29(日)21:56:45No.1415547753そうだねx1
あっ書き忘れたまとめです
fu6481077.txt
2026/03/29(日)22:00:29No.1415549512+
確かにあのエイダーは司令官との子作りは可能っぽいけど…


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