GM [大浴場]
星が輝く夜
ここはとある町にある大浴場
近場に似たような施設もなく、癒しを求めるならここ一択
多人数で入ると落ち着かないという客層向けに個室風呂まで完備
美容や傷病に効く薬湯を揃えていることで近頃人気です
湯女 [大浴場]
"そういう"サービスも質が高い
GM [大浴場]
君たちはいずれかを求めてここにやってきたのでしょう
また、君たちは当然お分かりでしょうが混浴です
入り口の混浴を示す看板は湯気かなにかで見えづらくなっていますが
混浴は常識ですし特に問題はないはずです!
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
ガラララ……
「失礼しまーす……」とそっと覗く
「あれっ、大浴場だけど……誰もいないんだ」
頭洗って体洗って
そして湯の中へ
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「ふぅ~……気持ちいい………」
(………独り占めの形になっちゃったな)
メクリナ・ドローズ [大浴場]
ややあって、からりと戸が開く。
ぺた、ぺた、ぺた。
「ああ……先客がいたのか。こんにちは、お嬢さん」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「!……いえ、お気になさらないで下さい。どうも、こんにちは」と笑顔で返す
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「すまないね、独り占めしているところを。いい気持ちだろう」
「私も、時折楽しませてもらっているからわかるよ」と言いつつ、身体を洗いに
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「そんな……気にされないで下さい。色んな方が入るからこその大浴場ですから」
「……気持ちいいのはその通りですね。えへへ……」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「そうかな。そう言ってもらえると、ありがたいけれど」身体の後、頭と髪の毛を優しく洗い、流してから水気を軽く切ってから
「ふぅ。……では、失礼するよ」3人分程度間を空けて浸かる
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「いえ、どうぞごゆっくりされてください」と優しい笑みを返しつつお返事……
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「ありがとう」
「……ここには、よく来るのかな」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……なんか偉そうなこと言っちゃいましたけど、私ここに来るの初めてでして……あはは」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「ああ、そうなのか。どこか、旅の途中なのかな?」
「……と、すまないね。若い人とのおしゃべりがしたいもので、聞き過ぎてしまっていたら謝るよ」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「いえ、気にされないで下さい。色んなところをビトゥルー……あっ、私の|愛馬《ペガサス》の事なんですけど……と一緒に巡ってる冒険者です」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「おや。騎手の方だったか」
「実は私もそうでね。と言っても、天翔ける駿馬のような格好の良いものではないけど」
「ふかふかさん、という|たぬき《ラクーン》を供連れにして、旅をしているところだよ」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「ふかふかさん……可愛いお名前のラクーンですね」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「そうだろう。彼の毛並みは中々のものでね」
「……まあ、私一人乗るだけでもかなり不服げな面持ちになるけれどね。さほど重くはないつもりなのだが」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「そうなんですか……ふかふかさん、|一匹《ひとり》でのびのびと動くのが好きなのかな……」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「中々に歳のようだからね。その分、気性も大人しくてありがたいのだけど」
「ピトゥルー……さん、かな。それともくん、かな。そちらはどうだろう」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「ビトゥルーは雄なんですけど……良い子ですよ。普段はおとなしくて優しくて、戦いの時は勇敢で……本当に良い子なんです」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「そうか。とてもいい相棒を持ったようだね」薄く笑みながら
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……ありがとうございます」優しい笑顔で返しながら
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「しかし、君が天馬を駆るとなると騎士様のようだね。戦い方も、|前衛《そちら》の方なのかな」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……|神官《プリースト》でもあるんです、私」
そう、実はプリーストライダーなペガサスエルフなのです……
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「ああ、そうなのか。実は私もそうでね」
「聖印は、脱衣場に置いてきてしまっているけれど。シーンさまの信徒をさせてもらっている」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「そうだったんですね!」|同職《プリースト》と聞いてちょっと嬉しくなる
「私はミリッツァ様を信仰しています」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「ほう。『弱き者を守り育てよ』、『愛と、正しさと、強さを胸に宿せ』、だったかな」ミリッツァ様の格言を諳んじる
「……君に言うまでもないことなのは、見ればわかることだれけどね」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「………ありがとうございます」ぺこり……
「……困ってる人に手を差し伸べるのが、私の使命だと思っています」
「『優しさを失わないこと。弱いものを労り、互いに助け合い、どこの人達とも仲良くなる気持ちを忘れないこと』……それが大事だって思ってます」意思を込めた顔で……
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「……とても、いいことだと思う。私は好ましく思うよ」と言いつつも、少しつらそうな顔で
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「!……すいません、折角のこういう場所なのに重い事を言ってしまって」
エルスの表情はずっと笑顔だった物から、先程の言葉を意思を込めすぎて話す内に暗い顔になっていた
それを振り払って切り替えるように笑顔を取り戻す
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「いや、構わないよ。話をしたい、と言ったのはこちらだからね」
「そうだ、名乗っていなかったね。私はメクリナ・ドローズという」
「……自分の名を告げるより先に、相棒の名を告げるとは。騎手同士で会話をすると、中々おかしなことになるね」空気を少し変えるべく、ちょっとおどけて
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「私はエルス・エルヴァスティと言います……私も申し遅れちゃいました、あはは……」
気遣って空気を変えてくれたのに感謝しつつ
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「そうか。よろしくね、エルス」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「こちらこそ宜しくお願いします、メクリナさん」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「……ああ。そうだな」
「相棒との馴れ初めなどは聞いてもいいかな」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「!……はい、大丈夫です」
「昔……私の故郷の近くで怪我をしていたところを見つけたんです」
「一匹《ひとり》で怯えていて……とても怖がっていて」
「………それでも、ずっと声を掛け続けたんです。『大丈夫だよ』『キミを傷つけたりはしないよ』『私がキミを守ってあげるから』って」
「そして、遂に心を開いてくれて……その場で怪我を癒やしてあげて」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
………そこで一瞬、エルスの笑顔が弱まる
けれど、またすぐ元に戻って
「……それからずっと一緒なんです」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「そうか。……君は、とても優しいね」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……ありがとうございます」優しい笑顔で返す
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「……これから言うことは、年寄りのお節介かもしれないけれどね」と、ひとつ言い置いてから
「どうか、忘れないでほしい」
「君も、守られる側になってもいいんだと」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「えっ……」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「『優しさを失わないこと。弱いものを労り、互いに助け合い、どこの人達とも仲良くなる気持ちを忘れないこと』。とても、素晴らしいことだと思う」
「それでも」
「きっと、一番難しいのは、『互いに助け合う』ことだ」
「君は、誰かに助けを求めたことはあるかな」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「…………」
言葉に詰まる。
昔を思い出す。非難を浴びて。それでも助けて。手を差し伸べて。
お母さんと一緒に支えてあって、助け合って。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
ゆっくりと、待つ。言葉に詰まるその様子こそが答えだが、彼女自身が言葉にするのをじっと見守る。
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
……小さい時は挫けそうなこともあったけれど、お母さんが居たから、泣くことも挫けることもなかった。
『お父さん』が言っていた言葉を教えてもらって、それも支えになっていた。
集落が襲われたあの時もそうだ。
………集落から去る時は。
お母さんが疲れちゃって、その分、私がお母さんの分まで頑張らないとって………
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「―――――」
メクリナさんが私を見ている。私もメクリナさんを見て…………
―――――私、今、笑えているのかな
―――――いや、固まった表情をしていると思う
―――――私、お母さんに、助けを求めたことってあったかな
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
スゥ……と涙が流れ落ちる
「……私は……しっかりしないといけないから」
「倒れた……お母さんの分まで……しっかりしないといけないから……」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「それは、本当に君だけが背負うべき重荷かな」
優しく、小さな子供に諭すように。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「誰かを助けたいと思うこと、それは素晴らしいことだ。ただ」
「その荷重で君が潰れてしまうのは、相手だって望んでいない」
「助け合いたい、と言うのなら。君も、誰かに助けてもらうべきだと、私はそう思う」
「言わずとも気付いてくれ、と言葉なく言うよりも。素直に助けを求めた方が、ずっといい」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「私は……私は……」
……おかしいな。なんで涙が止まらないんだろう。
……笑った方が、皆を明るく出来るから。そう決めて初めて泣いた後、もう泣かないって決めたのに。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「……おいで」手を広げる。
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「私はっ……色んな人を温かく守りた……くて……!」
思わず距離を縮める。
縮めてしまう。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
近付いてきたエルスさんを、そっと、抱きしめる。
エルフとしては小さい体躯で、薄い胸で、細い腕で、淡く抱擁する。
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「|冷たいエルフ《スノウエルフ》だけど……!優しく……いたくて……!」
「うっ……うああああ………!ああああ……!」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「君は、とても優しい子だよ。……大丈夫」そっと、背を撫でてやる。彼女が本当にしてやりたい相手には、届くかもわからないから。
「ただ、その優しさを。ほんの少し、自分にも向けてあげるべきだ」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……ぐすっ………でも……っ」
………そうしたら、自分が弱くなってしまいそうで。
………そこまで言えれば良いのに。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「言ってごらん。誰も、君を責めたりしないから」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……!」涙に溢れた目でメクリナさんを見る。
………メクリナさんには心を読まれてるようだ。
………でも、不思議と悪い気はしなかった。
「………私が……自分に優したら……」
「……よ……弱く……なりそうで………」
………弱音を吐いてしまったのは、初めてだった。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「弱くなっても、いいんだよ」髪を撫でてやる。銀の短髪を撫でていると、あの子を思い出す。
「その分、誰かに助けてもらうといい。……それで、また強くなれたら、誰かを守っておあげ」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「!………ぐすっ………ぐすっ………」
…………私は、涙目で頷いた。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「今は、好きなだけ泣くといい。……心の|澱《おり》を、綺麗に洗い流してしまおう」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「!………………………うん」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
ああ……酷いことをしている、と思う。
|彼女《エルス》は|彼女《エルス》であって、他の誰でもないというのに。
彼に伝えた気になって、勝手に救われている。
「……すまないね」抱きしめながら、そう呟く。
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
………人の直の温かさに包まれたのは、お母さん以外で初めてだ。
………お母さんの時も、私がまだ小さいころだ………
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……………っ」
メクリナさんが謝る言葉が聞こえる。
私は……首を横に振った。
何故メクリナさんが謝っているんだろう………?
ふと考えがよぎったけれど……この時の私には、それ以上のことは考えられなかった。
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「……よしよし」
「つらかったね」子供をあやすように、そう伝える。
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「…………スンッ……スンッ…………」
「……………あ、りがとう……ご、ざいます………」
やっと涙も落ち着いてきて、冷静になってきて、恥ずかしさもあって……
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「うん。構わないよ」淡く、微笑む。
「もう、大丈夫かな」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「………………はい」
「…………その、こちらこそ……突然、申し訳ありませんでした」
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「いや。……私も、君と話せてよかった」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
申し訳なさと恥ずかしさが入り混じった声色で……
「………私も、メクリナさんとお話出来て……良かったです」笑顔を取り戻してそう答える
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「そうか。そう言ってもらえたなら、よかった」
「……それなら、もう上がってしまおうか。あまり長く浸かっていると、のぼせてしまうから」
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「!……そうですね、とても長く入ってしまって……あはは」
明確に恥ずかしそうに笑いつつ
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「お風呂の中で眠るのも、時には楽しいものだけれど。大浴場では、そういう訳にもいかないからね」冗談めかして
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「えっ!お風呂の中で睡眠は良くないですよ!入浴中の睡眠は気絶と一緒で……」と急に真面目になって心配して
「!………す、すいません」ハッと我に返ってまた顔が赤くなって
メクリナ・ドローズ [大浴場]
「いやいや。……そうだね」ちょっと曖昧な笑みになりつつ
「まあ、上がってしまおう。……転んではいけないよ、気を付けてね」と言って身を離し、浴槽から上がって
エルス・エルヴァスティ [大浴場]
「……御心遣いありがとうございます」
同じく浴槽から上がる……
メクリナ・ドローズ [大浴場]
そのまま、脱衣場へと二人は消えていき
大浴場は再び無人になった……
GM [大浴場]
そうして大浴場は健全も不健全も飲み込んで、閉館時間まで稼働したのだった…
お疲れさまでした!