「うぉ……重い」 ​保育園の事務室で、俺は思わず声を漏らした。 目の前には、午後の活動で使う予定の備品、 段ボールに入ったままの新しいおもちゃの山。 いくらなんでも、これを一人で倉庫まで運ぶのは無理がある。 ​「ん? どうしたさぁ、サモナんちゅ。うんな難しい顔して」 ​背後から声がかかり、思わず身体がびくりと震えた。 振り向けば、この保育園の主、シーサァ園長が立っていた。 ​シーサァ園長は俺よりも随分な年上。 そして何より、大柄という言葉がぴったりの体格と、その包容力。 広い肩幅も厚い胸板も、存在感だけで 一室を狭く感じさせるほどだ。 普段は威厳と優しさをもって 園全体を包み込んでいるけれど、 俺にとっては、少し特別な人。 ​「シーサァ先生。これ、倉庫まで運ばなくちゃいけないんですけど、ちょっと重くて…」 ​俺が段ボールを指差すと、園長はくしゃりと笑った。 その笑顔が、大柄な体格とのギャップで、いつも俺の胸をくすぐる。 ​「これは、むっさんなぁ。サモナんちゅが一人で持つには、ちょっと無理があるさぁ」 ​彼はすぐに俺の隣にしゃがみ込み、 ひょいと一番大きな段ボールを抱え上げた。 その動作の何と軽やかなことか。 ​「ありがとうございます。やっぱり、園長先生は頼りになりますね」 「なんくるないさぁ」 ​そう言いながら、俺も残りの段ボールを抱える。 倉庫までの廊下を、二人並んで歩いた。 いつもは園児たちの喧騒に満ちていても、 今の時間はお昼寝中。 しんとした静寂が、二人の足音だけを響かせる。 ​「そんな​風に頼ってくれると、わんも嬉しいよ」 ​彼が、ふと立ち止まり、俺の方へ向き直った。 ​「…サモナんちゅ」 ​低い、少し掠れた声。 心臓が跳ね上がる。 彼の大きな手が、俺の頭にそっと乗せられた。 「最近、ちりと無理しとらん? 目元の隈が消いんらんさぁ」 ​同僚として、上司として、俺を気遣ってくれているのはわかる。 けれど、彼の温かい手のひらが俺を包むと、 途端に、俺は保父さんではなく、園児に戻ってしまう。 ​「大丈夫、です。…でも、シーサァ先生に心配されると、なんだか甘えたくなっちゃいます」 ​自分で言っておきながら、顔が熱くなる。 園長先生に向かって、なんてことを。 でも、この人にはいつだって本音を言ってしまう。 先生の大きな身体と、誰よりも深い優しさの前にいると、 俺はいつも、一番小さな俺、になってしまうのだ。 ​シーサァ園長は、俺の言葉に分かりやすく目を丸くした後、 すぐに、春の陽だまりのような、優しい笑みを浮かべた。 ​「そうか…」 ​彼は抱えていた段ボールを壁際にそっと置き、 俺からも荷物を取り上げた。 その大きな手が、俺の腰に回る。 ​「倉庫は、どうせ職員用ぬ裏口からしか見ーらん。…少しだけ、許しちくいん?」 ​そう囁きながら、獅子の顔が俺の耳元まで近づく。 シャンプーと、少しの汗と、安心感のある男らしい匂いが俺を包み込んだ。 ​「なーの甘いぶる気持ち、くぬシーサァが全部受け止めてやん。…だから、我慢なっくえさんていいんやん」 ​回された腕の力が強くなる。 その腕の中で、俺は雛鳥のように すっぽりと包まれてしまう。 誰にも見えない、一瞬の密着。 園長先生と職員という殻を破った、二人だけの秘密。 ​「…園長先生、俺…」 ​「先生、やぁらん。…サモナんちゅ、今はわんの名前を呼ーでぃくいれ?」 ​彼の声の響きが、俺を甘く痺れさせる。 ​「シーサァ…」 呼んだ瞬間に、​身体中の力が抜けて、 俺は彼の厚い胸板に顔を埋めた。 堅くて、大きくて、でも、誰よりも優しい。 この人が、全部守ってくれる。 そんな甘い錯覚の中で、彼の広い背中に腕を回した。 ​「うん、いぃ子ゎん。…サモナ」 既に俺の下半身は痛いほどに勃起しており、 外から見ても発情していることは明らかだ。 弾力のあるシーサァの太腿へ、 浅ましく腰を擦り付ける姿を、誰が先生と呼ぶのか。 するり、と股間を撫で上げられて 背中を震わせる俺は傍から見ても売女。 壁に押し付けられた俺を優しく、力強く。 園の守り神は犠牲者の抵抗を奪う。 俺の肉竿が外気に晒された 「わんでこんなに格好良くしてるさぁ?」 フーっ、と太い鼻筋から吐き出された呼気が 亀頭をくすぐる。血の通った海綿体が、 もっと、もっと、とよだれを垂らす。 粘液をまぶしたその表面は、 瞬く間に艶やかな光沢を帯び、 透明な雫となって、静かにリノリウムまでを滑り落ち始めた。 ​「……ん」 ​シーサァ先生のわずかに開いた唇の間から、 熱を帯びた舌先がそっと顔を出す。 園長の粘膜と俺の肌が触れた瞬間、 極端な温度差に小さな吐息が漏れた。 逃げ場のない熱を孕んだ口腔に包まれている、 その温度は暴力的なまでの快楽だ。 ​厚い舌は、溶け出したばかりの甘い蜜を掬い上げるように、 下から上へとゆっくり、執拗に這い上がっていく。 ザラリとした舌の質感が、滑らかな肉の曲線と絡み合い、 ジュウ、と音がしそうなほど濃密な接触を繰り返す。​ 執拗なまでの愛撫。 ​期せず溢れる雫を逃すまいと、 獅子の唇が肉竿の先端を深く、 吸い込むように迎え入れる。 湿った水音が、静まり返った廊下に小さく、 だが鮮明に響いた。​舌先で転がすように、 亀頭の凹凸がなぞられていく。 ​喉を鳴らしながら、溢れ出す先走りが飲み込まれていく。 ​吸い付くように、男性器の表面を 舌の根元から先端まで使って、丁寧に、熱を注ぎ込む。 舌の上で転がるにつれ、官能的なまで 甘美な重みへと変わっていく。 ​ ​体温が、末端から伝わる。 唇を経て感じるシーサァ先生の体温。 その境界線が曖昧になるほどに、 吸い上げる仕草は次第に速度を増し、 より深く、奥へと誘っていく。 最後に残った芯の棒にまで、 未練がましく舌を絡め、吸い尽くす。 「あっ……出るっ!出ちゃいます…っ」 びゅくっ♥ドクン♥ 押し込めた声は静かに響いた。 蕩かされた男性器の吐き出す残滓。 ちゅ、ちゅ、と啄むように吸い上げたシーサァは 一度、んべ、っと舌先の白濁を見せつけた後 いたずらっ子のように笑った。 息を整えることに必死の俺。 ふと年長の眼差しを見せるシーサァ先生は 俺の額に口づけを落とすと、そっと身体を離す。 まるで、何事もなかったかのように、 彼は三段重ねの段ボールを抱え上げた。 ​「わらびんちゃぁは少しお昼寝してくといいさぁ」 園長先生に戻った口調で、くしゃっとした笑顔を向けてくる。 「…はい」 ここに働きに来てよかった。子どもたちの笑顔。 青い同僚の頑張り。すべてを包む園長の暖かさ。 慣れない仕事に、放出された熱が重なって、 急に瞼が重くなる。 「…仮眠、取ってきます」 「行っておいでなー」 ​「……ま、あんまり寝坊しすぎーゆったら、うふシーサーに食ーびらゆがな?」 最後に、どこか底熱の籠った声色が聞こえた気がしたけれど、 襲い来る睡魔を前に、その意味を精査することもなく、 俺は意識を手放したのだった。