二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1772030353746.png-(672924 B)
672924 B26/02/25(水)23:39:13No.1405596588そうだねx10 01:19頃消えます
放課後はまだ少し肌寒い。
校舎の外の空気は、日中の暖かさが僅かに残っていた。

「結構明るくなってきたよね〜」
「うん…マフラー、もう無くて良いかも…」
「だね。早く春服着たいなぁ」

教室で付けた手袋を外して上着に仕舞った。
寒かった冬は少しずつ和らいでいく。新しい季節へと変わっていく。
心地の良い春へと。
隣を歩くあのちゃんが、あっ、と声を上げた。
傍にあった枝だけの木へ近付いて、枝を指し示す。
嬉しそうに微笑む顔から指先へ、視線を移した先。
固い色をした枝に、ぽつぽつと小さなふくらみが不揃いに並んでいた。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
126/02/25(水)23:39:24No.1405596664+
「見て見て、桜のつぼみ!」
「…ほんとだ。たくさん、膨らんでる…」
「梅の花ももう咲いてるし、もうちょっとだね〜」
「うん…」

春になったら。
祥ちゃんと出会ったあの橋から見える、ハクウンボクがまた咲くのだろう。
小さな白い花がきっと今年も空を舞い落ちる。
あの場所を通る度、私は俯いて歩いた。
私の胸の内側、心がじくじくと傷むから。

「桜が咲いたらさ、MyGO!!!!!でお花見しようよ」
「…あんまり…したことない…」
「大丈夫だって、そんな難しいことしないし!」
226/02/25(水)23:40:03No.1405596916+
高校生になった時、私は地面に散らばった桜の花ばかり見ていた。
暖かさを肌で感じても、心はちっとも晴れなかった。
もう傷付きたくないから、見ないようにしていた。

「写真撮ったり、ちょっと食べたりさ、そういう感じだから」
「う、うん…がんばる…!」
「あははっ、さっすがともりん!」

まだつぼみは枝と同じ硬い色。花びらはその奥底にも無くて、花開くまでまだ時間がかかる。
去年はつぼみに気付くこともないまま、ただ過ぎ去っていった。
今年はどんな風に咲くのかな。
考えると、少し心がぽかぽかする。
それはきっと春へ向かっていく季節のせいだけじゃなくて。
あのちゃんを見る。
どうしたの?と私をまっすぐに見つめ返してくれた。
326/02/25(水)23:40:23No.1405597010+
「去年、は…あまり見れなかったから…今年は、みんなでちゃんと見たい」

今は、MyGO!!!!!がある。
決して離さない、傷付いても一生やるバンド。
一瞬一瞬を積み重ねて、次の季節がやってくる。
そのことが、とても温かい気持ちにさせてくれる。

「えと、だから…桜のつぼみ、教えてくれて…ありがとう」
「どういたしまして〜」

あのちゃんは大したことじゃないよ、と笑う。

「だってさ、ともりんはよく石探ししてるじゃん?」
「え…あ、うん…」
「ともりんが下の方を見てるから、私は上の方を見ておこうかな〜って」
426/02/25(水)23:40:38No.1405597113+
だから探して、桜のつぼみを見つけてくれたんだ。
すこし照れたように、けれど得意げな顔。
あのちゃんは、すごいな。

「ぉ…星も見るから…私も上、見てる…」
「だね〜。だから、その真ん中くらい!」
「おぁ…」

くすくすと笑うあのちゃん。嫌な気持ちなんてこれっぽっちもなくて、ただただ温かかった。
自分が良いと思えるものを見つけて、集めているだけなのに。
あのちゃんがその背中をそっと押してくれたような気がした。
春のような心地。
私達は桜の木をあとにして、また歩き出す。
でもさ、とあのちゃんが呟いた。
526/02/25(水)23:40:51No.1405597181+
「あの桜が咲いたらアフタロさん達は卒業だし、私達も2年生になるんだよね〜」
「…うん」
「なんか早いって感じと、やっとか〜って感じじゃない?」
「う、うん…私も…」

待ち遠しくて、あっという間。
おぼろげで覚束なかったこれまでとは、違う感覚。
一歩ずつ、一瞬を重ねて、そうして歩いてこれたんだと思える。
一生の道のりはまだまだ長くて、だけど一年が経とうとしている。
足元のローファーの表面、いつの間にか入った傷が目についた。

「ね、ともりんはあそこの生け垣、覚えてる?」

ぼうっとしていたのか、あのちゃんに制服の袖を引かれて驚いた。
私はまた、あのちゃんの指差す先を目で追う。
626/02/25(水)23:41:16No.1405597308+
学校の敷地内の生け垣。私がよく石を探している場所。

「えと…?」
「転入する前にさ、あそこでともりんと初めて会ったんだよ」
「え…!?」
「やっぱ覚えてないか〜」

教室で挨拶したのが、あのちゃんと初めて会った場所だと思っていた。
全然思い出せない……
そよちゃんも立希ちゃんも、楽奈ちゃんだって初めて会ったときのことは覚えているのに。
あのちゃんだけ忘れてしまっているなんて。

「ちょっと、別に責めてるわけじゃないって」
「でも…」
726/02/25(水)23:41:36No.1405597439+
「ほんとほんと。思い出って、どっちか憶えていれば消えて無くならないでしょ?
 だからまかせて! 私ケッコー記憶力、自信あるから!」

ふふんと得意げに言い切るあのちゃんが、たまらなく眩しかった。
私はその時その場所で必死にやるしか無くて、だから色んなものを取りこぼして。
その度に傷付いたり、何が駄目だったのか頭の中をぐるぐると回る。
そんな私の手を、あのちゃんは握り返してくれる。
一緒にいるから、心配しなくてもいいよと言ってくれるように。

「一回見たらわりと覚えられちゃうし〜」
「あのちゃん…」
「? どうかした?」
「2年生になっても…あのちゃんと一緒のクラスだったら、いいな…」
826/02/25(水)23:41:49No.1405597523+
私はまたきっと、この先も取りこぼしてしまう。
そうならないよう頑張るけど、でも、この両手はもう埋まってしまっているから。
でも、あのちゃんと一緒なら。
私はもう少しだけ持っていられるかも知れない。そんな気がした。

「…も〜、ともりん不意打ちすぎるって!」
「え…!?」

なにを驚かせてしまったんだろう。私はまた分からなくなった。
どう返せばいいか戸惑う私の手を、あのちゃんが握った。
繋いだ私の手を引いて、あのちゃんが歩き出す。

「はやくRiNG行こ! なんかちょっとギター弾きたくなってきたし」
「う、うん!」
926/02/25(水)23:42:09No.1405597649+
──あ…ピンク色…

不意に目が吸い寄せられた。
前を歩くあのちゃんの、揺れる長い髪。
その隙間から見えた耳が、ほんのりと赤くなっていた。
1026/02/25(水)23:50:04No.1405600265そうだねx3
迷子の怪文書久しぶりに見ましたわ…
それはそれとして何だか暖かくなってきましたわ…
1126/02/25(水)23:50:16No.1405600331+
😊
1226/02/25(水)23:57:39No.1405602639+
>😊
良質なともあのにこれは燈もにっこり
1326/02/25(水)23:57:54No.1405602729+
なんか自然と脳内BGM:春日影が流れてきたよ俺
1426/02/25(水)23:59:30No.1405603189+
燈がこんなにいっぱい自分の心情モノローグするのって新鮮かも
1526/02/26(木)00:00:15No.1405603449+
そういやアツドリって進級するんかな…それともまだ1年生やるんかな
1626/02/26(木)00:03:46No.1405604639+
>そういやアツドリって進級するんかな…それともまだ1年生やるんかな
ムジカ最終話が10月18日って明言されてるし続編の映画では桜が散ってるし進級してほしい気持ちは少しある…
1726/02/26(木)00:14:19No.1405608364+
色々カプはあるけどなんだかんだあのともはいい…心が洗われる
1826/02/26(木)00:14:21No.1405608379+
時間の戻らないアニメ時空のあの桜で進級しなかったらギャグだよ…
1926/02/26(木)00:28:18No.1405612823+
当たり障り無いだけで面白くもないSSって感じだな
2026/02/26(木)00:35:50No.1405614965+
この「」自演で伸ばそうとする上に一切の否定意見を受け入れず消す奴だから嫌い
2126/02/26(木)00:37:45No.1405615492そうだねx1
荒らしは消していいよスレ「」
2226/02/26(木)01:12:07No.1405624278+
愛音さんも燈も光すぎて怪文書なのに泣けますわ…


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