二次元裏@ふたば

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155040 B26/02/21(土)20:11:17No.1404180720+ 21:27頃消えます
「青春。これまでの3年間で私たち、青春をテーマに色々なことを経験してきたわよね」
ロイスアンドロイスがおもむろにそう切り出す。
青春――トゥインクルシリーズを駆け抜ける中、BNWとの青春ドラマを掲げてロイスはセルフプロデュースを行ってきた。
友と関係を深め、ライバルと競い、そして別れ。あの3年間、セルフプロデュースという名目も越えてロイスアンドロイスは青春を駆け抜けた。

「ええ。思えば、貴方が青春の追体験には大きな需要があるって提言してくれたからこそ、ロイスちゃん青春ドラマ路線は誕生したのよね」
青春ドラマの需要、青春の追体験について彼女に語り、自分には無い大人の視点をロイスから評価されたのは記憶にしっかりと残っている。彼女のセルフプロデュースに力添えができたのが嬉しかったからだ。

「トレーナーさんからの助言で私は、青春路線を走ることができたわ。……けれど、足りないわ」
険しい目をして、ロイスが言い放つ。ことセルフプロデュースにおいてはどこまでもシビアな彼女。
しかし、足りないとは。どういうことだろうか。
126/02/21(土)20:14:04No.1404181810+
「確かに、ハヤヒデさんたちと仲を深め、競い、青春ドラマのような日々を過ごすことはできたわ。けれど、それだけじゃ足りないのよ! 決定的なものが……!!」
「俺からすれば、充分青春を謳歌できてたと思うけど……」
「いいえっ! いい? トレーナーさん。青春は友情、ライバル、挫折、勝利……! けれど、それだけじゃないわ。青春において最も重要で、最もエキサイティングな要素、そう! それこそは――!!」

「恋愛よっ!!」

「………………」
……まだ、懲りていなかったのか。思わず、そう漏らす。

「懲りてないって何よ、こっちは真剣なのよ?」
「いや、散々やろうとして失敗してるじゃないか」
BNWの面々に恋バナを仕掛けては失敗し、あの温泉旅行の夜にも恋バナを仕掛けてやっぱり聞かないと取り止めて。
「そうね。けれど、それは恋バナが失敗したに過ぎないわ。そもそも、私は青春を楽しみたい、追体験をしたい層に突き刺さることをやりたいのよ。――恋をして、やきもきして、失敗して、上手くいって。見る人が思わずドキドキするような青春ラブコメドラマ……! それを会得しないで、体験しないで、何が青春よっ!」
226/02/21(土)20:16:35No.1404182798+
……ふむ。言いたいことは理解できる。
確かに、青春をプロデュースするならば恋愛要素を避けるのは得策では無い。しかし、ならばどうするのか。今から恋をしようとでも言うのだろうか?
「いいえ、あくまでも私が欲しいのは恋愛の疑似体験。青春ラブコメをセルフプロデュースに取り入れられればそれで良いわ。つまり……」
そう一つ言葉を溜めると――。

「ロイスちゃん告白大作戦よ!!」
ロイスアンドロイスはこちらをビシッと指差しそう打ち出すのであった。

――――
『卒業式……別れの春。3年間の学生生活を終えて、上級生は新たなステージへと飛び立つ』
「……この学校とも、今日でお別れか」
卒業証書をグッと握り、桜に彩られた校舎を見上げる。

「……っ。ぁ、どうしよう、勇気が……でもでもっ、ダメよロイスっ。このチャンスを逃したら、もう二度と先輩とは……!」
『――離れたところで、はやる心臓を抑えながら先輩を見つめる少女が1人。恋する後輩、ロイスアンドロイス。彼女は、部活の先輩で憧れの人に恋い焦がれる乙女。卒業式という最後のチャンス、彼女は悩みながらも、それでも……と、一歩を踏み出す』
326/02/21(土)20:19:05No.1404183875+
「――ぁ、あのっ。先輩……っ!」
「……うん? あ、ロイスじゃないか。どうしたんだ?」「えっ、えっと……! そ、その……」
もじもじと顔を赤く染めるロイス。何か用があるようだが……。

「その、先輩……今日で、卒業……ですよね」
「ああ、そうだな。君とも、お別れになっちゃうな」
「っ……! は、はい……。先輩には、とってもお世話になりました。いつも私のこと、見てくれて……」

「けれど多分、私だけじゃないよね。私からしたら、先輩はたった1人の特別だけど、先輩からしたら、私は沢山いる後輩の1人で」
俯いて、ロイスはそう零す。そんなことは、そう言おうとしたけれど、その言葉は彼女の瞳に遮られて――。

「でもっ……! 私、それじゃイヤなんですっ……! 私、貴方の特別になりたい……このままお別れなんて、イヤっ……! だからっ――」
目を潤わせ、けれども意を決して、彼女は言う。
「先輩の第2ボタンっ……私に、くださいっ!」
その言葉に、胸が貫かれる。大事な後輩、ロイスアンドロイス。そんな彼女の本当の気持ち。
426/02/21(土)20:21:51No.1404185108+
「……それって、そういうこと、なのか……?」「……っ」
こく、とロイスは顔を朱に染め頷く。そうしてそのまま、俯いてしまう。

「…………」「…………っ」
沈黙――。一瞬かもしれない、けれど永遠にも感じるその時間。その沈黙を破ったのは、一陣の風だった。
揺れ落ちた桜の花びらが舞って、そうして心は動き出す。

「……ロイス」
制服の第2ボタンをぎゅっと掴み、そうして千切る。それは、俺の心の表れ。彼女の想いを受けて動いた心を込めて、俺はロイスの手を取りその手のひらにボタンを握らせる。

「……嬉しいよ、ロイス。君の想いに、応えたい」「っ……先輩っ……!」
第2ボタンを手渡しそう告げると、彼女は涙を溢れさせ、パァっと笑顔の花を咲かせて――。

「俺の第2ボタン、受け取ってくれるか……?」「っ……はいっ、……はいっ!」
そうして、俺とロイスは桜舞う校舎の横で結ばれるのであった……。
526/02/21(土)20:24:08No.1404186074+
――――
「――という感じで、どうかしら?」
「……うん、まあ悪くは無いと思う」
小道具を置き、ロイスにそう返す。

「うんうん、卒業式に意を決して第2ボタンを貰いにいく後輩ロイスちゃんは好感触ね……!」
迫真の演技を終えて、ふうと息をつく。
『ロイスちゃん告白大作戦』と銘打って行われた一連の寸劇。青春恋愛ドラマの疑似体験、その為に俺とロイスは様々なシチュエーションで告白シーンを演じることになった。

「……どうだ、セルフプロデュースには役立ちそうか?」
「ふふっそうね! 私の中には無かったものが、築き上げられていく実感があるわ。やっぱり想いをぶつける相手がいると違うわね!」
つやつやと満足げに笑うロイス。……正直気恥ずかしさはかなりあるが、これが彼女のセルフプロデュースの役に立つというのなら、本気でやるしかあるまい。

「さあさあ、次はトレーナーさんの番よ!」「……え? 俺の番?」
突然そう振られ思わず聞き返す。俺の番も何も、ずっと彼女に与えられた役を演じ続けて来た訳だが……。
626/02/21(土)20:26:27No.1404187181+
「ふふっ、さっきまではずっと私が告白する側だったじゃない?」
「……まさか、今度は俺が告白する番ってことか?」
「だって、告白する側ばかりやっても偏るじゃない。真に青春恋愛を知るには、告白される側も体験してこそでしょう?」
「うっ、それはそうだけど……」

俺がロイスに告白する番と言われ、思わずたじろぐ。どうにかこうにか、彼女から告白されるのにも慣れてきたというのに……!
けれど、ロイスはこちらの苦労など気にも留めず、さあさあと芝居の準備をし始めてしまう。

「さあトレーナーさん、ささっと始めましょう! まずは『高嶺の花になった幼馴染に追いついて伝説の木の下で告白するシチュエーション』よ!」
そうして、俺は彼女に促されるまま羞恥心と戦いながらロイスへの告白を用意するのであった――。

――――――
「さて、次に行きましょう。流石に、今日はこれでラストかしら?」
日は傾き。赤く染まる空。
あれから何度も何度も、俺とロイスは様々なシチュエーションで告白をされ告白をしてきた。
726/02/21(土)20:28:43No.1404188152+
数をこなしただけあって、青春恋愛ドラマについての沢山のフィードバックがロイスに蓄積されたことだろう。
「ああ、次はどんなシチュエーションをやるんだ?」
最早、ここまで来れば羞恥心など置いて行かれてしまった。俺はロイスの疑似恋愛体験を彩る舞台装置である。

「えっと……『普段トンチキなことばかりする女友達に渋々付き合っているが、実は内心こいつの可愛さを知ってるのは俺だけだ……と思ってるシチュ』ね」
「そう来たか……じゃあまずは台本を読まないとな……」
彼女から用意された台本を開き、背景設定とセリフを読み込み始める。

……ふむ、なるほど。
色んなことに果敢に挑戦する行動力の塊みたいな女友達に付き合わされる役か……。基本的にロイス側が○○するわよ! 的な感じでこちらを巻き込んできて、色々やらされるという流れらしい。
これは苦労をしてそうな人物だな……。

というか、なんだかこの人物設定、どこか既視感を感じるような……?

「……なんか、今の俺たちみたいだなこのシチュ」「……え?」
826/02/21(土)20:31:00No.1404188975+
ふと、そう思った。行動力の化身でこちらを巻き込んできて、色々なことに付き合わされる。この台本の中の人物と彼女に対するスタンスは多少違うものの……まるでこのシチュエーションで登場する女友達はロイスみたいで、だとしたらこの巻き込まれる男友達はさながら俺そのものだ。

「……言われてみたら、そ、そうね……?」
必ずしも毎度ロイスの行動に巻き込まれている訳では無いが、今もこうしているように、彼女のセルフプロデュースに付き合うことは日常茶飯事だ。

「じゃ、じゃあセリフの読み合わせしていくわね……?」「ああ」
どこか親近感を感じながら、台本を声に出して読んでいく。

『さあ、早く行きましょ!』
『……やれやれ』

『(満点の笑顔を振りまいて俺の手を引っ張るロイス。……はぁ、と溜め息が出るが、しかし――その眩しい笑顔を向けられると、俺の心はどうにもドキりと高鳴ってしまって)』

『っ……ど、どうしたの?』
『(……普段はトンチキなことばかりやって、俺のことを巻き込んできて。皆からは大変だなと言われるけれど……それでも、なんだかんだで苦に思ったことが無いのは、きっと――)』
926/02/21(土)20:33:19No.1404189919+
『……いや、なんでもない』
『へ、変なのっ……///』

『(……ああ、アイツの可愛さを、良さを知ってるのは、俺だけ――)』
『〜〜〜っ……!!』

「――ちょっ、ちょっと! ストップ、ストップっ!!」「……うん……? どうしたんだ?」
まだ読み合わせの途中だと言うのに、ロイスは声を荒げて中断してしまう。
演技が若干乱れていたが、何か問題があったのだろうか? そう思い彼女を見ると――。

「……っ……///」
何故か、今日一番に顔を赤く染めて、口元を隠していた。
「ど、どうしたんだロイス……!?」
「い、いや……貴方が、ヘンなこと言うから……っ」
……? ヘンなこと、とはいったいなんの事だろうか。
1026/02/21(土)20:35:31No.1404190767+
「っ、このシチュエーションが私たちに似てるとか……っ、言うから、へ、ヘンに意識しちゃうのよっ!」
「いや、でも……これ用意したのロイスだろ? 俺はただ君が用意した台本を読んでいるだけで……」
この台本の中の人物はあくまで、シチュエーションに合わせて作り出された架空の人物であり。
セリフや心の声も、あくまでそういうシチュエーションというだけで……。

「〜〜っ! わ、分かってるわよっそれくらい! で、でも……っ、意識しちゃうものは意識しちゃうのよっ!」
「いや、意識するって言ったって、もう今更じゃないか……?」

「とにかく、もうおしまいにしましょうっ! ここから先の展開を貴方に読み上げられた日には……ぅ〜〜っ! ……はいっ、おしまい! もう充分だからっ!」
「えっ、ちょっ」
1126/02/21(土)20:37:22No.1404191464+
今書きながら投下してんの?
1226/02/21(土)20:37:49No.1404191620+
バン、とロイスアンドロイスは立ち上がる。そうして、俺の台本をかっさらって行って、彼女は逃げるように走り去ってしまった……。

1人、夕焼けの中に取り残され。俺は呆然と遠くなる彼女の背を眺めていた。……そうして、後からじわじわと気になってくる。

「…………この後の展開って、いったいどんなものだったんだろう」
台本を取り上げられてしまった以上、彼女が言及した『ここから先の展開』とやらを知る術を失くしてしまって。
どこにあるのかいまいちよく分からない彼女の羞恥心と、知る術の無い続きとに頭の中を支配されながら、俺は渋々1人帰路につくのであった。
1326/02/21(土)20:38:47No.1404191977そうだねx1
スレッドを立てた人によって削除されました
1426/02/21(土)20:39:23No.1404192223+
おわり
ロイスのトレーナーも意外と演技派
1526/02/21(土)20:41:56No.1404193220+
令和のこの時代に赤面表現で///使ってるのまだいたんだ……
1626/02/21(土)20:52:47No.1404197232+


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