身体が軋む。声が漏れる。誰も聞くものがいないのだけが救いだった。 足元の、いつ開けたかも覚えていない生温いペットボトルの中の水を、飲む。 一気に広がった鉄の味、思わずむせ返りそうになるのを無理やり押し留めると、 鼻の奥にどっと押し寄せたその臭いに、結局、含んだほとんどを吐き出してしまう。 かつん、と軽い音がコンクリートの壁に跳ねた。白い残像が視線の端から消えようとする。 それを指でつまむと――鏡の中に見慣れた、我が愛しの糸切り歯がそこにあった。 痛みと共に、その理由が頭の中に蘇る――咄嗟に名前を呼んだのは正解…だった。 ただこちらの答えを返す前に、五人のうちの誰かの膝が顔面にめり込んで、 気が付けば、ここの殺風景な部屋の中に、荷物ごと乱暴に放り込まれていた。 どのぐらい気を失っていたのか――固まりきって悲鳴を上げる全身の筋肉と、骨。 最初のうちは、起きては気絶し、誰かに起こされては気絶し、起きようとしては気絶した。 足元の潰れた残骸は、そんな繰り返しの中で飲まされたか、飲んだかしたものの成れの果てだ。 携帯を探す――顔面はこうならなくてよかった。電源も入らない。 結論から言えば、俺の扱いは「保留」。彼女たちの裏の顔を見てしまったものは、 容赦なく始末されるのが決まりだそうだが、流石にファンを殺すのは気が引けたのか、 “誰”かを聞き出すまでの話なのか――身体が動かない分、頭だけが、回る。 床に転がされていると、地鳴りのような重低音がずうずうと底を這っているのを肌で感じる。 自分がどこにいるのか――どうしないといけないのか――何ができるのか――云々。 地鳴りが止んでしばらくすると、音は、細く四角い通路をひっそりと降りてくる足音に変わる。 それが誰のものであれ、俺にとって碌な結果をもたらさないことは確かだった。 硬い音を立てて重い扉が開く――放置していた犬の様子を見に来た気軽さで。 俺に声を掛けてきたのは、あの中の――