「コイツ、ドウスル」 「ウチらのルールじゃ、始末っしょ?」 「ロタリーの時はスカウトしたぞ」 「このコ男だしねー、ロタっち、先輩的には?」 「えっえっ…わたくしに振られても…」 口調だけ見れば、他愛ないガールズトーク。今にでも、学校の文句でもいいそうなぐらいの。 だが誰の目も笑っていない。瞳だけが別の生き物のようにぎらりと、こちらを睨んでいる。 手に手に輝く鈍い光、血の滴る赤い鉄。すれ違っただけの柄の悪い数人が、 今では同じ数の赤いシミになって裏路地の地面と床と――覆い被さるトタンに散っていた。 内の一人が、手元の鋭い大きなトゲのようなものをくるん、とひっくり返して握り直す。 建物の隙間から差し込む幽かなネオンライトの下でさえ、その威圧感は相当なものだ。 喉に先端が当てられる――いい匂い。血にまみれた透明なアウターの内側の、 女の子の身体の線がよく見える。現実逃避にしては、あまりに情けない。 近道を抜けようと少し横に入っただけで、死んでしまうのか――と、足元がふらつき始める。 針をあてがってきている青い髪の一人と、他の四人はまたきゃいきゃいと騒ぎながら、 俺のことをどうするか決めようとしているみたいだった――そして誰も、視線を切らない。 現実味がない。漏れ聞こえてきていた路地の外の音が、透明でぶ厚い壁に隔てられたようにも。 頭の中をぐるぐると時間が巻き戻る。物凄い速度で、生まれた頃からの―― ――気付いてみれば目の前にいるのは、先週、サークルの仲間に連れられて行った酒場、 そこでステージにいたグループに違いない。誰が誰かは覚えていないが、一か八か―― 「――君たち…えーっと、“キラーチューン”のメンバーだよね?俺、大ファンで…」 「「「「「誰の?」」」」」