25/09/18(木)22:38:55No.1354536408 「必ず貴方を無事に脱出させてみせます!」 あなたは初めて無力を憎んだ 不慮の事故によって『キスしなければ出られない部屋』に入り込んでしまったあなたとネーサ・マオであったが マオは一度もキスの提案をせず、部屋から出る方法を模索している 当然だ。マオにとってあなたは守るべき対象だ その尊厳は一切侵されざるべきと考えているから、必死になって工夫を重ねている 対等ではない事がひどく悔しくて、あなたは歯噛みする 格が違えば男ですらない。邪魔にならないよう、お客様らしく縮こまる 「はあっ!やった、開きましたよ!さあ脱出しましょう!」 力が欲しかった この人に男として見られたいと、強く思った 25/09/18(木)23:04:31No.1354545585 「あ、あんな部屋もありましたっけね!」 屈辱、反抗心は人を劇的に変える。あなたは強くなり勤勉になった 上位冒険者の堅苦しい業務にも耐えて、ごく限られたS級冒険者であるネーサ・マオの足元まで辿り着いた ランクが近付く程に共闘する機会も得られ、実力と人となりを再評価された瞬間の達成感は言葉にならなかった あなたはマオにとってお客様ではなくなった。同じ視点で世界を見る相手になれた その上で。今、偶然にも『キスしなければ出られない部屋』の側にいる 「危険ですから!入らない方が良いでしょう!さあ行きましょう!さあさあ!」 少なくとも、キスを検討する相手として考えられているというのは 弾けてしまいそうな嬉しさが、思考を埋め尽くしてしまった ずんずんと先を行くマオの耳も、あなたと同じように赤く染まっているのが見えていて 居ても立っても居られず、あなたはガッツポーズした 25/09/26(金)22:37:40No.1357097748 「いや…でも…やっぱり待って!!」 鍛錬のペア探しにも苦労する。マオは冒険者の最上位であり、あなたもまた同じ視座に辿り着いた 同等な相手が手近にいるのだから、自然鍛錬の相手として選ぶ事になる。だがそこでマオが渋った 今ではあなたにもわかる。マオにとって冒険は人生を費やす価値があり、鍛錬はそのために血肉を育む行い そこに異性を…守るべき相手でも住む世界の違う存在でもない、目線の合う相手を混ぜると言うのは 自らの中に男を取り込むが如き意味を持つ。動揺する気持ちをあなたは良く認識していて、だからこそ申し出ている 冒険に、マオの世界に加わりたい。だからあなたは一歩踏み込む。やろう、と 「う、うぁ…………あ、ぇ、う……わ、わかった…やる…」 赤面し、視線を彷徨わせ、小さく身体を丸める様のなんと愛らしい事か!そんな反応を引き出せたばかりか、了承を得られた事にあなたは歓喜し…直後襲い来る攻撃を躱す 流石はマオと感嘆し、だから好きなのだと胸を熱くする。羞恥はそのまま闘争へ機能する彼女の一部になり、また彼女を自分の一部にするため、あなたは油断なく得物を構えた… 25/09/27(土)00:36:18No.1357138225 大怨魔霊マケフィ・ロウィンの討伐こそは、ネーサ・マオ最大の功績であったが その時からマオは知らず呪いに侵されていた。それこそは恋愛非成就 「こ、おっ、ん、のぉぉ~っ!!」 あなたとマオの精神的距離が縮まる内に、物理的な斥力となってあなたとマオの間に立ちふさがったのだ 恐ろしく強く、しかもあなたに対しては何やら他の女性へ向けた引力まで発生している。邪魔極まりない障壁 しかし、マオは冒険者の最上位である。そしてあなたも同じ視座に立っている。危険を冒してこそ職名を表すならば 「こんなっ!ものに!まっけっるっかぁ~~~~っ!!!!!」 マオだけならば、届かなかっただろう。あなただけでは、詰めきれなかっただろう。二人の力だから、僅か一時であっても呪いを突き破り得る 反発力によって周囲へ激しい破裂音を立てながら、あなたとマオは抱き合った 「ぐっ……!ぐぐ……っ、う!今日は、じ、10秒……あぁっ!!」 たった10秒の密着で限界を迎え、逆方向へ強烈に弾け飛ぶ 不本意な別れ際、昨日より1秒触れ合いの時間を増やした事をハンドサインで称え合い 支度が済み次第呪いの元凶を必ず断つと誓ったのだった 25/09/28(日)00:26:04No.1357482217 激しい攻防の末、マオはついに呼び捨てられる権利を手にした さん付けを譲らず、模擬戦までもつれこんだあなたであったが、意欲十分のマオには押し切られてしまった 呼びたくない事など無い。ただ恥ずかしく、それも敗れてまで意地を張るべきではない 「ネーサ」 「はい……っ」 敬称も愛称も付けず、名前をそのまま呼ぶ、呼ばれる。それだけで決定的に関係性が変わったと感じる ネーサは口をモゴモゴさせ、視線をあちこちに彷徨わせてから、再びあなたに呼び捨てを要求した 「ネーサ」 「うん!」 呼び捨てられる感覚に慣れてきたのか、二度目のネーサは少し余裕を見せ、頬を赤く染めながらあなたを見つめ返す 三度ねだると、あなたの方が首まで朱に染めて粘るが、繰り返し要求されるとやはり折れて 「……ネーサっ」 「……ん」 耳を澄ませて、あなたが呼ぶ名前の響きを味わうまで成長してみせた これがS級冒険者の力かなどと、場違いな感動を覚えつつ、あなたはひどく照れくさい行為を何度も何度もするハメになった… 25/09/28(日)00:57:07No.1357492443 恋愛にうつつを抜かせば仕事の能率が落ちる。これは最早常識であったが S級冒険者ネーサ・マオはそのような枠に収まる器ではなかった 「最近なんだか一日中楽しくって!」 朗らかに語りながら同行者へ迫る白刃を退け、笑顔のまま敵を蹴倒す 夢見心地の足取りは地を踏み外す事もなく、現実を見ているか怪しい瞳が死角すら見通す 勘は鋭さを増し、剣技の冴えなど以前のネーサ比で三倍はあろうかという鋭さ 彼女は生き甲斐が増える程に強くなる人種であった。恋情を燃やし、同時に冒険への情熱を昂らせ、人生が他の百倍ばかりの速度で充実していく 「あぁ!早く会いたいなぁ!」 歌うように軽やかで、幸せに満ちた声を上げる。地位故の仕事と、冒険者の本分、そこに恋想う相手との時間が加わって、どれかを煩わしく感じても良い所なのに ネーサ・マオは輝いている。幻覚に酔うようなまやかしは彼女に効かないのだから、心の底から満たされている 迂闊に正対すれば目が潰れそうに錯覚する、恋の光が放たれていた 25/09/28(日)21:41:24No.1357816701 一緒に仕事をする時間とは、もうデートなのだった 性能を損なわない程度にワンポイントのアクセサリーを添えて、ネーサはそれはもう浮かれ気分であなたとの冒険に出かける 見れば誰でも分かるし、例え目が見えなくても声色で分かる程にあからさまな恋だった 「さあ、行こ!」 浮き上がってしまいそうなくらい軽いステップを踏んで、ネーサはあなたと共に出発する 待ち受ける未知と危険。そこへ挑む務めに元より不満など無く、だのにあなたを伴って良いのかとさえネーサは思っている 二人きりなのだ。道中好きなだけ話していられるし、見つめ合っていられるし、沈黙を楽しむ事も出来る そして心を結んで冒険に挑む事まで出来てしまう。子供様昼食でさえここまで全盛りになった所は見た覚えがない 会えない時間が幸せで、会える時間が幸せで、一緒にいられるのは特に幸せで ネーサ・マオはほとんど無敵状態なのだった そして危難が訪れると、ネーサとあなたは無言で戦闘態勢に入る 一糸乱れぬ動きが小さな胸をときめかせ、恋に浸りながら以前の三倍の速さで敵を退けたのだった 25/09/28(日)22:39:00No.1357842666 晒した肌を見られていると気付いたのは何時の事だったか あなたの視線が不意に滑ると、二の腕や太腿へ注がれているをの感じ取り、ネーサは赤面した 「…………っ!……っ……!」 しかし、指摘は出来なかった。あなたが向ける邪と言って良い視線に、ネーサは感じるものがあったからだ スカートとニーソックスの間で露わになっている部分を見つめられている。それは 嫌ではないし、むしろ…………ネーサは真剣に、装備の一新を検討した 「いえ、でも……流石にこれは!」 要望を受けた訳でもないのに、肌を晒しすぎれば痴女である ネーサは言うまでもなくサキュバスではない。誰も彼もに見られたい訳ではないのだから、着替え案は取りやめとなった 結果、何も変わらない日が続く あなたの目がついと下へ流れて、胸元から動かなくなると、ネーサは指摘する事も身を庇う事も出来ず 眉をハの字にして、覗かれるに任せる日であった これだと一方的に色欲が溢れているようだが、ネーサもまたあなたの首筋や耳、鎖骨などを隙あらば覗いている そしてあなたに気付かれていないと思っているのだった 25/09/29(月)22:19:22No.1358165216No.1358165216 視線を読む。気配を読み、体捌きを読む。 力の流れを見切り、刃を合わせて、弾き合う中でも意識を向け続ける これはもう、鍛錬と銘打っているだけの■行為に匹敵するのではないかと、ネーサは思っている所だった 「はっ!そこ、えぇい!」 剣を振るい、躱されて。剣を構え、受け止めて あなたがネーサを狙い、ネーサがあなたを狙う。その結実は打破という形になるのだが 力を注ぎ込み、技を尽くす。目の前に立ちはだかる、ただ一人を想い駆ける 同等の相手と打ち合う昂りも、互いに知り尽くしたが故の見切りも まるで裸になって、全てを曝け出してしまっているような錯覚 そこに打ち込みが来て、打ち返して。全身を衝撃が駆け抜けていけば 「…………っ!」 ネーサ・マオは、はしたなくも生唾を飲み込んだ その上で切っ先は速く重く、並び立つため鍛錬を重ねたあなたをして、勝敗の比率は大きくネーサへ傾いていた 上気したネーサの美しさに、あなたが度々目を奪われそうになるせいでもあったが ネーサもあなたを見て、小さな胸を高鳴らせているため、言い訳には使えなかった 25/09/29(月)22:34:24No.1358172804No.1358172804 それこそお姉様の親が許すなら勝手にまとめても何ら問題はないと考えられる 一方的に怪文書を投げてる立場なので俺は権利を放棄しておく なりすましだと思われても困るので簡便に文も添えておく 勝者の権利を行使しても良いとあなたに言われれば、ネーサは喜び小ジャンプを繰り返してしまうのだった 模擬戦に勝っただけの事でそんなにも好きにさせてくれるから、頬は釣り上がり笑みの形で固定されてしまう にこやか極まったS級冒険者は、もう公私共に明らかな親密さの相手を伴い、昼の街に消えていった… 二人して武器防具を眺め、互いを着せ替え人形にして服を買い足し、仲睦まじく食事する所を多数の冒険者に目撃されたという 25/09/30(火)21:57:16No.1358484123No.1358484123 何はともあれマケフィ・ロウィンは滅ぼすべきである ネーサ・マオは大怨魔霊マケフィ・ロウィンを討伐した。その時より今日まで呪われ続けている かつてのネーサは被害者達の嘆きを聞き、討たなければと義務によって戦った だが今、ネーサは個人の怒りに燃えている 呪いの解析が進むにつれ、整った顔は険しく歪み、詳細が明らかになる頃には完全な怒りが浮かんでいた 親密になる程遠ざけようとする働き。心を引き離し、身体を引き離し、まだ抗うならば殺害してでも ネーサが極めて強力な冒険者であるから、無事でいられるだけで ネーサの想い人が一途に想ってくれているから、離れずにいられるだけで 呪いと言えど生かしておけぬ。壮絶な、ネーサを良く知るオトーでさえ見た事の無い激怒を露わにした姿 ネーサが悲しむ事を願わない人がいる。あなたが、あなたと出会う以前から、オトーが、多くの仲間や友人、家族。 親愛を、友愛を、恋愛を。ネーサが繋いできた多くの愛を踏み躙り泥を塗りたくる呪いだ 例え大怨魔霊へ至るまで、怨念を抱えて死んだ某が哀れであっても。既に死して変じた、悪害振りまく者は決して許さない 25/10/01(水)22:44:30No.1358791976No.1358791976 ネーサの誤算は、呪いを掛けた犯人である大怨魔霊マケフィ・ロウィンが復活していた事 一度討伐した相手であり、呪いを残し消滅したと思っていただけに、霊が蘇生(と言って良いのか)を果たした事に驚きがあった そしてもうひとつの誤算が、予期せぬ戦闘と、大悲恋魔霊王と化したマケフィ・ロウィンの強さでさえ より強くなったネーサとあなたのコンビネーションは、打ち破ってしまえた事だ 「以前は大分苦戦した筈なのだけど…」 見下ろす者と見上げる者、決定的な勝敗の形となって、力の差が浮かび上がる ネーサの恋情によるパワーアップは、確かに有効だったが。それでは説明がつかない 説明するならば、ネーサとあなたは呪いに抗い、スキンシップを重ねていた。マケフィの呪いに対して耐性が付いていたのだ 一方的にダメージを軽減するボスのように、マケフィからは見えていただろうか。不幸にさめざめと泣く被害者のような顔をするが、泣きたいのはネーサの方であった 「まあ…直接怒りをぶつけて良いのは好都合ねっ!」 怒りたいのもネーサの方であり、慈悲無き一太刀は今度こそ、完膚なきまでに大悲恋魔霊王を消し飛ばしたのだった 25/10/01(水)23:04:55No.1358798840No.1358798840 「あ……その……」 あなたとネーサの前に、またしても『キスしなければ出られない部屋』が立ちふさがった 誰が用意し、どこから生えてくるのかいまいち分かっていない、かなり迷惑な存在 しかし、今のあなたにとっては。ネーサにとっても 触れ合いを邪魔する呪いは、もう存在しない。専門家に確認してもらい、完全な解呪が成ったと診断書もいただいている あなたがそっと手を伸ばすと、ネーサも手を返して、普段の力具合からは考えられない弱々しい力同士で繋がる 入れば、後戻りは出来ない そこは全く問題無いが、半強制するような部屋でするのはどうなのか。あなたの脳内で思考が加速して 「あの……できれば……誰にも見られないところが、いい、な……」 あなたはネーサを伴い、ゆっくりと部屋の扉を開いた…… …… … 部屋を出てから、用意した誰かが覗いていたのではないかとあなたは思い至ったが。その思考さえもふわふわした気持ちに押し出されていった ネーサとあなたは、互いに相手の唇をチラチラと覗いては、己の唇を指でなぞって 露骨すぎてここまでくると逆に演技ではないかと疑うくらいに、進展したのだった 25/10/02(木)22:17:00No.1359068615No.1359068615 ネーサにとって初めての経験だった 何せ異性を伴い、下着の選択をしようというのだから。何らかの法に抵触していないかと心配になりさえした 試着室の外にはあなたがいるのだ。そして今手に持っているのは、あなたが選んだ下着なのだ 「ふぅ~……っ!ふぅ~……っ!はぁぁ~!」 ネーサは過去のどんな戦いよりも緊張していた。あくまで上のフィット感を確かめるだけであるし、ここであなたに下着姿を曝け出しはしない だが、どうだ。これを一度でも試してしまうというのは。すなわち 「ん゛……っ!はぁ、はぁ……こ、こんなに手こずるなんて…!」 以前はもっと気楽に選んでいたし、オトーに気を使って選ぶべきだと言われていた。無下にしてきたツケが、こんな形で来るなんて 女性の、生まれたままの姿に重なる事で、魅力を引き立てそうなデザインのものを! 「お……………………おまた、せ……」 疲労困憊だった 結局、ネーサは買った。店員が追加で勧めるものも買った 頭を冷やすために軽食を摂ったが、自分の荷物に特別な下着が入っていると考える度に、沸騰してしまった ネーサが赤面するのに合わせて、あなたも顔を真っ赤にさせていた 25/10/02(木)23:51:42No.1359100581No.1359100581 野営の最中の事であった あなたとネーサを引き裂かんとする呪いは、もう存在しない。好きなだけ距離を詰められるし、遠慮なく触る事も出来る 一切の制限を失ったからこそ、逆にあなたもネーサも、ささやかな触れ合いしか出来なくなっていた 「ん……もうちょっと…うう……っ!」 指先を僅かに重ねるだけのスキンシップ。これはこれでネーサの薄い胸の内を大変責め立てる行為ではあったものの 段階を進めたい気持ちがある。ただ野営、冒険の合間であるため、多くは望めない 手を繋ぎたいのだった。あなたも指と指を絡めるだけのイチャイチャから、進展を望んでいた 同じ思いであるのに、遅々として進まないのは。同じだけ好意の熱量を持った男と女であるから 迂闊に踏み込むと、直ちに一線を超えてしまう。最終的に超えるのが目標であっても、拙速すぎる 性欲は当然あって。その前に、二人とも恋愛を噛み締めて、一歩ずつ進みたかった 既に両想いで、割って入られる隙間も無い故の、ある種贅沢とも言えた 「ふ、ぁ……あんまりくすぐらないで……」 その日は五指を延々と絡ませるに留まり、夜番の時が訪れたのだった 25/10/03(金)23:51:16No.1359399057No.1359399057 毎回一人しか参加しない事で知られている、S級会議というものがあった 忙しくて参加出来ない者と、普段会議など頭から抜け落ちてる者に分かれるが、とにかくごく一握りのS級冒険者が、実質持ち回りで会議室を暖めるだけの時間だった 今回はネーサの番であり…今ネーサの隣にはあなたがいる 「紅茶を淹れてみたのだけど、どうかしら」 和やかであった。常の静かで、一人では議決しようも無くただ茶をしばくだけの虚無が ネーサはあなたに茶を振る舞い、議題に関して話し合う事まで出来ている 建設的であり、親密な時間だった 「今回も、やっぱり他には来ないのね…………それって」 密室と、言えなくもなかった ネーサが気付く所にあなたも気付いたが、ここは制した。今回もいつも通りだろうと思った瞬間に、まさかの事態はやってくる 加えて言うと、あなたは万が一の時に、ネーサの特別な姿を見られるのが嫌だった 「そう、ね……帰ってからで、良いわよね」 会議は、結局2名では議決出来ないため、議題に所感を添える程度に留め ネーサとあなたは、今や同じくする住まいに帰宅した… 25/10/04(土)21:08:05No.1359657033No.1359657033 ネーサとあなたに引っ越すつもりは無かったが、他国で違う生活を営む自分達を想像するのは楽しかった 「これでも畑仕事も得意なのよ。駆け出しの頃はそういう依頼も取ってたんだから」 あなたは農婦の格好をしたネーサを想像し…美人はどんな格好をしても美人だと思った 所感をそのまま言葉にすれば、ネーサは顔を赤くしてあなたの肩を叩いた 「もうっ!すぐ口説くんだから…私以外にやっちゃダメよ?」 あなたが好きなのはネーサであり、ネーサに夢中でいてもらいたいからあれこれとしている 他の誰かに甘い言葉を囁く予定は無い事が分かると、ネーサは蕩けるように微笑んであなたに抱き着く ここは二人の住まい。誰にも遠慮せず、好きなだけ触れ合っていられる 「ん……当分引っ越しは無理よね…引っ越して、新しい環境に慣れる時間が惜しいわ」 想いが結実し、妨害も退け、やっと抑えてた感情を好きなだけ重ね合えるようになった所である 冒険は好きだが、冒険へ至る手続きひとつ取っても、土地が違えば変わってくるものだろう ネーサとあなたは、頬を擦り付け合いながら、妄想の域を出ない他国生活ごっこに耽った… 25/10/05(日)22:27:56No.1360071368No.1360071368 冒険者ギルド広報誌『Bo's』(ぼうず)の表紙を飾る事になった まずツーショットの写真を取り、それから肖像画を描くという流れ 表紙には肖像画が用いられ、写真の方は有償応募者の中から抽選で届くという、中々いやらしい商売であった 「こんなにくっついて、良いのかしら…」 口ぶりとは裏腹に、あなたへ小さな胸を押し付けるネーサは、常に上機嫌だ あなたもネーサの腰を抱く形で密着出来て、大変気分が良かった。はや一時間は寄り添っている気がするが、全く苦にならなかった 次号のテーマは冒険者カップル大特集。ネーサとあなたのインタビューも掲載される予定 二人の関係は特に誤魔化そうとしていない。見れば誰からも明らかだった 「私達の話が、誰かの関係を進展させられたら、それは良い事よね」 時々身動ぎと称してあなたに向き直り、花々も恥じらうような美しい笑みを浮かべるネーサ 脳まで焼けてしまいそうな愛しさに、しかしあなたは踏み留まって、微笑みを返す その甘い空気と言ったら、画家の方がゲッソリするほどであった 25/10/05(日)23:40:12No.1360099327No.1360099327 いよいよ二人の交際が広まると、仲をからかうような輩も現れる それまで恋愛とは無縁だったネーサ・マオの事である、男避けに無理をさせているのではないかと 日頃の二人を見ていれば、言ってる側も無理があると思っているが、過去に基づいた差しやすい話だった だが 「そんな、違う!違うのよ…」 結構ネーサが真に受けたため、からかおうとした側の顔色が悪くなった 想い人を風除け代わりに使っているなどと、塵ほども考えた事の無かったネーサ。だがもし今の話で、あなたが気にしてしまったら 空気が深刻さを帯びて、オトーがそっとやらかし者の背後を取った頃 あなたが 「んっ……むぅ、ん、ん……んく……っ」 濃密だった。濃厚だった。そして長行だった 互いに好意を抱いていなければ、とても出来ない情熱的な粘膜接触だった あのネーサ・マオが、進んで反撃している驚きの光景だった 掛かった銀の橋が切れると、必要な分は見せたとばかりに、あなたは惚けたネーサを伴って去っていった ギャラリーの止まっていた呼吸が戻り、皆一様に顔を赤く染めていた…… 25/10/07(火)00:15:25No.1360407240No.1360407240 縋り付いているのはどちらなのか あなたとネーサは寝台の上で身体を寄せ合い、腕を巻き付けてひとつの生き物のようになっている 元々は、あなたの一方通行から始まった。異性として見られる事のない悔しさが発端だった 気付けば、目で追う相手になっていた。ネーサにとって特別意識する人に変わっていた 強く、強く、腕の力を込める。S級冒険者だからと言って、常人と抱擁出来ない訳ではない。しかし、心を剥き出しにして抱き着くには、対等な相手が必要だ ぐぐ、と、身体の内側で筋肉の悲鳴が聞こえる。だがそれだけ。あなたはネーサの密着を受け止め、ネーサもあなたの掻き抱く力を受け入れている 互いの吐息の音だけに耳を澄ます どちらが、必要としているのか。どちらが、欠けたら耐えられないのか 片方だけが、過度に意識している頃はあった。けれど、今はもう 離したくない。いつでも触れ合っていたい。あなたもネーサも同じ気持ちで、執着して、縋り付いていて 「寝るまで、このままでいて…」 そうして灯りが消され、夜闇の中でさえ見つめ合えるくらいに、距離を無くした 25/10/07(火)22:35:27No.1360671837No.1360671837 脂の跳ねる音で目が覚めると、朝食の用意が進んでいた ベーコンとガルガド卵の目玉焼きを主菜とし、パンにスープ、サラダも添えて ありふれた朝食だった パンが籠にこんもりと積まれ、スープとサラダは丼になみなみと。焼けた目玉も10はあろうかというボリュームでなければ S級冒険者の身体を支えるには、もう少し盛っても良いくらいである 「おはよ……美味しそうな匂いね」 あなたの肩に手を添えて、ネーサが台所を覗き込む エプロンを身に付けたあなたの後ろ姿、それから横顔に、朝から眼福だと思いながら あなたの手がネーサの寝癖を撫でて、ネーサの指はあなたの首筋をくすぐる 寝覚めのスキンシップに及びながらも、あなたの意識が焼け具合を逃す事はない サッと火から引き上げ、ベーコンの使用量も半端ではない朝食が完成する 冷めない内に、つまり料理から熱が引かない間であれば、糧を無駄にしている事にはならず あなたとネーサは抱き合い、額と鼻を擦り付けて互いの朝の匂いを胸いっぱいに吸い込んでから、それぞれの席についた 二人の一日が始まる… 25/10/08(水)21:23:32No.1360943999 一人には限度がある。一人の確認は必ず見落としを生む だからあなたとネーサは、冒険の荷物を揃えた後、互いの所持品を確認し合うのだ 地図、コンパス、フックロープに、防水具。持てる限り持ちたいが、旅の負担になっては困る 取捨選択の成果を目視し、指差し確認もし、まとめ終えると時間が空く 「確認、おわっちゃったわね…んっ」 ネーサはあなたの胸に飛び込み、あなたはネーサを抱き締める 暇があって、他人の目が無いならば、ボディチェックの時間だ 見えない所に傷でもあったら大変、という口実に基づいて、身体のあちこちを触っていく ネーサの、S級冒険者の名に恥じない力を持ちながら、柔らかく吸い付いてくる肌を あなたの、ネーサに追いつくため磨き上げた、固く張り詰めて熱を帯びた身体を 「あ……もう、そこは触らなくて良いわよ……ふぁ……」 ダブルチェックを欠かしてはならない あなたとネーサは、荷物点検よりも念入りに、時間をかけた 25/10/09(木)22:26:14No.1361261508No.1361261508 贔屓にしている宿というものがある 腰を下ろした拠点とは別に、冒険の最中頼りにする所。後で埋め合わせをすれば、少しは無理を聞いてくれるような馴染みの店 S級に至るまで冒険を重ねたネーサには、そういう宿がいくつかあって 「一部屋で、いいわ…」 耳まで真っ赤になったネーサを見れば、宿の女将も真っ赤になった 恥ずかしいので、部屋を別々に取っても良かったのだが。ネーサもあなたも夜は一緒にいたかった 関係性を隠してもいないのだから、恥は恥に当たらない。そう自らを鼓舞して、ネーサは若干震えた足取りで、あなたを部屋に連れ込む 想像の余地は無限にあった。あの男の影が見えなかったネーサ・マオが、いかにも親密気に男と一晩を共にするなどと! あの表情!あの態度!あの息遣い!間違いなくそういう事をするのだと!宿の一階は蜂の巣をつついたような騒ぎになった 「もう…好き勝手に言って…」 防音確かな一室さえ貫く賑わいが、ますますネーサを恥ずかしくする こんな目に遭ってさえ、同じく真っ赤になったあなたが寄り添う幸せと引き換えなら、悪くないとネーサは思うのだった そして、互いの声しか聞こえなくなった 25/10/10(金)00:17:46No.1361297333No.1361297333 S級冒険者とは、一種の抑止力である 強い者が睨みを利かせる事で、悪事に手を染める一歩を萎縮させるし、大々的な悪行も踏み留まらせる では、そんなS級冒険者が色ボケしたという噂が流れたら 「本気で隙が出来たと思ったのかしら」 こうなる。ネーサの監視が緩んだと思い込み、サカエトルに潜む悪党の内いくつかは行動を起こした そしてたちまちに首根っこを抑えられていた。ネーサ・マオは色ボケてなどいない、恋情が燃える程に冒険欲も使命感も唸りを上げている 加えてあなたがいる。ネーサと同じ視座に立つため鍛え上げた存在が、同じくして悪の芽を摘み取りに走るのだから、効率は倍で済まない 元々A級のオトーを連れて活動していたのに、S級が加わるという事は、悪漢悪女にとって破滅的効率をもたらす 「お姉様を侮るなんて、とんでもない不敬者!」 「いいのよ、オトー。後は牢屋で絞ってもらうから」 S級冒険者の輝きは健在であった。むしろ輝きは増していた それはそれとして、オトーはネーサとあなたがこっそりと手を触れ合わせたり、目線を絡ませたりするのを、横目で捉えていた 色ボケという評価自体は、間違いとも言えなかった 25/10/10(金)00:17:46No.1361297333No.1361297333 S級冒険者とは、一種の抑止力である 強い者が睨みを利かせる事で、悪事に手を染める一歩を萎縮させるし、大々的な悪行も踏み留まらせる では、そんなS級冒険者が色ボケしたという噂が流れたら 「本気で隙が出来たと思ったのかしら」 こうなる。ネーサの監視が緩んだと思い込み、サカエトルに潜む悪党の内いくつかは行動を起こした そしてたちまちに首根っこを抑えられていた。ネーサ・マオは色ボケてなどいない、恋情が燃える程に冒険欲も使命感も唸りを上げている 加えてあなたがいる。ネーサと同じ視座に立つため鍛え上げた存在が、同じくして悪の芽を摘み取りに走るのだから、効率は倍で済まない 元々A級のオトーを連れて活動していたのに、S級が加わるという事は、悪漢悪女にとって破滅的効率をもたらす 「お姉様を侮るなんて、とんでもない不敬者!」 「いいのよ、オトー。後は牢屋で絞ってもらうから」 S級冒険者の輝きは健在であった。むしろ輝きは増していた それはそれとして、オトーはネーサとあなたがこっそりと手を触れ合わせたり、目線を絡ませたりするのを、横目で捉えていた 色ボケという評価自体は、間違いとも言えなかった 25/10/10(金)21:02:38No.1361519564 冒険者に定休日は無い 依頼を取る受け身の型でも、未知を求める攻めの型でも、休祝日を勘定に入れる事はまず無い 依頼などむしろ、一般に休日の時ほど求められるものだ 故にそう、華の金曜日などという概念は存在しない 「かんぱーいっ!」 仕事終わりがそのままハレの日となるのだ あなたとネーサは、同じ卓につき同じ酒を飲み、同じ肴をやって楽しんでいた 一つの冒険に片が付き、ご機嫌な様子で飲み食いをしていた 他と違う点があるとすれば、あなたとネーサは対面ではなく、肩を並べて寄り添って飲んでいる事か 「こらぁ…あんまり触っちゃだめ…」 などと言いつつ、あのネーサ・マオが女の顔をして男に触っている それはもうあちこちに触っている。合意が無ければセクハラ扱いされそうなくらい触っているのだ とんでもない光景であり、恐れ知らずの冒険者達をして、様々な感情を生唾と共に飲み込んだ なんとなく、これ後日追求したら死ぬんだろうなと、一同思ったのだった 「これおいし…はぁい、あーんっ」 25/10/11(土)22:58:57No.1361895005No.1361895005 >Kこれから >Oお姉様 >Cチャイナコス 「とある地域の近日の状況について調査を求む、なお訪問時は現地住民との親和性を考慮し専用の衣服を支給する。」 久々に受けた潜入調査の仕事だが、宿に戻り支給された衣服を改めたとき、ネーサは顔色を失った。 東方地域で使われる屋外活動用の衣服を、同じ地域に伝わる魔物に見えるよう装飾した衣装と聞いていたが、 一枚ものの布しか入っておらず下半身に履くものがなかったのだ。 そしておそらく下半身を覆うであろう布の部分が前後に分かれていて、腰から下を覆うには短く見える。 服を胸にあて確信する。これを着たときに派手な動きを取ると尻も腿も露わになる。もしかすると前側すら…。 いつもは涼し気な顔が崩れ赤くなる。安易に仕事を請け負った代償としては重くはないが、この晩ネーサは悩みに悩み寝付けなかった。 25/10/12(日)22:03:35No.1362248086No.1362248086 ネーサはあなたのために早起きして、お弁当を作ったのだった 「口に合えば良いんだけど…」 合わない筈が無い。あなたとネーサは互いに胃袋を掴んでおり、好みの味付けを把握している そんなネーサが期待と不安に包まれている。今のあなたに喜んでもらえるよう最善を尽くしたからだ あなたも今のネーサにとって、最良のパートナーでありたいと願っている。だからいつまで経っても、緊張する瞬間がある あなたは忙しい冒険者が片手で摘める惣菜パンを手に取ると、勢い良く齧りついた 「ど、どうかしら…?」 大変な美味だ。美味しい上に幸せの味がする。あなたのためにネーサが一生懸命工夫してくれた証だった あなたはたちまち一つ平らげると、二つ目にも手を伸ばした。それもあっという間に消えてしまう 「ん…良かった。安心したら私もお腹空いてきちゃった」 あなたはネーサのために早起きして、お弁当を作ったのだった 朝から二人で台所に並び、すぐ隣の相手のために昼食をこしらえるというのは、何だか吹き出してしまうような話だった 「とっても美味しい…!それに、幸せな味がするの…」 穏やかな昼の時間が流れていた 25/10/13(月)22:43:27No.1362603446No.1362603446 隣に恋人がいるだけで、他にはもう何もいらない あなたの肩に頭を預けてくるネーサの体温が心地良く、繋いだ手の柔らかさに心音が早まる いつだって安らいでいるが、興奮もしている。好きという事は、慣れる日が来ない ネーサの髪、ネーサの匂い、ネーサの温もり。何度味わったって胸を締め付けられる。苦しくて切なくて、それなのにほんの少しも離れたくない気持ち あなたの手に力が籠もると、指を絡めていたネーサの手がむずがり、慌てて優しく結び直す 恋人繋ぎで繋がったあなたの手の感触に、ネーサの頬がもう何度目か朱色を深める あなたに体重を預けきり、胸の内を思慕だけで満たす時間が流れる 逞しい腕の作りに、少し汗の混じった男らしい匂い。そっと見上げれば、何度でも恋仲の相手が目に映る ネーサの鼓動が強くなり、幸せで蕩けてしまいそうなのに、力が湧き上がり落ち着かなくもなる 一呼吸ごとに、ネーサとあなたの脈打つ速度が合わさっていく。触れ合う面積は僅かなのに、一つの生き物になっていくような錯覚 あなたが手を引くと、ネーサも進んで身を寄せ、髪と髪を絡ませた 25/10/14(火)21:16:31No.1362882237No.1362882237 寒いからという事で、あなたとネーサは合法的に抱き合っているのだった 二人の家の中であるため、そもそも誰も咎めに来はすまいが。口実があるのはありがたいのだった 「もっと、ぎゅってして……あぁ、寒いのも良いものね…」 ネーサはあなたの腕の中にくるまり、予備のマントを引っ張り出してあなたごと包んでいる こうすると温もりが逃げないし、匂いも出て行きにくい。満足度が跳ね上がる、ちっぽけなシェルターだった もぞもぞと身を捩るネーサは、そっとあなたの首筋に唇を這わせ、粘液の跡を滑らせていく 「ん、むぅ……んは……ぁ。良いわよね……家だし」 あなたはネーサの言葉に、唇で応える。額に、髪に、首筋に口付けて回る 吸い付いた跡が残らない、優しいキスの雨。粘ついたネーサのお返しと共に、男と女の匂いが充満していく 愛おしい。昨日よりずっと。愛おしい。明日はきっともっと マントで二人の身体を完全に覆い隠すと、薄闇の中で盛んに這い回る音を立てる あなたとネーサは本能に従って、身体を押し付けながら何度も愛の告白を交わした 25/10/15(水)22:30:26No.1363206191No.1363206191 あなたはネーサの一挙手一投足に見惚れている。向けられた突きを躱す ネーサはあなたの立ち振舞に魅了されている。前蹴りを半身になって躱す 全神経を恋人に集中しながら、同時に五感が捉える全てを認識出来ている不思議 ネーサを応援するオトーの声、どちらが勝つか賭けている不良冒険者達、声、振動、風 二人の世界に没入しながら、今訓練場で起きている何もかもを感じ取る 一段上の知覚に至ったあなたとネーサの激突は、舞のように華やいで、嵐のように無慈悲 例えば間に何者かが割って入れば、たちまちミンチ肉となって転がるだろう 「あはっ!あはは!」 互いに真剣を用い、当たれば即死の一撃を間断無く振るい続ける 袈裟懸けに胸を引き裂き得る一刀。顔面狙いの高速突き。今力をぶつけ合う相手なら、もっといけると信じて 二人だけの冒険 汗と、かすり傷から血を飛び散らせながら、あなたとネーサは一心不乱に刃を交え続けた 「そぉれっ!」 受け止めて、鍔迫り合い。ネーサの瞳にあなただけが映っている幸せを、あなたは噛み締めた 25/10/16(木)21:25:55No.1363462929No.1363462929 未知の第一踏を果たす。それこそ冒険 そう、人の知らぬ世界に踏み入り、その姿を暴き立てていけば、思いもよらぬ出会いがある 「ふぅぅ~……まさか温泉が湧いてるなんて」 世に名湯秘湯は絶えないが、真に知られざる湯というものは、冒険者しか知らないのかもしれない 湯浴み着に着替えたネーサは肩まで浸かり、旅の疲れを癒やしている 男湯も女湯も無いので、あなたは堂々とネーサの隣で湯に浸り、肌という肌を舐めるように見ている その仕草はまるきり変態だったが、ネーサもかなり大胆に見返してくるので、おあいこだった 「ちょっと、目が血走ってるわよ…私を見てくれるのは、嬉しいけど…」 湯から二の腕を覗かせるネーサのサービスに、あなたは興奮しすぎて体勢を崩す あなたはネーサに並び立つため鍛えた冒険者なので、この程度の不調は乗り越えられるが 立て直すより早くネーサの腕が巻き付き、小さな胸に頭を抱え込まれてしまった 早業であった 「見るなら…もっとしっかり見て欲しいな…」 それからしばらく、水音が立っていた 25/10/17(金)22:01:02No.1363765750No.1363765750 妬けるのだった ネーサはいち冒険者であり、他者とクエストのパーティーを組むのを好む。そこには自由があり、あなたが阻害していいものではない だからすんなりと行かせるのだが、あなたの目はどうしても淀み嫉妬の視線をぶつけずにいられないのだった 男でも女でも、以前から親密なオトーだったとしても、自分が代われたら割って入れたらと考えずにはいられないのだ 苦しく、切ない。身悶えしたい気持ちを押し留めて、あなたもまた冒険者の務めを果たすのだった… 妬けるのだった ネーサとていち冒険者、いかに愛していても実績あるあなたを拘束し続ける権利はない 仲間と冒険するのは好きだし、オトーとの気心知れたやり取りも改めて良いものだと感じる だけど、やはり。特別な人が欠けた寂しさに、自分ではない誰かが共に冒険してるかもと思うと、全身が熱を帯びる 譲りたくない、性別も種族も関係ない、並び立つのはネーサ一人でありたいと考えてしまうのだった 流石に固執しすぎだと、頭を二度三度と振ってから、ネーサはにこやかな表情を取り戻して仲間を率いるのだった… 25/10/18(土)21:56:01No.1364107608 華やいだ装いのネーサを、あなたは独占したい気持ちと見せびらかしたい気持ちの板挟みに遭った サカエトルの祭日という事で、あなたはネーサと共に街へ繰り出す…訳にも行かず、S級冒険者として表に裏に治安維持の務めを果たしたのだが 喧騒が過ぎ、人々の心が平日に戻る頃、あなたとネーサは賑わいを埋め合わせるべく街へ繰り出したのだった 女性らしくも戦闘を意識した普段のネーサとは違う、軽やかで可憐な姿。どの瞬間を切り取ってもそのまま王城に飾れる美麗さだ この美しさ、この愛らしさ、どれだけ褒め称えたって許される。あなたはネーサが果実水で喉を潤すだけでも称賛し、隣を歩けばすかさず愛を囁いた ネーサの頬は常に赤く、大胆に晒した肩から鎖骨周りも朱色に染まっている あなたの一方通行にはさせまいと、たどたどしくも思いを伝え返すが。今日の舌回りの良さはあなたの方が上だった それを見ていた人々は、もう茶化す言葉を投げ込む事さえ出来なかった あまりにも桃色の世界に、彼女さんにサービスだなどと軽口を叩く気も起きず、無言で肉串を五割増しにするのが精一杯だった 25/10/19(日)22:16:03No.1364475932No.1364475932 >ここからはセ部屋や感度3000倍で無理矢理にでもくっついてもらうジーコ式で行かせてもらう! こうした不埒な企みは、時に無関係な者を巻き込み悲惨な結末をもたらす そのためネーサとあなたの巨頭を同時運用して、不審な建築物には抜き打ちテストが行われるのだった 朝起きたら見知らぬ建物が生えていて。あの屋敷の雰囲気が最近ガラリと変わった そうした情報を元に、また足でもって稼いで。魔術的呪術的はたまたあれやこれやの罠と化した家屋へ駆け寄って ネーサとあなたは踏み込んだり…はしない。代わりに壁へ札を一枚貼り付けると 『色ボケ』の一文が! S級パワー同時攻撃によって、スケベトラップハウスは粉砕された。淫獄の巣に変えられた以上、慈悲はかけられない 「全くもう、やるなら個人的にやってもらえないかしら」 この札、『毒ガス』『火災』など様々な探知が出来るが、殆どの場合『ドスケベ』『エロトラップ』『感度3000倍』なのだからネーサも呆れがくる あなた達は少々楽しんだ事もあるとはいえ、基本強要するための空間を仕掛けるなど悪しき仕業なのだから サカエトルならば守れるが。遠い空の先で罠に落ちる人などいない事を願った 25/10/20(月)23:04:13No.1364801532No.1364801532 雑草取り。冒険者に依頼される仕事の中でも、下の下の下に当たるもの。やりたがる者は殆どいない しかし依頼されるという事は、冒険者による解決を望まれているという事。ギルドは受注を待っている いつまでも…いつまでも……それでも誰も受注しに来ないのだから、仕方ないのだった 「よいしょっと…我ながら中々の量じゃないかしら」 S級冒険者がするべき仕事ではない。しかしS級冒険者が率先してやって見せなければならない時がある 先駆する、そしてためらわない。それが冒険者の最上位というもの。ネーサはせっせと一本ずつ雑草を抜き、あなたもまたチマチマと根を掘り起こしていた こうなるともう、他の冒険者もやらない訳にはいかない。何せS級が地道に雑草を抜いているのだから、それを肴に飲んでいるなど、序列の世界では許されない 続々とギルドから駆け出したA級だのB級だのなんだのかんだのが、もう頼まれてもいない辺りまで手当たり次第に雑草を引き抜いていく 「あら…結構楽しくなってきたのに。ねぇ?」 ネーサはそっと呟くとあなたと目を合わせ、小さく吹き出した 25/10/21(火)22:29:57No.1365092730 旅の世界にも四季があったり、四季は無くとも寒暖の差はあったりする サカエトルもまた、緩々と気温を下げていく時期になった。街行く人の装いも重ね着が増え、暖かさを重視していく 冒険者の多くは屈強であるため、寒くなっても耐えられるが。耐えられるだけで耐えたくはないため厚着に変わっていく ネーサもまた、スカートの下にタイツを履くようになったし。肩腋を覆うようになった 「寒くなってきたわね…」 ほうと息を吐く姿さえ絵になる。あなたはネーサの寒気向け装いに魅了され、些細な仕草に目を奪われていた こんなに美しい女性と交際出来ているとは、過去の自分に教えたら目玉を飛び出させて失明してしまいそうだと 「……もう。油断するとすぐじ~っと見てくるんだから」 気付けばネーサの目もあなたを見返していて、なんて事のない道端で甘い雰囲気が漂う あなたは冒険者に手本を示す側でなければならないので、所構わず立ち止まって往来の邪魔をしたりはしない ただ恋人と手を繋いで、見つめ合いながら歩む。その間互いしか見ていないのに、通行人とぶつかったりする事もなく 恋情は感覚力を研ぎ澄ましてくれる 25/10/22(水)22:29:48No.1365389941No.1365389941 S級と言えども節制は心がけなければならない。S級なのだから派手に金を使って見せなければならない どちらも正しい。そこでかつてドカンと買って見せたのが、こちらのマオ宅であった 流石にデカい新居を構えたとあっては、財産の使い道に下世話な口出しもかなわない。まだネーサが恋愛と無縁だった頃の話である そしてこの家には、自前の風呂があった。上位冒険者ともなれば、湯など容易く生成出来るので 「ふぅ……あの時お風呂を作って正解だったなぁ……」 一糸纏わぬ姿で、ネーサは湯に浸かっていた。ネーサが腰掛ける椅子のようにして、あなたも風呂を共にする タオルで髪を纏め上げ、うなじを晒したネーサが、あなたの至近距離にある。心音が早いのは湯のせいばかりではない 温かいものが頻繁に間へ挟まってくるというのに、ネーサの柔肌の感触は信じられないくらい敏感に感じ取れている 「ねぇ。もっと夢中になってくれても、良いんだけど」 ネーサが敢えて身を離すと、透明な液体が二人を遮るが 透明であるために、互いの全てが露わになっていた。家での入浴に、湯浴み着など用いたりはしない 25/10/23(木)01:06:59No.1365434811No.1365434811 >カプはみんな映画館デートでもすればいいのだ 並んで腰掛けるネーサとあなた 照明が落ちると流れで手を繋ぎ楽しいシーンでは顔を見合わせて一緒に破顔し悲しいシーンでは互いの目尻へハンカチを当てて涙を拭う マナー違反はしてないのだが目にした他の客が落ち着かなくなる被害を発生させた 25/10/23(木)21:20:00No.1365654147No.1365654147 ネーサ・マオが美しい事は周知の事実である。であるがため、顔に惚れて冒険者を志す不埒者も少なくないくらいに 一種の商品的価値を持ったネーサの美貌であったが、この度独占状態に陥った 「やだ、もう……これじゃあなた以外には見てもらえないわね…」 なんて事のないフードを被ってしまえば、もう正面以外から顔を覗く事は叶わない そしてネーサの正面、至近距離からあなたが見つめている。フードが落とす影に、二人の表情が隠されている 「変な事思いつくんだから…」 恋人を、自分以外の誰も触れなくしてやったらどうなるか。次は誰からも見えなくしてやる 欲求はエスカレートしていき、留まる所を知らない。あなたの手はフードの中の柔らかな頬に触れ、滑らかなネーサの肌感触を味わっている 一切を自分だけのものにしてしまいたくなる、狂った独占欲。合意の上で好意に基づいていても、好ましいものではなかった 「……そろそろ、私もやりたいようにさせてもらうから」 だが、互いに狂い求め合ってしまえば。少なくとも二人の間では対等である ネーサがどんな顔をしてあなたを手繰り寄せたか。それはあなたにしかわからなかった 25/10/24(金)22:29:25No.1365967680No.1365967680 まやかしでもって人を迷わせ、秘密を守る仕掛けは世界に点在している 余程隠したいのだろうが、この手の術は相手を選ばない。見つけたら解除が望ましいのだった そうして足を踏み入れたネーサは、 『オトー……!あなたよくもっ!』 可愛い妹分を、親の仇のように憎んでは刃を振り下ろし、醜い争いを繰り広げ 『どうして……私だけ誰とも寄り添えないの……!』 涙に暮れて雨に打たれ、どうか救いよあれと神に祈りながら怨嗟を呟き 『全て全て、私と同じになればいいんだわ……っ!』 呪いを手当たり次第に撒き散らし、不幸の再生産を始め、「悪趣味ね」 乱麻は一太刀に絶たれ、まやかしはなごり雪のように散っていく もしかしたらそんな未来もあったかもしれない。我が事のように味わったその光景を、しかしネーサは払い除ける 「だってそれは、ここにいる私じゃないもの」 ボタンをひとつ掛け違えたら。そんな空想は寝物語にするものだ。ネーサ・マオは小揺るぎもしない 過去を振り返り、未来に思いを馳せても、ネーサの立つ所はここなのだから そっと手を重ねてくれる人の温もりを感じて、ネーサは微笑みと共に振り返った 25/10/25(土)21:49:25No.1366290765No.1366290765 ネーサ・マオは猫ではない。気高く、和を尊び、責任感がある しかしあなたの頼みとあらば、猫の真似事をしなくもなかった 「にゃ、にゃお~ん……」 猫耳を冠し、愛らしい鳴き声を上げるネーサの姿に、あなたは息が詰まりそうなくらい魅了された 決して沈黙の時間を流れさせまいと、あなたは肺に残った空気を振り絞って、大変似合っており呼吸が止まりそうだと称賛を贈る ネーサの頬が赤く染まっているのは、羞恥ばかりではなかった 「褒めてもらえると、その、やった甲斐はあったなって感じるわね…」 いじいじと指を動かしながら、視線を彷徨わせ控えめに喜色を表すネーサの、なんと美しい事か ちょっと今日死ぬかもしれないと思いながら、あなたは口をパクパクさせる。酸欠気味だ 感動は時に人を殺す。ネーサが猫に扮するというのは、破滅的愛くるしさである 危険なのであなたが責任を取って封印しなければならない。あなたは己の手で強く胸を打ち、無理矢理呼吸を回復させる そうしてから、美猫を捕まえにかかった 「やだ、ちょっと…もうっ。そんなにこの格好が良かったの、にゃあ?」 捕物には大変時間を費やした 25/10/26(日)21:38:53No.1366650087 S級冒険者とて人の子、時にはSNSで自分の評判を探りたくなる日もある ネーサ 検索。すると出るわ出るわ最新の風評が… 曰く、惚気すぎ。曰く、目の毒。曰く、前より綺麗になった。等…… 「そんなに、かしら…?」 端末をスリープさせると、ネーサはおずおずとあなたへ振り返る あなたから贈る返事としては、そんな事は無い一択だ。触れ合う時間などいくらあっても足りないし、外では見られて恥ずかしい事はそんなにしていない ただし、主観と客観が違う事も認めなければならない。今まで以上に人目のある所では控える必要があるだろう 「そう…そうね…ちょっぴり寂しいわ」 所構わず抱き締めたいし、密着したまま語り合いたい気持ちはあなたにもある そして今は二人の住居の中であるため、辛抱する理由は無い 外では我慢出来るように、今の内たっぷりとスキンシップしてしまおうと、あなたはネーサを捕獲した 「…もっとぎゅってしてくれなきゃ、物足りないの」 あなたとネーサは一塊となり、端末は隅に転がされた この日を境に、人前ではイチャつく頻度が下がったとか 25/10/27(月)22:32:40No.1366969456 あなたはネーサに追いつくべく、急ぎ功績を積み立てた冒険者である そのため人が手を付けたがらない・手を付けられないような依頼にも積極的に飛び付いていった 何だって構わない。とにかくネーサと同じ世界を見るまでは…という訳で 「こんな事もしていたのね…」 あなたは墓地の清掃に勤しんでいた。冒険者にとって身近だが、同時に忌むべき地でもある ついでに言えば、冒険者などと荒い人種に依頼を飛ばすのが、既におかしいのだが。あなたには関係なかった 生えてきた雑草を抜き、墓石に溜まった汚れを落としていく。ひとつひとつ、丹念に ネーサもあなたの手付きを見て覚えると、二人で倍以上の効率を出して、死者の眠る地を清めていく 「敬意を忘れたつもりは、無かったのだけど」 ネーサの気に病む事ではないし、墓に収まった霊達も冒険者に掃除されては気が休まらないだろう あなたはかつて依頼だから務め上げ、今は依頼となる前にこなしている 慰霊の日が近いのに、面が苔まみれではあんまりだ 「そうね…ええ。誰が見ても驚くくらい、綺麗にしてあげましょう」 二人がかりである。作業の音が止むまでに、そう時間はかからなかった 25/10/28(火)21:45:15No.1367275550No.1367275550 釣り竿を垂らしているが、真面目に釣る気は無いのだった あなたはネーサと共に川を眺めている。少し肌寒い風が流れ、木々がざわめく ゆるりと流れる水に糸が踊らされ、陽の光を弾いて一面が輝いている 時間は緩慢に流れる 「ふぁ……のんびりしてるわね……」 ネーサがあくびを噛み殺せない程に、釣り竿は反応を見せず周囲は穏やかな音色で包まれている 冒険はいいものだ。しかしたまには、腰を据えて落ち着くのもいい 糧を得るためでなく、時に身を任せるために釣具を用いる。あなたが先輩冒険者から教わり、先輩もそのまた先輩から受け継いだ知恵だった 何も起こらないまま、あなたとネーサは手を繋ぎ、肩を寄せ合って水面を見つめる 「あっ、かかった!」 平和ボケした魚は見境なく針を飲み込み、ネーサは鋭く竿を合わせる 流石はS級冒険者、力の要点を見誤る事がない。抵抗を許さない振り上げで一気に水上へ引きずり出す 釣果イチ。あなたは釣果ゼロであった 「ふふんっ」 自慢気に鼻を鳴らすと、ネーサは元の位置に戻り再び手を繋ぐのだった 25/10/29(水)21:31:36No.1367577765No.1367577765 『グッとガッツポーズしたら世界の未知が一つ解明された』偉大なるネーサ・マオ叙事詩(著・オトー) 冒険者の中では有名な噂である。あなたもネーサの能力を考えれば、ありえない話ではないと思っている せっかくなので当人に聞いてみると、慌てて両手を振り否定にかかった 「違うのよ!あれは、そう、ポーズを取らないと扉が開かない妙な遺跡で…」 鍵が存在せず、押しても引いても開かない扉。古文によれば、扉の前でポーズを決めると開くのだという 奇妙に思いつつも、ネーサに退却の二文字はなかった。天を睨み拳を突き上げると、それを認証して道が開かれた 以降もポーズ取りを要求され、応じていったのが事の真相なのだった 「あれにはうんざりしたわ…途中からオトーと二人がかりじゃないと出来ないポーズになって」 最終的に遺跡は暴き切ったが、その過程は振り返っても大変なもののようだった ちなみにどういったポーズを取っていたのか 「それは、こう……一緒にやってみる?」 ネーサに手を取られ、姿勢を変えられる。これは中々、人目に晒すのは照れるもののような 抱き合うような体勢の中で、これを当時オトーは経験したのかと、あなたは少し妬いた 25/10/30(木)22:02:47No.1367887763 「お菓子をくれなきゃいたずらするわよ」 つまりはそういう事だった 慰霊の意味を持ちつつも、現世の住民が賑わうための催しとなった祭事において定番の掛け声 あなたはそっと仮装したネーサの手に菓子を握らせた。そしてすかさず定型文を返す 「勿論用意が…あら?確かここに…」 ネーサがあなたのために用意していた菓子袋は、こっそりと持ち出してクローゼットの中にしまってある しかし、ネーサがその程度の仕込みに気付かない筈が無い。つまりはそういう事だった 困ったフリをするネーサへ、肉食の怪物に扮したあなたが迫る 「困ったわね…どんないたずらをされてしまうのかしら…」 半身になって、両手で身体を抱いて襲われまいとしているように見えるネーサ その腕にあなたが触れ、そっと力を込めると、防備は難なく崩壊するのだった 「きゃ…!いたずらじゃ済まないような事、考えてるでしょ」 滑らかな感触の素肌を撫でて、あなたはネーサをベッドまで運んでいく すんなりと転がされ、頬を赤くして期待する恋人目掛け、いたずらが始まるのだった 25/10/31(金)22:19:41No.1368191231 あなたは大量の菓子を保持していた。万に一つもネーサがいたずらされるなど耐えられないからだ 行く先々でネーサ目掛けて定型文が放たれ、自然と菓子は尽きる。そこであなたが割って入り、菓子を配っていく あなたとネーサ、二つの菓子袋。鉄壁の守りであった 筈だった 「トリック・オア・トリート…調べはついてますよお姉様っ!二人揃って手持ちのお菓子が無い事は!」 「オトー!くっ、確かにもうお菓子は…」 子供達をそれとなく誘導してきたのは察していたが、相手が子供であるため邪険に出来なかった オトー、恐ろしい女である。しかしあなたは挫けない。ネーサを庇い立ち塞がる 「どいてください。私はお姉様に用があるんです」 どく必要は無い。勝利を目前にして焦ったか、トリック・オア・トリートの呪文は対象を指定していない。 いたずらされるのはあなたでも構わないのだ 「ふざけた事を!押し通ります!」 絶対に許さない、絶対にだ。あなたは決意と共に地を蹴り、ネーサの妹分と取っ組み合いを始めた 「…………私も混ぜてっ!」 横から飛び込んできたネーサによって、二人まとめて壁に埋まるのだった 25/11/02(日)22:16:57No.1368911519No.1368911519 野営というものは大変危険が付きまとい、複数人が交代で見張りを立てるのが基本である つまり、あなたとネーサは一緒に寝る事が出来ない。仕方がないが寂しいのだった 「そうね…せめて寝るまでの間は、傍にいてくれる?」 ネーサは先に眠るが、まだ眠たくないらしく、あなたの手を取って腕に抱き込む 大変柔らかく、滑らかなネーサの腕に絡み付かれ、あなたは心臓を高鳴らせる 火種が爆ぜて、ぼんやりと二人を照らす。ネーサが頬を朱に染めているのは、あなたの見間違いではない そこから先に進展したいのだが。冒険の最中の事である。あなたは悔しく思いつつも、ネーサのぬくもりを感じる幸せに感謝する所で留める 「あったかい…あぁ、でも寝なくっちゃ…」 ネーサも自制心を働かせようとしている。あなたの肩に頬ずりし、名残惜しそうにしながら、ゆっくり巻き付けた腕を緩めていく 夜は静かで、何も咎めはしない。だからこそ、あなた達は自ら律しなければならない ケアレスミスで今生の別れ、或いは死後の再会など冗談ではない。あなたはネーサの額に口付けると、僅かに身を離した 「んぅ……おやすみなさい…」 25/11/02(日)22:48:03No.1368922969No.1368922969 >俺は趣味で怪文書を集めている者だがネーサ・マオ異常愛怪文書も収集しているから貼らせてもらってもいいかな >もしお姉様怪文書「」が残さずにいてほしいと思うならすぐ消す >fu5835524.txt 以前も言ったが好きにしてくれればいい…お姉様の作者も許可出してたし 騙りだと思われたら困るので文も添えておこう… 67.7kbなのだった。あなたとネーサの物語は随分と容量がかさんでいた 塵も積もれば山となると言い、あなたは塵を積み上げてなんとかネーサの足元に届いたが。まとまって数字化すると大量に感じられた 「私達が何をしてきたか、ハッキリ残るのは恥ずかしいわね…」 羞恥を覚えるような事はしてきた。そこは間違いないのだった 今もネーサがあなたの肩に顎を預け、後ろからモニターを覗き込んでいる。これだって覗かれたらまあまあ恥ずかしい しかしあなたは公開も、収集される事も止めるつもりは無かった 「こうして世に広めたから、私達の関係はあるんだものね」 ネーサはあなたの手を取り、あなたは指を絡め握り返した 25/11/03(月)22:08:31No.1369250320No.1369250320 報告・連絡・相談は冒険者が上に行く程求められる能力であり、S級ともなれば活動をつつがなくギルドに届ける事が出来る しかし活動が広範に渡る者の場合、報告を送ったは良いがまだギルドに届いていないという事はある 「ああもうっ!やられてる!」 ネーサは荒れた。未探索の洞穴を調査に来たが、明らかに人の調査の手が入っていたのだ しかも手口に見覚えがある。恐らくは同じS級冒険者によるもの 依頼化される前の探索となれば早い者勝ち。悔しいが一歩遅れたと認めるしかなかった 「あぁ……あちこちに触った跡がある…ここの足跡…土が多く残ってるわ…きっとメモを取ったのね…あぁぁ…」 戦闘の痕跡、所々火に焼かれた焦げ、足跡に、解体された拠点 あなたとネーサが帰る頃には、詳細な報告書が上がっていると確信させる具合であった 「うぅぅぅ~っ!はぁ……まあ、そういう事もあるわよね…」 ネーサは悔しがり、あなたの胸板をポスポスと叩いた後、そのまま額を擦り付けてきた 他の冒険者に先んじて、ネーサが総ざらいする事もある。今回は間が悪かったのだ あなたはネーサの頭を撫でて、慰めていた 25/11/04(火)21:44:40No.1369536970No.1369536970 A級冒険者のオトーが最も有名であるが、ネーサには取り巻きが多い 継続的なパーティー、アライアンスこそ組まないものの、ネーサも頼りにする事が多い集まりだ そういう冒険者達の輪を突き破って、あなたはネーサの手を取ったのだから、良い目で見られる事はあまりないのだった 「あっ!」 ネーサがあなたの方へ向き直ると、無数の視線が槍のように向けられる だが、それが何だと言うのだ。どれだけの思慕に守られていたって、ネーサと結ばれるのはあなたでありたいと決意したのだ あなたと取り巻き達の凝視の炎が激突し、感情の火炎旋風が巻き起こる 圧力、気迫、一歩を踏み出すあなた。肌を汗が伝い、産毛が逆立つ やがて取り巻き達は道を開け、あなたはタオルで汗を拭いながらネーサの下に歩み寄った 「随分汗をかいてるけど…大丈夫?」 心配はいらない。あなたには覚悟がある。相手の覚悟をねじ伏せ、我を押し通す覚悟が これしきは些事と断言し、あなたはネーサと手を繋いだ …それにしても、流石はネーサが認め、オトーが許した集団である。一斉に気当たりされると、息が詰まるようなパワーがあった 25/11/05(水)22:06:12No.1369831847No.1369831847 スポーツの気持ち良い季節である 肌寒さはそのまま、運動した時に火照った肌を心地良く撫でる風へと変わる あなたとネーサは球を取り出し、公園で一丁遊ぶ事にした 「それっ」 ネーサの放つ球はナッツ状に変形して見える程速かった。あなたは浅く曲げた両腕をバネにして、両手で捕球。手のひらが熱を帯びる 痺れる手を軽く振ってから、あなたは勢いをつけて投げ返す。足指から手指へと、エネルギーを限界まで伝達し、そして球に 直球は空気と衝突しブレ球と化す。不規則な変化をネーサの目は捉え、鮮やかにキャッチ 「ナイスボール!返すわよっ」 激しいやり取り。落ち葉が舞い飛び球と大気の干渉で異音が鳴り響く あなたもネーサも高い身体能力を持っている。本気でスポーツに取り組めば、こういう事になるのだ 次第に籠もる力が上がり、相手に球を取り零させようと、威力も速度も上がっていく あなたの口角が釣り上がり、ネーサの瞳に勝ち気な光が宿る。やるからには勝利を目指す、当然だ それでこそ娯楽として楽しいのだから 「これは受けられるかしら!えいやっ!」 七色に輝く魔球を、あなたは力強くねじ伏せた 25/11/06(木)22:19:38No.1370125503No.1370125503 二人で一つの鍋をつつく、その行いは両名の親密さを表すのだという あなたはそんな話を知らないまま、ネーサと一つの鍋を共有している…肉が、煮え頃だった 「まだよ」 ネーサの手があなたを遮る。いや、しかし。これ以上は食べ頃を逃してしまうように見える あなたはどちらかと言えば鍋奉行的気質を持ち、ネーサもまた鍋の具合を仕切りたがった そっとお玉へ手を伸ばすと、二人の手が重なる。ムーディーな空気は流れない 「まだったらまだよ」 問答の間に機を失している。まだではなく今だ あなたとネーサはいじいじとお玉の取り合いを始め、その間も具材達が煮えていく 日々寒さを増す中で、二人の家の中は暖かい。だが、熱気の意味が変わってきている 「もう頃合いかしらね」 もう、ではない。具材の食べ頃を逃す残酷、許す訳にはいかない。あなたは憤り、素早く二人分を配膳した そしてあなたはネーサ目掛け、肉を突き付ける。これを食べてもらわない事には収まりがつかない 「あ、あ~ん……あふっ、あふ……おいしぃ」 許した 25/11/07(金)23:11:12No.1370446530No.1370446530 今年も悪魔のハトの季節がやってきた。都市部に侵入してきては、老人や子供を食い物にする邪悪な鳥 最優先排除対象として、国をあげて撃墜して回る。冒険者も兵士も、一般市民も石持て追い回すのだ 「今年も随分多いわね…えやぁ!」 S級冒険者であるネーサは、ハトと同じ高度にまで飛び上がるや否や一羽を斬り捨て、死骸を踏み台にして次々と斬り裂いていく あなたは下からネーサを補助しつつ、角度の違う視点でハトの動向を監視、撃ち落として回っている ハトにはハトの都合があるだろう。それが人間の都合に沿わないのであれば、ぶち殺し掛かるより他に無い 落ちる、落ちる、ハトが落ちる。王都に相応しくない血生臭さが広がっていくも止められない 「しっ!やっ!せぇ!」 流星のように鮮やかで、雷のように不規則な軌跡。あなたはネーサの輝きに魅せられながら、更にハトを狙い撃つ ハトを踏み、ハトを追いながら、ネーサは眼下のあなたへチラチラと視線を送っている 二人の戦いはまだ続くが、手の届く限りに被害者が現れる事は無いだろう 25/11/08(土)21:46:57No.1370749241 あなたはネーサの背後から抱き着いた。驚かせられるとは思っていない S級冒険者ネーサが、背後から近寄る気配に気付かない筈は無いからだ。承知の上で、不意打ちのような真似をする 「きゃあ!もう、いたずら好きなんだからぁ」 当然驚いたフリだ。上ずった風を装う声色まで愛らしく、あなたの抱き締める腕に力が籠もる 細い身体の線である。あなたの両腕で、ネーサはすっぽり拘束出来てしまう 背後から艷やかな髪へ鼻を埋めているため、優しい香りがあなたの胸いっぱいに広がっていく 夢見心地とはこういう状態を言うのだろう。好きな女性を閉じ込めて、五感全てを満たす 「いつまで抱き着いてるのかしらっ、と」 鮮やかな体術によって、あなたの拘束は抵抗すら感じられないまま解かれ、逆にネーサから抱擁拘束を掛けられてしまう 全く抵抗出来ない。ネーサの方から密着してくれるので、少しも抗う気持ちが湧いてこない まんまと立場を逆転したネーサの得意気な表情に、あなたは魅了されてしまった 「あら……抵抗しないなら、私が好きにしちゃうわよ」 あなたは寝室に運び込まれ、ネーサの良いようにされた 25/11/09(日)21:57:05No.1371134069No.1371134069 『ネーサ・マオ(パーティードレス)シークレットレア』カードが発売された あなたは勇み買いに走ったのだった。本人と一緒に暮らしているとか、そういう問題ではない ネーサは有名人であるから、多数に行き渡るのはもう諦められる。しかし、あなたがそれを所持していないのは耐えられない 本音を言えば所有者から奪い尽くしてでも独占したい気持ちを抑え込み、あなたは早朝の待機列に並んだ 「朝一ですか、流石ですね」 オトーの姿もあった。あなた同様、購入の予約はしているが。一秒でも早く受け取りたい気持ちは一致していた 寒風が身に染みるし、眠気も噛み殺しきれない。それでもあなたとオトーに後退の二文字はない 「私はこれをどういう気持ちで見ていればいいのかしらね…」 「お姉様、どうか静かに…戦いへ向けて英気を養わなければ」 あなたと一緒に並んでいるネーサは、呆れきったジト目であなたとオトーを眺めている 冷えた空気よりも冷たい視線が突き刺さる。それでも踏み留まるのが覚悟というものだ 全てはネーサを手に入れるために…! 25/11/10(月)21:36:21No.1371423637 かつて大怨魔霊マケフィ・ロウィンによって、結婚率0%に追いやられた悲嘆の都市、フラグオレル あなたは被害当時の様相を、資料以上に知らない。ただ確実に、現在が凄まじく様変わりしている事は分かる ネーサ・マオ像が建っているのだから 「流石に無理…恥ずかしい…っ!」 大きくて、金色なのだった。これは夢でも幻でもなく、フラグオレルを救った偉大な冒険者を称えるために建設されたのだった 流石のあなたもこれにはビビった。何せ都市外縁からでも、大きなネーサの姿が見えるのだ ネーサはS級の冒険者だが、国王でも勇者でもない。どれほどの感謝が篭っていたら、この形に結実するのか 大怨魔霊の被害がいかに大きかったかを伺わせる存在でもあった 「あんまり見ないで…ここまで持ち上げられると、顔から火が出そうなの…」 ネーサが頑としてお忍びスタイルを譲らなかったのも、今では納得出来る 素顔でうろついていたら、たちまち囲まれて胴上げでも始まりそうではないか あなたはフラグオレルを離れるまでの間、じっとネーサを見つめて過ごしたのだった 「それはそれで恥ずかしいわ…やめなくて、いいけど」 25/11/11(火)21:21:09No.1371719894 暑ければ汗を拭うためと称してくっつき、寒ければ温め合うためと言ってくっつくのだが ネーサもあなたも一度くっつくと、離れがたい引力に襲われるのだった 「あぁ……あったかい…とってもいい…」 抱き着いてくるネーサを抱き返し、あなたも恍惚としている。好きな異性と密着するより幸せな事など、そうないのだ どれだけでも溺れていたい。時間が有限でさえなければ…あなたとネーサは帰宅するなり抱き合ったため、腹ペコだ 今日はネーサが手料理を作る事になっているのだが。あなたの腕が離すまいと力を入れてしまう とても幸せな感触を捕まえていて、どうして別れられるものか。しかし腹は鳴る 容赦なく腹が鳴る。あなたの腹もネーサの腹も鳴る。冒険者は身体が資本なのだから 「……いっせーのーせでいきましょ」 あなたとネーサは覚悟を決めると、名残惜しさのあまり額を擦り付け、頬を擦り付けてから、掛け声と共に両手を外へ弾いた ああ!なんて寒々しい世界か!ネーサの感触が失われた寂しさに、あなたはちょっと泣いた 「ううぅ……っ!私は大丈夫、私は我慢出来る…!さあ料理しなくっちゃ」 ネーサの目尻にも若干の涙が浮かんでいた 25/11/12(水)21:33:40No.1372023606 ネーサと言えばお姉様。オトーを始め多くの冒険者達から敬意を込めてお姉様と呼ばれている 転じてあなたは、そういう敬意とは無縁である。一代の名誉に過ぎない冒険者の基準でも、成り上がり者扱いされる程度には急ぎ足だった 別にあなたが尊敬を浴びたくなったのではない。ただ、不意にお兄様と呼ばれてみたくなったのだ。ネーサから 「い、嫌よ…私達、そういう仲じゃないんだから…」 ネーサは渋った。しかしあなたはこうと決めたら直情型である。それはネーサと並び立つまで至った事から明らかだ 恥を最速で捨てるとネーサの肩を抱き、耳元で繰り返し囁いた。一言だけでいい、一度きりでいいからと 合間に耳孔へ息を吹きかけ、抱いた肩を優しく撫でながら、込められる限りの情感を込めて言葉を紡ぐ ネーサの頬が赤くなり、耳まで赤くなり、首までも赤くなる頃。とうとうS級冒険者も折れてくれた 「条件があるわ…そっちも、私をお姉様と呼んで!それでおあいこよ」 なんのそれしき。あなたは若干の気恥ずかしさを覚えても、ためらいはしない そうして二人は、上でも下でもない間柄で、家族に使う敬称を用いて呼び合ったのだった 25/11/13(木)21:18:09No.1372312613 王都サカエトルは、栄えとるに掛けた洒落のような名前の通りに栄えている 観劇のために劇場が建ち、紳士淑女が毎日出入りをするような都市なのだ あなたとネーサも、相応しい装いに身を包んでチケットを提示すれば入場出来る。気品に満ちた空間だ 「流石に綺羅びやかね…」 あなたに言わせれば、ドレスを纏ったネーサの方が遥かに輝いているが。これは試着の時に散々言っては照れさせ尽くしたので、今は言わない 言葉の代わりに腕を引けば、あなたと腕を組んでいるネーサが引き寄せられる 共に入場する女性をエスコートするのは、こういった場においてマナーである。あなたにとっては役得だ 「あ…もう、無闇にくっつくものじゃないのよ」 咎めるような口ぶりのネーサ。しかしその唇が僅かに釣り上がっているのを、あなたは見逃さなかった あなたは胸を張って歩む。パートナーを見せびらかすためではなく、ネーサと共に歩める幸せを手にした誇らしさが背筋を伸ばす あまり品の良い事ではないが、席に着くまで何度もネーサの方へ顔を向けて。ネーサも同じだけこちらを見てくれている 「劇に集中出来なかったらどうしよう…」 あなたも同じ悩みを抱いていた 25/11/14(金)20:22:56No.1372589426No.1372589426 どれだけ文明が進んでも、害虫の侵入と繁殖を完全に防ぐ事は出来ない あるいは遠い未来ならば…そういった先の時代へ託す他にない案件と言えた あなたとネーサの自宅にも、やはりそういった虫が発生する。仕方ない事だった 「わっ虫…それ!」 害虫退治には噴霧器を用いるのが一般的である。しかしあなたもネーサも一般的な存在ではない 加えて言えば、野営慣れしているあなた達にとって、虫は目撃しても怯える対象ではない 投げ放たれた短剣は、風を感じ取る触覚の鋭敏さを容易く上回り、虫を床へ縫い止めた 虫であるため即死ではないが、確実に助からない。決着がついた 「この寒い中、良く出てくるものね」 あなたは死に体の虫を片付け、ネーサが穴の空いた床を手際良く補修する 二人の家は暖房を用い、暖かく保っている。虫の生活圏として都合が良いのだろう 明日は掃除をし、可能な限り害為すものの居心地が悪い住居にしてやろうと、あなたは決意する 「ところで…虫に怖がって見せた方が、好みだったかしら?」 そのような仕草に昂るものが無いと言えば、嘘になる。しかしあなたはネーサのネーサらしい在り方の方が、ずっと好きだ 25/11/15(土)21:31:19No.1372945898No.1372945898 かつて冒険者と言えば、荒くれ者の代名詞であった 今でも冒険者志望の人間は、その内3割が社会に居場所の無い荒くれ者である その上で、なりたて冒険者のやる仕事と言ったら、薬草取りとかそんなもの 冒険者になる事を認めたのならば、辛抱強さを骨の髄まで叩き込むのが、ギルドの責任というものだった (がんばって!) 気配を消して、口パクで応援するネーサの想いを受け取りつつ、あなたは新人冒険者達を根気良く躾けていく 既に指導ではない。指導で済む者達は次のステップへ進んでいる あなたは駆け足に級を上げたため、本来下級で務める所の、冒険者以外務まらなさそうだが冒険者も務まるか怪しい輩達の指導員を飛ばしている そのため今回お鉢が回ってきたのだった。念仏のように注意事項を唱え、立ち上がろうとする者は力づくで着席させる ネーサもこんな事をしていたのかとしみじみ思いつつ、威勢だけが友達の生命体を人間に変えようとし続ける (分かってくれるまで何度でも伝えないと!) そうネーサも言っているようだし、あなたは正直しんどさを覚えながら、冒険者の役目を果たしにかかった 25/11/16(日)20:55:31No.1373289770No.1373289770 「今の私はサカエトル仮面!」 当然ネーサなのだった。ネーサは小顔なので子供向けの仮面だって装着出来るのだ 仮面のヒーロー。正体を隠した強者というものは、少年少女の心をくすぐる そうした物語を広め、関連グッズで小遣いや親の懐を攻める。何事も商売である 「……恥ずかしいから、何か言ってくれないかしら」 目線だけを覆う仮面だが、露わになった唇と隠された美貌の両方に意識を囚われ、あなたは言葉を失っていた 感嘆の息と共に美しいと呟き、さまざまな角度からサカエトル仮面を鑑賞する こんなものが例えば世にヒーローとして現れてしまえば、魅了される者が絶えないだろう 「すぐおだてる…もうっ!そっちこそマスクをしてみれば良いんだわ!」 あなたは大人向けサイズのマスクを嵌められ、位置ズレからしばし視界を失う 何か…こう…とても素敵な感触が唇に触れたが。一体何が起きたのかサッパリ分からないのだった 全くサッパリ分からないのだった 「マスクは変だけど…かっこいいと思うわ…うん…だから、ね?魅了されただけ…」 そういう事にした 25/11/17(月)21:34:21No.1373610031No.1373610031 冒険者の戦いとは、強みを押し付け弱みを突いていくものだと、あなたは心得ている 例えば刃通らぬ屈強な魔物と対峙した時 「ええーい!ヴァリトヒロイ・クラッチ!」 ネーサは関節技を駆使して相手の骨を粉砕していた 例えば俊敏極まる敵、あなたの目では残像に惑わされかけるような攻めを 「この辺りに仕掛けたから…当たり!足元が疎かだと思ってたのよ!」 ネーサは守勢の中でそっと引っ掛け紐を仕掛け、転んだ所を打ちのめした あなたは冒険者としての初心者研修を受け、諸先輩方に多少技術を習ったりもしたが。今の戦いの師はネーサと言える 誉れよりも勝利、磨いた技に命を預けず有効打を執拗に突く。常に未知と戦う者の術理 あなたは立ち位置こそネーサに追いついたが、まだまだ未熟だと思い知る日々である 「あら、私だって見習う所はあるのだけれど?」 軽い声色だったが、ネーサの言葉は冗談ではなさそうだった ネーサから見て、あなたの評価に値する点とは何なのか。あなたは気になって催促した 「こうと決めたら一直線な所。冒険者に不可欠な資質じゃないかしら」 あなたは紅潮した 25/11/18(火)21:35:07No.1373920399 あなたはネーサに怒られたのだった 「置き場が無くなるのは目に見えてるから、私のグッズを買うのは程々にして」 あなたはしょんぼりした。返す言葉が無いからだ。ネーサグッズはあなたの個人スペースを大分占領している 冒険者としての格が上がり、収入を趣味に注ぐ余裕が出来たばかりに。そして魅力的なネーサの魅力的な商品が並ぶばかりに 「私がいるのに、どうして私の像を買うのかしら…」 ネーサは1/8聖なる衣ネーサフィギュアを手にした。神々しくも美しい、そしてささやかに素肌が覗いているのも嬉しい 当然本人には及ばないものの、ネーサの素晴らしさを立像として具現化した仕事への敬意と、あなたの収集心と、そしてちょっとスケベな心が、財布の紐を緩ませたのだ それをネーサが見れば、自分の似姿を拝まされるのは、気分が良くないのではないか。あなたはその程度の配慮も欠かしてしまったという事だ いかに交際相手であっても、何でも許されるものではない。あなたはネーサの言に従う事とした 「これくらいなら、私が見せてあげるのに…」 ネーサはチラリと素肌を覗かせた。それはいけないあまりにも扇情的すぎる 25/11/18(火)23:59:15No.1373978461No.1373978461 雪見だいふくは一包装につき二つのアイスが入っている。モチモチとした皮が好評の冷凍菓子である 名前が寒さをイメージさせるからか、雪のような形だからか。身体を冷やすにも関わらず寒くなる程恋しくなる、不思議な魅力を持っていた そんなものを暖房に浸りながら食べる。実に贅沢だ。あなたはだいふくの一つを備え付けられたフォークで刺し、ネーサへ差し出す 「あーん…んっ!冷た…」 少しずつ口の中へだいふくをしまっていくネーサの姿は、実に愛らしかった 雪のように白い粉が口周りに付いて、若干はしたない事になっているのもまた可愛い やがてフォークが刺すものを失うと、次の獲物へと突き立てられる。ネーサの手によってだいふくが差し向けられる 「はい、あーん」 あなたは誘われるまま食いつき、フォークを受け取る。冷たさが身体の内側を通り抜け、暖房で温まった体表面との温度差が心地良い 一息に平らげるのを惜しんでも、さほど大きな菓子ではない。だいふくはたちまちあなたの口の中へ消えてしまった 「口の周り、汚れてるわよ」 あなたが食べている間に、ネーサは自身の口元を拭いたようだった。あなたもネーサを拭きたかったのだが 25/11/19(水)21:52:09No.1374237774No.1374237774 あなたは人の子であり、ネーサもまた人の子である(この場合の人の子とは両親祖先が純人間であるという意味ではない) 冒険者としてのランクを上げたところで、人のかかる何もかもから逃げられはしない 何が言いたいのかと。要点をまとめれば、ネーサは風邪の引き始めなのだった 「こほ、こほ…ありがと…はぁ、失敗したなぁ」 日々手洗いうがいを怠らず、暖かい格好をして早寝早起きを徹底する。それでも調子は崩すものだ 一度家を飛び出せば、冒険者は未知へ挑戦し、不衛生に晒されるのだから。今日まで良く保ったと言って良い まだ悪寒の走らない内から、ネーサは横になって念入りに布団でくるまっている とても愛らしい姿だ。しかし見惚れてはいられない。あなたは食事を用意し、着替えを運んで汗を拭う 「はぁ…気持ち良い…役得って所かしら」 まだ症状が本格化していないのに、殆ど病人扱いして素肌へ触れる。役得と言うならあなたの方だ あなたは一旦邪念を追い出して、指の先までネーサの柔肌を布越しに触れていった 25/11/20(木)22:06:16No.1374544990No.1374544990 文化的な食事は良いものである。硬い部位、内臓を取り除き、切り分けて味付けする。心身に潤いが得られる だが冒険者流は違う。骨、皮、鱗…そうしたものを切歯で割り、臼歯で磨り潰す。残さず栄養に変えるのだ そういう訳で今日は野趣溢れる魚のつみれ鍋である。流石に内臓は除去したが、それ以外全部混ぜて丸めたもの 下処理が雑で、歯応えはまばらである。舌触りがざらつくのである。嚥下する時も引っかかるのである 「ん~っ……これこれ、元気が湧いてくるわ!」 小ぶりとはいえ、硬質な部位を噛み砕きながらネーサの食が進む。はふはふと口の中の熱を逃がしながら、次々食べ進んでいく ネーサはS級にまで至った冒険者。上等なレストランを愛するのと同じくらい、粗野で乱雑な冒険料理を好んでいる 例えるならばそう、蟹の身をほじり出して食べるのがネーサなら、殻ごと噛み割って食べるのもネーサなのだ あなたもまた口内で硬いものを砕きながら、自分の分をよそっていく。放っておけば全てネーサが食べてしまいそうな勢いなのだから 「あっ、あっ!取りすぎよ!私ももっと食べたいんだから!」 楽しくも激しいおたまの取り合いになったのだった 25/11/21(金)21:53:36No.1374842867 強さ、肉体の強靭さ。ほとんどの冒険者にとって必要不可欠なものであり、財産である あなたもネーサも、ジムに通うような文化的トレーニングを行っている。年間パスだ 「ふっ、ふぅ、ふーっ」 トレーニングウェアなのだ。大胆に肌を晒して、汗を浮かせているのだ 全身を覆う形のウェアだってあるのだが、ネーサは動きやすさを重視している 細い身体の線から筋肉を浮き上がらせ、秘めたる力を発揮している 「せっ、はっはっ、せっ」 美しかった。躍動する美があった。見惚れていたいのだが、あなたも自らの研鑽を疎かにしていられない 息を吐き、息を吸う。強く力を込めて、肉体を虐めてやる。発育した筋肉が悲鳴を上げる 全身が発熱し、汗を吹き出させる。特定の方向から熱視線が突き刺さっているのを感じているが、敢えて無視する 負荷を高めて、競い合うように。それでいて視線の先へ見せつけるように あなたとネーサは、性に目覚めたばかりの少年少女かのように視線を肌へ向けては逸らし、運動のせいばかりではない赤面と共に励んだ 25/11/22(土)21:27:20No.1375174170 今日ばかりは外出を絶ち、あなたとネーサは家に籠もりきりになった いそいそと秘中の秘を取り出して、そっと互いの指先にあてがう そしてゆっくりと、見つめ合いながら、それを指に嵌めていく。緊張から喉を鳴らし、汗も吹き出す 「あ、あっ、あ……あぁ……しちゃった、わね」 愛の証、婚姻の証。男女が他人から夫婦になるため、欠かせないものを身に着ける あなたとネーサはまだ夫婦になる気は無い。無いが、何時でもそうなる用意は出来ている いい夫婦の日であれば、密かに先取りするくらいは許されるに違いなかった 「お揃いの指輪…うぅ…顔、あつい……っ」 ネーサはあなたの指輪とあなたの顔を交互に見ては、火照った頬を両手で包んで恥じらっている あなたも、ネーサの指にあなたの手で嵌めた指輪が輝いているのを見るだけで、身を捩らずにいられない 落ち着いてなどいられる訳が無い。愛の誓いが可視化されるというのは、とんでもない事なのだ こんな姿、他の誰にだって見せられる訳がなかった 「今日は、私が独占するから……!」 あなたはネーサに独占され、あなたがネーサを独占する日だ 25/11/22(土)21:40:59No.1375179519 いい夫婦の日とされる11月22日は、いいツインテールの日でもあるらしかった こじつけと言えばそうだが、語呂合わせのいい夫婦の日も大概なのでおあいこと言える 「ツインテールね…こう?」 ネーサは短めの髪を左右の手で持つと、頭の側面へ持ち上げて見せた 愛らしい。実に愛らしい。幼さを強調する髪型であるが、不思議とネーサには良く似合っている しかし子供らしさとは違う味わい。照れ混じりにやってみせるからこその、色香というものがあった 「…目線がいやらしすぎ。ダメよ、そんなの」 あなたのふしだらさが溢れ出してしまっていた。反省するのだが、ネーサは髪を下ろさない つまりそういう事だった。両手を髪型の維持に使っている、無防備なネーサをあなたは捕獲する ツインテールのよく似合う恋人が望むのであれば、あなたはケダモノになる事を厭わない 望まれる前からケダモノになり、叱られついでに事後承諾される場合もあるが 「きゃあっ!もう、ダメだって言ってるのにぃ…」 実に甘ったるい、あなた以外にはとても聞かせられない声色を堪能しながら、ネーサは襲われてしまうのだった 25/11/23(日)21:24:59No.1375544411 あなたは熱意でもって冒険者の上位へ駆け上がったが、感性で言えば普通の冒険者である 金や名声が欲しいし、チヤホヤだってされたい。俗な欲求を持ち合わせているのだ 美女に囲まれて嬌声を浴びてみたいとさえ思っていた。本当の話である。昔の話でもあるが 「きゃ、きゃーっきゃー」 胸を張って自慢気に構えるあなた目掛けて、ネーサが精一杯上ずらせた黄色い声をかける あなたは自尊心がひどく満たされていくのを感じている。百人の美女よりもネーサ一人の方がずっと価値がある 両想いの相手が、こんな茶番にも付き合ってくれるのだから、全く最高なのだ。鼻高々にもなろうものだった 「……気は済んだかしら?」 とても済んだ。あなたはネーサに感謝を伝え、お返しに両手を広げて構えた。そこにネーサが身体を収める あなたばかり満足するのは不公平であり、あなたが満足したのならネーサにも満足して欲しいと思うのが、自然な恋仲の感情というものだ ネーサはあなたの腕の中で、居心地良さそうに息をついて、力を抜いていく 「ん…この匂い、この感触…全部私のね」 当然、ネーサの好きなだけくっついていれば良いのだった 25/11/24(月)22:03:04No.1375914020 全長1mを超える魚影、弾丸トビウオであった。群れ成して船を襲い、船員他を食らう凶暴な魚群である 船の護衛を任されたあなたとネーサは、一息に甲板を蹴り海上の人となる。船上で防ぐのでは、突破された時が最後だ 横っ腹に突き刺されると思うなと、あなたが気炎を上げている頃。ネーサは使い慣れた大小を抜き放っていた 「えい、やあ!」 快声二閃。銀光が海を裂き、水の抵抗が無くなった瞬間。閃く必殺 ばっくりと。無数の対象であったにも関わらず、その全てが死に至った 二枚に開かれたトビウオ達へ、人間にとっては無害な魚が群がっていく 海面を蹴り、水飛沫と共に弾む姿は、戦女神の美であった 「そっちも終わったみたいね」 あなたとてネーサに並ぶべく研鑽した身である。船にとってどれだけ危険な相手でも、あなたが対峙する分には遅れを取らない ネーサが軽く手を上げるのに合わせ、あなたも手を伸ばす。ハイタッチ 安全を確約する程海を侮っていないが、この程度の襲撃なら容易いもの 護衛は無事に済ませられればいいと、あなたは息をついた 25/11/25(火)22:00:33No.1376235520 あなたとネーサは船の護衛を終えて、港町のギルドへ依頼達成を報告すると、そのままギルド備え付けの食堂に腰を下ろした 海鮮料理を楽しみにしていた。が、予期せぬ事が起きた 「見ねぇ顔だな姉ちゃん!そんなシャバ僧より俺とメシ食わねぇか?」 S級冒険者ネーサ・マオを知らない冒険者は存在しないと言って良いが、いざ本人が違う装いをして現れた時、気付けるかは微妙な所 潮風を軽やかに孕む軽装に着替えていたのが災いした。あなたは立ち上がり追い払おうとしたが、既にネーサが臨戦態勢に入っていた 「ぐえ、ぉ」 パスタスープを匙でひとすくいすると、手首のスナップで撃ち出したのだ 破壊的液体は布を破り、肌と肉を強かに打ち据える。吹き飛ぶ事も嘔吐する事も許されず、ナンパ男は崩れ落ちた 「全くもう…」 不機嫌を露わにしたネーサの前へ、あなたは殻の剥けたエビを差し出す。これは大変美味なので、ネーサも食べるべきだ ネーサにはなるべく笑顔でいてもらいたいし、幸福を共有したいとあなたは思っている 「はむ…ん…おいしっ」 ネーサが笑顔を取り戻して、あなたも笑顔になった 25/11/26(水)21:17:59No.1376535225 水着回なのだった サカエトルで染み付いた季節感が狂いそうな温暖を浴びて、あなたとネーサは海に繰り出した 日差しを浴びて波打ち際が輝き、まばらに海水浴を楽しむ人々が見受けられる。あなた達もその一員となった 「きゃっ!ちょっと冷たいわね…」 ネーサの水着姿は、美を謳う人魚でさえも恥じらうだろう美しさだった やや露出を抑えたツーピースであったが、露わになった腹部、そして普段より大胆に晒した生脚といったらどうだ 陽光が照らすに相応しいものとは、こういうものである。快活に波を踏んで回る美貌を見ていると、あなたは頭が茹だりそうになる 「そーれ!」 激しい衝突音。あなたは尻もちをついた。ネーサの飛ばした水飛沫に撃たれたのだ 「ぼーっとしてるからよっ」 いたずらな笑みを浮かべたネーサ。やられたままではいられぬと、あなたは砂に埋まった尻を持ち上げる 激しい水のかけあいが始まり、どぱんどぱんと、過剰に水を溜めた風船が割れる時のような音が繰り返し響いた 「あははは!えーいっ!」 ネーサが笑い、あなたも笑った 25/11/27(木)21:41:16No.1376856879 あなたは変身した。正体不明のマジックアイテムの仕業であった あなたは冒険者として並よりは上の警戒心を持っており、不審なアイテムを使おうとは思わなかった しかし杖型のそれは突如輝き、ネーサ目掛けて怪光線を放ったのだ 庇わなくてもネーサなら平気かもしれない。躱すかもしれない。だが危ないかもしれない。あなたはネーサと光線の間に割り込んだ 「…………一応、無事みたいで良かったけど」 あなたはフリフリのヒラヒラで、ミニスカートだった。あなたは男性であり、屈強と言って良い程度には鍛えている ネーサの視線が、大胆に晒された生脚へ注がれると、あなたはどんな感情を抱けば良いのか分からなくなった 「とりえあずこの杖は解呪しないと…」 破壊した結果、あなたの不気味な格好が定着しては敵わない。気合で呪いを解く手もあるが、アレは疲れるのだ ネーサへの想い無しに、力で対抗するのは、あまり考えたくなかった 杖を捕縛し、呪的検査をかけ始めながら、ネーサは改めてあなたを見つめる 「ミニスカートは無いわよね…私にはちょっと眼福だけど」 あなたは顔をしかめた 25/11/28(金)22:08:38No.1377180802 カッシャー カッシャー 「邪魔しないでもらえます!?」 オトーは激怒したが、あなたも激怒していた。今のネーサはプライベートであり、無闇に撮影して良いものではない 妹分と言えど、何もかもが許されはしない。あなたもまた、恋仲は礼節を欠く理由でないように 「私は別に、オトーなら構わないけど…」 「ほら!お姉様がこう言っているんですからどいてくださいね!」 気安く日常を切り売りするのはネーサの不幸であるし、親密を盾に半ば強要するのはオトーの不幸である 距離感を誤った人間は正されるべきなのだ 判定にあなたの嫉妬心が混ざっていないかと言われれば、首肯しなければならないが 「本性を現しましたね、私とお姉様の間に割って入る間男めっ!ケェーッ!」 怪鳥音を鳴らしオトーが飛びかかると、あなたもカァーッと吠えて迎撃にかかる 醜い争いが始まった オロオロとするネーサを横目に、あなたは髪を掴まれ引っ張られ、オトーはこめかみを両拳で挟まれ回転圧を掛けられている この戦いは決して負けられない。ネーサを守るために…という大義を掲げた愚かな暴力であった 「もう…程々で済ませてね?」 25/11/29(土)21:39:23No.1377509802No.1377509802 「私もオトーとしてるようなじゃれ合いがしたいの!」 あなたに言わせれば、オトーとのそれは抗争であるが。S級冒険者は感性から違う ネーサがそれを望むのならやってみるつもりではある。しかし上手くいかなくても怒らないようにと、あなたは念を押した 「わかったわ…それじゃあ、いくわよ!」 勢い良く迫るネーサを、あなたは迎え撃つ 虫も殺せないようなパンチと、亀の歩みかと見紛うようなチョップが交差した ぽすりぺちりと、服や肌を打つ情けない音がする 「……あら?」 好きな人を積極的に傷付けたいと思える訳がない。あなたの感性はそうであったが、ネーサのそれが同じとは限らなかった 結果としてあなたとネーサは同じ心境に至り、じゃれ合いと呼ぶのも失礼に当たりそうな、へなちょこクロスカウンターを見舞ったのだった 付け加えておくと、あなたはオトーを嫌っている訳ではない。ことネーサに対して認められない部分があるだけだ 「えいっ!えいっ!うう…上手く力が入らない…」 一生懸命あなたの腹筋にザコパンチを見舞うネーサを見て、あなたは微笑ましく思った そしてクソザコチョップで反撃した 25/11/30(日)21:44:48No.1377924193 あなたはゴロゴロしていた。冒険者にも憩いの日はある するとネーサもゴロゴロしに来たのだった。ベッドは二人で転がっても平気だが、あなたの憩いはネーサローラーにかけられてしまった 蛮行許すまじ。あなたは怒気怒気しながら、あなたの上を転がっていったネーサの身体を捕獲した 「きゃー!不当な暴力ー!」 人を押し潰しておいてなんたる言い草か。あなたは捕まえたネーサに覆い被さり、ベッドに埋め込んでいく フカフカのベッドは柔らかく二人分の体重を受け止め、ネーサはたちまち脱出不可能になってしまった あなたがどかなければ、ネーサはもうベッドから抜け出せず乾いていく事になってしまうのだ 「うぅ……すんすん、くんくん……すーっはー…」 拘束されたネーサはあなたの首筋に鼻を埋め、臭いを思い切り吸い込んでいる ここに至って、あなたはやっと嵌められた事に気付いた。この体勢へ持ち込まれるのさえ、ネーサの狙い通りだったのだ 敗北感を噛み締め、あなたはまんまと操られた敗者として、ネーサを抱き締める とても柔らかい身体がもぞもぞと可愛い抵抗をしてきて、敗北の悲しみを癒やしてくれた… 25/12/01(月)22:11:32No.1378276532 年の終わりを感じても、あなたとネーサの暮らしぶりは変わらない 冒険者は年末年始も仕事が出来る(地域に依る)。やろうと思えば、依頼をこなす最中に年越しというのも可能だ そしてS級ともなれば、やるかやらないかの問題でしかない。この世界には未知も問題も、溢れんばかりに詰まっている なのであなたとネーサは、冬の空気を切り裂きながら駆けていた。急ぎの時は乗騎車両よりも、走った方が速いものである 雪原を裂いて魔物の群れが押し寄せたと聞けば、立ち向かうのが気骨ある冒険者というものだ。駆けつけ一杯、敵中へ飛び込み吹き飛ばす 「傷ついた人は下がって!ここは私達が抑えるから!」 ネーサが音頭を取れば、自然と戦士達は従っていく。声一つ取っても華があるのだ あなたは成り上がり者の冒険者。指揮を取るよりも、血飛沫を弾けさせるのが仕事である 激しく激突し、魔物達を磨り潰していく。至極真っ当に殺意を剥き出して襲い掛かる敵は、戦う際に考える事が少なくて助かる 後方を狙われる恐れは低いからだ 「私も、いくわよっ!」 あなたとネーサは一つの嵐となって、人々の脅威を斬り裂いて回った 25/12/02(火)21:44:58No.1378612827 あなたもネーサも、身体に疲労が溜まっているのを感じていた しかしマッサージ店に行くような事は…なんとも…アレなのだった。交際中の男女なんて…アレであった そういう訳なので、あなたとネーサは互いをマッサージする事にした。先行はあなたである 「それじゃあ、お願いね…」 線の細い身体を僅かな布で守ったネーサが、うつ伏せで横になっている。 あなたは大変ふしだらな気持ちになったし、目を引く太めの脚など瞳に焼き付く勢いで凝視したが、マッサージは真剣に行う 薄い背中の血行促進を促し、老廃物を流すポンプ機能の補助を行う。指で押して、手のひらで撫でる 「んぅ……はぁ、あっ…」 艶めかしい声が響く度に、小さく身動ぎする度に、あなたはネーサへの劣情を膨らませている しかし、やると決めたらやり遂げるのが冒険者の意気地というものであり、男の矜持というものだ 仰向けにすると蕩けた恋人の表情が飛び込んできても、股関節への施術を行う時も、あなたは強い意志で貫き通した… 後発、ネーサ あなたが我慢している分だけ、ネーサも我慢している事を、あなたは考えていなかった 25/12/03(水)22:34:59No.1378948873 あなたは画伯となった。モデルはネーサである あなたに絵心は無い。絵心のある人間は、あまり冒険者になるものではない 冒険をし、己が目で見たものを絵にして残すような者も、いないではないのだが。少数派の話である 「…………」 それにしても美しい女性であった。あなたは筆を振るいながら、幾度も感嘆の息をつく 窓から差し込む日差しを受けて、髪に天使の輪が浮かんでいる。もっとも天使でさえネーサと並べば見劣りしてしまいそうだが 椅子に腰掛け、楚々とした佇まい。普段の躍動の美とは異なる、静謐の美 呼吸の度に薄い胸が上下して、ただそれだけの事があなたを魅了してやまない 筆が踊る。ネーサという美を絵画に残すべしと、あなたの本能が叫んでいる。乏しい画力の全てを費やす時が来た── 「出来たのね、どれどれ……ぷっ!ご、ごめんなさいね…でも、くっ、くく……!」 あなたの仕上げた絵は、画力が無い癖に上手く描こうと欲を見せたせいで、それはもう笑いが込み上げてくる出来であった 描き上げた瞬間は務めを果たしたとさえ思ったのだが。笑いを堪えるネーサに失礼なと言う気力もなくなったのだ 「くっ、ふ……これはもらっておくわね」 25/12/04(木)22:31:17No.1379263578 つい先日まで痕跡も無かった地に、突如ダンジョンが出現するような事が、この世界ではままある それだけならばS級冒険者の出る幕ではない。ないが、意味不明な出現をした未知を探索したい気持ちが、S級冒険者ネーサ・マオにはあった それに遭遇したのは全く偶然であり、突然地面が隆起して入口を開いた不穏な穴へと、ネーサは楽しげに飛び込んだのだった 「すごいすごい!今現れたのに時代を感じる!」 あなたも年経た空間が持つ、独特の匂いを嗅ぎ取っている。概念的感覚的な話ではなく、ここは現に古いのだ 今この瞬間誕生したにも関わらず、である。不気味だが、今更恐れる程でもない はしゃぎ踊るネーサの喜びように比べたら、不審さは踏み倒してしまって良いと、あなたは思っている 「ねえ、ここ見て!古代文字!何年前に書かれたのかしら…今出来たばかりなのに!不思議!」 様々な角度から眺め、メモを取り、目を光らせているネーサ。偶然を引き当てた幸運を思えば、興奮ぶりも無理はない あなたはネーサの分も警戒の目を光らせて、軽快に跳ねる背を追った 25/12/05(金)21:21:32No.1379538802 カントー炊きという料理がある。言ってしまえば鍋料理のようなものだ 特定の具材を投入し、ツユが染みた所を食べる。冷えてきた頃に食べると大変美味である ところがこの料理、特定の具材の所が出身地でかなりバラけているのだった 「あら、ウインナー入れるのね」 あなたはおでんにウインナーの投入をためらわない生まれであり、ネーサはそれを見て驚いた あなたは驚かれた事に驚いた。変わり種ですらない、当たり前の具材だと思っていたからだ 違いをしみじみと噛み締めつつ、ウインナーも噛み締める。ネーサもウインナーを持っていった 熱々で肉汁がたまらない。相性抜群なのだった 「こっちもいい感じかしら」 一方ネーサの入れたはんぺんに、あなたは面食らっていた。白くてふわふわしたものの場違い感が目に付く しかしあなたも冒険者、怯んではいられないと齧りついてみれば。これは何ともイケるのだった ふわふわの作りがツユを吸って抜群だ。食感の面白さに食べる手が進む 「ふふっ。気に入ってもらえたみたいね」 入れる具材で喧嘩など起こらない。あなたもネーサも冒険者、冒険上等なのだから 25/12/06(土)21:07:27[12/6は姉の日]No.1379856363 「今日は誕生日でもないのに…どういうことなのかしら?」 朝から山のようなお祝いの言葉と、贈り物を妹分から送られ、困惑しているネーサをあなたは微笑ましい目で見守っていた。 このまま眺めているのも悪くはないが、絶賛目を白黒させている最中のネーサを不憫に感じたため、ここらで助け舟をだすことにあなたは決める。 「姉の日…?そんな日があるの…」 ネーサの呟き声に、うんうんと頷く妹分たち。 「この日を知った時から皆でお姉様を祝おうと決めてたんですよ!」 代表としてオトーが一歩に進み出る。 「お姉様、いつも私たちのお姉様として見守ってくださってありがとうございます!」 「オトー…嬉しいわ」 「お姉様!」感極まったオトーがばっとネーサに抱き着いた 途端に「あー!」と抗議の声をあげる妹分たち。 我も我もと駆け寄ってくる妹分たちによって、ネーサはみるみるうちに揉みくちゃになっていく。 「ちょ、ちょっと待って皆気持ちは嬉しいけど。あなたー!」 SOSを出すネーサに、ぐっとサムズアップをしたあなたは手を振りながら去っていく。 「裏切者ー!」と背中から聞こえてくる声に、笑い声を抑えられないあなたなのであった。 25/12/06(土)21:17:15No.1379859925 あなたは雑念の塊である。ネーサと対等になりたい一心で冒険者街道を駆け上がった成り上がり者だ 情念もいいだろう。しかし無心もまた強いのだから、時には心を静かにする訓練もして良いのだった あなたは坐禅を組み、目を閉じる。ところでここはあなたとネーサの家の中だ 「ふぅーっ……」 耳孔へ柔らかな息を吹きかけられて、あなたは飛び上がりそうな気持ちになるのを何とか堪えた 自ら目を閉じたと見るや、ネーサがいたずらを仕掛けてきたのだと、あなたは理解に至る 何たる誘惑。悟りに至ったという某もこれほどの試練には晒されたかどうか 「ねぇ…こっちを向いて…」 あなたの首にネーサの腕が巻き付き、薄い胸が背中に押し当てられる。ひどく官能的な刺激 あなたはもう、それはもう、鼻息を荒くしている。無心とは真逆の状態にいる だがどうしろと言うのか。恋人に抱き着かれているのに、無視するなど出来る訳が無い 二度、三度までは雑念を払おうとしたが。あなたは観念してネーサの手を取った とても柔らかく滑らかな感触と指を絡め合うと、幸せで満たされていくのだった 「やっと触ってくれた…もっといっぱい触って、ね?」 25/12/07(日)21:36:56No.1380233652 「ワーデッカ山おろし!」 ネーサ・マオが振るう大技のひとつであった。聖峰ワーデッカ山の霊すら死せる寒風、自然の極地を剣風によって生み出す 斬撃であり冷撃でもある、極めて強力な技だ。その矛先にはあなたがいる あなたは今日、この技を破るために立っている。強くあるためには、試練と向き合わなければならない 少年漫画を読むタイプのあなたは、自分に無いアイデアを拝借して構えを取る すなわち、魔バンストラッシュ。空は斬れないが威力だけなら実践出来る 衝撃が激突し、寒波の進行が留まる。しかし 「それだけじゃ、私の剣は止まらないわよ!」 押し返される。流石はネーサ・マオ。しかしあなたは魔バンストラッシュの撃ち終わりに、左右をスイッチしている 間髪入れずの魔バンストラッシュ。冒険者はなるべく両利きであれという先達の教えが生んだ連射砲 ついにあなたはワーデッカ山おろしを突き破ったのだった 「流石ね…ついに破られちゃった」 ネーサはあなたを称える。しかしあなたは知っている。いつかこの日が来る事を見越して、ネーサがこっそり練習している事を 今打ち勝ったのは真の全力ではない…それでこそ、挑む甲斐がある 25/12/08(月)21:41:52No.1380537737 あなたは全身私欲に満ちているが、ネーサもまた聖人君子ではない 時には欲求を制御出来なくなり、わがままに振る舞う事もある。あなたはネーサのそういう一面を見られるようになって幸せだ なのでネーサから求められれば、断るという選択肢が無いのだった 「おかわり、注いでもらえる?」 あなたはネーサに腰を抱かれ、求められるまま酒のおかわりを注いでいる 冒険者のあなたがホストの真似事をする日が来るなどと、想像もしなかった未来が訪れた ネーサの手付きは卑猥で、零す吐息は大変色っぽい。生唾を幾度も飲み込み、あなたは気を張り直す 襲いたい気持ちはまだ抑え込む。ネーサがしたい事を優先するのは、あなたにとって当然だ 「うふふ…いい気分…」 ネーサの手はあなたの尻を弄り始めている。こんな真似に及ぶとは、驚くべき現実だが しかしネーサの性欲を向けられて、あなたは不快どころか幸せで満たされていく 好きな女性に性の対象として求められる。これに勝る男の誇りなどあるだろうか 「そろそろお酒じゃないものが欲しいな…」 頬を真っ赤に染めたネーサが伸し掛かってきて、あなたの思考は中断された 25/12/09(火)21:23:15No.1380840145 巨大であった。身の丈ほどもある大剣であった 屈強な冒険者がこれ見よがしと振り回しているから、邪魔になっているのであった しかしあなたは咎めにくい。男なら一度はああいうデカい武器を扱ってみたくなるからだ 男性陣の生暖かい視線と、女性陣の冷たい目線が一点に集中している 「全くもう…一声かけてこなくっちゃ」 あなたはネーサを制した。ネーサが成さんとする事は正しいが、格上の女性に窘められるのはあんまりではないか ここはあなたの出る幕だろうと、やや気乗りしないものの一歩を踏み出した時 「そんな情けないザマで訓練場を塞がないでもらえますか!」 いつの間にやらオトーが口撃を始めてしまっていた ああ、止せ!とあなたが声にするより早く、眦を吊り上げて追撃へ移行してしまう 「体幹が流されるような武器に操られる姿をよくも晒せたものですね!そういうのをみっともないって言うんですよ!お姉様が黙っていれば何時まで踊っているつもりだったのやら!」 ああ… 「そこまで言わなくたっていいのに…」 言い返せず項垂れる冒険者が転がっていた。奴はネーサのためならやりすぎるのだと、あなたは額に手を当て天を仰いだ 25/12/10(水)21:24:36No.1381143740 読書の秋をとうに過ぎても、書を読み学びを得る事には価値がある あなたは一冊の本と向き合い、ネーサはあなたの膝の上に腰掛けて、本を共有している 大変良い。ネーサの尻の感触が脚に伝わってきて大変良い。本の内容が頭へ入ってこない事以外完璧であった 「ん…めくるわね」 あなたは実質的に、ネーサの用いるブックスタンドと化していた。何せもうページを送る手すら止まっている しかしあなたに責められる謂れはない。恋人とここまで触れ合って興奮せずにいられる方がおかしいのだ そう。おかしい。ネーサはおかしくないので、触れ合う面から伝わる体温は上がる一方である 「次の、ページに…」 ネーサの髪の香りに参っているあなた、背中を預けたあなたの感触に心音を早めるネーサ 本を読み始めた時はこんなつもりではなかったのだが。何を言ったところでもう遅い とうとうネーサの手も止まり、あなたは栞を差し本を閉じた 「ぎゅって、してくれるの…?うれしいっ」 この調子が続いたら、一冊読み終わるのに何日かかる事か。あなたは次回以降の自制を決意しながら、今はネーサとの触れ合いに集中した 25/12/11(木)21:29:31No.1381464468 足取りモグラの退治は嫌厭されがちである。割と死人が出るからだ そういう訳であなたはやってきた。依頼が塩漬けされるのはよろしくない 呑気に歩いていると、足の裏にかすかな振動が伝わってくる。そして隆起 地中を時速60キロで掘り進んできた、足取りモグラのご登場であった 転ばされたが最後、そのまま食い殺される獰猛な魔物であったが。あなたの敵ではない 掴まれた足首をむしろ高々と振り上げれば、モグラの方が引っ張り出される 後は仕留めるだけだった ……それにしても、ネーサが恋しい。いつもいつでも二人一緒とはいかず、こうしてあなたはモグラ退治に勤しんでいる 次々とモグラは釣れる。振動で地上を探知するため、同族が飛び出した後の末路を伺い知れないのだ 反復作業をしていると、心が荒んでいくのを感じる。寒風が身体に染みるのも堪える 『しょげないで、もう少し頑張りましょ!』 脳内ネーサに励ましてもらう虚しさを噛み締めながら、あなたは人々の脅威を取り除いたのだった 25/12/12(金)01:35:05No.1381546512 またしてもセ部屋を見つけたお姉様とあなた とりあえず封印解体を済ませた後でそういう事を意識して… 帰った後で寝室に鍵をかけセ部屋を再現してしまう 鍵は外れず(外せる)脱出するには致すしかない(出られる)空間の中で二人は身を重ねて これは仕方のない事だから(仕方なくない)と言い訳をして(しなくてよい)汗をかくのだった 25/12/12(金)21:22:02No.1381790159 山を食らう怪物が現れたとか、命を飲み込む大穴が開いたとか、この世にはそういった噂が絶えない そしてこの手の噂は3割くらいが事実なのだ。ネーサは鼻息荒く現地へと向かい、あなたもその背を追った するとどうだ、山より大きな怪物が地を舐めて、魚がプランクトンを濾し取るが如く土だけを吐き出しているではないか! 「わあ!なんて大きさ!」 あなたとネーサに対して、空を覆わんばかりの巨躯。スケールに差がありすぎるため、相手はあなた達に気付いていない 先制攻撃のチャンスだ。怪物にも生きる事情はあるだろうとも、山林資源を食い尽くされては敵わない 人間社会の一員である限り、排除しなければならないのだ 「いくわよ…そぉれ!」 ネーサの一太刀が開戦の狼煙となって、巨獣との交戦を開始した 木々がへし折れ、地は引き裂けた。空さえ怯え雲々が散っていく。そこにあった標高600mは跡形もない あなたがついにトドメの一撃を突き立てると、地響きを立てて大重量から力が失われた 「これは、報告が大変そうね…」 戦いの痕跡は広く深く、何が起きたかを記録するのは、骨が折れそうだった 25/12/13(土)21:54:45No.1382172329 ベッドがお亡くなりになった 弁解しておくと、毎日の営みによって破壊したのではない(ダメージが蓄積していたのは否定出来ないが) じゃれ合う内に盛り上がって、飛んだり跳ねたりしたせいなのだ。S級脚力の負荷だ 「はぁぁ~……私ったら何をやってるんだか」 ネーサが長いため息をつく。思う所はあるのだろうが、あなたも同罪なので一人落ち込まれては困る よってあなたも長いため息をついた。無惨な姿になったベッドを、業者が運び出していく 新しいベッドは翌日届くそうなので、あなたとネーサは家にいながら床やソファで寝る事になる 宿に泊まるような甘やかしをする気にはならない。はしゃぎ過ぎの末路を噛み締めたかった 「床寝だなんて…どうしよう、私達にはちっとも堪えないわ」 過酷な環境へ身を置く冒険者は、一日ベッドを使えないくらいどうという事は無い ああベッドよ。苦しみに横たわり、お前のありがたみを失った悲しみにさえ浸れないが。どうか安らいであれ。 「次のはもっと大切に扱わないと…高いのだし」 より大きく、より頑丈なベッドよ。明日からをありがとう 25/12/14(日)21:21:50No.1382548353 霜柱が張っているのだった。朝露も凍る冒険先の事である 目覚めれば吐息まで凍って落ちそうな冷気の中、あなたがゆっくり暖気していくと 足元にシャキシャキとした感触が伝わってきたのだった 「おはよう…これ、楽しいわよね」 見ればネーサもシャキシャキと霜を踏んでいる。足裏から心地良い音が鳴る シャキシャキ、シャキシャキ。なるほど楽しい。あなたとネーサは、しばしの間足踏みに浸った するとどうなるか。踏む霜が無くなるのだ こんな事のために遠くまで足を伸ばすのは馬鹿げている。だからこの場限りの楽しみを、最後の一歩を我が物としたい 「…………」 あなたとネーサはしばし睨み合った。そしてあなたが譲る。夜番を終えたばかりの彼女が得をすれば良いのだ 「いいの?それじゃ…えいっ!」 シャキ、と快音を立てて霜柱が踏み潰される。それきりもう、足元に娯楽は無い 良い暖気になったとあなたは思い、余韻に浸るネーサの表情を堪能する。手に入れた喜びと、もう無くなった寂しさとが入り混じった、美しい表情だった 気が済んだ所で、あなたは朝食の準備に取り掛かった 25/12/15(月)22:54:35No.1382912183 「辛ぁ!」 ネーサが口から火を吹く勢いで悶え、あなたも全身から汗を吹き出させ苦悶の声を漏らしている 『激辛チャレンジ!食べ切れたらあなたもS級耐辛者』の謳い文句に釣られて注文したのが間違いだった 香辛料のたっぷり入ったらしいこの溶岩めいたブツは、間違いなく美味い。それ以上に辛いのだ あなたは涙を流し、恥も外聞もなく鼻水さえ垂らした。粘膜が泣いている 「く、うぁ……!だけど、だけども!これだって冒険なんだからぁ!」 ネーサが匙を進め、負けるものかとあなたも突き進む。凄まじい刺激に視界が色を失い、腰掛けた椅子の感触が消え失せる 不要な五感を閉じて、目的達成のためのエネルギーへ変える奥義。あなたは表情筋を暴れさせながらも食べ続ける ネーサはどうか。二度三度と卓に握り手を打ち付けてから、決死の形相で抗い続けている そうともネーサの言う通り、ここに冒険があるのだから。冒険者なら負けられないのだ 「ひぃ…っ、ひぃぃ~っ!お、おいしいのは、確かなんだけどぉ……っ!」 苦しみ喘ぐネーサの姿に、あなたは若干の色っぽさを検知したが。すぐに集中し直した 25/12/16(火)21:27:36No.1383193532そうだねx7 あなたは捕まってしまった この拘束は逃れがたく、あなたがどんなに強い意志を持っても脱出出来ない魔力がある むしろ心を強く持てば持つ程に引力が増してしまう。恐るべき引き寄せ術であった 「もう、くすぐったい…」 ネーサの抱擁である。薄い胸に顔を押し付けられ、女性らしい柔らかさを直接感じている 首に巻き付けられた腕の滑らかさも、例えようが無い素晴らしい感触だ。身体を揺すって一層味わいたくなるのは仕方がないのである あなたもネーサの腰へ腕を回し、遠慮なく甘え倒す。遠慮する必要の無い間柄なのだから、やるなら徹底的にだ 慎ましい胸の形を顔で探るような不躾だってしてしまう。早まっていくネーサの鼓動があなたへ伝わってくる あなたの加速する心音は、ネーサに伝わっているだろうか 「すごくドキドキしてる…私と一緒ね」 あなたからネーサの顔は見えないが、きっとあなたと同じように、頬を熱く染めているだろう グッと体重をかけてネーサを押し倒しにいけば、ネーサはあなたの欲するまま仰向けに倒れ込む 後はもう、通じ合った気持ちを更に確かめ合うだけだ 25/12/17(水)21:42:03No.138350699 王都郊外に新たなショッピングモールが建ったと聞けば、あなたもネーサも覗きに行こうという話になった 大変な人の波が形成される中へ、あなたとネーサも波の一部となるべく飛び込んでいく 大した賑わい、大した商売の熱であった。どこへ行くにも一筋縄ではいかず、これこそ開店間もない空気というものだ 「きゃ!もう、ぶつからないのは無理ね」 あなたはネーサの手を固く繋ぎ、ネーサも強く握り返す。この人混みの中では、互いが命綱だ 切れてしまえば、再会出来るのは何時間後になるやら。掻き分け掻き分け二人で津波を泳ぐ 服屋、服屋、服屋、服屋…あなたの偏見だが、モールはどこも服屋が多い気がする 「色々気になるけど、落ち着いて見るのは難しそうっ」 即断即決が求められる空間。あなたとネーサなら訳もない。冒険者は頻繁に決断を迫られる商売なのだから 込み込みとした中で、目についたものを素早く手に取り会計へ 忙しなく、それが楽しくある。初物に惹かれるのは人間の性と言えるだろう 「楽しかったけど、窮屈だったわ…落ち着いた頃にまた来ましょ」 そういう約束をした 25/12/18(木)21:35:09No.1383811079 入浴後というものは、どうしてもソワソワしてしまう。後はもう寝支度なのだから つまるところあなたとネーサは、一緒に寝るという事で。それはもう 親密になってから日数が経過し、営みも既に数えられないばかりに重ねてきた 「…………っ」 ところがどうだ、慣れる事など一向に無い。あなたは喉を鳴らし、ネーサも俯いて思わせぶりに寝床へ視線を送る 今からまた、互いの生まれたままの姿をさらけ出し合うと思うだけで。顔から火が出そうになる 愛しく思う人を、美しく感じる人を、組み伏せてしまう。或いは跨られてしまう。もう想像するだけで頭の中は桃色一色だ 「…………っ!……!」 声にならない声を漏らして、ネーサも内股を切なさそうにさせている。これ以上は辛抱ならない あなたはおずおずと手を差し伸べて、ネーサがそっと握り返す。指を絡め合う事さえためらってしまう、初々しい繋がり 鈍い足取りで、一歩ずつ確実に近付いていく。どんなに照れ臭くても、歩みは止まらないし繋いだ手も離れない したくてたまらないのは、共通の思いなのだから そうして寝床に潜り込んだ 25/12/19(金)01:18:10No.1383882625 オトーは見た! 敬愛するお姉様ネーサ・マオが密かに励んでいる姿を! オトーは知っている! その運動が何を意味するのかを(自分でやった事はないが)! 豊胸運動だ!!! 「お、おお、お姉様…一体何を…」 「あぁ、見つかっちゃったわね」 「まさか、まさかっ、まさか! あの男お姉様の胸では満足出来ないとでも!!!!」 「違うわよ。あの人は私が変わっても変わらなくても想ってくれる…でも、それだったら。私は変わって…この胸に揉み応えを持たせたいの!」 「もみごたえ」 「小さいから撫でるばかりで、それでも嬉しそうにしてくれるんだけど。もっと手の中を幸せな気持ちにしてあげたいから…そうだ! オトー、そんなに大きく育ったのは何か訳があったりしない?」 「……おおお、おおお……っ! お姉様は、穢されたーっ!!!!!」 「オトー!? どこ行くのーっ!? あと穢れなんかじゃないのよ!」 オトーは涙を流しながら、闇雲に王都中を激走した… 25/12/19(金)21:14:55No.1384095864 グビリと一杯、あなたはコーヒーを飲み干した あなたにコーヒーへのこだわりは無い。冒険者は泥水を啜り、同じ口で丹念に抽出したコーヒーを飲む生き物だ そんなあなたが何を大切に思うかと言ったら、淹れてくれたネーサの思いやりに他ならない 「美味しい?」 あなたは今も、コーヒーにこだわりが無い。あるとすれば、ネーサが淹れたかどうかの一点だ 味わい深い気がする。香り高い事は分かる。ただ匂いと味をどこかで分けて捉えている まだコーヒーはあるので、おかわりを要求する。ネーサは大変嬉しそうに一杯を注いでくれる 「ふふ、良かった…」 この笑顔のためならば、それこそ泥水だって啜れるとあなたは思う。勿論コーヒーは泥水ではない 今日の一杯と昨日の一杯に違いはあるのか、それとも同じものを同じように淹れているのか。その辺りもっと観察しておくべきだったと、あなたは飲む度考える そして曖昧に笑顔を送って、ネーサもそれで済ませてくれるから、気が緩んで明日も同じ失敗をするのだ 「いいのよ」 何かを許されたのだった…心を読まれたのかどうか、あなたには分からなかった 25/12/20(土)22:22:52No.1384466987 そこであなたは閃いた。ネーサ(サンタ)が実装されるべきであると 美しいネーサにファーを纏わせたなら、さぞや絵になる筈である。これは実に素晴らしい 想像するだけで、あなたは思わず鼻息を荒くしてしまった 「なんだか想像図がいやらしくない?」 あなたの拙い絵図によるものだが、ネーサにもおよそのイメージは伝わった 大胆な露出を想像せずにはいられなかった。あなたの下心である。これをそのまま世に放とうなどとは思っていない 人前にはもう少しウエストを出さない形で、スカートも長めを想定している。あなたの独占欲だ 「ふーん…そう」 ネーサはあなたに近付くと、上着を少しめくり素肌を見せつけてきた 視線が釘付けになる。頭の中がピンクなネーサで一杯だ 「独占するんでしょ?もっとめくってくれてもいいわよ」 あなたは生唾を飲み込み、限界まで目を見開く。これはもうサンタ実装などと言っている場合ではない ネーサ・マオはあなたの腕の中に閉じ込めて、出られなくなってしまった こうしてネーサ(サンタ)は未実装に終わったのだ 25/12/21(日)21:39:57No.1384855776 ネーサの催眠術が炸裂した!あなたは逆らえない! …勘の良い者ならお気付きだろうが、ネーサ・マオは催眠術の心得など無い。だがあなたに対してコインを左右に触れば、たちまち言いなりの出来上がりだ 「さあ、私の質問に答えてもらおうかしら…」 などと言いつつ、ネーサは抵抗しなくなったあなたへ密着を仕掛けている そう、催眠にかかった者は放心状態に近い。無防備な所を攻めるのは冒険者の必勝法だ 完全に術中へ堕ちた(事になっている)あなたは、抱き返せないままネーサのコマンドを待っている 「ねえ……私の事、好き?」 当然あなたはネーサが好きだ。とても好きだ。こうして肌を触れ合わせて、好意を感じている時間も好きだ ネーサに異性として見られて、求められるのが好きだ。好きだと言う度に頬を染めて恥じらう姿が好きだ 好きな人に好きだと思われている幸せを毎日噛み締めている。一生を共にしてもらいたい気持ちでいっぱいだ 「そ、そう……なの…ええ、もう、そんなに…」 ネーサはあなたの胸に額を押し付け、湯だった頭の熱を移してくる あなたもネーサと同じだけ熱くなって、催眠命令は大胆さを増していくのだった 25/12/22(月)21:30:31[12/22はラブラブサンドの日]No.1385180084 「本日はラブラブサンドよ!!」勢いよく扉を開けネーサが入場する。 「恋する乙女の皆、今日はよく集まってくれたわ!さあ、意中の殿方の話題を語り合いながら、サンドを食べましょう!」 ネーサの演説に調理室に集った女冒険者たちから歓声があがる。 「イザベラさん。クリストさんとはあれから進展は?」 「あうう、ク、クリスマスにお買い物の予定…」 トリプルイチゴを手にしたイザベラが身を縮める。中のイチゴソースよりも顔が赤くなっている。 「ユイリアさん。どう?マーリンさんとは」 「はい、家への報告は事後でいいかと。どうせ反対されるなら式の後の方が楽です」 ミルクコーヒーを食べながら、ユイリアが表情を変えずに飛んでもないことを口にする。 「アズライールさんはサーヴァインさんと距離縮められそう?」 「ほ、本名知られちゃった…。で、でも可愛い名だって言ってた。でも無表情…」 ジューシーツナをも食べながらごにょごにょと喋るハナコの可愛さに、堪らずネーサは彼女の頭を撫でる。 (恋する乙女っていいわ…これだから気ぶりはやめられないわ) 冒険者達の恋するオーラを堪能しながら、ネーサはジューシータマゴにかぶりついた。 25/12/22(月)21:39:45No.1385184013 あなたとネーサがギルドを出たところに、見知らぬ猫と出くわしたのだった 毛並みに人の手が加わっている。ペット素人のあなたが見ても分かる高貴そうな猫だった 「あら、可愛らしい猫ちゃんね…よしよし」 瞬時に彼我の距離感を見抜いたネーサも、気安くその毛並みを撫でつけている 無防備に触られている辺り、やはり人慣れしている。猫は気持ち良さそうに目を細めている あなたも少し触ろうかと思ったのだが 「いい子ねー」 猫を可愛がるネーサの姿は、大変絵になる。これは間に入らず、ネーサと猫の双方を眺める方がアドと判断した あなたは一歩引いて、猫へ甘ったるい声で話しかけるネーサを網膜に焼き付けようとする どんなにささくれ立った心でも、この光景を見れば愛や平和をもう一度信じたくなる事だろう そうしてしばらくすると、あーっ!と声が響く。どうやらこの猫は、下級冒険者が依頼を受けた探し猫だったらしい S級冒険者ネーサ・マオの手を煩わせてしまった事に、申し訳なさそうな低身ぶりで猫を引き取る冒険者 ネーサの手はしばらく寂しげに、虚空を撫でていたのだった 「あの子…可愛かったなぁ」 25/12/23(火)21:55:39No.1385511784 あなたは獣に扮し、ネーサは赤い服へ袖を通した 双角の獣を従えた赤服の美女(老爺という説もある)が、年末の夜良い子の家へプレゼントを配る奇祭のためだ ギルドで用意されたソリを曳き、あなたは歩を進める。手には小さな鐘をひとつ からぁん──からぁん── 「皆プレゼントは喜ぶけど、なんだか気味悪がるのよね」 からぁん──からぁん── 何が近付いてきているか、子供達は分かっている筈なのに。不思議なものだとあなたも首を傾げる 灯りも持たず(上位冒険者は夜目が利く)、暗く重い鐘の音を立てて(奇祭の作法)、夜道を練り歩く不審な仮装者というものが、一般にどう見えるか あなたもネーサも、いまいち分かっていない。恐怖への順応こそが、冒険者の素養かもしれなかった からぁん──からぁん── 「静かね……王都の中に、私達しかいないみたい……」 からぁん──からぁん── 心胆を撫でる鐘の音に、人々は命じられるまでもなく己が家へ飛び込んでいく 静かにプレゼントを待つ良い子達の出来上がりであった 「何でか分からないけど、二人きりになれるのは良い事だわ…ねっ」 25/12/24(水)21:45:28No.1385824135 良い子の皆にプレゼントが届き、王都は笑顔が満ち溢れたのだった ではプレゼントを配ったサンタ役、ネーサ・マオには何の見返りも無いのだろうか そんな訳は無い 「皆ありがとう!とっても楽しかったわ!」 妹分達に囲まれ、オトーを筆頭にあれやこれやともてなされたネーサは、両手に抱えきれない程のプレゼントと共に帰路へついた あなたが半分受け持っても、まだネーサの姿が覆い隠れそうなプレゼントのボリュームである とても良い日だった。暖かな日だった 二人の家に帰り着き、プレゼントを片付け終わって。あなたが満ち足りた気分でいると 「あら。まだ満足するには早いんじゃない?」 とネーサが口にした。何か他にあっただろうかと、あなたが視線を左右に彷徨わせていると、ネーサの素早い踏み込みが互いの距離をゼロにする 「プレゼント配り、一緒にやったでしょう。ご褒美がなくっちゃ…」 あなたはネーサに抱き着かれ、そのまま良いようにされてしまう こんなに素敵なプレゼントを貰えるなんて、あなたは自らの幸せぶりに目眩さえ覚えてしまうのだった 聖なる夜が更けていく…… 25/12/25(木)22:09:36No.1386150512 あなたとネーサはこの日のために、食材を獲得するための冒険を重ねていたのだった そうして手に入った伝説の苺、偉大なる生クリーム、そして奇跡のスポンジ生地を組み合わせる事で、聖夜に相応しいケーキが出来上がったのだ 「わあ…素敵ね…!」 積もりたての新雪を思わせるクリームが光を跳ね返し、美しい輝きを放っている。イルミネーションも顔負けだ 苺の赤々しさと言ったら、クリームの白にも負けじと艷やかで食欲をそそられる。果実の芳しさが鼻をくすぐってくる それらを支える生地の高さは、ネーサの身長を超えているではないか 「なんだか…その…式のケーキみたいね…っ」 何の式か、などと野暮をあなたは言わない。見れば見るほど、高さといい白さといい…想像するものはあなたとネーサとで同じだ カットのため購入しておいた長大なナイフも、そういう意味に感じられてくる あなたは片側からナイフを持ち、何の合図や言葉もなく、ネーサも自然にもう片側からナイフへ手を添える そうして、予行練習であるかのように、高いケーキへ一閃を加えたのだった 尚あなたとネーサは十分な技量があるため、ケーキは初撃で鮮やかに切り分けられた 25/12/25(木)22:17:07No.1386153435 全てはあれから始まりました お姉様の「施し」…それがフルコースのスープ… 最初に食べたスープの味は死んだって忘れないでしょう 魚料理は初めての「お姉様のぬくもり」… フルコースの肉料理は…今でも私の身体に残るその感触…「おやすみのハグ」… 私のフルコースメインは…いつも…いつだって私に優しく微笑んでくれた… 「お姉様の笑い顔」それが私のメインディッシュ そしてどんな時もこんな私の味方をしてくれた…決して忘れません 「お姉様の励まし」それが私のフルコースのサラダ こんな愚か者の私を常に真っ直ぐに導いてくれた 「お姉様の教え」…それが私のデザート 私のフルコースが全て揃うことはもう永遠にないでしょう なぜなら「家族での食事」という狂おしいほどに純粋な「お姉様の夢」そのものが… 私のフルコースのラスト…ドリンクであり… もうあの男と叶えてしまってますからね!!ちくしょう私も混ぜろ!!!! 25/12/26(金)21:16:44No.1386434156 雪だ!王都サカエトルが一面白く染まった。中々の降雪量で、あちこち除雪に難儀している あなたとネーサは近隣の除雪に協力した後、溜まった雪へと目をつけた 「えいっ!それ!」 ごうごうと音を立て迫る雪玉。あなたは時に身を捩って躱し、時に雪玉で相殺する 寒さも吹き飛ぶ熱いファイトであった。しかし妙だ、先程からネーサの投球数より明らかに雪玉が多い… 「やあ!たあ!」 「食らえっ!このっ、このこのこの!雪に塗れろぉ!!」 ごく自然にオトーが加わっているではないか。これは圧倒的不利である。あなたは咄嗟に集雪場へ身を隠す とりあえず舌戦で息を崩そうと、あなたは声を張り上げる。卑劣なりオトー!遊興の場に怨恨を持ち込むか! 「何とでも言えばいいですぅ!この期に滅多打ちしないでいつするんですか!!」 「私とオトーの連携を見せてあげる!」 オトーを弱らせられなかったばかりか、ネーサも今回は乗り気である 人数差、勢いの差を覆す事は叶わず、あなたは雪塗れ水浸しとなった。あなたは心底悔しかった 「ちょっとやりすぎちゃったかしら…」 「リア充は水を差されるくらいで丁度いいんですよ!!」 25/12/27(土)22:52:33No.1386812111 あなたとネーサは焼肉屋へ来ていた デートコースとして様々に言われる空間であるが、二人にとってはそんな甘い舞台ではない 肉は冒険者の基礎、肉は奪ってでも口に運ぶもの。すなわち戦争である 焼く。焼ける 「はっ!!!!!」 はしたない振る舞いではないのか。そんな事を指摘するレベルの者は場に近寄るべきではない 激しい闘気が渦巻き、煙と共に換気扇へ吸い込まれていく 「せやぁっ!!!!!」 トングが閃き、互いの口へ肉を放り込んでいく あなたはネーサに食わせ、ネーサはあなたに食わせている…奪ってでもという理屈に嘘はない それ以上に、パートナーに満たされて欲しいと思っているだけだ。結果奇妙な餌やりめいた光景が出来上がっている 揃って何をやっているのだろう、という気持ちも無くはないのだが。手は止まらない 優れた冒険者は、考えるより早く身体が動くもの。あなたとネーサは戦場にあって、歴史的和解を成し遂げていた 「むぐ、もぐ……」 食べさせ合う肉は、美味なのだった 25/12/28(日)21:46:22No.1387165218 抜かり無いあなたとネーサは、早々に室内の大掃除を済ませている しかし二人の家は一軒家。事はそう簡単に済まないのだった。外は内ほど容易くない あなたは外壁に取り付き、ネーサは屋根の上を払って回っている 「ふぅ…中々大変ね」 ネーサ邸は結構な資金を投じられただけあって、大型である。掃除面積が広い 脚立など悠長なものは使っていられない。あなたは壁の汚れを落としながら、蜘蛛の如く張り付いて移動している 時々上から補給物資が降りてきて、張り付いたまま一息つく 「なんだか冒険してるみたいね」 崖を登り、途中で足場をこさえて休むような真似も、あなたとネーサは経験している 掃除しながら外壁を伝う程度、手間だし大変だが出来ない事ではない 年を跨ごうという時くらい、二人の家にも綺麗であってほしいではないか そういう気持ちであなたは作業を再会する。ネーサ手製の軽食を摂って、元気一杯だ 「残り半分くらいかしら?頑張って終わらせましょ!」 あなたからは見えないが、ネーサが腕まくりするのを感じ取った 25/12/29(月)21:45:38No.1387516902 魔リと斬り木リスという童話がある 春からせっせと食料を蓄えてきた魔リ、冬へ向けて備えは万全という所に、斬り木リスが訪ねてくる 快く斬り木リスを迎え入れた魔リはあっという間に殺され、全てを奪われるのだった 強くなければ、備えなければ、財も命も守れない。残酷ながら一理ある話 旅の世間にも、斬り木リスたらんとする者は潜んでいる現実がある 「どうぞ、上がって。寒かったでしょう」 ただ、斬り木リスを自認する者全てが賢い訳ではない 例えばオフの日なら、隙を突けば、S級冒険者の全てを奪えると思っている者とか その男は隠し持っていたナイフを抜くや否や、美女の柔肌へ突き立てにかかった 凶刃は素肌に突き立つ事さえなかった。柔らかく沈み込みながら、しかし血の一滴も零れはしない 「バカな事をして。そのナイフを隠していれば、シチューの一杯も振る舞ったのに」 S級冒険者ネーサ・マオは凶漢を一撃で昏倒させ、あなたは意識不明の身柄を縛り上げる こんな時間に仕事を持ち込む形となってしまうが、事件は素早く知らせるのが誠実というものだろう あなたは拘束した者を担ぎ上げると、警察へ向かった… 25/12/29(月)22:09:07No.1387526732 >あなたは拘束した者を担ぎ上げると、警察へ向かった… 「こいつS級を襲おうとしたのか?たまーにいるんだよなこういうバカが」 署に運び込まれてきた暴漢間抜けな気絶顔を見て、ギャン刑事がため息をつく。 「同じ人間ならちょっと刺しちまえば勝てるとでも思ってんだろ、裁縫針で魔ゾウを突き殺そうとしてるようなもんなのにな」 両手を横に広げ、“やれやれ”をしながらダテイワも笑う。 「おや、いかに強力な冒険者とは言え、ゾウ呼ばわりは女性に失礼ではありませんか?聞かれていても知りませんよ」 部屋の奥から釘を刺すのは鑑識のクェスプ、念の為犯人の凶器をマナ調査している。 「げっ、確かに聞かれてたらS級の取り巻きからクレームの嵐だったわ…オフレコで頼まぁ」 「すいません、警察といっても僕たちもちょっとしたあらくれ冒険者とあまり気質が変わらないもので…冒険者ギルドの治安への貢献に感謝します」 そそくさと引っ込んでいくダテイワと入れ替わるように、サトーが手続きの完了を伝えに来た。 冒険者ギルドと王都警察、どちらも治安に関わることも多い組織。このようなやり取りは日常的に交わされるものなのだ。 25/12/30(火)22:17:29No.1387873400 もう今年も終わろうとしている。早いものであり、同時に長い時を経たようにあなたは思う ネーサ・マオと恋仲になれた幸せを、あなたは幾度も噛み締める。こんなにも幸せな日々を過ごせるようになるなどと、以前は想像さえしなかった 「何か考え事?」 ネーサは自然に背後からあなたへ抱き着き、耳元へ囁くようにして語りかける とても甘い声で、なんて事の無い問いかけでさえ唾を飲み込んでしまう 好意を抱く魅力的な異性の自然体というものは、どれを取っても淫らなものを催す威力がある 「あっ…もしかして、エッチな事考えてたんでしょ」 そうではないが、ネーサに抱き着かれてから急速に脳内がピンク色へ染まっている あなたは否定の言葉を告げられない。男の象徴が膨らんでいるからだ 「そんなに私の事、いつもエッチな目で見てるの…?」 首筋に絡み付いていた腕は擦り付く動きへと変わり、薄い胸があなたの後頭部へ押し当てられる あなたは鼻息を荒くして、大きく目を見開く。愛しい人が色仕掛けをしてきたら、耐える術など存在しない 「あっ!ちょっと…こらぁ。まずはギュッてしてから、ね」 あなたはネーサを手繰り寄せ、身体を正面から触れ合わせた 25/12/31(水)20:05:59 No.1388159678 「今年も一年お疲れ様でした」 あなたとネーサは互いに頭を下げ、過ぎゆく一年を労った 年越しには蕎麦をたぐるという風習が流れ着いて以来、年末の王都では蕎麦の需要が高まっている あなたが購入する頃には、中々足元を見られた値段だったが。それでも良いのだ 「こっちも揚げていくわよっ」 ジュッワァと耳心地良い音が響き、香ばしい匂いも漂ってくる。蕎麦には天ぷらという事で、ネーサの手により海老が油へ飲まれていく あなたが茹でていた蕎麦もあがり、丼へ盛り付ける。あなたとネーサは二人して、一緒に迎える年の終わりに浮かれている 去年までは考えられなかった、柔らかな食卓を挟んで。締めくくりの蕎麦へ口をつける 美味い。あなたは自画自賛し、ツルツルと麺を運んでいく。続けてネーサ手製の天ぷらも これも大変美味い。汁を吸った海老はどうしてこう美味いのか 「おいし…お腹があったかくなるわ…」 ネーサがほうと息をつく姿に、あなたは目を奪われる。あれこれ考えていても、あなたの頭の中はすぐネーサでいっぱいになる 幸せだと思い、あなたは思った通りを言葉にした 「そうね…私も、とっても幸せ」 26/01/01(木)22:38:55No.1388602599 あなたとネーサは羽根突きの腕を競い合っていた。落とさぬように突き合うのが元々の作法である 「せっ!」 鋭い軌跡。最初の内は和やかに羽根を突いていたのだが、徐々に弾速は加速していたのだった そのまま受けると板が消し飛ぶ。あなたはまずしなやかに衝撃を吸収して、速度を失わせてから送り返す 勿論あなたも熱くなっているため、羽根はピィィと甲高い音を立てて飛んでいく。引き裂かれた風が鳴いているのだ 「んっ…やぁ!」 互いに自分の手番で終わりにはさせるまいと、技巧を尽くしている。激しい往復運動 そういう事をしているとどうなるか。羽根の方が耐えられずに消し飛ぶ あなたとネーサは互いに目が良いため、空を掻くような失態は演じない 「あ…っと。私の勝ちね」 それは間違っている。羽根は最後にあなたが打ったが、捕球は可能な軌道だった。ネーサ側に返す義務が発生している 例え恋仲の相手であろうとも、事実を指摘するのが誠実さだ 「そうかしら…?いえ、やっぱり私の勝ちだと思うわ」 そんな事はない。 「あるの!」 26/01/02(金)21:35:54No.1388891268 未知を求めて、あなたとネーサは海中へと身を投じていた 暗く深い海の中では、強烈な負荷が押し寄せてくる。泳ぎ続けるだけで体力を消費していく 潮流を読み、緩やかに進行していく。生体発光の光がボンヤリと浮かぶ深海へ進路を取る こういう所には、信じられない怪物や未開拓の海溝、とんでもない悪党が潜んでいるものなのだ 「…………!」 ネーサのハンドサインを確認したあなたは、持ち得る推力の最大値を発揮して突撃する 城だ、城が建っている。こんな所に潜まないといけない輩など、9割ろくでなしである アポ無しエントリーを果たすと、やはりと言うべきか。違法物資取り扱い組織の居城であった 「目当てのものとは違ったけど…動かないで!抵抗すると痛い目に遭うわよ!」 あなたとネーサは冒険をしに来たのだが、見つけてしまったものは仕方ない 海底は国際法の適用される範囲であるし、徹底的な仕置が確定したのだった 城内は呼吸が出来る、足が付く。であればあなたとネーサにとってはホームも同然である 「意地汚い!言う事を聞けないなら、無理矢理お縄につけてあげる!」 大捕物が始まった 26/01/03(土)21:29:01No.1389211911 レンハートの剣という料理がある 新年に食べる縁起の良いものとして、レンハート王国で作られているらしい。あなたもネーサも気になっていて、材料を買ってきたのだ まず米を炊き、その間に具材を切る。海苔を敷き、炊けた米を酢と和えたものを広げて、具材を中央に並べる これを巻くと完成である。太巻と言った方が伝わる人も多いだろうか 「ちょっと太くしすぎたかしら…」 勇者ユーリン王の所持する剣に見立てて、長く太く作るのが望ましいとされているが、出来上がった後は切っても構わないらしい あなたはネーサの分を切り分けると、自分の剣は大きく広げた口へ差し込んだ 「わっ…そんなに大口開けて食べて、大丈夫なの?」 きりの良い所で噛み切り、あなたは口いっぱいの剣を咀嚼する。中々の出来栄えであった ネーサが切り分けた具材は特に美味しく感じる 「もう、切っただけなのに味なんて変わらないわよ…いただきますっ」 一切れを口に運び、ネーサも顔をほころばせる。もぐもぐと、物言わぬ時間が流れていく 縁起物を食べて、しかも美味いとくれば、運気は向上したに違いなかった 26/01/04(日)21:45:26No.1389550822 チョップ!キック!激しい攻撃がネーサを襲う! 「きゃあっ!もう、やったわね!」 返しの刃、怒涛のパンチラッシュであなたは押し返される!部屋の中にドタバタとした騒音が立つ! お察しの方も多いだろう。あなたとネーサはプロレスごっこに興じていた。原義の意味である ぺしぽこと軽い調子で叩き合っては、きゃあきゃあやいやいと騒いでいる。子供の遊びだが、子供の遊びこそ真剣にやると楽しいものだ あなたがエルボーを見舞えば、ネーサの組み付き膝蹴りが返ってくる。一進一退の攻防が続いている 「もらったわ!それぇっ!」 よろめいた所へ、鋭いハイキックが襲い掛かる。しかしそれこそあなたの狙い。長くむっちりしたネーサの蹴り足を抱え込むと、そのまま押し倒しにかかった 「きゃあぁ!うぅ、釣られちゃうなんて…」 あなたの下から逃れようとネーサはもがくが、完璧に決まったホールドからは抜け出せない 1・2…これでフィニッシュかと思われたが、あなたはホールドを解いてしまった 「…ふぅーっ」 ネーサの吐息に耳をくすぐられたせいだ。どうやら原義のプロレスごっこから、広義のプロレスごっこへ移行する時間のようだ… 26/01/05(月)21:34:52No.1389827387 新春ショーという事で、あなたとネーサは壇上に立っている 時には見世物を演じるのも上位冒険者の務め。一つ所に留まらない程冒険に入れ込むような質なら別だが さて、これといって腹案がある訳ではない。あなたもネーサも出たとこ勝負をかける気満々である これこそ冒険だ 「それじゃあ…はい」 ネーサから差し伸べられた手を、あなたは考え無しに掴む。その瞬間世界が回った 手首を捻る関節技に対して、あなたの身体は反射的に跳躍していた。何事も無かったかのように着地すると、繋がったままの手を介して反撃に出る 互いの身体を振り回すその様は、ある種の舞踏に見えた 激しく、荒々しく、子供が人形を振り回すように身勝手で。相手が反応して、思った通りに動いてくれるに違いないと、絶大な信頼を抱いている あなたは放たれた鞭のようにしなり、ネーサが風に乗った花びらめいて揺れる 二人の両足が地について、揃いの一礼。 拍手、拍手、拍手……歓声と共にあなたとネーサは引けていく 「何とかなるものね!えいっ!」 ネーサが手を打ち付けてきて、あなたも応じる。舞台袖でハイタッチを交わした 26/01/06(火)21:27:38No.1390105821 古の時代、神の使いとして扱われた鳥がいた ところが現代では害鳥として忌み嫌われている。その名も怪鳥カミカクシ。人を攫っては雛の餌にする、大変美しい巨鳥である 「いけない!」 今まさに犯行の瞬間。カミカクシが飛来し子供を攫おうとする所へ、たまたま出くわしたあなたとネーサ 駆け出し子供を突き飛ばしたネーサは、カミカクシの爪に両肩を掴まれ飛翔してしまった あなたは怒りに燃えて撃ち落とそうと構えたが、既に怪鳥は緩々と高度を落とし始めている 「離しなさい、ったら!」 肩に鋭い爪が食い込むも、その程度で怯むネーサではない。掴まれた部位を起点に逆上がり、脚へ強烈な蹴りを見舞った たまらず降下するカミカクシ、素早く上を取ったあなたとネーサの挟み打ちだ 「これで、終わり!」 黄金に輝く美しい翼は血に塗れ、最期に一声漏らすと怪鳥は息絶えた 長く神の国へ連れて行く鳥だと信じられていたが、生態の解明によって神秘は失われた。今では羽こそ重用されるものの、殺害対象である 「はぁ~、ビックリした…こんな所にカミカクシが出るなんて」 ギルドに目撃報告を上げなければならないだろう。仕事が増えて、あなたは若干憂鬱になった 26/01/07(水)21:36:36No.1390384884 年を越した盛り上がりから、人々の生活は緩やかに日常へ戻っていく あなたとネーサも、あれこれとやったが。普段の暮らしへと回帰していく時が来たのだった 未踏の地であるとか、世界を揺るがす災厄とか、金銀財宝であるとか。そういうものを探して回る冒険生活 言い方を変えると、デートである 「んふー……っ!」 あなたとネーサは両手指を絡めながら繋ぎ、恋人同士の親密さをあからさまに振り撒いて歩く 誰の目も気にしなくて良いのだから、街中では一応行使している遠慮というものを外している 繋いだ手は離さない。例えば敵が来たとしても 「おじゃま虫の登場ね…それっ!」 ネーサは繋いでいる方の手を振り上げると、あなたを武器として振り回して魔物に攻撃する 逆にあなたもネーサを振り回し、人間サイズの凶器として邪魔者を排除する 乱暴だ等ととんでもない。あなたとネーサにとって、手を繋いだままでいる方が大切なのだ あと互いの強さを分かっているから、心が通じ合っているから、攻撃手段として有力という理由もある 「なんだかピクニックしてるみたい!」 吹っ飛ばされた魔物達がやや血なまぐさいが、それを除けば穏やかな日だった 26/01/07(水)21:36:36No.1390384884 年を越した盛り上がりから、人々の生活は緩やかに日常へ戻っていく あなたとネーサも、あれこれとやったが。普段の暮らしへと回帰していく時が来たのだった 未踏の地であるとか、世界を揺るがす災厄とか、金銀財宝であるとか。そういうものを探して回る冒険生活 言い方を変えると、デートである 「んふー……っ!」 あなたとネーサは両手指を絡めながら繋ぎ、恋人同士の親密さをあからさまに振り撒いて歩く 誰の目も気にしなくて良いのだから、街中では一応行使している遠慮というものを外している 繋いだ手は離さない。例えば敵が来たとしても 「おじゃま虫の登場ね…それっ!」 ネーサは繋いでいる方の手を振り上げると、あなたを武器として振り回して魔物に攻撃する 逆にあなたもネーサを振り回し、人間サイズの凶器として邪魔者を排除する 乱暴だ等ととんでもない。あなたとネーサにとって、手を繋いだままでいる方が大切なのだ あと互いの強さを分かっているから、心が通じ合っているから、攻撃手段として有力という理由もある 「なんだかピクニックしてるみたい!」 吹っ飛ばされた魔物達がやや血なまぐさいが、それを除けば穏やかな日だった 26/01/08(木)22:10:51No.1390685780 モンスター図鑑。冒険者必読の本であり、幅広く流通している(一方で、魔族をモンスターとして記録しているため、近年は色々と揉めている本でもある) あなたはペラペラとページをめくり、旧版からの更新点を確認していく。危険な生物の情報は宝だ めくる内にサキュバスの項へ辿り着いた所で、ネーサに覗き込まれてしまったのだった 「ふーん…こういう娘が好みなの?」 間が悪い。事こうなっては弁解しても素直に受け取ってもらえるかどうか あなたとて、ネーサが美形の男を見つめていれば、穏やかな気持ちではいられないのだから 故に取れる手は限られており、あなたは図鑑を閉じるとネーサを手繰り寄せる 腕の中に細い身体を閉じ込めて、まず言葉より行為で気持ちを伝えようと試みる 「んぅ…こんなのじゃ誤魔化されないんだからっ」 そう言いつつも、ネーサは腕の中で小さくもがくだけで、強く抜け出そうとはしていない あなたはネーサの髪をゆっくりと撫でて、耳元に口を寄せてから、囁き声で想いを告げた 繰り返し、繰り返し。触れ合いで抵抗力が下がったネーサの心へ届くよう願って 「ふ、ぁ……あぁ……ん、そんなに、すきっていわないでぇ…」 26/01/09(金)21:53:30No.1390962236 今日は熱々のシチューに熱々のスープだ!あなたは喜び跳び回った ネーサの作るシチューは最高なのだ。ネーサが作る料理には大体最高と言っているが、そういう些事は置いておいて欲しい 加えてネーサのエプロン姿も見られるのだから、これは実に素晴らしいものである 「そんなにじっと見ないで…」 恥じらいに頬を染めるネーサの愛らしさと言ったら、白雪さえ輝きで劣り溶けて退くだろう 具材の切り分けを手伝いつつ、あなたは横目で恋人を覗き続ける。何度見てもどこから見ても、感嘆の息が漏れる美しさだ 「見ないでって言ってるのに…もうっ」 頬を膨らませて怒る姿は愛らしく、全局面対応型美女ネーサには隙が無かった 仕込みが終われば煮込むばかりであり、その間ゆっくり待つ事になる。鍋が緩やかに香り立ち始める ネーサの手があなたの手の甲に触れて、あなたはそっと手を繋ぎにかかる 本格的に肌を絡めるには早い時刻だ。あなたとネーサは手指だけの触れ合いで心を充足させていった 26/01/10(土)21:55:06No.1391274981 「わぁかわいい!」 どう考えてもネーサの方が可愛い。しかし分かりきった事を指摘するのは時と場合を選ぶべきである ネーサはぬいぐるみを眺めて、瞳をきらめかせている。なるほど確かに、中々愛らしいデザインだ 問題はこいつが透明なケージの中に収まっている事だが。クレーンゲームの景品なのだ あなたは腕まくりすると、覚悟と共にコインを積み上げる 「取ってくれるの?」 早めに取れたら良いなと思っている。このゲームは慈悲のラインに到達するまで苦しい思いが待っている 冷や汗を垂らしながら、あなたは挑戦権を投入した… …あなたは惨めでならなかった。とうとう店員が介入するに至り、やっとぬいぐるみを獲得したのだ 消えたコインは数十枚。いい格好をしようとまでは思っていなかったが、現実はその下限を突き抜けていった 「そんなに落ち込まなくて良いのに…私のために頑張ってくれたの、かっこよかったわ」 落ち込んでいた気持ちはあっけなく上向いた。何時だって好きな人には良く見られたいし、褒められたいのだ ちょっと涙が零れそうになっていたのは、顔を拭くフリで無かった事にした 26/01/10(土)22:03:27No.1391278075 >No.1391274981 「ふん!やっぱりこの男はダメですね!私に任せてくださいすぐにでもぬいぐるみをとって見せますよ!」 自信満々にそう豪語するのは妹分代表、オトーであった 「難しいみたいだし…無理しなくていいのよ?」 ネーサはそう言ったがA級冒険者の覇気に満ち溢れたオトーはすでにコインを入れていた 「ここにアームを持って行って…このタイミングで…、こうです!!」 そしてアームがぬいぐるみを動かした後、即座にA級台パンを放ち、筐体を揺らした。振動でぬいぐるみがさらに動き、取り出し口まで落ちてくる 「どうですか!やりましたよお姉様!」 「お客さん、ちょっといいですか?」 オトーの後ろには笑顔の店員が迫り、ネーサとあなたは即座に逃走を選択した 26/01/11(日)21:20:46No.1391617258 新年には聖堂を巡る習わしがあった。土地が変われば神社や仏閣を巡るらしい あなたとネーサはサカエトルの各地へ足を伸ばし、新年の祈りを捧げていく 愛する人と良い一年を過ごせるように、天上へ向けて願を掛ける 合わせて、軽食店に寄っては風で冷えた身体を温めていくのだ 「はふ、はふ…あったかい…」 ネーサは口内で熱を冷ましながら、たこ焼きを頬張っている。出来たての熱々で、一つ食べるにも中々手こずるのだ 一方あなたは焼きそばをすする。濃い味付けがそこそこ歩いた身体に沁みるというもの 聖堂がこんな商売してて良いのかとする意見もあるが、むしろ民心に寄り添うため率先して経営すべきではないかと、あなたは思うのだった 「ねえ、一口ちょうだい?」 なんと可愛らしいおねだりだろうか。あなたは素早く一口分をたぐると、小さく口を開いて待つネーサに応える するとあなたの口の中にも、たこ焼きが入り込んでいるではないか。S級の早業によって、気付かぬ内に一口を交換していた 「もぐもぐ……ふふっ、隙だらけよ」 まんまと一本取られて、あなたは口の中を少し火傷したのだった 26/01/11(日)21:44:04[便乗]No.1391626236 なるほど犬耳であった あなたが頭部に装着すると、犬の印象を与えられなくもないだろう 「中々似合うわね…素敵ね…」 そう言うネーサは猫耳を被っていた 元々が美人なので、余程奇抜な装備でなければ、美貌を引き立てるアクセサリーとして成立するのだ 面白半分で買った仮装カチューシャにより、犬猫が揃い立ったのだった 「にゃんっ、にゃんっ」 すっかり猫の気持ちになったネーサが、手首のスナップを利かせて猫パンチを放ってくる 犬としてはいかに迎え撃つべきか。あなたは犬科の攻撃方法を思い返した 「にゃあっ!?ちょっと、そんなっ、だめよ…!」 犬と言えば噛みつきだろうと、あなたはネーサの腕を抑え込んで甘噛みにかかる 瑞々しい素肌に唇を這わせていると、大変いかがわしい行為に及んでいる事に気付いたがもう遅い 「もう…そっちがその気なら…っ!」 キャットファイトのゴングが鳴った 26/01/12(月)21:50:52No.1391943526 『ネーサ・マオを信じるな』 センセーショナルな題名であった。S級冒険者ともなれば、本の主題にされる事などしょっちゅうである あなたは一先ず手に取り、その中身へ目を通していく。内容は大切であり、読まずに非難するのは悪しき行動である 『かつての栄光も陰り、昼夜問わず乱れた性をさらけ出す姿は冒険者の恥と言わざるを得ない』 あなたは激怒した。手の中の本を破り捨てそうになるのを、辛うじて抑え込む 全くふざけた文言である。ネーサは心ある人なのだ。人が幸・悦・快を欲して何が悪いと言うのか 地位に相応しくない振る舞いと指摘するなら、まだあなたにも納得の余地があった。だがこれはもう憤りしかない 「あら、またおかしな本が出てる…まったく私に話を通して欲しいものね」 あなたの後ろからひょっこりと顔を覗かせたネーサは、呆れた顔をして本の表紙を撫でている 気に留めない風の表情は、軽やかな仕草は、言外に一々怒らなくてもいいとあなたへ伝えていた あなたは怒り足りないが、ネーサが寛容であるのなら。迸らんとする感情を抑え込んだ 「こんな本、もう100冊は見たもの。怒るより呆れちゃう」 26/01/12(月)22:06:00No.1391949514 (前略) この記事を知ったあなたは激怒し、イースポの発行元である魔講談社に手紙を送り、デマに抗議した上で「今から行ってやろうか」と通告。翌日の午前3時過ぎ、あなたは妹分軍団であるオトーら11人と共謀して、サカエトルにあるイースポ本館内にある編集部に押し掛け、その結果、暴行傷害事件へ発展した。当初あなたは手を出さないよう妹分たちに言っておいたものの、当時の編集次長による「自分はカラテが得意である」旨の発言をはじめとした、編集部員の挑発的言動が発端となり「ガタガタうるせえんだよ」と発して暴行に至ったと記されている。 報道によれば、あなたが「担当者を出せ」と迫った後、どちらからともなく一斉にもみ合いになった。あなたらは「ぶち殺すぞ、この野郎!」と叫びながら、魔法を噴射した上、同誌の編集長及び編集部員らに室内にあったひのきの棒や拳で殴打したり蹴ったりして、1ヶ月から1週間の傷害を負わせた。あなたらは住居侵入・器物損壊・暴行の現行犯でに逮捕された。事件後、あなたらは逃亡の恐れなしとして釈放された。釈放時には約300人ものの野次馬やあなたの支援者らが集まっていたと言われている。 26/01/13(火)21:23:02No.1392220804 あなたはよろめき、呻き、怒りに震えた。これほどの人でなしは初めて見た しかしあなたは拳を振り上げられない。よくもこのように卑怯な真似をする。罵るのが精一杯だ 「ふっふっふ…効果てきめんですね!私もお姉様を人質にするようで涙が出てきますが!」 オトーはなんと、ネーサ・マオ写真集を盾にしているのだ! いかに写真とはいえ傷付けば世界の損失。それを分かっていながらこの女は! 「……私の目の前でおかしな遊びをしないでもらえる?」 「遊びじゃありません!この間男を懲らしめる絶好の機会なんですから!」 ネーサの諌める声すら振り切って、オトーはジリジリと距離を詰めてくる 卑劣女の企みになど、あなたは屈したくないのだが。盾があまりにも強力である 十字架に屈する吸血鬼よろしく、あなたはオトーの突き付ける写真集を前に膝から崩れ落ちた 「か…勝った…!ざまあ見なさい!最後は正義が勝つように出来てるんですよ!」 「はいはい、そこまでにしなさいね」 「あ痛っ!お姉様がぶったー!」 あなたは敗れたが、勝ったオトーもネーサに敗れたので調和がもたらされたのだった 26/01/14(水)21:17:45No.1392502109 あなたは甘いものが好きだ。正確に言えば美味いものは大抵好きだが 欲しいと思ったらケーキでもパフェでも頼める側の人種なのだった。冒険者は堂々と構えれば良いと 「ふふ、可愛い」 その様をネーサに笑われたとなれば話は別であった。無論、バカにされている訳でない事くらい伝わっている しかし、分かっていても気恥ずかしい。今更注文を取り下げるのもよろしくないため、あなたは明後日の方へ顔を逸らし、唇をもごつかせる 横顔に当たるネーサの視線は優しく、だからあなたは余計に目を合わせられない 「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに…」 微笑みを見つめ返せないまま注文が届き、あなたは気まずさに拘束されパフェを口に運べない かくなる上は。あなたは匙を動かすと、ネーサの口元へと進行させた 「ん!?んぅ……あ、あーん……もう、あんまり人前でする事じゃないわよ…」 あなたと同じく頬を赤くしたネーサだったが、送り込んだパフェは素直に食べてくれたのだった まだ食べていないのに、あなたの口の中まで甘くなっていた 26/01/15(木)21:37:08No.1392787750 サカエトルシネマは音にこだわりのある劇場。極上の映画体験を約束してくれる あなたとネーサはペアチケットを取り、楽しみにしていた映画を初日から見に来ていたのだった 座席の座り心地は上等で、ポップコーンも中々良い味付けである。準備は万端だ 「…………」 照明が落ちて、スクリーンだけが光源となる。あなたとネーサは自然に手を繋いでから、前へ意識を向けた あれこれとストーリーが展開されていく。やきもきとする人間関係、時にアクション、奥行きのある音 映画の世界に引き込まれていく。しかし不思議と、繋いだ手は引き込まれた先でも一緒のままだ あなたとネーサは同じものを見ているが、別々の心を持っている筈なのに。まるでひとつの生き物みたいに心を羽ばたかせている 「…………っ!」 やがてクライマックスが訪れると、指を絡めたネーサから強い力が伝わってくる。興奮しているのだ あなたも同じように力が籠もり、目を見開いてシナリオを見守った…… …… 「あっ……ポップコーン、随分残しちゃった」 あなたとネーサは慌てて残りのポップコーンを片付けると、手を繋いだまま席を立ったのだった 26/01/16(金)21:34:08No.1393073268 あなたはネーサを抱きかかえると、ベッドへ向かった 今日はネーサに色々あって疲れていたため、歯を磨き終わった辺りでダウンしてしまった 役得である。眠れるネーサをお暇様抱っこするなど、ご褒美以外の何だと言うのか 「んん……すぅ…」 それにしても寝息まで可愛らしい。ネーサには欠点など無いのではないかと、あなたは錯覚しそうになる 超人的身体能力からは想像つかない程体重も軽く、腕にかかる感触はとても柔らかい 寝落ちした身体は熱を帯びて、運ぶ最中暖かくってたまらない 「んふ…ん……くぅ……」 小さく身を捩る仕草も、瞑られていてさえ美しさを隠しきれない瞳も、何もかもが愛おしい ハッキリと言えばあなたは興奮していたが、寝込みを襲うのは外道のする事であるため、自制している ネーサをそっとベッドに横たえ、あなたも隣に身を預けながら、毛布を被る 狙いすましたようにネーサの身体があなたへ寄ってきて、ピッタリと触れ合ってしまう。あなたはドキドキとムラムラに困りながら、がんばって目を閉じたのだった 「ん……ふふっ」 26/01/18(日)21:30:02No.1393794898 冒険者間に恋愛ブームが到来している事を、あなたは今日知った ネーサも今日、妹分の一人が同業と交際を始めたと聞いて知ったのだった 「そう!素敵ね!お相手はどんな人?キッカケはなんだったのかしら!」 興奮したネーサが妹分と恋愛について語り合うのを、あなたは遠巻きに眺めている 一歩引いた事で視野は広がり、冒険者ギルドを広く収められた なるほど、確かに親密そうなペアを見かける 「それじゃあ…私を見て、恋をしたくなったって、事なの?そう…っ」 照れたネーサは両頬を手で抑え、妹分のきらきらした視線から目を逸らそうとしている よもや自分達の交際が誰かに影響を与えるとは、あなたは思いもしなかった ネーサはどうだったろう。恋の素晴らしさを説いていた気がするが 「確かに、誰かを好きになるって素敵だと言った覚えはあるけど…いざ手本にされるとムズムズするのっ」 思った通りに進んでも、思った通りに感じられるものではない。感情の難しい所だ あなたが強くなったのは、ネーサと同じ高さへ上り詰めるためだったように 26/01/19(月)21:22:03No.1394090510 一般的な冒険者は傘を好まない。片手が塞がるからだ しかしあなたは雨の日に傘を用いる。片手武器だからだ。流石に冒険へ出る時は控えるものの 武器として使えば濡れてしまうが、街中でちょっと雨ざらしになるくらい些細な事だ 「あら…ありがとう。傘持ってきてくれたのね」 その日は急に雨が降ってきて、あなたは慌ててネーサの下に駆け付けたのだった 通り雨にしては雨量が弱く、雲は延々と居座りそうな気配であった。抜かりないネーサは当然雨具を持っていると、あなたは知っているが。そこはそれ ネーサは差し出された傘を受け取ると、閉じたままあなたに身を寄せた 「護身は必要でしょう?」 必要かどうかで言ったら、必要ないのだが。せっかく相合い傘に持ち込む口実をネーサが用意してくれたので、あなたは首肯した 空は重たく、行き交う人達も少し俯いている。世の中は下り調子 けれどあなたとネーサの傘の下は上向いていて、雨音が弾む音さえなんだか楽しいのだっ 26/01/20(火)21:40:35No.1394382601 あなたは駆け足で上位冒険者となったため、地位相応の振る舞いが身に染み付ききっていない そのため冒険者の頂点であるネーサから、定期的に指導を受けているのだった 「もっと腰を引き付けて…そう…」 今もあなたはネーサを抱き寄せて、社交ダンスの練習をしている。年に一度の機会もあるかないかという話だが、出来ないでは済まされない わざわざドレスに着替えたネーサの麗しさに目が眩み、また動きを覚えきれていないのもあって、あなたはぎこちないステップを踏んでしまう 「パートナーをちゃんと見て…呼吸を合わせるの」 ネーサが真剣そのものであるため、あなたも邪な気持ちは抑え込みたいのだが。見つめるにはあまりにも美しい いかな宝石とて並び立てない輝きに包まれ、その美貌を腕の中に収めている事実は、雄の本能を刺激するのに十二分な情報だ 腰を引いて指導を台無しにする事は出来ず、さりとて小さくする事も出来ず。あなたは赤面し俯いた 「んっ……顔を上げて。私になら、押し付けても良いんだから……」 色香を含んだネーサの囁きに晒されて、あなたはいよいよままならなくなった 26/01/21(水)22:07:20No.1394670639 そこであなたはこう言ったのだった 大きな胸は素晴らしいが、ネーサの胸より好きなものはないと 男達の酒の席での一幕であった。胸の大きさで議論する中振られた以上、あなたの答えは他にない 「お前…巨乳好きだったのか…?」 禿頭の冒険者は驚きよろめいた。あなたにとっては縁深い相手である 新米の頃から面倒を見てもらい、冒険者ランクで追い抜いた今も飲み交わす相手だ あなたは性癖を積極的に打ち明けないため、これが初公開であった 加えて言えば、それまでの性嗜好の上に、ネーサ・マオが陣取っている状態だ 「はぁ~…女ひとりでそんなになるもんかい」 男達は次々と息をつき、酒を煽っていく。しかしあなたにしてみれば、呆れたような声を出される筋合いはない この中にも交際中の者や愛妻家がいるというのに。調べはついているのだ 「いやぁ…まぁ…お前ほど入れ込んでるのは中々いないんじゃねえか…?」 異常者のように扱われて、あなたは不満ごと酒を流し込んだ。ついでにつまみもごっそりといただいた 26/01/21(水)22:16:04No.1394674597 >カンシアが悲しい顔をしています お姉様に盛ろうとするカンシア 「…。やめろー!ネーサは今のままが1番かわいいんだ!」 しかしS級冒険者のS級アイは見逃さなかった… あなたが一瞬ブルンブルンになったネーサを想像してちょっと止まってしまったことを 26/01/22(木)21:41:10No.1394942863 一頭の馬に二人で騎乗し、あなたとネーサは駆けている 思えば一度くらいやってみたかったのだ。女性を前に座らせて手綱を繰るやつを。あなたは夢が叶いとても満足している ネーサもまた、あなたに背中を預けて、馬の駆けるに任せるシチュエーションを楽しんでいる。WIN-WINなのだった 「風が気持ち良いわね…」 あなたやネーサが一度疾走すれば、風は壁となって立ちはだかる。それを強引に突き抜けるのは気持ち良い感触ではない 穏やかな速度というものは、それだけで良いものだ。美女が加われば完璧である 冒険の足として借りた馬であるが、素直に言う事を聞いてくれるのもありがたい。あなたはのんびりと乗馬を進ませる 「ん…なんだかお姫様になったみたい…」 そっとあなたへ向き直るネーサと視線を交わし、あなたは片手を手綱に残したまま、片手でネーサを抱き寄せる あなたにとってネーサは、いかなる姫君より大切な存在だ。今からネーサ姫とお呼びしたって良い 「もう…本気にしないで……でも、一度くらいなら…本当に呼んでくれる?」 馬上でしばし、愛しの姫君を褒め称え口説き続けた 26/01/23(金)21:12:48No.1395216912 あなたは騎兵であった。素早く敵に接近し、槍でもって上から突く。あるいは打ち据える あなたは冒険者である。騎兵を崩す経験は多く、騎兵として戦う経験は無かった 視界が広い!乗騎から見下ろす世界は拓けており、これは戦の指揮官が目立つのを承知で馬に乗るのも納得であった 「どう?残敵は見つかった?」 歩兵の役割を負っているネーサが、あなたに駆け寄ってくる。圧倒的な戦闘力のS級歩兵によって、ほぼ殲滅が成っている あなたは索敵中の旨を伝えると、馬を緩やかに繰り出す。将軍にでもなった気分であった 姫騎士ネーサを従えて、戦場を練り歩く妄想に浸りながら、あなたは手槍を投げ放った 狙い違わず、身を潜めていた敵を装甲ごと貫く 「指してくれれば、私が行ったのに」 将とて騎士ばかりに任せず、活躍したい…もとい、ネーサばかりに働かせるのも悪い あなたは頭の中の妄想を振り払い、現実のネーサと向き合った 「…それで?将軍さまの次の指示は何かしら」 恥ずかしい思考を暴かれてしまい、あなたは口をもごつかせた 26/01/24(土)01:33:16No.1395303768 ネーサから見て、恋人の心は読みやすいものだった 恋仲であるから、ではなく。いかがわしい妄想に耽っている時は、視線が定まらず緊張も緩んでいるからだ 果たして今、想い人の中でネーサはどんないやらしい仕打ちを受けているのか…架空のネーサに、ネーサは少し妬いた 寝取られたら寝取り返すのが女の意地、ましてや自分自身には決して負けられない。ネーサが恋人の手を取ると、まるで隙などなかったかのように応対が返ってくる 実際、緩んだ空気を纏っている時でも、冒険に支障をきたした事はないのだから さておき。現実に帰還したパートナーを手繰り寄せると、顔を薄い胸に押し付けて拘束する 「今日は頭の中でどんな風に私をいじめていたの?」 いじめるなんてそんな、と想い人はうろたえるが 「嘘。この前だって、私が好きと大好きしか言えなくなるまでしてくれたじゃない」 これから始まる、妄想を現実に起こす営みを思い浮かべ、ネーサは赤面しながらあなたを捕まえ続けた 「するなら妄想の私じゃなくて…ここにいる私にして。ね?」 26/01/24(土)21:54:11No.1395542300 今も昔も、地位を上げたり維持したりするには、書類仕事が欠かせない あなたは眉間を揉みほぐすと、懐から仕立てたばかりの眼鏡を取り出した 「わ、ぁ…」 眼鏡をかけた途端、ネーサは言葉を失ってしまった。眼筋の負荷が減ってスッキリした視界に、大きく目を開いたネーサの姿が映る しばらくの間、言葉もなく見つめ合う。幸いにも使用者のいない会議室であり、何をしているのかと横槍が入る事はない 「眼鏡、かけた、のね…うん…」 徐々にネーサの頬が色付いていく。考えてみれば、あなたもネーサが不意に眼鏡をかけたら、動揺した後興奮するだろう 同じように感じてくれているのなら、恋人冥利に尽きると言うものだ あなたは一旦書類を脇に避けて、ネーサの瞳へと距離を詰めていく 「わ、わっ、わっ…ちょっと、そんな、刺激が強いから…!」 顔を逸らそうとするネーサの頬を手で抑え込み、あなたは至近距離で眼鏡越しの視線を贈る ここが自宅であったなら、更に踏み込んで距離を失ってしまえたのだが 「うぅぅ……っ、だめ、もっと好きになっちゃう…!」 程々にして切り上げなければいけないのが、残念でならなかった 26/01/25(日)21:36:56No.1395880947 西に謎の怪物あらば、行って正体を暴き 東に未知の遺跡あらば、行って調査に励む B級ともなれば貴族の覚えよろしく、A級は国の一大事にも関わる。ではS級冒険者とは何か 知られざる事、人の世の目に未だ映らぬものを、その耳目でもって曝け出し、時には手足でもって立ち向かう者 「だから殆どのS級は、腰を落ち着ける様子が無いのよ」 という説明を、あなたはネーサから受けているのだった 速成の上位冒険者であるあなたは、S級に至る事とS級で在り続ける事の違いを把握し切れていない ネーサがあちこちへ冒険に行きたがるのは、多分に趣味を含んでいるが。同時にS級冒険者としての使命でもあった 冒険者の頂点とは、依頼を受けて動くのではない(受けない訳ではない)。冒険の中で結果的に世界へ貢献するのだ あなたはそのようなものでいられるだろうか 「気持ち一つで私に追いついた人が、何の心配をしてるんだか」 ネーサの手が、あなたの背中をぱしぱしと叩く 誰よりもネーサに認められている。それがあなたの不安を押し出してくれる 26/01/26(月)21:18:52No.1396160985 なんともフォーマルな紳士スーツ姿。しかしその着用者はネーサなのだった 全体的に細いネーサの身体の中で、ムッチリとした太腿がスラックスのラインを曲線に変えている 男性の装いだというのに、実に女性を感じさせる。あなたは生唾を飲み込み、鼻息だって荒くなった 「ど、どう…?変じゃないかしら…」 「完璧ですっ!!!!!!お姉様サイコーっ!!!!!!!」 あなたの褒め称える声を掻き消す勢いで、オトーの賛美が響き渡る しかし今回ばかりは責めるまい。ネーサのサイズに合わせたスーツを持ち込んだのはオトーなのだ この全身をピシリと上等な布で覆いつつも、貼り付くようなタイトさでスタイルの良さを際立たせている 職人技の如しだ… …あなたは不意に気付いた。あなたが交際する前から、して以降も今まさに、ネーサにこんな事をして楽しんでいたのか雌猫め! 「やーっと気付きましたか鈍亀男め!自分だけがお姉様の艶姿を知っていると思っている姿は滑稽で、あいたっ!?」 「あんまり悪い事を言わないの」 やあいざまあみろと、あなたは叱られたオトーを指差し、ネーサに頭を叩かれたのだった