ぼろん、と勢いよくこぼれた双球に男たちは下卑た野次を飛ばした。 白く、重たく、柔らかな肉の塊二つ、対照的な桜色の突端を重力に引かれて垂れて、 ぷっくりと盛り上がった乳頭は、まだ誰にも汚されていない未踏の花園である。 そんなものが腕自慢の女騎士様の服から飛び出できたのだから、上がる歓声もなおさらだ。 ――いや、より正確に言うならば、もとより彼女の乳房の大きさは知れていた。 谷間の深く見えた――ともすれば痴女かとも思われるような――服装は、 確かに腕甲や膝当てに、騎士らしき面影を見せてはいたものの、 隠されもしない“女”の部分は、それらの努力を容易く無に帰すのであった。 剣術指南役として呼ばれたからには、彼女は男たちに――ある豪商の私兵たちに、 その腕前を示さねばならなかった。ところが現実はどうだったか? 男と女の差があるとはいえ、膂力は彼女の方が圧倒的に上――魔法少女、という異能の者、 人ならざる力を与えられた存在が、そこらの有象無象に遅れを取ることなどあり得ない。 だが彼女の中身は、ほんの数月前まではそのような身に余る力とは無縁の立場であった。 友人や家族に隠れて、少女趣味な夢想に耽る、ごく普通の男子中学生―― その理想が詰まった、成熟した、妙齢の女の肉体は、ふとした折に他者から与えられたもの。 竜の血を引き、魔法の剣を操る女騎士の――といくら設定を並べ立てたところで、 それを操る彼自身に、剣術の心得などあるわけないのだから仕方がない。 高い身体能力にものを言わせた強引な太刀筋は、相手を殺す目的ならば十分すぎる。 しかしこと剣術指南、ともなれば一振りごとに弟子を殺して回るわけにもいくまい。 露骨な手加減は、あまりに不自然な隙を男たちの前に作り出した。 後は幾人かの“囮”が壁に吹き飛ばされるのを見た腕自慢が、彼女の不意を突くだけでよかった。 一太刀打ち込んだだけの男に対して、女の肌には汗の粒がいくつか浮いている。 だがその汗は彼らとの打ち合いによってのものではなく、こうして服を弄り回され、 胸に触れられ始めてからかいたものである――その証拠に、最も汗のたまりやすい谷間は、 男が後ろから両乳房を引っ張って開いて見せたときにも、さらりと乾いていた。 そして、男はなじる――こんなものをぶら下げているから、不覚を取るのではないですかと。 それを否定するのは簡単だった。事実、子供の頭二つ分の重石が付いているからといって、 その程度が邪魔になるような膂力も脚力もしていない――しかし否定すれば今度は、 純粋な剣士としての技量によって敗北したと認めることになってしまう。 その二律背反は、結局、男の好きなようにさせる、という消極的な前者の肯定に誘導される。 女の身を得て――そして戻れなくなって、見知らぬ土地で過ごさねばならなくなって―― 当面の課題は、騎士としての自分の生き様を肯定できるような場所の確保であった。 そのために、剣術指南役という地位はどうしても手に入れたいもの。 児戯に等しい彼女の打算を、男たちはあっさりと見抜き、口裏合わせを持ちかけて来たのだ。 大人しくあんたの弟子になってやるから――その代価は言うに及ぶまい。 男たちは女が抵抗らしい抵抗をしないのをいいことに、その大きな乳房が持ち上げられ、 落とされ、揺れ、暴れる様をにたにた笑いながら見ていた。 そして乳首がその無体によって、少しずつ少しずつ起き上がってくるのを見逃さなかった。 現に、初めは乳輪との間の段差も緩やかな隆起に過ぎなかったはずのものが、 男の親指に負けないぐらいの存在感で、ぷっくりと左右に起き上がってきている。 同時に、彼女の声も次第に甘やかに、汗臭い稽古場には似合わないような色気を纏い始め、 白く透き通った肌には、明らかに興奮に由来する赤が乗っていたのである。 教官殿の大きな荷物をなんとかして軽くして差し上げようと志願した健気な弟子は、 その重さが負担とならぬよう、懸命に、口端を歪ませながら手で持ち上げ、支える。 彼の執拗な――懸命な奉仕によって楽になったのか、女の口からはまた艶やかな声が出た。 男は優しくも、凛々しき女騎士様の声の乱れた原因を突き止めてやろうとする。 指は乳房と遊ぶのをやめ――そのまま、下へ。鼠径部の丸出しになった、下腹部へ。 谷間が覗くだけではない、股間さえ、陰唇を隠すのに足りる程度の横幅しか担保されておらず、 それは彼が本来住んでいた世界の――同じような年齢の少女が水練の際に着るような―― そんな色と、形をしたものだ。当然、太腿は視線から守られずに剥き出しであり、 尻も、金色の太い竜の尻尾が垂れているおかげで目隠しされているだけの、無防備な有様。 だから男の指は、その柔らかな尻肉と弾力ある腿と、薄っすら生えた陰毛とにすぐ届いた。 そしてそれらをすり、すり、と指の腹で撫で回し――彼女の初心に過ぎる反応から、 まだ誰の手つきにもなっていない、乙女であることを探り当ててしまう。 が、これも当たり前の話だ。元がこの竜の騎士の姿を与えられただけの一介の男子中学生、 それが自分の雌としての肉体をどこまで研究できるというのか。 いかにそれが己の理想の女体であるからといって――“外”も、“中”も、わからないことだらけ。 自分で乳房を揉むことすら恐ろしく、股間など排泄の際にしか触れたくない。 それらを使っての自慰など――男としての相棒の失せた今、想像もできなかった。 清らかな乙女の心身であり続けているのは、何も彼が高潔であったからではない。 ただ、使うだけの必然性と――相手がいなかったというだけのことである。 男は急に、胸と股間とを弄る手を止め、強引に彼女の顔を自分の側に向けさせた。 唇を奪い――これから、お前は俺たちのものになるのだと知らしめるために。 急に口腔に挿し込まれた彼の舌を、女は不思議と、何の抵抗もなく受け入れてしまっていた。 唾液を啜り取られ――酸素を奪われ、ぼうっとする頭の中のもやが、 単に肉体の発熱と酸欠によるものではなく、別の原因に由来するように錯覚される。 先ほど自分の剣を撃ち落とした彼は――こうして至近距離で見ていると、案外格好いい。 舌を絡めながら股間を指で擦られていると――頭の中に、びりびりと電流が走る。 次第に足の力が失せ、彼の胸板に倒れ込むようにもつれて倒れ―― ぷつん、と身体の奥に響いた大切な何かの断末魔で、ふと、少年は正気に帰る。 どうして僕は、こんなところで、男の人に押し倒されているのだろう―― その思考が後を紡ぐより先に、ずん、とより一層奥に、衝撃が届いた。 頭の中の電流はより強く、“僕”と“私”を混線させ、その区別をなくしていく。 男は娼館で抱いたどの女よりも大きな胸と整った顔をしたその雌にわからせてやるために、 ぐりん、ぐりん、と巧みに性器の角度を変えながら、本人すら知る由もない、 “いい”箇所を掘り当ててやり――そこが自分の弱点なのだ、と教え込んでいく。 電流はやがて火花となって、健全な思考を破壊し、肉体の声に正直となるよう彼を促す。 今は単なる一人の女なのだから――それに見合った生き様をすべきである、と。 気がつけば彼女に覆い被さっている男の顔は変わり、膣内はたぽたぽと水っぽい。 さらにまた彼の股間から垂れる白く粘ついた一筋は、彼女の股間へと伸びているのだ。 別の男が、当然のような顔をして彼女の身体を弄び始める――もう何人目かもわからないのに、 新たな男の指が乳房に触れると、再び電流が脳を焼く。膣内に挿入された性器は、 あたかも生まれて初めて受け入れたものであるかのように、未知の感覚を彼女にもたらす。 その繰り返しが、“彼”の残滓を少しずつ心の奥へ奥へと流し去っていき―― 代わりに、体の内から発せられる強い信号が、“彼女”を象っていく。 剣を振り終えた彼女は、汗を手の甲で握りながら弟子たちをじっと見た―― 男たちは期待に満ちたその視線に応えるように、にたにたと表情を崩して笑う。 昼は剣の師、夜は体の師――そんなふうに扱われることそのものに、彼女は悦びを感じていた。 自分の知らなかった、自分の身体の使い方を、嫌というほどに知ることができた。 その結果もまた、彼女の下腹部に生っている。誰の種かを特定することは不可能だ。 絶世の美女から剣の手ほどきを受け、その体を好きなだけ味わえるとなれば、 彼女の雇い主の私兵に志願するものの増えたのも、また道理である。 彼らもまた、好き勝手に師の肉体を弄び――胎内に熱を吐いた。 手慣れた風に、背後に経つ男が舌を絡めながら、彼女の乳房をこね回す。 突端の桜色は既になく、黒く、下品に染まり果てた凹凸が見えるばかりである。 胸に指が沈めば、幾筋もの白い噴水が如雨露めいてぷしゃあと噴いて、床を濡らす。 母乳でべとべとになった胸をお手玉めいて投げ遊んでいた手は下に降り、 ぼってり膨らんだ腹を撫で回す――一際目立っている、その臍も同じように。 そこに生命がいるのだ、と彼女に何より強く意識させるためのこの儀式は、 すればするほど、自分が既に一人の女でしかないという背徳的な悦びを彼に抱かせるのだ。 そして――尻たぶに押しつけられた、火箸のように熱くなった雄の性器の頼もしさよ。 臨月の胎に、ずぶずぶと槍が沈んでいく――女の口からはごく自然に蕩けた声が奏でられ、 多くの弟子たちの耳を喜ばせ、股間を刺激し、何本もの新たな槍を彼女の視界でおっ立てる。 だが、その本数全てを数え切れたことは今まで一度もない――途中で必ず気をやって、 自分が誰と交わっているのかさえ、見失ってしまうからだ。 それでも、女は満たされていた――騎士としてのあり方と、雌としてのあり方、 その両方を求められ――溺れ続けていられるのだから。