「はぁっ。とりあえず、的はこれでいいかな。」 昌宏が缶ジュースを一本一気飲みし、近くの切り株の上に置いた。 「マトにしては少し小さいのではないか?」 というワレの疑問に、ヤツは 「そこはソーラーモンが頑張って狙ってよ。的が大きすぎたら実験にならないじゃん。」 と、なんでもないかのように言いおる。全く…結局はワレが苦労することになるのだな…。 「あとはー…そうだ、カメラ立たせないと。なんか固定できるやつあったかな…」 「別にそれは貴様が撮ればよかろう?」 「俺はクロスローダーで数値見てないといけないし。ちょっと探してくる」 そう言い、昌宏は皆が居るキャンプの方へと戻っていった。 ───────── 今、ワレや昌宏達が滞在しているのは、海に程近い森林エリアであった。 キャンプの方から子供達の喧騒がわずかに聞こえてくると共に、海風が吹きつけてくる。 全く不快な物だ…湿っている上に塩分を含んでいる。ワレのような機械系デジモンにとっては恐怖ですらある。 しかし…デジタルワールドに漂流してからしばらく経つが…全くワレらは何をすれば帰れるのであろうか。 皆割と逞しく生きている上、楽しそうにやっているせいで忘れそうになってしまうが、あやつらは皆子供だ。 家に帰りたい者もきっと少なくないはずである。そういえば昌宏もそんなことを言っておったことがあったな。 『あー…早く現実世界に帰りたい…今どんなプラモ出てるんだろ…』 『メガネ拭きの残りがあと15枚しかない…帰って補充したい…』 …こやつはきっと大丈夫であろうな。 そもそも昌弘のやつ、こちらに来てから随分と楽しんでおるようだしな。 日影…確か苗字は財前と言ったか。昌宏は大っぴらにしているつもりは無いらしいが、あやつが日影のことを好いておるのはワレにも周りにもバレバレである。なにも隠せておらぬ。 まっこと好みのわかりやすいやつである… それにセヨン。最初は昌宏はこやつのことを好いてはおらなかったようだが、彼女はなかなかどうして献身的な人間であった。 今から試そうとしているこのデッカードガンも、元はあやつらが調達してきたジャンクパーツで作ったものである。 そんなことのおかげもあるのだろうが、最近では昌宏もセヨンのことを憎からず思っているようである。 共に幾度か戦っているし、ワレだってあやつらのパートナーデジモンとデジクロスしておる。信頼関係はどちらとも十分であろう。 ワレとしては昌宏がどちらとくっつこうと一向に構わぬが、有機生命体の繁殖方法を考えると、両方選ぶのが効率的であろうな。 しかし… 「あやついつまでワレを待たせる気であるかーッ!!」 ───────── 結局、ヤツが戻ってくるまでゆうに10分はかかりおった。 何?ワレがせっかちだと言うか?ならば貴様もデジタルワールドの森の中に、進化もできぬ状態で放置されてみるが良い。5分で音をあげるであろうよ。 「遅かったではないかマサヒロ。良さげなものは見つかったのであるか?」 「うーん…一応スタンドはあったんだけど…これだとアングルがなぁ。」 昌宏が持ってきたのは簡易的なスマホスタンドであった。 撮れなくはないだろうが…これではアングルが調整できぬな。 「じゃあ…僕が撮ろうか?」 どこからともなく響いた、抑揚の薄い声。 「静弦!?なんでここに!?」 その声の主は、ケープを羽織った細身の眼鏡の少年、霧島静弦であった。 こやつとワレらは以前戦闘になったことがある。その時昌宏のやつが上手く事を収め、今では仲間とまでは言えずとも、敵ではない関係性になっていた。 昌宏の言葉を借りるのであれば、『メガネ友達』と言ったところであるな。 「別に……たまたま近くを通っただけ。」 「撮影ならこの私にお任せを。」 ヤツのパートナーである、キャメラモンがこちらに進み出る。 成程。確かにカメラアプリのアプモンほど撮影に優れた者はおらぬわな。 「そっか、じゃあおねがい!」 そう言った昌宏に、静弦が片手を出す。 「……?」 「……報酬。」 「はぁ…またメガネ拭きで良い?」 無言で頷く静弦の手に、昌宏はメガネ拭きを一枚載せる。 「……もう一声。」 「いくつ欲しいんだよ」 「…5。」 「もう残り少ないんだよ…そんなに出せない。一枚だ。」 「5枚。」 「一枚。」 「5枚。」 しばらくそんな押し問答が続く。 「……わかった、二枚。」 「4枚。」 「二枚。」 「4枚。」 またしても続く押し問答。 …ワレは一体何を見せられているのだろうか。 「はぁ……三枚。」 「…わかった。」 最終的に昌宏が折れ、話がまとまったようである。 これだけのことを何分話しておるのやら… ───────── 「よし、じゃあ起動から。撮れてる?」 昌宏の問いに、静弦が無言で親指を立てる。 「リペアⅢユニット、起動!」 左に鉄爪が現れ、右手に銃を携える。この姿こそが… 「ブートアップ!ソーラーモンリペアⅢ!」 ワレの新たなる姿である。 「早速試射といこうではないか。出力はどうする?」 「とりあえず一番絞って。まずはちゃんと撃てるか見たい。」 撃てるか怪しいものをワレに使わせないで欲しいものだ… まぁ昌宏のことだ。セヨンの銃も作っておるし、流石にそれは大丈夫であろう。 あやつの言う通りに銃を調整し、的である空きカンに照準を合わせる。 そして────撃つ。 デッカードガンは仕様上、発射時に音はあまりしない。 音がするのは標的に当たった時である。 辺りは先ほどのように静まり返り、風に乗って潮騒と子供達の喧騒が聞こえてくるのみ。 つまりは… 「外した…ね。」 撃ち損じた、と言うことになる。 「ちょっとソーラーモン、ちゃんと狙ってってば〜」 「ソーラーモンリペアは射撃…下手なんだ。」 「マサヒロもシズルも貴様ら二人揃ってやかましい!そもそもワレにはそう言った機能がないのであるわ!」 ニンゲンがFCSと呼ぶモノ。銃使いのデジモンはそう言ったモノに近い力を生まれ持っている。 ワレには当然そんなものはない。これでも頑張って狙っているのだ、少しは大目に見てもらいたいものであるな。 「キャメラモン、今の映像見せて。」 「了解しました。貴方のクロスローダーに先ほどのデータを送ります。」 ヤツが撮っていた画像には、デッカードガンから弾丸が撃ち出される瞬間も、ワレが的を外す瞬間もしっかりと記録されておった。 …改めて見せられると、恥ずかしいやら腹立たしいやら、なんと言って良いのかわからぬものであるな。 「射角が5度ぐらいズレてるね。……もう少し右に寄せた方がいいよ。」 「…とりあえず撃てるのはわかったわけだし、次は出力あげてみるか。」 「任せろマサヒロ。今度こそ撃ち抜いて見せるわ。」 ワレは再び銃を構え、先ほどの静弦の話も考えながら慎重に照準を合わせる。 今度は出力を絞る必要はない。遠慮なくパワーをあげてやろうではないか。 「ちょっ…これ大丈夫かな!?」 パワー全開にしているせいか、デッカードガンの銃身にバチバチとイナズマが滾り始めている。 「問題ない!このまま撃つ!!」 そんなことは物ともせず、ワレはエネルギーを解き放った。 次の瞬間、先ほどとは違い弾丸が風を切る音や、何かが爆ぜる音が周囲に響き渡る。 「…缶はどうなった!?」 切り株の上に載せられていた的は微動だにしていなかったが、大穴が空いていた。 それだけではない。その延長線上の木が砕け散っておる。 それがこのデッカードガンによるものであることは、映像を確認するまでもなかった。 ━━━━━━━━━ デッカードガンの最大威力は、俺が思った以上のものだった。 誘導加熱で熱せられた弾丸によって焦げた木の匂いが、周囲に薄く漂っている。 「見事ではないかマサヒロ!これだけの威力であれば成熟期…いや、完全体でも倒せるかも知れぬ!」 驚嘆、恐怖、昂揚、疑問、色々な感情が混ざり合って、はっきりと声がでない。 「成程、素晴らしい威力ですね。貴方がこれを?」 「ああ…うん。」 キャメラモンの質問に上の空になりながら答えて、俺は考えの整理を始める。 木が砕け散っているのに、的にしていたジュースの缶はどうして穴が空いただけで吹き飛ばなかったんだろう? それがまず気になった。 先ほどの録画データを確認してみると、弾丸が当たった瞬間、缶の表面が曲がるより先に弾が突き抜けている。 力が一点に集中したからこうなったのかな? もう少し考察したいところだったけれど、周囲の状況はそうはさせてくれなかった。 「なんであるかこの地鳴りは!?」 ゴゴゴ…と、撃ち抜かれた木々の先の方から地鳴りがする。 嫌な予感がする…こう言う時って大体戦闘になるんだよな… 「危ない!」 キャメラモンが叫んだその瞬間、地鳴りの元が、赤い光線を撃ちながら土中から姿を表した。 「なにあれ!?」 教科書や博物館で見たことのある姿… 「あれはまさか…シャッコウモンではないか…!?」 「あんな土偶みたいなデジモンいるの!?」 「うむ…確か銀色に輝く体をしていると聞いた気がするが…あれは完全に…土であるな。」 そのシャッコウモンは地中にいたからなのか全身が茶色で、本当に土偶にしか見えない。 「さっきの一撃で起こしてしまったようですね。」 「はぁ…そのようであるな。あの様子では戦いは避けられぬと見える。キャメラモン、貴様らも手伝え。あやつを倒すぞ。」 そうソーラーモンたちが話している間にも、シャッコウモンは木々を薙ぎ倒しながらこちらへと向かってくる。 「えー…報酬…」 「このまま何もしなかったらお前らもシャッコウモンの餌食だぞ静弦。」 「……それもそうか。アプモンチップ、レディ。」 タダ働きに不満げな様子ではあるものの、静弦はアプリドライヴを取り出してサイドのボタンを押した。 〈アプリンク!〉 そんな音声が鳴るとカバーを下げ、彼はキャメラモンではないもう一枚のチップを装填してそれを戻す。 〈キャメラ!ショット!キャメラ!ショット!キャメラ!ショット!〉 だんだん早回しになる音声をバックに、二体のアプモンのプラグが合体して一つになっていく。 〈3!2!1! アァプ合体ぃ!スコープモン!!〉 「いくよ、スコープモン。」 ……この前戦った時は最初からスコープモンだったからわかんなかったけど…静弦のデジヴァイスってうるさいんだなぁ… ───────── 「よし、俺たちもやろう!」 「うむ!」 意気揚々とデッカードガンを構えたソーラーモン。しかし… 「うん?」 弾が出ない。 「ウソだろ…さっきので壊れちゃった?」 「いや、不良の類ではなさそうであるな。単純に先ほどの一発でエネルギーを使い果たしたようである。」 「マジか…」 せっかく実戦で使えると思ったのに… トライデントアームCで接近戦を挑むのも怖いし…進化するしかないな。 「だったら進化だ!」 「今回はまともに戦えるデジモンに進化できると良いのぅ?」 ヌメモンとかの微妙なデジモンに進化してしまわないことを祈りつつ、俺はクロスローダーを構える。 すると、進化する前にクロスローダーに何かが表示された。 「…なんであるかそれは?」 「なんだろう…進化メニュー…って書いてる。」 その表示には今までにソーラーモンリペアが進化してきたデジモンのリストと共に、こんなことが書いてあった。 『マサヒロクンのために、ちょっと便利なプログラムを書いてみたよ♡選んだデジモンに確実に進化…とまではいかないケド、75%ぐらいは進化できるようになってるはずだから、使ってミテネ! Byセヨン』 「…だって。」 「ふぅむ…セヨンの奴、やはり献身的であるな。」 「早速使ってみるか…ソーラーモンリペアⅢ、メカノリモンに進化だ!」 「よしきた!ソーラーモンリペアⅢ進化ァァ!!」 クロスローダーから発せられた光がソーラーモンのボディに集まり、各部が展開しながら巨大化していく。 デッカードガンとトライデントアームCも組み変わって巨大な腕と武器になり、脚部はがっしりとして、背中には大型のバックパック、両肩には四角いミサイルランチャー。 …なんか俺の知ってるメカノリモンと違うな? 「失敗…ではないようであるが…なんであるか、この姿は?」 「おおむね…メカノリモンだとは思うんだけど…追加武装が進化に影響したのかな?」 「なるほど、貴様の好きな専用機と言ったところか。」 専用機、テンション上がる良い響き! 「じゃあ名前も新しくしなきゃ!そうだな…スタークメカノリモン!これにしよう!」 「悪くないではないか。乗れ、マサヒロ!」 スタークメカノリモンの片腕に足をかけ、上のハッチまで運んでもらって中に乗り込む。 「すごい…前のメカノリモンと全然違う!」 視認性が段違いの高画質なモニター、なぜか3本もあるレバー、武器の表示がなされたタッチパネル。 テンションが限界を超えてまだまだ上がっちゃうよこんなの!! 「じゃないや…えっとこう言う時は…すごい…5倍以上のエネルギーゲインがある…」 「だから何に比べての5倍であるのだそれは。」 「こう言うのは言わなきゃだめなの!」 コンソール部分を見てみると、クロスローダーを接続する部分がある。 俺はもちろんそこに自分のクロスローダーをセットし、意を決して操縦桿を握った。 「やはり…動くか」 「当たり前であろうが。さっきからこうして喋っておるわ。」 いちいちツッコミ入れやがって…良いじゃんこれぐらい! 「さっさと行くぞマサヒロ!」 「わかってるって!」 俺はペダルを踏み込み、思い切りバーニアをふかした。 「──────ぐぅっ!?」 一気にGがかかり、全身がシートに押し付けられる。今までのメカノリモンの性能では得られなかった感覚だ。…っていうかこの操縦席固い! 「シャッコウモンに接近!スコープモンの攻撃に巻き込まれるでないぞ!」 左の操縦桿を思い切り押し込み、クローアームで敵を鷲掴みにする。 「うぅっっ!」 それに争うシャッコウモンの反抗がダイレクトにコックピットまで伝わり、思わずうめき声がもれる。 「大丈夫かマサヒロ!」 「問題ない!それより右腕のこれ、レールガンだよね?撃ち込んでやろう!」 今度は右の操縦桿を操作して銃口を相手に突きつけ、レバーを握って射撃する。 『━━━━━!!?!!!』 シャッコウモンがうめくような動きをして身体を震わせる。効いてるみたいだ! 「よし、このまま投げ飛ばしてやろうぞ!」 「ああ!」 クローアームで相手を投げ、さらに追撃でレールガンを撃つと、そこにスコープモンも追撃で何発か撃ち込む。 その隙にコンソールへ目を走らせると、そこには”アームズアップ”と言う表示の表示があった。 デジクロスでデジモンを取り込んで武器にすることに特化した機能…よし、使ってみよう。 「スタークメカノリモン、静弦に通信繋げられる?」 「やってみよう………できたぞ。」 「静弦、スコープモンちょっと借りて良い?」 「借りる…どう言うこと?」 「やればわかる!アームズアップ!」 スタークメカノリモンの体からクロスローダーと同じ光が発せられて、スコープモンを引き寄せる。 レールガンにいくつものスコープが追加されて、そこから伸びたコードが背中に接続される。 「なるほど、デジクロスのようなものであるか。」 「デジクロス…アプ合体と似ていますね。」 コックピットに二人のデジモンの声が響く。ちょっと気が散るかもな… 「シャッコウモンと距離がとれてる今のうちに!」 スコープモンの力に影響されてか、コックピットに銃型の操縦桿まで降りてくる。 かっこいいけど…こんなに操縦桿あったら操作性が… 「狙い撃つぜ!」 シャッコウモンに向け、強力な射撃を何発も叩き込む。 「流石にしぶとい…!」 しかし相手はなかなか倒れない。進化してるしさっきのデッカードガンの射撃より強いはず。なんでまだ倒れないんだ…! 『━━━━━!!!!』 シャッコウモンもただ撃たれているばかりではない。両腰から円盤上の攻撃端末を発射し、俺の背後を狙ってきた。 とは言っても、それを大人しく喰らうわけはない。 「ミサイル…発射!」 撃ち落としてやろうと、俺は両肩のミサイルを乱射した。 しかし、俺はそれに夢中になってしまっていた。 「ぐぉぁぁぁっっっ!!!?!?!?!!!」 両目からまたしても発射された赤い破壊光線。 それに気付くのが遅れて回避行動が取れなかった。 直撃をモロに受け、遠く吹っ飛ばされる俺たち。 「マサヒロ!大丈夫か!!マサヒロ!!!」 吹き飛ばされる勢いで機体は大きく揺れ、俺はもみくちゃになる。 内臓がひっくり返されるかのような感覚。痛ってえ…頭ぶつけたかも… 目の前が光ったような気がして、急に眠気が襲ってくる。…違う。眠いんじゃない…これ…意識が─────── ━━━━━━━━━ 「起きろマサヒロ!起きろ!」 シャッコウモンの光線を受け、ワレは大きく吹き飛ばされた。 中に乗っていた昌宏は気を失ってしまったらしく、答えない。 まずいことになった…メカノリモンは乗り手がいてこそ真価を発揮するデジモン。ワレ一人では戦えぬ…! シャッコウモンは浮かんで静かに接近しながら、次の光線をチャージしている。このままでは…そうだ! 「シズル、聞こえるか!」 「……今の、大丈夫だった?」 「ダメだ、マサヒロが気絶しおった!」 静弦と戦った時、あやつはスコープモンから制御を奪って自分で射撃をしておった。 今のワレはスコープモンをアームズアップしている。同じことができるはずである。 「今からワレのレールガンの制御をお前に渡す!ヤツを撃ち抜けるな!?」 「…任せて。」 静弦のアプリドライヴを介し、右腕が動き始める。 信じるしかない。 「出力最大……今!」 間近に迫ったシャッコウモンに向け、この体のエネルギー全てを乗せた一撃が放たれる。 それは昌宏がクローアームでつけた胴体の傷に直撃し、やがてコアすらも撃ち抜いた。 土塊に還るように、はらはらと崩れていくシャッコウモン。 その様子を見ながら、エネルギーを使い果たしたワレの体がソーラーモンリペアに戻る。 気絶している昌宏に何か声をかけてやろうかと思ったが…しまった…ワレも…比喩ではなく……全てのエネルギーを…出し切ってしまったようであるな………気絶しそうであ…る───────── ━━━━━━━━━ 「──────ん…」 目を覚ますと、俺はキャンプに寝かされていた。 シャッコウモンに吹っ飛ばされてからの記憶がない…気絶したのか?生身はやっぱり弱いな… 「痛った…!」 身体を起こしてみると、身体のあちこちが痛い。特に頭。クソ…アイツ乗り心地悪いな… 「まったく、マサヒロってば無茶するのにゃー。」 声のした方をみると、そこにいたのはキュートモン。 ……まだ寝ぼけているのか頭を打ったせいか、キュートモンが二重に見える。 「マサトも心配してたわよ?」 違う、本当に二人いるのか。 多分、最初に声をかけてきた方が涼夢の、次に声をかけてきた方がマサトのキュートモンだ。 「…シャッコウモンは?」 「ワタシたちが駆けつけた時にはとっくに倒されてたわよ。アナタがやったんじゃないの?」 メカノリモンだけでやった…のは考えにくいし、静弦がどうにかしたのかな? 「ソーラーモンリペアは?」 「ワレならここだ。」 枕元に置かれていたクロスローダーから、若干ダルそうな声が流れる。 「次に戦う時は、もうすこし戦法を練っておくべきかも知れぬな。」 「同感。」 「ま、ワレはしばらく傷を癒やさせてもらう。お前も休め、マサヒロ。」 「そうする。」 再び寝転んで、もう一度寝てしまおうとしたのも束の間、 キュートモンのどっちかが目を覚ましたことを伝えたのか、しばらく俺は眠る暇もなく、仲間たちの見舞いを受けることになったのだった。