「……愛音ちゃん」
「はーい、なんですかお嬢様」
︎ ︎最近は週に半分くらいそよりんのお家で過ごしている気がする。そよりんの家はお母さんがあんまり帰って来れないからそよりんは人の温もりに飢えているみたいだから、私によく泊まってほしいとお願いしてくる。
︎ ︎いや、直接は言葉にしないんだけど帰ろうとすると「もう帰るの？」とか言ったり寂しそうな目をするから泊まっちゃうんだよなぁ。そよりん、普段は大人っぽいのに変なところで子どもらしさを見せるから参ってしまう。
「……私だって、愛音ちゃんのこと、偉いと思ってる」
「あははっ、どうしたの急に。そよりんの想いはちゃんと伝わってるよ」
︎ ︎私の膝にぽす、と顔を埋めながら呟くそよりんに笑いながら返す。きっと褒めてる顔を見られるのが恥ずかしいから、なんて思いで埋めてるんだろうけどこっちの方が恥ずかしいと思うんだけどなぁ。それを指摘しちゃうと拗ねるからなにも言わずに頭を撫でてあげる。私もロングヘアだけどそよりんのロングヘアの方が好き。さらさらとしていながら軽くて手触りが良いんだもん。羨ましいなぁ。

「りっきーはさぁ、そよりんのことどう思う？」
「なに急に。どうって……まぁ、Mygo!!!!!に必要な存在だと思ってるし、なんだかんだ面倒見良いよな」
「あー、そういうのじゃなくてさ。面倒くさくない？って」
︎ ︎RINGのカフェ。今日は練習もないからりっきーもバイトしている。こういう日はカフェに来てバイト中のりっきーに絡むのが楽しいんだよね。
「面倒くさいってお前……そよは彼女なのにそんなこと言うか？」
︎ ︎はい出ました、りっきーの呆れた目〜。最初の頃はなんなの！？ って思ってたけど今ではすっかり慣れちゃったなぁ。
「彼女だから思うんだよ〜」
「まぁ……そよは落ちる時は落ちるからなぁ」
︎ ︎コップを拭く手を止めながらりっきーは言う。流石りっきー、よく分かってる。そよりんは定期的にヘラるから私とりっきーでお家に訪問したりするもんね。最近は彼女のお前が行けって一人で行くことが多いけど。
「そこが可愛いんだけどさぁ、そよりんって寂しがり屋だし……ほら、見てこれ」

そこでふと思い出してスマホを操作してSNSのあるアカウントを見せる。
「ん？ ……なにこのポエム」
「そよりんの裏アカ」
︎ ︎映っているのはシンプルな青空のアイコンのアカウント。並んでいる言葉は思わせぶりな単語だったり、やたらポエミーな文章。見る人が見ればそよりんっぽいなってなるんだけど……りっきーはうわぁ、って顔してる。うんうん、分かるよ。
「これとかさ、私がどうしてもって用事があるから帰ったあとの投稿」
「えーっと……『はぁ…こんなに想ってるのに届かない』……大袈裟な」
︎ ︎投稿されたポストを見たりっきーはため息を吐いてそんなことを言う。なにを失礼な、ちょっと会えないだけでこんな風にヘラるそよりんが可愛いんじゃないのさ。
「で、こんな状態の彼女置いて帰ってなんの用事だったの」
「えっ、用事なんかなかったよ」
「はぁ！？」
︎ ︎あっけからんと言うとりっきーの驚いた声とコップが落ちるガシャン！ という声。うわ割れたんじゃない？ と覗き込むけど割れてないみたいで良かった。

「お前……それそよは知ってるの」
「知るわけないじゃーん。私はヘラってるそよりんの投稿見てたよ」
︎ ︎りっきーが信じられないものを見る目で私を見てくるけど心外だ。そよりんは甘やかすだけじゃなくて突き放すと自分が捨てられるんじゃないかと不安になって幼い子どものようになるんだからそこが可愛いの。私へ直接連絡するのは迷惑になると思って控えてるけどSNSはいっぱい更新されるからそれを見るのがすごく興奮してしまう。ちなみにだけど、そよりんの投稿はよく消されるからスクショをして保存している。これは内緒にしておこっと。
「はぁ……なんでもいいけど、バレないようにしてよ。痴話喧嘩で練習に支障が出るとか笑えないから」
「はいはい、分かってますよ〜。それじゃあそろそろそよりんから催促のメッセ来る頃だし行こっかな。りっきーお会計〜」
「600円な」
「えっ普段より高くない！？」
「私の従業員割引適用してたけど変な話聞かされたから定価」
︎ ︎えーと抗議の声あげるけど頑として拒否るりっきーに負けてお金を払う。ちぇー、ケチ。

「愛音ちゃんちょっといい？」
「んー、どしたのそよりん」
︎ ︎そよりんの家のソファってふかふかで気持ちいいんだよねぇ。なんて思いながらスマホを見てるとやってきたそよりんが話しかけてきた。言い方からしてお小言かなぁ、なにやらかしたっけ。
「食器を洗ってくれるって言ったけどまだしてないよね」
︎ ︎あー……そういえばそんなこと言ったっけ。そよりんが出かけなきゃいけないからって私がやっておくよって申し出たんだった。結局その後眠くなってソファで寝てからごろごろしてたらこの時間になっちゃってたけど。
「ごめんごめん、今からやっておくから」
「はぁ……帰ってきて晩御飯作ろうとしたらお皿が溜まってて、しかも水に漬けてないからカピカピになってるのを見た私の気持ち分かる？」
︎ ︎細かいなぁ、食洗機あるけどそよりんあんまり使わないんだよなぁ。そしてこうなったそよりんは長いし。
「愛音ちゃんはいっつもそうだよね。やってくれるって言ったのにやらないし、その癖どうでもいいサプライズとかは張り切るし」

︎サプライズは大事でしょ！？ 記念日大事にするのはそよりんもだし、お祝いしないと不機嫌になるじゃん……それ言ったら面倒くさいからなにも言わないけど〜。
「……黙ってないでなにか言ったらどう？」
「ほらそんな怒ったらそよりんの可愛い顔が台無しだよ？ 笑顔笑顔！」
︎ ︎︎ ︎自分の頬っぺたに両手を当ててにこっ！ と。パスパレの彩ちゃんがやってたみたいにしてみたけどそよりんは気に入らないか〜。顔がすっごい怖い。うーん……こうなったそよりんは長いし……あ、あれやろっと！
「愛音ちゃんはいっつもそうやってふざけて誤魔化そうとして……大体私がいつもどんな思いで愛音ちゃんのことを」
「あー、分かったからさ。一旦冷静になるために会うのやめない？」
「……は？」
︎ ︎お、そよりんびっくりしてる。そりゃそうだよね、私にそんな風に反撃されるなんて思ってないもんね。
「今そよりん頭に血が上ってるしさ、私もちょっとイライラしちゃってるからさ。帰るし……あー、1週間くらいでいっか。バンド練習の時だけ会う感じでよろしく」

「今そよりん頭に血が上ってるしさ、私もちょっとイライラしちゃってるからさ。帰るし……あー、1週間くらいでいっか。バンド練習の時だけ会う感じでよろしく」
︎ ︎それだけ言うとそよりんが呆気に取られている間に荷物をまとめて出ていく。普段は「またね」だけど、今日は「じゃあね」と声をかけて。わざとらしく扉を閉めれば自然と鼻歌が漏れ出てしまう。
「あ〜……さっきのそよりん可愛すぎ。写真に撮りたかったなぁ。けどあそこでスマホ向けるのは無理だしなぁ……ま、いいや。そよりんのお部屋にはカメラ仕掛けてあるし後で堪能しよっと」

「……愛音ちゃん」
︎ ︎音のしなくなった部屋で一人呟く。愛音ちゃんが出ていったら一気に部屋の中の温度が冷えたみたいで体が震えてくる。どうしよう、愛音ちゃんに嫌われちゃった？ 捨てられる？ そんな思いが溢れ出てきて、視界がぐらぐらとしちゃう。
「…………」
震える足をなんとか動かして自分の部屋まで戻る。元々は一つの枕しかなかったベッドにある二つの枕。片方は愛音ちゃんの使ってるそれに顔を埋める。同じシャンプーやトリートメント、ヘアオイルを使っているのに爽やかな香りがする。ここに愛音ちゃんの名残を感じる。
︎ ︎どうしてあんなに怒っちゃったんだろう。そこまで怒る必要なかったのに、何故かカッときちゃって……それで感情的になってしまったから。
「ごめんなさい……」

「あぁ、いいよそよりん……それが見たかったの」
︎ ︎スマホの画面に映る落ち込んでいるそよりん。高いカメラにしたおかげで映像はくっきりと見えるし音声まで届けてくれるからよく分かる。我慢できなくて公園で見ちゃったけど、ここで見て正解だったなぁ。こんな姿のそよりんを見られるんだから。
「あのちゃん……？」
︎ ︎突然声をかけられて慌ててスマホの画面を消す。この声と呼び方はともりんか……危なかった、こんなの見られたらビックリさせちゃうもんね。
「どしたのともりん？」
「ぁ……石探してたら……あのちゃんが、スマホ見てすごい顔してたから……」
︎ ︎えっ。あちゃあ……表情に出てたかぁ。でも見られたのがともりんで良かった。これが楽奈ちゃんとかだったら勘が鋭いし怪しまれたかもしれないもん。

「いやー、ちょっと新作のブランドの広告映像見てたら嬉しくなっちゃってね！」
︎ ︎ともりんならこういうのに興味無いし、こう言っておけば大丈夫だよね。と思ったんだけど……
「私も……私も見たい……！」
「ぇっ」
︎ ︎なんで！？ 普段興味無いじゃん！？ あー……やっばい、どうしようかな。こうなったともりんは結構頑固だし……逃げるしかないかな。
「ご、ごめんともりん！ お母さんから早く帰ってこいって言われちゃった！ またね！」
︎ ︎
︎ ︎「ぉぁ……さっきの、そよちゃんだったよね……」

「はー……ともりんあれ気付いてそうだったなぁ」
︎ ︎帰ってきてベッドに寝転がりながら呟く。まさかあんなところでともりんに会うなんて思わないじゃん。録画してたんだし家まで我慢すれば良かったなぁ……うーん、まぁ今考えても仕方ない……か。ひとまずそよりんの様子を見ようかな、っと。
『愛音ちゃん……』
︎「はーい、愛音ですよ〜」
︎ ︎私の枕を抱えながらスマホを見てるそよりん。なに見てるのかな〜、気になるけど流石にそこまでは見えないか。SNSは……あれ、まだ更新されてないや。となると写真でも見てるのかな、そよりんってば私とは写真撮らないってスタンスなのに私が撮ろうとすると拒否らないし送っておくと多分保存してるんだよなぁ。うーん可愛い！
『ごめんなさい……戻ってきて……』

「それは難しいかなぁ、愛音ちゃんもそんな軽い女じゃないんで」
︎ ︎一日目でこれだと一週間なんて耐えられるのかな……流石にやばそうだったら途中でやめてあげよう。私だってそよりんを傷付けて楽しみたいわけじゃないんだから。
︎ ︎えっ、今が苦しめてるだろうって？ あはは、そんなことないよ〜。
────


「練習お疲れ様！」
「お疲れ……愛音、ちょっといい」
「どしたんりっきー？」
︎ ︎そよりんの家から出ていって4日後、バンド練が終わって私に話しかけようとするそよりんを無視しながら帰ろうとするとりっきーに呼び止められた。流石にこんな露骨だと気付くよね。
「そよとなにかあったでしょ」
「あー……その話ならここじゃなんだしうちでいい？」
︎ ︎そよりんの方をチラっと見ながらりっきーを家に誘う。そよりんに聞かれたらやばいのは本当だし、RINGだと近くに隠れられたら聞かれちゃうかもだしね。それに……りっきーを家に誘えば嫉妬心も煽れるもん。

「はいどうぞ、コーヒーでいいよね」
「ん……で、なにがあったの」
︎ ︎コーヒーに口をつけずに話をするよう促すなんて、せっかく淹れてあげたのに酷いなぁ。そんな風に思いながら私は自分のために淹れたコーヒーを飲む。
「燈に聞いた」
「……なにを？」
「愛音、公園で動画見て笑ってたんでしょ。燈はそれにそよが映ってたって言ってた」
︎ ︎思わず舌打ちしそうになったのを堪える。そこまでバレてたうえにりっきーに相談するなんて。しくじったなぁ。
「愛音、練習に支障が出ないようにしろって言ったよね」
「ちゃんと練習してるじゃん」
「そよが明らかに集中できてないしミスも多いんだよ、燈だって愛音が隠し事してるんじゃないかって不安がってる」
︎ ︎はぁ……ともりんはともかくとしてそよりんはちゃんと練習しなよ。一週間って期限決めてるんだしさ。

「ちょっと喧嘩しちゃっただけ。今はお互い冷却期間ってことで距離取ってるだけだから」
「……動画の件は？」
「そよりんとの思い出を見返して思い出し笑いしただけ、楽しかったなぁってりっきーだってあるでしょ？」
︎「……信じていいんだよな？」
「もちろん！」
︎ ︎疑惑の目を向けるりっきーに胸を張る。やましいことは……まぁしてるかもしれないけどさ、そよりんを愛する気持ちは本当だから。
────
「そよりん、ごめん！」
︎ ︎結局あの喧嘩から5日、私はそよりんのお家で彼女を抱きしめていた。5日も可愛いそよりんの姿を見れて幸せだったなぁ、その分たくさん可愛がってあげないと。
「愛音ちゃん……私こそごめんなさい……」
「ううん、私が悪かったの。そよりんの気持ちを考えずに……もうあんなことしないから！」
︎ ︎本当だよ、もうお皿洗いを忘れたりはしない。だからもっともっと、可愛い姿を見せて。私がいないと不安になって、私に捨てられたくないって縋り付いて、生活の全てに私を感じて？


終わり

なにこれ

長い
3行で

AIでも使って書いたんかってくらいキャラの特徴が潰れてるな

あのそよガイジ…

自炊頑張る

何がおもろいねんこれ

どっかで見たことある死ね

なんか賛否両論だな…

粘着キチガイが立てたスレじゃないならちゃんと管理しろ
しないなら感想は言わん

>粘着キチガイが立てたスレじゃないならちゃんと管理しろ
>しないなら感想は言わん
それはそれであまりに理不尽じゃないですかね…

つまんねーーーーーーーwwwwwwwww

あのそよガイジがドン滑りしてるのはいつものことだから許すが…

ぉあ…

暖かくして寝て

ストリーミング

すっかり荒れネタになったなこのキャラ

モンブラン