二次元裏@ふたば

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133747 B25/12/14(日)00:43:21No.1382237910+ 03:30頃消えます
額に重みを感じて起きるのは、初めての経験だった。
これは一体なんなのだろう。押すと硬さはあるのだが、表面はすべすべで柔らかい。そして何より、生きているもののぬくもりが感じられる。
「…はは」
笑い声を抑えるのに少し苦労した。目を開けると、さっきまで額を押していたものの正体がわかったからだ。
額同士がくっつくくらいに近づいていても、シービーの寝顔は相変わらず綺麗だった。笑って起こしてしまうのは勿体ない。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/12/14(日)00:44:01No.1382238198+
坂を転げ落ちるように気温が下がり、短い秋が一気に冬のはじまりへと変わり始めたこのごろだったが、家を訪ねると未だに彼女は愛用のハンモックに身を横たえていた。
「だって、ハンモック好きなんだもん」
ちゃんと暖かくして寝なさいという忠告は、このひとことであっさりと封殺された。好きか嫌いかということが判断の基準に入っているときには、何を言おうと彼女の行動を変えることができないことはよく承知している。
「風邪引いちゃったら楽しくないだろ?」
とはいえ、近頃の朝晩の冷え込みの激しさを考えると、やはり彼女の寝方は心配になる。しかし彼女は全く動じる様子もなく、朗らかにこう答えた。
「大丈夫だよ。あったまる方法ならちゃんとあるから。
それよりさ、こないだ街外れによさそうなカフェがあったんだよね」
やけに自信ありげな表情の彼女は、楽しみにしていろと言わんばかりにそこで話を打ち切ってきたのだった。
225/12/14(日)00:44:19No.1382238321+
「…なるほどね」
これが彼女の秘策というわけか。道理で内緒にしていたはずである。
なんともずるい手だ。俺がいないときはどうするんだと盛大に突っ込みたくなったが、それを言う気になれないのだから。
どんな形であろうとも、彼女がそばにいることを自分が拒めるはずがない。
「じゃあ、このくらいはいいよな」
進んでこちらの寝床に潜り込んできたのだ。ある程度こちらの好きにしても、文句は言わせない。
彼女を抱きしめたときの感触は、何度味わっても飽きが来ない。温かくて、柔らかくて、いい匂いがする。
何より、たとえ眠っていても律儀に抱きしめ返してくれることが、何よりも幸せだった。
325/12/14(日)00:45:14No.1382238653+
長い睫毛が少しずつ持ち上がって、彼女の碧色の瞳にデスクライトの淡い橙色の光が混じる。どんな宝石にも勝る、柔らかく美しい色だった。
「おはよう」
まだ夜明けには遠いけれど、彼女におはようと言いたかった。おはようって綺麗な言葉なんだ、と言っていたときの、彼女の穏やかな笑顔を思い出すからだ。
彼女は何も言わなかったが、返事の代わりに整った鼻先をこちらの鼻にやわらかく突き合わせた。
笑うたびに漏れた息が唇に当たってこそばゆくて、また笑って息を漏らしてを繰り返す。その感触も、こんなふうに戯れ合っていることも、ひどく楽しかった。
425/12/14(日)00:45:50No.1382238852+
お返しのように、今度はこちらから額を合わせてやる。ふざけて彼女の方からぐりぐりと押し付けてくる感触が心地いい。
「お昼は唐揚げにしようか」
彼女は額を合わせたまま、器用に目を丸くした。
「すごいね、なんでわかったの?」
やはりこの姿勢はいい。彼女の驚く顔も柔らかな吐息も、全て手に取るようにわかる。彼女に触れているという実感が、これ以上ないほどに持てる。
「おでこをくっつけてたから伝わってきちゃったんだよ」
本当は寝言を聞いただけなのだが。けれどこうしていると、本当にお互いの心をくっつけ合っているように思えた。
525/12/14(日)00:46:12No.1382239006+
顔を近づけていると、彼女の瞳がほんの少しだけ蕩けるのもよくわかる。そこから吐き出されるひとことの感触は、いつもよりずっと味わい深かった。
「…じゃあ、今なんて考えてるのか当ててみてよ」
彼女も自分と同じように、こうしていることに安らぎとときめきを感じていてほしい。あの目を見ていると、それが夢ではないと思える。
「このままもうちょっと寝てたい」
自分の願いも多分に籠もったひとことだったが、彼女もそう思ってくれていると思っていた。だが、彼女の口元がゆっくりと持ち上がって、それを優しく否定するところも、この姿勢ではよく目に入るのだ。
「ぶぶー」
彼女に実に楽しそうに否定されて、こちらの願望はあっさりと妄想に成り下がってしまった。だが、それを惜しんでいる間はない。
次に目が合ったとき、彼女の瞳は心を融かすように、ひどく甘い熱を帯びていたからだ。
「きみって素敵だなって思ってた」
625/12/14(日)00:46:36No.1382239142+
こうやって近くでじっと見ていると、きみの頬が赤くなるのがよくわかる。追い討ちをかけるように唇を触れ合わせると、瞳が切なそうに細められるのもいい。
慣れないカップルのように鼻先が当たってしまうが、それも一興だろう。触れ合えば触れ合うほど、きみのことがよくわかる。
「…わかってても言えないだろ。恥ずかしくて」
「言わなくてもいいよ。アタシもきみのこと、わかるから」
半分は本当で、半分は嘘だ。きみにはいつまでも気持ちを言葉にしてほしいし、アタシも言いたい。こなれたやり取りでアタシをときめかせてくれるきみも、なのに気持ちを伝えてと言えばいつまでも耳まで赤くして照れるきみも、アタシは大好きだ。
でも、きみのことはなんでもわかっていたい。きみの心の温度は、いつでもてのひらの中で感じていたいんだ。
「寒いから、このまま一緒にあったまってたい。
きみに、あたためてほしい」
725/12/14(日)00:47:30No.1382239422+
拗ねたように唇を尖らせるきみが見える。
さっきの回答も、実は正解だったのだ。きみが好きというニュアンスが入っていなかったから、丸はつけてあげないけれど。
「…シービーのしたいことじゃん、それ」
後ろ半分で本音が漏れてしまった。けれど、これが間違いだとは思わない。
「きみは違うの?」
アタシのしたいことを、きみはいつでも一緒に、心から望んでくれるから。
825/12/14(日)00:47:45No.1382239504+
外の空気は相変わらず冷たい。でも、それでいいと思った。
「…違くない」
その分だけ、きみがあたたかいってわかるから。
925/12/14(日)00:48:13No.1382239641そうだねx3
おわり
寒い冬の夜はCBとあったまっていたい
1025/12/14(日)00:48:43No.1382239800+
これを読みながらひとりベッドで眠るんだぁ…
1125/12/14(日)00:49:45No.1382240106+
寒いと足の間に挟まってくる猫に近い
1225/12/14(日)00:55:53No.1382242309+
寒いから潜り込んできたシービーに湯たんぽ代わりにされたいよね
耳元で好きって言われて恥ずかしくてもじもじしてたら「好きって言えばあったまるなんていい湯たんぽだね」ってくすくす笑われたい
1325/12/14(日)00:57:46No.1382242836+
CBが言うとその通りになってしまうので100%当たる読心術
1425/12/14(日)01:03:42No.1382244366+
無敵
1525/12/14(日)01:05:06No.1382244740+
4K
1625/12/14(日)01:05:41No.1382244892+
体柔らかいから猫の真似して伸びててほしい
1725/12/14(日)02:08:08No.1382258023+
1825/12/14(日)03:13:47No.1382265450+
こんばんは
1925/12/14(日)03:25:28No.1382266207+
好き好き言い合ってるうちに夜が明けてもいい


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