「鈴木さん少し遅れてるわよ！田中さんはむしろ早くなってる
　伊藤さん…ああ翼じゃなくて美久さんの方…ついていこうとするあまり動きが全体的に小さくなってるからきちんと身体を動かして…
　でもみんな良くなってるわよ！この調子でもう一回やってみましょう！」
今度のイベントでバックダンサーとしてアイドル実習生を使う
そう言われた時水野愛は大変になるなと思っていたがそれは杞憂だったようだ
みな中々筋が良く注意された事はすぐに直してくる
アイアンフリルの他メンバーはこういう時に口を出さない
愛の指導には叶わないと思うバックダンサーの名前をみんな覚えてるのもその証拠だ
たまに指導の中カリスマアイドル水野愛に怒られたと勘違いして落ち込んだり泣いたりした人間へのフォローをするのが仕事と
そして練習が終わったあと泣かせてしまったと落ち込む愛への慰めが主だ
最も今回はそんな事をしなくてもよさそうだが

本番当日ライブ会場で愛は身体を震わせながら楽屋に帰るため歩いていた
「こういう時アイドルって損よね他のアーティスト達着込んでてもいいのに」
打ち合わせが終わり開始時間も近く早くに楽屋で温かい飲み物がほしい
終わったら焼き肉かなそれとも…と共演者一覧の中にあった彼女の名前を想う
『紺野純子』
年の離れた恋人と過ごせる時間はあるのだろうか最近お互いに忙しく時間はとれていない
気弱だが図太くそれでいて天然な恋人の事を考えているととある通路の奥にいる人が目に入った
今日一緒に踊るアイアンフリルのバックダンサーの一人だ
名前は

「源さん…練習はいいけど本番前は休まないといけないわよ？」
そう声をかけると源さくらは驚いて振り返る
「あいちゃ…水野さん！？」
アイドルとして経験を積んだ愛にはわかる
この子私のファンだ
「ごめんなさい…不安で不安で…私もっとらんけん…」
しかしすぐにそんなファンの顔を隠す
聡い子だならばこちらもアイアンフリルのセンターとして
「わかるけど貴女は、いや貴女達は大丈夫よ頑張ってたし実際に練習でもOKだったし」
二人は一緒の方向の楽屋に帰りながら話す
愛も緊張がないわけではない不安もある
しかし先輩として後輩の不安は取り除かなければならない

不安な自分より練習してきた自分を信じるべき
不安な状態で暗いところで一人でレッスンなんかしてたら悪循環になるしダンスに変な癖がつく
身体を休めることで最高のパフォーマンスを出せるようにする
こういう不安は精神論でも理屈でもどちらとも聞かせることで消しやすくなる
それでも彼女みたいな人でも不安になるんだなと愛は思う
源さくら
オーディションを一発合格し九州（のどこか忘れた）から出てきて半年足らずで実習生一軍にまで上り詰めた才女
そんな評価を彼女は知らないのだろう
しかしそんな経歴を知っている愛にも田舎から一人上京してきた親しみのある普通の少女にしか見えなかった

愛ちゃんはバックダンサーである私の不安をよく聞いてくれた
演劇の主役をおたふく風邪で駄目になったこと
3年連続の肉離れ
受験の日の失敗
そんな事も話し私がもっとらんことも
おたふく風邪は一度なったらもうならないから今後は大丈夫
肉離れしたくないなら今みたいな練習やめて休みなさい
お婆さん3人助けることのほうが立派よ
受け止め全部プラスに持っていってくれた
「やっぱり水野さんはすごか…」
「愛でいいわよこっちもさくらって呼ぶから！確か同学年でしょ？」
「そんなとこまで見てるとかやっぱすごか愛ちゃんは…」
楽屋につく頃には不安はなくなっていた

結果を先に言うとライブパフォーマンスは成功した
大きな問題もトラブルもなくアイアンフリルは勿論バックダンサーの私達もダンスを間違えることもなかった
アイアンフリルは今後MCとの会話や合間合間の出番はあるが私達の出番は終わり
あとは楽屋であるテントで中継を見ながら終わりを待つ
はずだったのだが本番中の演者やスタッフが行き来をしてる中私源さくらは他のバックダンサーの面々とはぐれてしまった
（私本当にもっとらん…）
と内心愚痴りつつ知ってる道を探そうと歩いていく
携帯もなく忙しそうにしてるスタッフに聞くのも悪いと思っていたら人気の少ないところに来た
（流石にこの先は違うかな…）
そう思い引き返そうとしたら声が聞こえた
その2つとも聞き覚えがある

一人は私の最推しでありさっきまで私と一緒に踊っていた水野愛
もう一人は昭和の伝説のアイドルにして歌姫今でも現役歌手の紺野純子
でもそれはテレビで見るようなものでもなくCDで聞くような歌声でもなく勿論数時間前私を励ましてくれたようなものでもなく
「ちょっと紺野さん…もうすぐ本番でしょ…？」
「純子って呼んでよ愛…この頃時間取れなかったからしょうがないじゃない
　それに本番の最中ここには誰も来ませんよ…」
愛のステージ衣装は乱れただでさえ広い肌の露出面積が増していた
そしてその柔肌に紺野純子の手が這い愛の大事なところに手を伸ばしていた
ナニヲシテイルノカ
良い悪いではない好き嫌いでもない
それすらも理解したくないと脳が言う
ただ身体が本能的にここから離れたいと後退ると

ガタン
機材が倒れる音がした
不味い本当に不味い
誰かスタッフに共演者に見られたら
脅されるかもしれないゴシップ雑誌に売られるかもしれない嫌な考えが頭をよぎる
同時になんであんなところでやってたのかと後悔も強くなる
そうして音のした方を見ると源さくらが立っていた
まだ短い付き合いだがこの子は最悪にならないという判断とそれ以上にこの子にだけは見られたくなかったという心の痛みが起きた
「…さくら…これ…いや…違うの…！」
「あ…あっ…あの…見なかった事にしますから…すみません！」
とさくらが逃げるように踵を返す
乱れた服を直して後を追うももう見えなくなっていた
純子の方に戻ろうとすると誰かを探そうとするスタッフに出くわした
「すみません水野さん…紺野さんを見ませんでしたか？」
ああもうなんなの！？

顔面蒼白で楽屋に帰ってきた私はバックダンサー仲間のみんなに心配された
はぐれたあと演者とスタッフの諍いに巻き込まれて帰れなくなったでももう大丈夫と言ったらそれを信じてくれた
本当のことが言えるはずもない
ごめんみんな
それからみんなで楽屋に置かれたテレビでこのイベントの中継を見るが全く頭に入ってこない
水野愛はいつも通りに溌剌に受け答えをしている
紺野純子は力強く年齢を感じさせない声で自らの歌を歌っていた
その姿からあの乱れた姿なんて想像もできないだろう
そうしているとイベントは終わっていた
イベントスタッフはともかく演者は後は帰るだけ
私ももうみんなと帰って寝て忘れよう
そんな淡い期待は
「紺野純子のマネージャーなのですが源さくらさんはおられますか？」
そんな声で打ち砕かれた

ちょっとしたトラブルが起きた時に源さんに紺野さんが助けられたのでお礼をしたい
私は本当の事を言っていますという顔をしたマネージャーにみんなは疑いすら持たない
そのマネージャーに私はついていく
逃げたい行きたくない帰りたい
でもそんなことしたらどうなるか分からない
しばらくすると紺野純子様楽屋と入口に書かれた部屋に着きでは…とマネージャーが離れる
意を決して私はノックをし返事を受けて部屋に入る

「この度は本当にごめんなさい！」
紺野純子に頭を下げられた
あの時こうちょっとムラムラしてしまって周囲に誰もいないと思って変なものを見せてしまってでもそういうの高まりますよねいや変な意味ではなく
そんなことを言われた理解が追いつかない
そこから会話が始まる名前年齢出身地は？好きなものは嫌いなものは？あまり会話が上手くないなこの人
佐賀なんですか?初めての全国ツアーの佐賀公演はよく覚えています
父や母も紺野さんの大ファンで
本当に！？ありがとうございます！
でもあの時飛行機トラブルで大変でした…
と朗らかに笑い時に自信なさげになる姿はあの力強く歌う姿とも愛ちゃんを責める姿ともまた違った
そして何故か彼女との会話は弾んだ
ファーストコンタクトがファーストコンタクトなのにも関わらず
お互いに不思議に思った

水野愛は焦っていた
言うまでもなくさくらに情事を見られたことに関してだ
イベント中は会いに行けずアイアンフリルとしての仕事が終わりさくらに説明しようとしたらバックダンサー組はもう帰ってしまっていた
後日説明するしかないか…と諦めてならばと純子と口裏合わせをする為に純子の楽屋へ向かう
何もかも純子のせいだ
普段は歳上なのに気弱で自信がない言動にも関わらず変な時だけ強引で頑固
それに強く出れない愛も悪いのだがその考えは頭になかった
純子の楽屋につきノックをして入る

「あぁそれならさくらさんには説明しましたよ
　会話も弾んで楽しかったです」
あんぐりと愛は口を開けるそんな姿も可愛い
なんなの！となる愛に純子はさくらさんが楽屋に来て（呼び出して）説明したことを伝え佐賀出身なことや好きな食べ物好きなアーティスト等など会話したことを伝えた
「そう大丈夫ならよかったわ…誤解されたままだったら嫌だったのよ」
まぁ後日正式に謝ろうと呟く愛は純子の目の色が変わった事に気が付かない
誤解とは誤解されたら嫌だとはなんなのか私達の関係が誤解？
いきなりの事に愛は抵抗する間もなく純子に押し倒された

さくら…桜？佐倉？名字だろうかそれとも名前？どちら分からないが愛が自分より見た人間を優先したのが腹がたった
見られてもいいなんてことはないがあの時の声色にはあの女の子に見られたくないというのが入っていたのが気に入らない
私を置いて彼女を追ったのも気に入らない
愛の恋人は私なのに愛の一番は私なのに愛の事を一番理解してるのは私なのに
炎が燃え上がるメラメラと
そのおかげが今日の歌はよく歌に感情が乗った

実際に話してみるとさくらさんは良い人だった
なんでこんな人に嫉妬していたのかわからないほどに会話も弾んだ
だからもう大丈夫だと愛に伝えたさくらさんは口外したりそれを利用する人ではありませんよと
なのに愛は誤解されなくてよかったなんてことを言う
だから示さなければ誤解なんか無いことに
だって誤解なんてされたら愛を失ってしまうかもしれない
それが怖かった
そう思うと行動は早かった

はっきり言って最初は理解するのに時間がかかった
そして理解する頃にはもう遅かった
この馬鹿純子！
ここは家じゃなく楽屋なのよ！誰か来たらどうすんの！？聞かれたらどうすんの！？
純子のマネージャーが外で見張っており第三者に見つかる可能性はないのだがそれは彼女は知らない
そうしてるとペースは純子のものになっていく
それはいつものことだった

愛の抵抗は弱まっていく
観念したのか我慢するしかないのかと理解したのか
そんな姿もかわいい
愛の弱いところを責めるしつこく丁寧にそれでいて強くしかし緩急をつけて
耐えている愛もいじらしい
ならばと指を愛の口の中に入れて愛の舌を嬲る
優しい愛は私の指を噛まないようにと歯を食いしばれず口内を犯されながら声を抑えられない
細い首を小さい胸を柔らかな腹を淑やかな腰を慎ましやかな尻を蹂躙する
そしてもはや秘められてもいない秘所は濡れそぼっていた
愛は何度も絶頂をするかと思えば絶頂を止められる
純子の思うがまま水野愛は乱れるしかなかった
水野愛にとってそれは永遠の責め苦であり刹那の甘美な時間だった

すぅすぅと寝息を立てている愛の衣服を直し周辺の処理をする
情事を見られるという精神的負担やイベントの体力的な消費があったのだろう疲れからか穏やかに寝ている
愛の帰りが遅くなる事はアイアンフリル側にはどう伝えようか
最近仲良いことは知っているみたいだが流石に身体の関係を持っていることは私の事務所はともかく向こう側はしらないだろうし
と「すみませんさくらさんもういいですよ」と衣装クローゼットを開ける
彼女は泣いていた
顔は顔面蒼白になりながらも頬を朱に染め耳は真っ赤に
「な…なんで…私に…」こんなものを見せたんですか？という問いに
「見てもらいたかったんです」答えにならない答えを返す

だって水野愛は私のものだから
水野愛は誰にも渡さないから
私にはわかる何故か源さくらは水野愛と相性が良い
出会いが違えば並びたちお互いに苦難を乗り越えて共に成長し秘密を共有する仲にもなるのがわかる
理屈ではない
それは年齢が離れている私からしたら脅威だ
だから見せつける彼女は悪くないと知りながらそれを
傷つけてしまったのは謝りたいしかし行動に後悔はない
彼女は泣きながら出ていく
その姿を見て心が痛む
私もさくらさんと愛みたいに出会いが違えばもっと違う関係になれたのだろう
一緒に笑い一緒に泣き寝食を共にしアイドルとして東奔西走している
そんな姿を幻視した

終わり

昨日の生存イフのスレを見て書きました
具体的に言うと脳破壊さくらちゃんいいよね…

>昨日の生存イフのスレを見て書きました
いい…
>具体的に言うと脳破壊さくらちゃんいいよね…
どうして…？

大作だ

もっとらん私新記録
憧れのアイドルの濡れ場を見せつけられる

急に大作がきてありがたい…

あの…ここから純愛サンドされる√はないんでしょうか…？

サンドされるのは愛ちゃんとよ…

サンドされるのはおそらく愛ちゃん
上と下から挟まれるがいい

>一緒に笑い一緒に泣き寝食を共にしアイドルとして東奔西走している
>そんな姿を幻視した
非常に残念ながら幻でいいんだよ…

またお騒がせ紺野純子

一期ラストのアルピノライブのとき幸太郎がさくらは追い込まれてこそ…みたいなこと言ってたからとことん追い込ませました

ちが…ワシはそんなつもりで…

ところで怪文書なら句読点普通に使ってもいいと思うよ

つまりここからさくら大爆発…？

>具体的に言うと脳破壊さくらちゃんいいよね…
わかる…わかるよ…

純子が邪悪に進化する可能性は結構ある気がしてきた…

最初は愛ちゃんからアタックしてたんだろうけど
気付いたら純子さんがこんな感じになってしまったんだろうな

さくらもう芸能界に絶望しちゃうじゃん…