ばゆ妊娠…で良いんですかねこれは? ///// ジリリリリリリ!!! 「朝、ですか…」 目覚まし時計を止めて、なんとか起きる 「朝、ですよね…」 上半身を起こして、愛しの布団ちゃんを畳…もうとして 「……は?」 お腹に、猛烈な違和感 「…………は???」 胸も、なんだかおかしい 「はぁぁぁぁああああ!?!?!?」 ぽっこりと膨れたお腹に重たいおっぱい。それが意味することは、つまり… 「あ、あはは…やってしまいました…」 愛生まばゆ、15歳 どうやら……妊娠、してしまったようです…… //// 「心当たりは…まぁ、ありますけど…」 この頃は余裕が出てきたこともあってほむらさんとの逢瀬の頻度も上がっていたのですが、恐らくはそれが原因かと 「…でも、今ですか」 横でまだ寝ているほむらさんは、知ればきっと喜んでくれるか、少なくとも責任を取ってはくれるのでしょう 「そして、だからこそ教えることは出来ませんよね」 私もほむらさんも中学生、しかもなんだかんだ言っても今はワルプルギスの夜を乗り越えるための大事な時期。そんな中で私が妊娠なんてしたら、あらゆる意味でほむらさんの足手まといになってしまいます 「だから…ほむらさんが起きる前に…ごめんなさい」 それが誰に向けての言葉だったのか意識するよりも先に、私の手には鋏が握られて── 「駄目!!!」 頭より高く掲げたそれを、振り下ろすよりも先に 「そんな事はしないで…まばゆ…」 「ほむら、さん…」 私の手首を掴んで止めたほむらさんが、そのまま前に回って私のお腹を庇うように抱き留めました 「足手まといとか、迷惑とか…そんなの、今さら気にしなくたっていいじゃない!私たち、そんな希薄な関係じゃ無いはずでしょう!?」 「…ごめんなさい」 ほむらさんに、それ以上にお腹の中のものに向けて言ったその言葉に、ほむらさんはただ優しく私のお腹を撫でる事で応えました //// 咲江さんに見つからないようにこっそり抜け出した私たちは、そのまま観測者さんに連絡して診断機器のある拠点で落ち合うことにしました 「ふむふむなるほど……」 どうせこのことも可能性として知っていたのでしょう、彼女はやけに冷静に呟きながら聴診器や素手、さらにエコー診断機を含むメディカルチェック機器を操って私の診断を済ませました。その結果… 「残念ですが──あなたが何をどう考えてたかは想像が付きますがその上でこう言わせていただきますが──これは妊娠じゃないてすね」 「は?」「え?」 今、なんと? 「いわゆる『魔力性偽妊娠』と呼ばれる現象です。あなたのお腹の中には、赤ちゃんはいません」 「まりょくせい…ぎにんしん…?」 覚悟を…きっとこの程度では足りないんだろうなと思いつつも私なりに覚悟を決めて話を聞く準備をしたつもりの私は、突然前提条件が消し飛んだことで、正直言って感情が追いつきません 「だいたいですね、自然妊娠だとして昨日の今日で急にそんなボーンと膨らむわけないでしょうが……どこぞの多産+計画的人口増加改編した種族じゃあるまいに」 言われてみればそのとおり、とはいえ気が動転していてそこの不自然さよりとりあえずこの子をどうしようということばかり頭に浮かんでいたのもまた事実で…… 「それでその、魔力性偽妊娠というのはどういう現象なんですか」 「魔法少女が女性器に魔法少女汁を生で受けるとたまになるんですよ。一応確率はけこう低めなはずなんですが……どんだけヤったんですかあーた」 そんな私に呆れたような態度の彼女は肩をすくめて首を横に振りつつ、えいえいと私のお腹を突っつきます 「ジト目でニヤニヤしないでくださいよ…ところで、それってつまり」 「ええ、お腹の中に赤ちゃんは居ません、魔力が詰まってるだけです。言うなればコンフォーマルタンクを増設したようなもので、許容魔力量は増えてる一方で……まぁ見てわかる通り機動力は下がりますよね」 ついでに勘違いした身体がおっぱい膨らませますし……とこぼした直後、思い出したかのように 「ああ、なので当然母乳は出ますよ。少なめですけど」 何故ほむらさんの方を向いて言ったんですか // 「それで、コレはどうすれば治るのかしら?」 「要するに体内の伸縮するスペースを使った魔力タンクですからね、使えば減りますよ。とはいえまばゆちゃん燃費良いからなぁ……当座は認識阻害系のアクセサリでも用立てましょうか。ところでほむらちゃん」 「……何かしら」 「ボテ腹の女の子2人に愛されて夜も眠れない、みたいな経験したくありません?」 「ッ!……魅力的な提案だけれどもやめておくわ。今は大事な時期でしょう」