秋、それは運動の季節。 秋、それは芸術の季節。 秋、それは食欲の季節。 そしてなによりも、秋は、実りの季節である。 「おはようございます!コメを愛するウマ娘の諸君!」 朝早く、トレセン学園正門前には、数人のウマ娘が集まっていた。 彼女らの前で拡声器片手に声を張り上げるのは、白黒白毛のウマ娘ハクマイ。 「皆さん、これより私たちは稲刈りへ向かいます、用意はできてますか?」 「サキガケ一門、全員準備できてます!」 「よろしい!」 今回、ハクマイは自身が管理している田んぼの稲刈りの為ウマ娘に声をかけた。 結果集まったのは、サキガケ一門他数名であった。 「今年もしっかり収穫して、皆で実りを味わいましょう!」 「おー!」 「今年は先に熊対策組が出ています、トレセンが誇るエリートが熊ににらみを利かせてますので、安心してください」 今年はハンターウマ娘達が熊対策に出動していた、なのでたぶん大丈夫である。 「サンゾウさん、人を集めてもらってありがとうございます」 「いえ、稲刈りとなればサキガケ一門、稲荷様より名を借りてる者が多いのですから、これくらいは」 ハクマイはサキガケサンゾウに頭を下げるが、サンゾウとしては名前の由来が稲荷、稲荷は稲穂を加えてるほどコメとかかわりがある存在、それを手伝うのは当たり前と思っていた。 「それに稲刈りに行っている間は、オグリちゃんやクリークちゃんに狙われることはないので」 「また失言したの?」 「…はい」 サンゾウは、また失言したらしい、内容は聞かないくらいの優しさはハクマイにもあった。 「とにかく、この稲刈りで手に入るお米がないと、二人の怒りが静まらないと思うんです」 「うん、それなら頑張ってね」 どんな理由であれ、力を貸してくれる存在を、ハクマイは拒めなかった。