ソード・ワールド2.5『ジオガッチャー・カテゴリー2』プレイレポート

とある村の近辺で、小規模な天変地異が発生している。
晴天なのに落雷が発生したり、何も無い場所で足をとられ身動きできなくなったり、その他さまざまな不定愁訴を覚えるなど。
異変が発生する範囲はおよそ直径1km程度だが、不規則に移動し、村が直接被害を被ることも数回あった。
雷に撃たれて怪我をする人や家畜も多数おり、幸いまだ死者は出ていないものの、住人や動物たちは非常に怯えている。
……以前、これと同じ現象が確認され、冒険者によって解決された。暴走した巨大ジオグラフが超広範囲に相域を展開し、それを蛮族が動かして被害を広げていたというものだ。
今回も同様のケースと見られるが、はたして……?
この異常現象を調査し、可能なら解決せよ。

これは、TRPG『ソード・ワールド2.5』のオリジナルシナリオによるセッションのプレイレポートになります。
読みやすさの都合で一部の誤字脱字や話の流れを修正してあります。
再配布、再掲載はご自由に。でも自作発言はご遠慮ください。

朝の冒険者ギルドにて…

――ここは、とある地域のとある街にある冒険者ギルド。街は守りの剣に護られており、冒険者の活動も活発なほう。
しかし現在(朝8時すぎ)、ギルドの食堂には冒険者は4人しかいないようだ。彼女らはこの時点では深く知り合った仲でもない。

ゾーニャ・エバーハート

ゾーニャ・エバーハート

種族: 小翼種リルドラケン 冒険者レベル: 7 ランク:なし
性別: 女 年齢: 30
器用: 12(+2) 敏捷: 9(+1) 筋力: 24(+4) 生命: 36(+6) 知力: 18(+3) 精神: 18(+3)
HP: 89 MP: 35
技能: ファイター7 プリースト5(ライフォス) エンハンサー5 スカウト3 アルケミスト2 レンジャー1 ダークハンター1

戦闘特技: 《かばうⅡ》《魔法拡大/数》《ガーディアンⅠ》《頑強》《タフネス》
練技: 【ビートルスキン】【アンチボディ】【ストロングブラッド】【メディテーション】【リカバリィ】
賦術: 【バークメイル】【ヒールスプレー】
操気: 【気防陣】
主武器: 〈ヘビーメイス〉/命中+10/威力20[12]+11

白い鱗に覆われたリルドラケンの女性。
神官である父より、困っている人がいれば施しなさいと教育を施されてきた。成人を機に、広い世界を見たくなり故郷を出て冒険者になる。
素の状態でも防護点15、諸々のバフを込めれば20を超える、まさしく不壊の壁。

ゾーニャ: 「なんですかこのピーマンって…」 ブツブツ言いつつ食事から野菜をペッペ抜いてます

受付嬢: 「……………」 露骨な野菜嫌いっぷりに眉をひそめる受付嬢

エルマ・エラ・イレ

エルマ・エラ・イレ

種族: スノウエルフ 冒険者レベル: 7 ランク:グレートソード
性別: 女 年齢: 80前後
器用: 20(+3) 敏捷: 22(+3) 筋力: 6(+1) 生命: 11(+1) 知力: 30(+6) 精神: 25(+4)
HP: 32 MP: 52
技能: フェアリーテイマー7(炎光闇) スカウト7 ライダー5 ドルイド2
一般技能: テイマー5 シンガー3

戦闘特技: 《魔法拡大/数》《魔法拡大すべて》《魔法拡大の達人》《マリオネット》《トレジャーハント》《ファストアクション》
秘伝: 《リミットオーバー》《戦域魔導術ベロニカ》《戦域魔導術アンナマリーア》
騎芸: 【遠隔指示】【騎獣強化】【チャージ】【タンデム】【獅子奮迅】

記憶喪失のスノウエルフ。半年前、血まみれの姿で都市の門前に現れて保護された。
冒険者登録はされていなかったものの、妖精使い・騎手としての技術を持ち、密偵の素養もあったため冒険者として活動して日銭を得ることになる。
性格はぐうたらで口調こそですます調だが言葉使いは悪く、不遜。騎獣として魔動機カルキノスを伴っている。

エルマ: 食堂の空きスペースで歌っていた。受付嬢と冒険者数名の目線に気付いて

エルマ: 「……なんですか。何か文句ありますか」

受付嬢: (あら。あのエルフもしかして……。同族は珍しいけれど、いえ、憶測で何か言っても混乱のもとですね) 受付嬢もスノウエルフ

パノン・スレッジ

パノン・スレッジ

種族: ダークドワーフ 冒険者レベル: 7 ランク:フランベルジュ
性別: 女 年齢: 27
器用: 30(+5) 敏捷: 18(+3) 筋力: 22(+3) 生命: 16(+2) 知力: 13(+2) 精神: 24(+4)
HP: 37 MP: 27
技能: シューター7 スカウト7 ダークハンター5 エンハンサー2 アルケミスト2 マギテック1 レンジャー1
一般技能: ブラックスミス5 マイナー5

戦闘特技: 《ターゲッティング》《狙撃》《スローイングⅡ》《武器習熟A/投擲》《トレジャーハント》《ファストアクション》
練技: 【キャッツアイ】【マッスルベアー】
賦術: 【ヴォーパルウェポン】【クリティカルレイ】
操気: 【気集中】【剛力弾】【念糸還】【魔探法】【気旋法】
主武器: 〈栄光なきテムズガルドのチェインハンマー+1〉/命中+13/威力52[9]+14/専用武器、アビス強化C-1

鉄マニアのダークドワーフ。金床の上で寝るのが好き。
『この世にはまだ叩いたことのない鉄がある』と諸国を巡り、見つけた金属を観察したり、磨いたり、叩いたり、舐めたりしている。
ファストアクションからの投擲狙撃は恐るべき威力。投擲する鉄球には『ハマーさん』と名付けている。

パノン: 「……すみません、どこかいい鉱山をご存知でないですか? 鉄分を補給したいのですが」

パノン: 「いえ、掘りはしません。触ったり撫でたり叩いたりするだけです。戮力協心」

ヴァシリーサ

ヴァシリーサ

種族: 人間 冒険者レベル: 7 ランク:フランベルジュ
性別: 女 年齢: 26
器用: 22(+3) 敏捷: 24(+4) 筋力: 14(+2) 生命: 18(+3) 知力: 13(+2) 精神: 18(+3)
HP: 43 MP: 18
技能: バトルダンサー7 スカウト7 セージ4 エンハンサー2 アルケミスト2 レンジャー1

戦闘特技: 《斬り返しⅡ》《武器習熟A/アックス》《薙ぎ払いⅠ》《変幻自在Ⅰ》《武器習熟S/アックス》《舞い流し》《トレジャーハント》《ファストアクション》
練技: 【キャッツアイ】【ガゼルフット】
賦術: 【ヴォーパルウェポン】【ヒールスプレー】
主武器: 〈コニングシャフト(2H)〉/命中+10/威力39[11]+12/専用武器

元傭兵の人間冒険者。傭兵時代の役職は戦闘工兵。
幼い頃に傭兵団に拾われ、その中で生き抜く術を学んで成長してきたが、雇用主の策略により傭兵団が壊滅し、一人生き延びて冒険者となる。
責任感が強く、やや増長するきらいがあるが、雇用主の意向には概ね従う。傭兵団の中で育ってきたため、女の子らしいことは何も知らない。

ヴァシリーサ: 「…私は基本的な戦闘の心得と斥侯、長距離探査、応急処置の技能は学んでいるつもりよ」 規律を感じさせる立ち方をしながら

ヴァシリーサ: 「前線で戦う戦闘工兵が欲しかったら私を使ってちょうだい」

異常現象ふたたび

突然、冒険者ギルドの急使とおぼしき人物がバタンと扉を開けて入ってくる。
スノウエルフの受付嬢になにやら早口で話しかけ、受付嬢も真剣な面持ちでそれに聞き入っているが……。

受付嬢: 「……ええっ、またですか!?」 驚いたような声を上げつつ、羊皮紙にさらさらとメモを取っている

受付嬢: 「……うん……うん。わかりました。奥で休んでいてください」

受付嬢は息を切らせる使いの者を気遣って背中をさすりつつ、スタッフオンリーの扉を開く。
冒険者向きの仕事が舞い込んできたことが、待機中の4人には察せられるであろう。
使いの者が奥の部屋に引っ込んだ後も、受付嬢はいくつかの紙や資料を取り出し、さらさらと書き物をしている。ときおり冒険者たちの様子をちらちらと見つつ……。

パノン: 「何やら先程から熱い視線を感じますね。ホットリミット」

受付嬢: 「……今いる方々でなんとかできそうね。費用もギルドからこのくらいの供出で大丈夫なはず。よし」

受付嬢: 「すみません、そこの冒険者4名。急ぎのご依頼があります」 声がかかります

ヴァシリーサ: 「……なにか食い扶持の予感がするわね…」斧のメンテナンス道具をしまいながら

エルマ: 「はー……ダル。なんですか」露骨に嫌そうな顔をしながら受付まで来ます

ゾーニャ: 「あら、私もですか?はぁい」一旦食事は打ち切ってどったどった近付きましょう

受付嬢いわく。ここから徒歩1日半(1日8時間歩くとして12時間)の場所にある小村『アボ村』の周辺で、1週間前から異常な現象が発生しているとのこと。
快晴にもかかわらず突然雷が落ちたり、硬い地面に脚が沈み込むような感覚に襲われ転倒したり。
不規則に移動する異常現象は散発的に村に到来し、住人や家畜に落雷の被害が発生。人間の死者こそまだないものの、住人を恐怖に陥れている。

受付嬢: 「異常現象とは言いましたが……実は、この現象については少し前にも同様のケースが確認され、冒険者パーティーにより解決されたことがあります」

受付嬢: 「そのときは『暴走した巨大ジオグラフによる超広域相域展開』および『そのジオグラフを蛮族が持ち運んだことによる被害拡大』ということだったのですが……」

パノン: 「前例アリですか。歴史は繰り返すのですね」

ゾーニャ: 「ならまた持ち込まれた可能性があるという事でしょうか」

しかし今回の異常現象では、前回確認された『相域接近に伴う空の異変』がまったく確認されておらず、また蛮族の気配もない。
とはいえ『超広域相域』による被害であることはほぼ確定的なため、冒険者にさらなる調査と解決を依頼することになったのだ。
報酬は、調査が十分なら1人頭1000ガメル、解決できたなら代わりに5000ガメルの支払いを提示した。

ゾーニャ: 「さらに被害が拡大する前に原因究明が必要ですね」

ヴァシリーサ: 「目星が付いているのは何よりだわ、さっさと解決しましょう」

パノン: 「原因不明の事象。つまり未知の金属に出会える可能性アリ。もちろん行きます。快速急行」

エルマ: 「……村まで1日半と言っていましたね。皆さん、テントはお持ちで?」

ゾーニャ: 「普段毛布だけで済ませてまして…」

パノン: 「金床は夏に寝転がると気持ち良いですよ」

ヴァシリーサ: 「………ハァ…テントはいつも持ち歩いているわ…」

エルマ: 「偉いですねーリサさん」頭を撫でようとする

依頼を請ける態度を見せてくれたため、村周辺の地図(手書き)とともに追加情報を提示する受付嬢。
前回の事件解決時の報告を受けて、『超広域相域』にある程度対処する方法が確立されているのだ。
『ジオコイルアイヴィー』と呼ばれる植物モンスターから採れる素材を用いて、相域の対象を誘引する避雷針『ジオコイルポール』を作れる。
しかし在庫がないため、道中アイヴィーの生息地に寄り道し(行程+4時間)、素材を確保することを提案したのだった。
この植物モンスターに対する事前の魔物知識判定はつつがなく成功。作成できるアイテムについては後述する。

[魔物知識判定:ジオコイルアイヴィー]セージorライダー + 知力

難易度:12 判定者:任意 所要時間:一瞬(反応)
※この時点では弱点看破を行えず、遭遇した時にあらためて同じ判定を行なう必要がある

ジオコイルアイヴィー (植物、魔物レベル5)

知能:なし 知覚:魔法 反応:敵対的
言語:なし 生息地:森林、沼地
知名度/弱点値:12/15 弱点:炎属性ダメージ+3点
先制値:12 移動速度:10(跳躍)/- 生命抵抗力:7(14) 精神抵抗力:6(13)

部位名/攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP
本体/体当たり 7(14) 2d+5 7(14) 4 40 4

[常]伸び縮み
近接攻撃に対する回避力判定に成功すると、次のこれの手番では打撃点が+3される。累積しない。
[常]命脈乱し
自他問わず「ジオコイルアイヴィー」による「相域」の対象とならず、候補にも含まれない。
[補]相域/全エリア(半径30m)(制限あり)
相域【地相:泥濘に沈む】を「命脈点:2」で使用する。
ただし、この相域の範囲内に複数の「ジオコイルアイヴィー」がいる場合、2体以上がこの能力を使用しても1ラウンド中に発動するのは1体分のみである。

戦利品
  • 2~5:なし
  • 6~:命脈乱しの蔓(200G/緑A)

不確定名:「?赤い螺旋の蔓」。螺旋状に伸びた太い蔓の魔物。
バネのように飛び跳ねて移動し、伸縮力を打撃力にかえて攻撃する。
またその蔓の繊維には限定的だが「相域」を操る力が宿っており、狡猾に獲物の動きを鈍らせて捕食する。

沼地 - ジオコイルアイヴィーを狩れ!

準備を整え、さっそく出発するPCたち。当然ジオコイルアイヴィーの生息地にも寄ることに。
エルマは街の外でカニ型魔動機カルキノスを多足形態で呼び出して騎乗し、その上に寝転がっている。

パノン: 「ところでこのカニさんはどういった金属で出来ているんでしょう。舐めてみてもいいですか?」

エルマ: 「え。…………いや、いいですけど。菌とか付着してると思いますよ。いつもぴかぴかにしてるわけではないので」

パノン: 「なるほど、菌属というわけですね」

ヴァシリーサ: 「どっちにしろ汚いし衛生的によろしくないわ…」

ゾーニャ: 「途中でお腹壊さないようにしてくださいね」

出発して7時間程度で、アイヴィーの生息地である沼地へとたどり着く。足元は悪いが、行為判定に悪影響を受けるほどではない。
冒険者の勘と技量を活かし、アイヴィーがより多く生息する地点を探して戦闘を仕掛けることができる。

[探索判定]スカウトorレンジャーorジオマンサー + 知力

難易度:15 判定者:任意 所要時間:10分

ジオコイルアイヴィーがより多く生息する場所を見つける。
同時にこの判定を行なった者全員の成功者数を合算し、2体以上[2+成功者数×2]体以下の任意数のジオコイルアイヴィーとの戦闘を行なうことができる。
一度でも戦闘を行なうと、その日はもうジオコイルアイヴィーを見つけることはできない。

この判定にゾーニャ以外の3人が成功したため、2匹以上8匹以下のアイヴィーと会敵することを選べる。
当然、PC達は最大数である8匹を選択!

ゾーニャ: 「うーーん…??見当たりません。どこら辺にいるんでしょうか」一人だけ見つけられない

エルマ: 「あそことあそことあそこです。あっちにもいますね」

アイヴィー: びよんびよーん、と楽しそうに跳ねているバネ状植物クリーチャーがいる

パノン: 「見てください、わんさか生えています。啓蟄や、土まだ知らぬ嬰の足(一句)」

ヴァシリーサ: 「よくその場そんなに簡単に見つけられますね…」泥だらけになりながら探しました

エルマ: 「いいですかリサ。同一になるんですよ、森と。さすれば自ずと見えてきます。答えがね」 ※リサはヴァシリーサの愛称

戦闘開始処理

[魔物知識判定:ジオコイルアイヴィー]セージorライダー + 知力

難易度:12/15 判定者:任意 所要時間:一瞬(戦闘準備)
※ライダー技能による判定では弱点看破は行えない

[先制判定]スカウトorウォーリーダー + 敏捷力

難易度:12 判定者:任意 所要時間:一瞬(戦闘準備)
※6ゾロによる自動成功なし

弱点看破こそ失敗したが、《ファストアクション》持ち3人はすべて先制判定に成功。

自軍後方前線敵軍後方
ゾーニャ
エルマ
パノン
ヴァシリーサ
カルキノス
ジオコイルアイヴィー8体

1ラウンド目先攻 エルマ

3属性契約フェアリーテイマー+《リミットオーバー》秘伝持ちのエルマが早速必殺技を披露する!
念のためヴァシリーサに森羅魔法【ウィングフライヤー】をかけつつ…。

エルマ: 炎属性ランク10の【ファイアストーム】使用します。《魔法拡大の達人》を持っているので増加MPは1.5倍(20)

アイヴィー: 「!!?」

エルマ: 《ファストアクション》で主動作をもう1回、《リミットオーバー》は1R持続の秘伝。あとは分かるな?

威力40範囲火力の2連撃! 当然レベル5モンスターでは抵抗判定に成功できるはずもなし。
惜しくも1発目では8体全員にクリティカルが発生しなかったが、続く2発目はそこそこ回る。
火炎が晴れた後にはHP残り5のアイヴィー2体がかろうじて立っていた。

エルマ: 「他愛もない」

ゾーニャ: 「おぁー…凄い火柱ですよこれ」

パノン: 「大炎上していますね。九回裏の逆転劇」

ヴァシリーサ: 「これは戦闘、というより虐殺ね」

1ラウンド目先攻 パノン

エルマ: 「本番前の腕ならし、やっておきます? リサ、パノ。不要なら、蟹に始末させますが」

パノン: 「わかりました、ハマーさんにも運動をさせてあげましょう」

パノンは《ファストアクション》による《狙撃》→投擲攻撃。【気集中】【ターゲットサーチ】もかけて万全!
……と思いきや命中判定で1ゾロ。

パノン: 「ハマーさんがどこかへ飛んでいきましたね。散歩の時間でしょうか」 明後日の方向に飛んでいった鉄球を見送る

ヴァシリーサ: 「鉄球に散歩の時間があるのね…いやそんなこと無いでしょう」

1ラウンド目先攻 ヴァシリーサ

ヴァシリーサは前線に出て容赦なく《斬り返しⅡ》《薙ぎ払いⅠ》。
問題なく2匹に命中し、トドメとなる!

ヴァシリーサ: 「他愛ないわね、安全なのが一番ではあるけど」

ゾーニャ: 「お見事です!」

パノン: 「お見事です。ハマーさんもご満悦ですね。何もしてませんけど」

戦闘後処理

パノン: 「とりあえず焼け残りを調べてみましょう。美味しそうですね。美味食彩」

エルマが1回1ゾロを出してしまうものの、他7体分は問題なく剥ぎ取りすることができた。〈命脈乱しの蔓〉7つゲット!
アイテムへの加工は野営中にできるため、早々にPC達は沼地を後にした。

パノン: 「意外と焼け残っていました。最近の植物は根性があります」 もぐもぐ

野営 - いちゃいちゃタイム

街道に戻ったあたりで日が沈み、PC達はキャンプを設営することにした。
周辺警戒の当直は、ゾーニャ+パノン組が前半、エルマ+ヴァシリーサ組が後半を担当することになった。
MPを激しく消耗しているエルマはカルキノスを外に出したまま早々にテントに入ってしまう。よく晴れ、満点の星空の夜。何も起こる気配はない。

パノン: 炎属性付与エンチャントファイア……」 黒炎を拳に纏わせて焚き火をぶん殴って燃やした 「あっ、気を付けてくださいね、触るとドワーフでも火傷しますので」

ゾーニャ: 「ひぇっ…怖い炎なんですね。でも戦闘ではその分頼りになります」

パノン: 「でもさっき使うのを忘れていましたね。ハマーさんもいつもより燃えていないと思いました」

ゾーニャ: 「そう言えばさっき(燃え残ったアイヴィーを)食べてらっしゃいましたね。美味しかったんですか?」

パノン: 「おいしかったですよ。ちょっと酸味のあるレンコンみたいな味でした」 1d100で70くらいのおいしさ

ゾーニャ: 「じゃあこの辺の草食動物からも餌にされてるかもしれませんねー。天敵から逃げるために移動手段を獲得したとか、可哀そうな植物なのかもしれません」

パノン: 「移動するならもう少しいい方法があったような気がしないでもないですが。進化してるうちはそんな事にも気付けないものなのでしょうかね。灯台下暗し」

我々ダークドワーフも似たようなものかも、と自嘲するパノン。ドラゴンから退化したのがリルドラケンだと主張する者もいる、とゾーニャ。
しかしそれゆえに『モノを有効に使う』という発想に至り、発展性を得たのだという点で合意に至る2人であった。
……一方、テントの中では。

エルマ: 「リサ、相談があります。私、柔らかい枕でないと眠れない性質なんですよ」

ヴァシリーサ: 「そうなのですか、でも私のテントキットの中には硬い枕しか無いですね。今から藁か草でも集めてきましょうか」

エルマ: 「それはダメですよ。就寝の時間に出歩くのは。それにリサは暗視を持っていないじゃないですか。私にいい考えがあります」

普段寝る体勢をヴァシリーサに取らせるエルマ、上着を脱いで仰向けになるヴァシリーサ。
そこにのしかかり、胸に顔を沈めるエルマ。当惑されるが、代わりにリサもエルマを抱き枕にしていいと、積極的に両手で抱き込んでくる。

ヴァシリーサ: 「きょ!距離が近いです! まさか世間の女の子はこれが普通なのでしょうか…」

エルマ: 「さあ。記憶喪失なので分かりませんね、私。少なくとも世間の女の子でも普通の女の子でもないと思います」

ヴァシリーサ: 「そうなのですか…ならこれがエルマさんにとっては普通なのですね…」

エルマ: 「そうなるかもしれませんね。とはいえ、誰にでも抱き着いているわけではないと弁明しておきましょう。私の名誉のために」

ヴァシリーサ: 「私なら抱き着いて良いんですか? なんか…そう言われると悪い気はしません」 褒められて調子UP

私専用おっぱい枕だ……と満足げに寝入ってしまうエルマ。褒められて、自分の身体も案外捨てたものではないのかもと自信を持つヴァシリーサ。

ヴァシリーサ: 「それにこの子は記憶喪失なんですから、私が安心させてあげる、というのも大事ですよね…うん」自分で納得!

野営 - 突然の落雷

そうして、野営の前半6時間は何事もなく過ぎていき、交代の時間となった。
入れ替わりにテントに入っていくパノンとゾーニャ。

パノン: 「うーん、滑らかな手触りの中に荒々しい硬度。少しひんやりとしながらも温もりを感じる触感。グッドですね」 ゾーニャの鱗や尻尾に頬擦りしている

ゾーニャ: 「なんだかちょっと照れますね…でも寝てるときの私は凄い冷たいので触れていないほうがいいですよ」

パノン: 「大丈夫です、実家では金床がベッドでした」

ゾーニャ: 「それは凄いですね!起きたときに体痛くなっちゃわないんですか?」

パノン: 「落ちると痛いですね。あとめちゃくちゃ怒られます」

ゾーニャ: 「そのおかげで今のパノさんの強さがあるんですかねぇ…まぁ休む間私の鱗などで良ければ自由にしていただいて構いませんが」

パノン: 「そうかもしれません。鉄と共に生きることで鉄分を吸収……つまりニャーさんの尻尾と寝ることでリルドラ分を吸収し、強くなります」

一方、外に出たエルマとヴァシリーサは、パノンによって丁寧に毛布の上に並べられた素材を用いて相域対策用アイテムの作成にかかる。
エルマから予備の〈知性の指輪〉3つを借りた上で、セージ技能の高い(それでも4レベルだが)ヴァシリーサが担当した。

[薬品学判定]レンジャーorセージorアルケミスト + 知力

難易度:12 判定者:任意 所要時間:10分
※手元に〈アルケミーキット〉がない者がこの判定を行なう場合、-4ペナルティ

〈命脈乱しの蔓(200G/緑A)〉1つを素材に加工を行ない、判定に成功するたび〈ジオコイルポール〉を1つ作成する。
成功失敗どちらの場合も素材は失われる。

〈ジオコイルポール〉

知名度:15 形状:長さ60cmほどの細い杖 基本取引価格:非売品
カテゴリ:冒険道具類(消耗品) 製作時期:現代

所持者は補助行動または戦闘準備行動として、このアイテム1本を地面に突き刺すことができる。
次にこのアイテムが刺さった場所を範囲に含んだ「相域」の効果が発動する際、このアイテムも「相域」の対象候補に含まれた上で対象が決定される。
ただしそれが「超広範囲相域」であるなら、代わりに必ずこのアイテムのみが相域の対象となる。
これが「相域」の対象となった場合、実質的にその影響は1キャラクター分無効化される。

いずれの場合も、一度でも「相域」の対象候補に含まれたなら、このアイテムは効果を失う。
また、このアイテムを50mより近くに2本以上刺しても、対象の誘引効果は1本分しか発揮されない。
なお、シナリオ終了時にこれが余っていた場合、1本200Gで買い取って貰える。

7回の判定を行なうも、出目が奮わず3回しか成功しない。
しかし、失敗した1回を[剣の加護/運命変転]、3回を〈知性の指輪〉を砕くことによって無理やり成功に持っていき、7本の〈ジオコイルポール〉を製作した。

ヴァシリーサ: 「申し訳ありませんエルマさん、頂いた指輪を使ってしまって」

エルマ: 「構いませんよ。そのために渡したんですから。それよりも全部加工に成功するだなんて。リサは偉いですねえ」座ってるから今度は自然と頭を撫でられるはずだ

などと相変わらずイチャイチャしている2人。依然として静かな夜だったが……。
突如、エルマとヴァシリーサは「遠くにいる何かに対する言いしれぬ恐怖」と「地面が歪む感覚」を覚える。

[危機感知判定]スカウトorレンジャー + 知力

難易度:14 判定者:2人(屋外の者から無作為に選ぶ) 所要時間:一瞬(反応)
※睡眠中の者は-4ペナルティを受ける

失敗すると何かよくないことが起こりそう。
成功するととっさに「危険を回避する方法」がわかり、それを行なうことができる(睡眠中であれば偶然寝返りをうった等で睡眠継続してもよい)。

危機感知に成功した2人はとっさにカルキノスの下へと隠れた。直後、2人のいた場所に2筋の雷がぴしゃん!と落ちる。
まったく予兆はなかった。夜空には雲1つなく、直前まで雷鳴もまったく聞こえなかった。しばらく様子を見ても次の雷が来る気配はない。

エルマ: 「あの不快感に地面がぬかるんだ感触、直後に雷……」

ヴァシリーサ: 「………なるほど…これが受付嬢の言っていた現象ですか…」

エルマ: 「どう考えてもジオマンサーのものでしょう。ですが雲はない。近似例ですが確実に同一例ではない」

ヴァシリーサ: 「姿が見えないのにこんなにも高精度な攻撃が出来るなんて…ジオマンサーとは恐ろしいですね」

エルマ: 「……明日、村での聞き込みを行いますが。不審な人や物についてを、重点的に行うべきでしょうね」

連続で攻撃してこない点から、落雷にも何らかの条件が必要であると推察するエルマ。それがジオグラフ側の制限なのか術者の制限なのか……と思案する。
記憶喪失なのに高い分析力を発揮する彼女に感心するヴァシリーサ。どうやら記憶喪失はエルマ自身や以前の人間関係についてのみのようだ。

村 - 情報収集フェイズ

パノン: 「おはようございます。身体がバキバキになりました。これが、強さ」

ゾーニャ: 「うぅ…ごめんなさいぃ。ちょっと力加減出来てなくて…」

無事朝を迎える。結局この2人も抱き合いながら寝ていたようだ。
朝礼とばかりに、エルマは【サモンフェアリーⅡ】から妖精ドゥナエーを召喚し、おなじみ『月の舞』バフを全員にかける。
消耗したMPはパノンが〈魔香草〉を焚くことで回復。そしてキャンプをたたみ、アボ村へと進軍を再開する。天候はとても良い。

ヴァシリーサ: 「準備は万端ですね、さぁ進みましょう」

ゾーニャ: 「いいお天気ですね」

ほどなくして、目的の村『アボ村』が見えてくる。
人口30人程度の小さな村で、牧畜と畑作を主に行なっており、宿を含めて商業施設は一切ない。
居住区の周囲は簡素な木柵で覆われているが、日が昇っているため門は開放されており、見張りの類はない。住人も仕事を始めている。

ヴァシリーサ: 「一見すると普通の村落ですね」

エルマ: 「しかし──不意に雷が落ちて来る状況でも外で仕事をしないといけないのは、負担になるでしょうね」

エルマの推察どおり、村人にはいずれも憔悴の色が濃い。
そして冒険者の姿を見ると「あれは冒険者様ではないか?」「よかった…!」「ママーあれってリルドラケンでしょ?かっこいいー!」…と、歓迎を受ける。

ヴァシリーサ: 「これなら事情聴取も上手くいきそうですね」

パノン: 「大人気ですね。雨後の竹の子」

ゾーニャ: 「それだけ不安だったんですかね。早く解決しませんと」

村長: 「おお……ぜひとも我が村を襲う謎の現象について解決を頼みたいのです!」 村長も自ら出てきます

エルマ: 「もちろんです。おまかせあれ」

パノン: 「ところで金属が降ってくる相域とかはないのでしょうか?」

村人たち: 「そういき……?」「なんだろう、はじめて聞く言葉だ……」

不可解な異常事態に対して皆混乱しており、現状を聞き出そうにも村人たちの証言は要領を得ない。
皆の証言から正しい現状を導き出すのはまあまあ手間がかかりそうだ。

[聞き込み判定]任意の技能 + 知力

難易度:6/10/14/18 判定者:任意 所要時間:1時間
※RPで説得力を持たせられるなら一般技能を使用してもよい

村人に聞き込みをしよう。最も高い達成値の人を参照し、高ければより多くの情報を得られるだろう。

各々が冒険者としての度量を見せ、聞き込みをして回る。
妖精さんを見せて場を和ませたエルマ、初心に立ち返りとにかく走り回ったヴァシリーサが達成値19を出し、すべての情報をまとめ上げることができた。

村人への聞き込みの成果

達成値6以上
異常現象はここ一週間前から突如発生し始めた。
突然の落雷は狙いすましたかのように人間や動物に直撃してとても痛いが、いまのところ人間に死者はいない。
達成値10以上
最近『ヌシサマ』の姿が頻繁に村の近隣で見られるらしい。しかしこの達成値では『ヌシサマ』の正体はよくわからない。
また、異常現象に見舞われた者の中には、落雷や不定愁訴以外の不可思議な現象を体験するものもいたこともわかる。
数秒だけ身体が半透明になったり、不吉な予感がしたり、幸運な予感がしたり。
雷が直撃したにもかかわらず無傷で、逆に体調が良くなる者もいた。
達成値14以上
村人が語る『ヌシサマ』について詳細が飲み込めてきた。どうやらとてつもなく巨大なイノシシらしく、異常現象が確認される際には必ずヌシサマの姿が確認されていた。
また、普段から『ヌシサマ』を村から遠ざける役割を担っていた3人の凄腕ハンター『アボトリオ』が『ヌシサマ』の対処に向かったが、数日経っても帰還していないという。
達成値18以上
『ヌシサマ』を追った『アボトリオ』についての技量のほどが分かった。弓使いのシューター5、クロスボウ使いのシューター5、ガン使いのマギシュー4らしい。
これまでは遠距離から追い払うことができていたようだが、『ヌシサマ』と正面から戦闘した場合、まず間違いなく死ぬだろう…。

村長: 「いままでヌシサマがこのような異常な雷を纏うようなことはなかった……それが1週間前からいきなり。いったいヌシサマに何があったというのか……!」

エルマ: 「何者かの故意か、あるいは事故なのか。元凶どもがいてヌシサマを刺激したのか…」

ゾーニャ: 「一度そのヌシサマの様子を見に行く必要があるようですね」

パノン: 「生死は分かりませんが、そのヒトたち(アボトリオ)のことも探してあげましょう。生きていれば何かが原因で帰れなくなっているはずです」

さらに、達成値14以上を出したため、『ヌシサマ』やその子分について魔物知識判定を行なうことができる。
これにもエルマがつつがなく成功し、魔物のおおよその能力を見抜くことができた。
データは後述するが、どうやら『ヌシサマ』は巨大ジオグラフを呑み込んでしまって超広範囲相域をばら撒き続けているようだ。

[魔物知識判定×2]セージorライダー + 知力

難易度:12および16 判定者:任意 所要時間:一瞬(反応)
※この時点では弱点看破を行えず、遭遇した時にあらためて同じ判定を行なう必要がある

エルマ: 「いやそんな………………馬鹿な………………今までの情報が正しければ、ヌシサマこそが──」自分の推理が自分で信じられず言いよどむ

ヴァシリーサ: 「巨大なジオグラフそのもの…みたいな気がしますよね」代りに言っちゃう

パノン: 「つまりナショナルジオグラフですか。大自然の脅威」

ゾーニャ: 「悪食にも程がありますよぉ!」

パノン: 「まあ、でもたまにはあるんじゃないでしょうか。私も昔鉄鉱石を舐めていたら飲み込んだことがあります」

エルマ: 「それ舐めていたではなく口に含んでいた、では」

ヴァシリーサ: 「人間に鉄が必要なのは事実だけど、鉄そのままでは摂取できないわよ…。なんだか頭が痛くなりそうですが、これが現実なんですよね」

ゾーニャ: 「となるとヌシサマを何とかするしかないという事ですか」

村長: 「ヌシサマは非常に強大な怪物じゃが……もし倒せるのなら倒してしまっても構わない。どうか我々をこの天変地異から救ってくだされ……!」

ゾーニャ: 「分かりました。どのみち他に解決手段がないのであれば選択肢はありません」

平原 - 『ヌシサマ』を追え!

エルマ: 「推定。ジオグラフを食べてジオマンサーの力を得ているんですから、鉄を食べていればもっと頑丈で鋭利な肉体になっていたかもしれませんね、ヌシサマ」

パノン: 「鉄分は舐めて摂取するものでは……?」

エルマ: 「パノってヤギか何かみたいですね。岩肌を舐めるみたいな」

パノン: 「パノン・ヤギ・スレッジです。よろしくお願いします」

エルマ: 「名前が伸びた……」

パノン: 「さておき、真面目に追うとなると先人の残したものを使うのが得策でしょうか。具体的には残り香という名の足跡。ヒストリーオブバイオレンス」

ヴァシリーサ: 「そうですね、取り巻きの足跡も総合して考えれば、素早く居場所を割り出すのも不可能ではないはず」

エルマ: 「任せてください。足跡を追うのは得意です」具体的に言うと出目4以上で成功

方針が決まったため、さっそく村を出発するPC達。
『ヌシサマ』、そしてそれを追っていた『アボトリオ』達の足跡をたどるのだ。

[足跡追跡判定]スカウトorレンジャー + 知力

難易度:19 17 判定者:任意 所要時間:1分→1時間
※『アボトリオ』の技量を見抜いていたため、彼らの足跡も合わせて追跡でき、難易度が2下がった

『ヌシサマ』の移動跡を見つけて追いかける判定。
複数人で並行して行なえ、足跡を発見するのに1分かかり、1人でも成功すれば1時間後に『ヌシサマ』を発見でき、全員が失敗なら1時間後に再度この判定を行なう。
しかしあまり時間をかけすぎると……。

この判定にエルマが6ゾロを出し、見事に一発成功。

エルマ: 「推定される図体から通れる場所は限られますからね」あっさりと痕跡を見つける

ヴァシリーサ: 「手早くルートを絞って探索箇所を絞るなんて…手際が良いですね」

ゾーニャ: 「では出来るだけ気付かれないように足跡を追いますか…」プレートアーマーがっしゃがっしゃ

パノン: 「あぁ~鉄の音ォ~」

エルマ: 「まあ、私の蟹も結構うるさいので、あんまり気にしなくていいですよニャ」 ※ニャはエルマ→ゾーニャの呼び名

しかし、ある地点から『アボトリオ』の足跡は途切れていた。
そして1時間の追跡の末、なだらかな草原の中、1kmほどの距離を置いてもわかるほどに巨大なイノシシの姿を発見する。でかさに驚く一同。
これ以上近づくなら、超広範囲相域の影響範囲に巻き込まれてしまう。

[危険地帯突破判定]冒険者レベル + 敏捷力

難易度:下記参照 判定者:全員 所要時間:3分

相域を避けながら『ヌシサマ』に近づけ!
向かおうとするPC全員が判定を行ない、もっとも低かった達成値に従って、PC達が相域に見舞われる回数が決まる。
ちなみに1つ前の足跡追跡判定で3時間を費やしてもなお失敗のままの場合、強制的に相域範囲に呑まれてしまい、この回数が+1される。

  • 9以下:4回
  • 10~13:3回
  • 14~17:2回
  • 18~21:1回
  • 22~:0回

ただし、相域の発生ごとに〈ジオコイルポール〉を1つ消費することで、被害を免れられる。
また、何らかの方法で「空が見えなくなる」のに十分な屋根を確保できる場合にも免れられる。

ヴァシリーサ: 「今日は幸運が私にありますように」

パノン: 「それではスプリントです。走者一斉にスタートを切りましょう。全速前進」

エルマ: 「私の蟹が蔓を切ったらスタートとしましょう」

カルキノス: 「走者位置について」(エルマの裏声)

鋏でパチンと蔓が切られ、よーいドン!
判定はスカウト3人が良い出目を出すも、敏捷力に劣るゾーニャが低い出目を出してしまい、最低値13となる。
だが避雷針の在庫は十分。適宜〈ジオコイルポール〉を刺すことによって相域を回避しつつ、駆けていく!

ゾーニャ: 「ごめんなさぁい!」がっしゃがっしゃと大分遅れて走っていきます

エルマ: 「おお、ポールの効果は本物ですね!」 雷を受けて焼失するポールを見つつ

ヴァシリーサ: 「何もテストしてなくても上手く機能してくれて良かったです!」

パノン: 「こちらも前に刺しておきます。レッツ建立」 木々の幹の隙間に投げ付けて突き刺す

戦闘 - 対『ヌシサマ』戦!

やがて、『ヌシサマ』のすぐそばまでたどり着く。四足歩行ながら体高5mに至ろうかという威容。
さらにその周囲には子分と思しき巨大イノシシ3体。これも普通のイノシシと比べれば十分デカい。
なだらかな平原での会敵なので、互いの不意打ちとかは不可能である。敵意丸出しの獣たち、もはや戦闘以外での解決は避けられないだろう!

ヌシサマ: 敵とおぼしき者たちの接近に気づき、『ゴオオォォォ!!!』と大音量で嘶きます

ヴァシリーサ: 「ぐぅっ!凄まじい音量が増幅されて…」スマルティエの聴音機の効果で音が集音されてる

パノン: 「大迫力ですね。4D上映」

戦闘開始処理

『ヌシサマ』の先制値は19。《ファストアクション》を確実に取れるとは言い難い値である。
戦闘準備行動として、パノンは先制に備え【魔探法】。ゾーニャは自分に【気防陣】【ビートルスキン】【バークメイルS】。ヴァシリーサは【ガゼルフット】。

[魔物知識判定:ジャイアントボア]セージ + 知力

難易度:12/15 判定者:任意 所要時間:一瞬(戦闘開始処理)
※すでにデータは判別済みのため、弱点看破のみを目的とする

[魔物知識判定:『ヌシサマ』]セージ + 知力

難易度:16/19 判定者:任意 所要時間:一瞬(戦闘開始処理)
※すでにデータは判別済みのため、弱点看破のみを目的とする

唯一のセージであるヴァシリーサは、ジャイアントボアの弱点のみギリギリで看破成功。

[先制判定]スカウトorウォーリーダー + 敏捷力

難易度:19 判定者:任意 所要時間:一瞬(戦闘開始処理)
※6ゾロによる自動成功なし

そして肝心かなめの先制判定では、エルマのみ出目に恵まれず失敗してしまう。必殺の【ファイアストーム】を使いにくくなった。
ともあれPC側が先攻のため、全員後衛からスタート。それを受けて敵側は子分のジャイアントボア3体を前衛に出す。

ジャイアントボア (動物、魔物レベル5)×3体

知能:動物並み 知覚:五感 反応:敵対的
言語:なし 生息地:森林、山
知名度/弱点値:12/15 弱点:魔法ダメージ+2点
先制値:11 移動速度:24(四足)/- 生命抵抗力:9(16) 精神抵抗力:7(14)

部位名/攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP
本体/牙 7(14) 2d+8 7(14) 6 49 12

特殊能力なし

戦利品
  • 自動:剣のかけら x1
  • 2~8:なし
  • 9~11:毛皮(200G/赤A)
  • 12~:極上の毛皮(600G/赤A)

不確定名:「?でかいイノシシ」。体長2m超、四足歩行時でも体高1.5mに至ろうかという巨大なイノシシ。
突進力はすさまじく、丈夫な牙で木々をなぎ倒しながら暴れまわる。

『ヌシサマ』 (動物、魔物レベル9)×1体

知能:低い 知覚:五感 反応:敵対的
言語:なし 生息地:森林、山
知名度/弱点値:16/19 弱点:魔法ダメージ+2点
先制値:19 移動速度:25(四足)/- 生命抵抗力:15(22) 精神抵抗力:13(20)
コア部位:頭部

部位名/攻撃方法 命中力 打撃点 回避力 防護点 HP MP
頭部/牙 13(20) 2d+13 12(19) 9 124 18
胴体/蹴り 12(19) 2d+10 11(18) 8 90 16

●全身

[主]トランプル
「射程:1(25m)」「形状:突破」で、この魔物の任意の部位のものを使用し対象に近接攻撃を行なう。
この能力を使用すると、すべての部位が主動作を完了する。また「誤射の可能性がある対象に対しては突破を行えない」「1部位でも主動作を完了していると突破を行えない」ことにも注意すること。
この能力は「部位:胴体」のHPが0以下になると使用不可能。

●頭部

[常]相克適正
常時特技《相克の標的》を有し、「相域」の対象数が2体になる。
また《相克の別離》と同様に「相域」の対象ごとに適用する効果をキャンセルできるが、キャンセルできる効果は【天相:降雷】のみに限られる。
[常]不可測相域
これが相域を1つ以上使用している場合、手番終了時にさらに追加で以下の相域の効果がランダムで発生する。どの相域が発生するかは2d6で決定し、カッコ内の値の命脈点を消費したかのように効果量を算出する(実際には消費しない)。出目9以上の相域は他の相域効果よりも先に適用され、【地相:蜃気楼】は軽減する属性を「炎」「水・氷」「風」「土」「雷」「純エネルギー」からランダムに1つ決定する。
  • 2~3:【地相:大いなる蛇の目】(2)
  • 4~5:【天相:因果】(2)
  • 6:【人相:魂の別離】(2)
  • 7:【天相:七星流れ】(4)
  • 8:【人相:存在の消失】(1)
  • 9~10:【地相:蜃気楼】(3)
  • 11~12:【天相:空を欺く】【地相:地脈の吸収】(4)【人相:活】(4)
[常]相域(常時)/全エリア(半径50m)
【天相:降雷】【地相:泥濘に沈む】【人相:恐慌】を有し、これらを常に「命脈点:3」ずつ支払ったかのように使用している。移動の形態によらずこの相域は持続する。また、対象を選んだ後に適用する相域を【天相:降雷】以外キャンセルすることがない。
戦闘中でない場合は「超広範囲相域」となる。相域の効果範囲は半径500mまで拡大し、相域の発動間隔が30秒ごとになるが、開けた空の下に居る者のみが対象となるように変化する。

●胴体

[主]暴れ逃げる
乱戦状態にいるときのみ使用可能。暴れ回って乱戦から離脱する。基本戦闘なら後退方向の隣接エリアにのみ移動可能。

戦利品
  • 自動:剣のかけらx10(部位数によらずこの個数)
  • 自動:ジオグラフの欠片(200G/白A)(部位数によらず1個)
  • 2~4:毛皮(150G/赤A)
  • 5~9:上質の毛皮(450G/赤A)
  • 10~:極上の毛皮(1350G/赤S)

不確定名:「?『ヌシサマ』」。体長が5m以上に達する巨大なイノシシ。
雑食性で、何でもむさぼり食う食欲と、巨体に任せて暴れまわる荒々しさが驚異的。
この『ヌシサマ』は長寿な個体のため、知能が『低い』程度まで向上している。また、巨大ジオグラフを飲み込んでしまったようで、非常に広範囲に作用する相域を常時発動してしまっている。

自軍後方前線敵軍後方
ゾーニャ
エルマ
パノン
ヴァシリーサ
カルキノス
ジャイアントボアA
ジャイアントボアB
ジャイアントボアC
『ヌシサマ』

1ラウンド目先攻 ゾーニャ

ゾーニャ: 「では行きましょう!」前に飛び出しつつ[剣の加護/竜の咆哮]を使用

小翼種リルドラケンの種族能力により、1ラウンドだけだが抵抗および物理与ダメージに+2。
そしてヘビーメイスでボアを殴るも、出目3によりミス。
だが彼女の本懐は防護能力にあり。《かばうⅡ》+《ガーディアンⅠ》によるカバーリングを、今回はパノン3回分で宣言する。
この時点での防護点は23。オイオイオイ……。

1ラウンド目先攻 エルマ→クーシー

まずは補助行動で[剣の加護/厳つき氷]をボアAに。3点確定ダメージだ。

エルマ: 「豆鉄砲ですね…」

さらに魔晶石から【ウィングフライヤー】をヴァシリーサとカルキノス2部位にかける。
そして《オーバーリミット》宣言からレベル8妖精魔法【サモンフェアリーⅣ】を行使! 呼び出すのは光と闇の古代種妖精クーシーである。
続くクーシーの行動は安定の【バーチャルタフネス】。ゾーニャ、パノン、ヴァシリーサの最大HPが12点上昇した。

エルマ: 「じりじりと戦わせてもらいますよ、趣味じゃありませんがね」

1ラウンド目先攻 ヴァシリーサ

【キャッツアイ】【ヴォーパルウェポンA】を自分に使いつつ前進し、《斬り返しⅡ》《薙ぎ払いⅠ》にて前衛ボア全員に攻撃!
タフな子分たちであるが、これでAとBのHPは半減。
《ファストアクション》では一番HPの削れたBを追撃するも、残り7点で仕留めきれず。

ボア: 「ブモオオオオオッ!!」

ヴァシリーサ: 「良い手ごたえです!これでボーナスは独り占め…では無いんでしたねもう」

1ラウンド目先攻 カルキノス

エルマが《マリオネット》持ちのため、独立した手番で動ける。【チャージ】+【獅子奮迅】にて攻撃!
胴体が瀕死のボアBをきっちりと仕留める。
続く鋏攻撃は【連続攻撃】を有し、ボアAにきっちりと2回命中させてこれも仕留めきった!

ボア: 「ボアアアアアア!!」

カルキノス: ジャキンジャキン!魔動機のハサミがイノシシを寸断する!

パノン: 「大暴れしていますね。怪獣映画ならぬカニ獣映画です」

ゾーニャ: 「凄い!どっちが怪獣か分かりませんね」

1ラウンド目先攻 パノン

[黒炎の遣い手]【キャッツアイ】【マッスルベアー】【クリティカルレイA】【気集中】【念糸還】でバフった後に前進。
ボアCを無視し、後衛にいる『ヌシサマ』の頭部に《ファストアクション》からの《狙撃》を試みる!
パノンの命中判定は24、『ヌシサマ』の回避判定は22。

『ヌシサマ』: むほほ 命中だけど狙撃失敗ー

パノン: ここに腕輪があります。バキィ!!

『ヌシサマ』: 「フゴ!?」

狙撃成功! しかもクリレイがしっかり仕事をして1回転、43ダメージが倍化して86点ダメージ!
『ヌシサマ』のコア部位のHPが124から一気に47まで削られる。

パノン: 「───どっせいっ!!」 鉄球をぶん投げて眉間に直撃

『ヌシサマ』: 「ガッ……ゴ……!!」 苦しそうに頭を振っている

ゾーニャ: 「なんかヌシサマの関節が曲がっちゃいけない方向に折れちゃいましたけども…っ!!」

ヴァシリーサ: 「これは…ヌシサマの頭蓋骨が割れててもおかしくないですね…」

パノン: 念糸で投げ付けた鉄球を引っ張り込んで再び手中に収める。引き寄せると同時に、黒い炎が自分の両腕を焼く。が、全く意に介さずに再度目標を定める。

1ラウンド目後攻 『ヌシサマ』→ボアC

まずは不可測相域の決定。出目は9、【地相:蜃気楼】(純エネルギーの被ダメージ-6)。つまんね!!
まだボアCが生きているため前線は乱戦状態、ルールにより「形状:突破」のトランプルは使えない。仕方なく前進し、2部位で攻撃を試みる。
頭部の牙攻撃はカルキノスの鋏を捉えるも、胴体の蹴りはカルキノスの胴部にかろうじて躱された。

『ヌシサマ』: 行動終了なので相域ガチャタイムー

相域の対象に選ばれたのはカルキノス胴部とボアC。
カルキノスは【ウィングフライヤー】で飛行している魔動機のため、【天相:降雷】による6点ダメージのみ有効。
ボアCには降雷をキャンセルしたが、【地相:泥濘に沈む】の影響を受けてしまう。

ゾーニャ: 蟹嫌いか

ヴァシリーサ: 蟹がたぶん私たちの中で一番図体でっかいだろうしね

パノン: 相域までカニ狙ってるし

エルマ: これ動物同士の戦いに私達が巻き込まれただけなのでは?

ボアCはゾーニャを狙い、牙を命中させるも防護点で防がれる。つーか最大値出しても通らないわこれ……。

ゾーニャ: 「あまり邪魔しないでください!」 カン

ボアC: 「!!!??」

パノン: 「素晴らしい硬さ。黄金の鉄の塊といったところでしょうか」

ヴァシリーサ: 「微動だにしていない…」

エルマ: 「あれは……聖騎士ローガン!?」

自軍後方前線敵軍後方
エルマ
クーシー
ゾーニャ
パノン
ヴァシリーサ
カルキノス
『ヌシサマ』
ジャイアントボアC

2ラウンド目先攻 エルマ→カルキノス

魔晶石から【ウィングフライヤー】を掛け直し、[厳つき氷]で頭部HPを削る。
主行動は森羅魔法【サラウンディングアタッカー】、頭部の回避力を下げる。
――余談だが、セッション募集時に「低レベルでもドルイド推奨」としたのはフライヤーが【泥濘】相域への対策になるからである。

パノン: 「こうして近くで見るとド迫力ですね。ジャイアントロボクラブ」

即座にカルキノスが『ヌシサマ』頭部を狙いに行くも、出目の差により鋏攻撃は躱される。
さらに胴部の攻撃は1ゾロを出すが、月の舞により無理やりファンブル回避……するもやはり躱されてしまった。

2ラウンド目先攻 パノン

パノン: 「カタキは取りますよ、カニキ」

黒炎継続、【クリティカルレイA】【ターゲットサイト】から普通に頭部狙いの投擲攻撃。
またしても威力の出目7をきっちりクリレイが補完し1回転、頭部HPを残り5点まで削る!

パノン: 「チェスト!」 ぐるんぐるんと鎖を回して頭部に鉄球を叩き付ける

『ヌシサマ』: 「ヒィ……ヒィ……」 かなり息絶え絶え

パノン: 「正チェストにごわす」 メラメラと両手を焼きながら

2ラウンド目先攻 ヴァシリーサ

【ヒールスプレーA】でパノンの自傷ダメージを癒やしつつ、《斬り返しⅡ》《薙ぎ払いⅠ》で敵全体を攻撃。
出目が奮って『ヌシサマ』の胴体には回避されるも、瀕死のコア部位にはきっちり当たる。

ヴァシリーサ: 「色々悩んだけど私だって、やれる! それがみんなのお陰で分かりました! 死ねぇ!」 斧を最大半径で振って首を飛ばします

『ヌシサマ』: 「……………!!!」 スパーンとキレイに切り落とされた。頭と胴の境目から、美しい緑色の石がごろりと転がり出て来る

ヴァシリーサ: 「うわぁ…本当に飲み込んでたんですね……」

パノン: 「おお、ナイスショット。見事な切断力。ボーパルバニー」

前回と違い、自ら暴走していたわけではない巨大ジオグラフは、持ち主がなくなると急速に光を失っていく。
しかし生き残ったボアCはいまだ敵意を向けている。戦闘は継続だ。

2ラウンド目先攻 ゾーニャ

こちらも【ヒールスプレーB】でパノンをいたわりながら、ボアCに神聖魔法【フォース】を詠唱。しっかり抵抗を抜いた。
威力の出目は奮わないが、魔法ダメージが弱点のため結構な痛手となる。

ゾーニャ: 「初めて使いますが…!」

パノン: 「はじめての祝砲ですね。トリガーハッピー」

2ラウンド目先攻 クーシー

クーシー: 『お前まだ……このラウンドを生き延びられると思っているんじゃあないだろうな?』

前進し、通常攻撃を行なう大型犬妖精クーシー。実は9レベル妖精の中ではドゥアガーに次ぐ武闘派である。
しっかりと命中させ、トドメとなった!

クーシー: 首元に食らいついてぶんぶんと何度も振ってから宙に放り投げるぜ

ボアC: 子分のほうも体長2mくらいあるんだけどね…それでも古代種妖精には勝てなかったよ。戦闘終了!

戦闘後処理

エルマ: 「終わりましたか」

ヴァシリーサ: 「これで全部…ですかね」周囲を見渡している

パノン: 「大勝利ですね。いえーい」

ゾーニャ: 「そうですそうです!私たちの勝利です!」

こぼれ落ちた巨大ジオグラフや『ヌシサマ』の首を証拠として確保しつつ、剥ぎ取りを行なうPC達。結果は上々。
さらに『ヌシサマ』のお腹の中からは消化されなかったアイテムとして指輪が3つ出てくる。
いわゆる結婚指輪であり、うち2つは似たデザインであることから……。

パノン: 「腕が三本ある怪人のものでなければ、お話に聞いていたトリプルシューターさん方のもので間違いなさそうですね」 南無…

ヴァシリーサ: 「冒険者ですからね、こういうことも起こりえるでしょう…彼らも覚悟していたはずです」

ゾーニャ: 「遺族の方に…」と言いかけて片方は遺族もここかとなります

エルマ: 拾って、丁寧に汚れを落としましょう。カルキノスに乗り込んで、村に着くまで指輪を磨いています

パノン: 「この方達も、村を守るために戦った勇者です。共に帰りましょう」

遺品の指輪は3つ。記憶喪失のエルマに遺されていたものも3つ(エルマ・エラ・イレという名前と思しき断片)。
その偶然の一致に打ち震え、人知れずカルキノスの上で嗚咽していたエルマ。
騎獣の上ゆえ気づかれないと思っていたが、〈聴音機〉を身に着けていたヴァシリーサには聞こえていたようである。

エンディング - 巨大ジオグラフはどこから?

ともあれ、依頼は達成である。村に帰還した冒険者たちを村人は大歓迎する。

ゾーニャ: 「手厚く、葬ってあげてください」 村長さんに遺品を引き渡しましょうか

村長: 「ありがとうございます……冒険者様。彼らもいつかこうなることを覚悟しつつハンターをやっておったはずです……」

パノン: 「死した方々の気持ちは代弁出来ません。死人に口なし。後悔を抱いて亡くなられた可能性も無きにしも非ず」

パノン: 「ですが、少なくとも最期まで戦った事は事実です。勇往邁進」

ヴァシリーサ: 「そうですね、彼らが時間を稼いでくれたから、私たちが間に合った。彼らの勇気に感謝を」

エルマ: 「……」指輪を手渡したあとは、いや指輪を回収したあとからずっと黙りこくっている

村長: 「ともかく、皆様のおかげで村は救われました…!」

ゾーニャ: 「そうですね。また同じことが起きない保証はありませんが、ひとまずは解決したと思います」

パノン: ゆめ、彼等のことを語り継いであげてください。忘れられなければ、遺ります」

エルマ: (――パノンのその言葉を聞いて。今更分かった気がした。私が忘れたせいで、何も遺っていないんだって)

3人組が育成し、そして冒険者4人の勇気ある行動をも目にした後進ハンター達が、きっとすぐ彼らの跡を継いでくれるだろうと言う村長。
早く冒険者ギルドに戻って報告するよう促してくる。街に戻り、報告へと移る冒険者たち。
犠牲者が出たことについては、辺境の冒険者ギルドの管轄地域が広いために後手に回ることも多く、致し方ないと受付嬢は嘆く。

受付嬢: 「今回はジオグラフ自体が意思のようなものを持って暴走してたわけじゃないのですね」 渡されたサンプルを見つつ

パノン: 「…………。すみません、ちょっと真面目になってもいいですか。前回はジオグラフを手にした蛮族の手によるもの。そして今回は偶然それを飲み込んだ獣が原因。恐らくこの二つの事象に関連性はないと思いますが、共通点はあります」

パノン: 「どちらも、通常では考えられない威力を持ったジオグラフが渦中にあり、それが連続して起きているということです。なので、もしかすると何かこのあたりで妙なことが起きている可能性はあると思います」

受付嬢: 「……でしょうね。2つの村は離れてますが、『このあたりで』と断じるには十分な材料かと」

ゾーニャ: 「裏で糸を引いているものがいる可能性があるという事ですかね」

パノン: 「まあ、それは分かりませんが。例えば、天変地異が原因で大量の埋没ジオグラフが表に出てきてしまっただけかもしれませんしね」

ヴァシリーサ: 「また、同じような事象や犠牲が繰り返される、ということですか」

エルマ: 「……不愉快。ですねそれ」

パノン: 「何れにせよ、『どこかからジオグラフが調達されている』可能性が高いです。対策を講じるべきかもしれませんね。真面目タイム終わりです。ゲームイズオーバー」

対策のため、報酬を用意しつつも詳しい報告をお願いする受付嬢。
しかし、疲れたので先に休むと席を外そうとするエルマ。そこにヴァシリーサが待ったをかけ……。

ヴァシリーサ: 「私!エルマさんの事離しませんから!いっぱいいっぱいお話して!沢山これから遺せるもの作りますから!」エルマさんの頭を自分のおっぱいに押し付け、大声で叫びます!

ヴァシリーサ: 「だから!だから!悲しい時は一人で抱え込まないで、私を頼ってください!あなたがそうしてくれたみたいに!」

エルマ: 「………………ぶ~~~」押し付けられてるので声が出せない

ヴァシリーサ: 「あっ!?ごめんなさい!」胸から解放します

エルマ: 「……………いや~~~~~~~~………………。なんか、こう…情熱的ですねえ………………凄く」

ヴァシリーサ: 「私知らないんです、他の子がどうするとか…でも今のエルマさんがほおって置けないのは分かるんです。だから…またこの枕で眠ってください!」その場で上着をはだけだします

エルマ: 「わあ…。あの、ニャ、パノ。私達………………そういうことですので。ええ。はい」

エルマ: 「ちょっと……参っちゃってたんですが。勘付かれてたみたいで」

ヴァシリーサ: 今さらやらかしたことのヤバさに気づいて顔真っ赤になる人間

ゾーニャ: そこまで過激な事という意識のないトカゲ

パノン: ヒトも鉄になればいいのにと思っているドワーフ

ヴァシリーサの手を取り、共に寝室へ向かっていくエルマ。苦笑しつつ、残った2人に報告をお願いする受付嬢。
野菜抜きの食事を要求するゾーニャ。気合い入れて報告に向き合おうとするパノン。
果たしてリサとエルマの今後はどうなるのか。そして、超広範囲相域を振りまく巨大ジオグラフの出処は一体……??

GMの感想

『ジオガッチャー』続編です。今回は定石どおり、レベル7冒険者にレベル9魔物(剣のかけら10+魔改造)を当ててみましたが……まだもう少し盛れそう?
先制値19+トランプル持ちは先手を取れないと相当苦戦するでしょうけれど。
いやこのパーティーだとたとえ後攻に回ったとしても鉄壁のゾーニャさんが捌いてしまうでしょうけれどね…。7レベルともなればビルドの幅がすごく広くなります。
今回も相域は計2回しか発動せず、不可測相域もまた蜃気楼で、なかなか「相域ガチャ」と呼びにくい結果に。無念。
とはいえ前半の戦闘でしっかりジオコイルアイヴィーを8体倒すことを選んだ選択の結果なので、PC達の勇気の勝利と言えましょう。

ヴァシリーサとエルマの関係性は、PLさん達にも予想できなかったもののようで。セッション中に生まれる複雑な関係性いいよね…。
今後のセッションやRP卓でぜひ進展を見てみたいものです。
どこかズレた感覚のあるゾーニャさんとパノンさんの掛け合いも見ててとても楽しかったです。

PLの皆様にも楽しんでいただけたのでしたら幸いです。あらためまして、お付き合いありがとうございました!

――ソード・ワールド2.5『ジオガッチャー・カテゴリー2』 fin