【キスをしないと出られない部屋 ~ある4人のPTの場合~】  『キスをしないと出られない部屋』  そうドア上の壁面に書かれた文言を見て、長身の優男・スナイプと、小柄なアンドロイドの少女・メトリは同時に溜息をついた。 「ははぁ。どうやら、罠にかかっちまったみたいだねぇ」 「そのようですね」  とあるダンジョン、二手に分かれての探索の途中。  こうした小部屋は扉を閉めないよう、注意して入るべきだが、今回は作成者のほうが一歩上手だったらしい。  トラップ防止のためにドアに挟んでおいた小枝が粉々にへし折られる音に振り返った時には、すでに遅かった。 「さっきの階で似たような小部屋を探索した時も何かの気配は感じましたけど、こういうパワープレイはしてきませんでした。提示された条件からしても、二人一組で入室すると強制的に閉じ込められるタイプみたいですね」 「ほー、詳しいねぇ」 「こういう仕掛けなら本職ですから。ただ……ここは機械仕掛けではないようです」  魔法の小部屋ですね、と残念そうにメトリが呟く横で、スナイプが顎をさする。 「ふーむ。となるとメトリちゃんでも簡単にはいかないか。もちろん、俺も専門外だ。……一応、撃ってみるかい?」 「止めませんけど、多分無駄ですよ。機械仕掛けと比べて、魔法式のトラップルームは誓約の強制力が強いんです。ルールに従った解錠行為には脆弱な反面、ルール外の力押しには驚くほど強い」 「なるほど……。と、なるとだ。……あー、じゃあその、なんだい、僭越ながらお手を拝借しても?」 「いいですよ。はい」  あっさりと頷き左手を差し出すメトリに、拍子抜けしたスナイプが目を丸くする。 「おや、いいのかい?」 「キスくらい猫とだってします。今回もまあ、噛まれるのと同じようなものです」 「そこは噛まれる扱いなのね……」  苦笑しながら、スナイプは恭しくメトリの前に跪き、その手を取った。 「それでは、姫君。失礼をば」 「いちいちかっこつけなくていいです。早くしてください」 「……仰せのままに、レディ」  チュッ、と小さく音がする。  本来なら口づけをする「フリ」をするのが作法だが、部屋が指定してきた条件であるからには、スナイプは一応本物のキスをした。  一瞬の間をおいて、ガチャリと解錠の音が響く。   『キスを感知しました。ロックを解錠します』 「おお……ほんとに開いた」 「そういうものです、こうした部屋は。捕らえた対象にルールを強いる反面、部屋自身も提示した条件は裏切れません」 「成る程。……にしても、悪かったねメトリちゃん。ルールとはいえ」 「お気になさらず。後できちんと洗浄しておくので」 「あ、そう……」  どこまでもクールなメトリに苦笑して、スナイプが立ち上がる。  彼女が先ほどからずっと明後日の方向を向いて、視線を合わせてくれないことは黙っておいた。 「……さて、向こうの方は無事だといいんだが」  二手に分かれたPTの片割れ。  サーヴァイン・ヴァーズギルトとアズライールの姿を思い浮かべ、スナイプは独りごちた。   *  *  *  部屋全体を揺るがす衝撃と、金属質の重い轟音。  巨大な棺桶型の複合兵装から放たれたパイルバンカーの一撃を受けてなお、トラップルームの扉は僅かに傷ついただけだった。 「……チッ」 「クク、なんとも不甲斐ないではないか! ───のけ、そして見るがいい! 我が暗黒の無慈悲なる一撃を!」  棺桶の男が舌打ちしながら脇によけると、そこに間髪入れず漆黒の暴風が突っ込んでくる。  着弾、と表現すべき速度でドアに激突した“それ”は、部屋を再び轟音で埋め尽くした後、数秒の間をおいてから、クールぶった態度を一変させて怒り任せに怒鳴った。 「かっ……たいわね! 何なのよ、この部屋!」  キーキーと地団駄を踏む黒衣の少女──アズライール(もとい、本名ハナコ)を横目に、サーヴァイン・ヴァーズギルト(通称、ギル)は部屋の壁を調べながら呟いた。 「物理的な手段での破壊は難しい、か」 「じゃあどうすんのよ。まさか、ほんとにその……キ、キスする気じゃないでしょうね」  顔を僅かに赤らめながら、ハナコが振り向く。  その背後、ドアの上に浮かび上がったプレートには『キスをしないと出られない部屋』と書かれていた。  その文字を憎々しげに一瞥し、いつも通りの陰鬱な口調でギルが吐き捨てる。 「……お前、そこに『腕に切り落とせ』と書いてあったら、そいつを試すのか?」 「そ、……れは、しないけど」 「ここに閉じ込められた時点で、俺達はすでにハメられている。悪趣味な仕掛け人の指示に従って、素直に解放されると思うか」 「あ、たしかに……。う、うむ! 我もそう思っていたところだ」  “アズライール”としてのクールな(と、本人は思っている)態度でギルの言葉に合わせながら、ハナコは内心「それとこれとは程度が違くない?」と思った。   「とにかく、まずは部屋を調べる。……この扉の強固さからするに、仕掛けは魔術式だろう。術式、配列……どこかに綻びがあるはずだ」 「わかるの?」 「お前よりはな」  ぶっきらぼうに言い捨てて、ギルは部屋を探り始めた。  最初は扉、次に床、壁……と順繰りに手を這わせ、時に何かをぶつぶつ詠唱しながら調査を進めていく。  その間、ハナコはやることもないので部屋の中央に設えられたベッドに腰掛けていた。  何でベッドが? と思わないでもなかったが、きっとこれも疲れた冒険者を誘い込む罠の一種なのだろう、とハナコは思った。  ───そうして、どれくらい時間が経っただろうか。  最初こそしばらくギルの背を眺めていたり、足をパタパタさせたりしていたハナコだったが、正直、飽きてきていた。  はっきりとした経過はわからないが、小一時間ほどは部屋に閉じ込められている気がする。  相変わらず部屋を調べているギルの不機嫌そうな背中を見る限り、どうも特に進展はないらしい。 「……まだ?」 「黙ってろ。気が散る」 「だって……」 「チッ」  苛立ちを隠さないまま、ギルは調査の手を止めずに壁に向き合っていた。  ……なんか変だな、とハナコは思った。  ハナコの知るギルは、常に冷静だ。  彼の滅んだ故郷──『聖都』に関わる事柄に関しては一転して激情を見せるものの、普段はその感情を奥底に押し込めた、もっと陰鬱、否、落ち着いた人間のはずだ。  だというのに、今のギルはなんだか不自然に焦っているように見える。 「…………」  ちら、とハナコは部屋の扉に視線を向ける。  その扉の上に浮き上がった、簡素な部屋名に。  しばらく目を閉じ、考えて顔を赤らめ、頭をぶんぶん振ってから、ハナコは意を決したように目を開いた。 「コホン。ギル……いや、聖騎士サーヴァインよ」 「……なんだ」 「随分と苦戦しているようではないか。貴様さえよければ、その、た、試してやってもよいのだぞ」 「……。さっきも言ったが、」 「腕を切り落とす、とはわけが違うでしょ。……別に、その、減るもんじゃないし」  それに、あんただったら、まぁ。  という後半部分はもごもご口の中で反響するばかりで、うまく声にならなかった。 「…………」  調査の手を止め、ギルがこちらを振り向く。  その表情は険しく、しかしそれはいつもどおりのことなので、そこにどんな感情が宿っているのかはハナコにはわからなかった。 「……あ」  ギルがハナコに近づいて来る。そして無言のまま、ハナコが座っているベッドの隣にドスンと腰を下ろした。  大柄なギルの静かな圧力に、今度は言い出しっぺのハナコの方が慌ててしまう。 「あっ、ちょっと、もうする感じ!? ま、まだ私、心の準備が」 「お前、いくつだ」 「へっ?」 「……歳だ」  唐突な質問に、ハナコが目をぱちくりとさせる。 「え、っと。……多分、まだ14」 「そうか。俺は23だ」 「ふぅん……そうだったんだ。意外と老けてんのね」 「………」  23という年齢が世間からどう見られているかはともかく、一般的に、14の少女から見れば20より上はもう『お兄さん』という感覚ではない。  それはそれとして心なしかギルが表情を一層暗くしたような気がして、慌ててハナコはフォローを入れた。 「あっ、ごめん。老けてるっていっても、あれよ。どっちかっていうとまだお兄さんって感じのおじさんだと思うわよ」 「別に、気にしてない」 「でも、ちょっと落ち込んでそうだったから……」 「気にしてない」 「……。うん、わかった」  それきり、二人の間に沈黙が訪れる。  ハナコは「気まずっ」と思った。  沈黙に耐えかね、ベッドに腰掛けた足を居心地悪そうにパタパタさせていると、やがて、ギルがぽつりと口を開いた。 「……お前は……」 「うん」 「故郷に、気になる相手はいないのか」 「は?」  いよいよ親戚のおじさんみたいなことを言い出したギルに、思わずハナコはギルの顔を振り向いた。  その表情は、真剣だった。  こちらを見ないまま、正面の壁に視線を向けて。いつも以上に暗く、険しい表情で。  ハナコはなにか文句を言おうとしていた口を閉じた。  そして、少し……思った。飛び出した故郷、レンハートのことを。 「……いない、わよ。別に。まぁ、弟分みたいな子はいたけど」 「……そうか」  ライト、という少年のことをふと思い出す。  年下の男の子で、自分に憧れて“魂の名(ソウルネーム)”を名乗ったりするなど、何かと憧れてくれているようだった。  とはいえ、それは子分とか舎弟のような感覚で、ギルの言うような関係とは違った気がする。 「……ねえ、さっきからどうしたの。ギル、あんたちょっと変よ」 「この部屋の結界構築は、見事だ。一分の隙も無い。腹立たしいことにな」 「それって……」 「ああ」  ギルの眉根に暗い影が落ちる。 「この部屋は、口づけをしないと出られない」 「…………」  だから、最初からそう言ってるじゃろがい。  そう喉まで出かけた台詞を飲み込み、ハナコは考えた。ギルの言葉の意図を。 (……この男、そんなに私とキスするのが嫌なわけ?)  ハナコは、自分の容姿に関してはそこそこ自信がある方だ。  絶世の美女……とは言わないにしても、学校の一クラスくらいの人数を無作為に集めたら上から五……いや、三人の中には食い込めるのではないか。  そういう思春期特有の「私って結構イケてる方じゃない?」という無根拠な自己肯定感が、ハナコにはあった。  だというのに、なぜだ。  目の前にいる、この陰鬱ネクラ棺桶男は私とキスするのが嬉しくないのか?  いや、嬉しくは……ないか。そもそもこいつ、嬉しいとか、楽しいとか、そういう感情が死んでるし。  ……というか、そもそも女として見られてないから、とか。  いつまで立ってもガキ扱いだし。胸も……まだ、そんなにないし。 「アズ」  ぼそり、と。  名を呼ぶ声に、ハナコの意識が現実に戻される。  かすれた声だった。  いつもよりほんの少しだけやわらかい、穏やかで──どこか不安げな声。 「お前は、」  ギルが何かを言おうとして、ほんの少しだけ逡巡する。  だが、その迷いは一瞬だった。一拍の間をおいて、息とともにギルは言葉を吐き出した。 「人生最後に口づけを交わす相手が、俺でいいと思うか」 「────」  ハナコの息が止まる。  重い、重い一言だった。  その短い問いかけに込められた意味が、重石のように心にのしかかってきて、ハナコは思わず俯いた。  ───この男は。  ある日突然、何の前触れもなく、数え切れないほどの仲間を失ったから。  どれほどの強者であっても、命は、次の瞬間にも唐突に失われてしまうのだと誰より知っているから。  そして、それを防ぐことができなかった自分を今も責め、自分の価値を不当に低く見積もっていて。  ……こうして自分たちと旅をしている間も、心は常にあの場所にあるのだと。  そう痛いほどに伝わってきて、ハナコは唇を噛んだ。  ……悔しかった。歯がゆかった。  そして……どうにも、我慢ならなかった。   「……いわよ」 「む……」 「───ふざっけんじゃないわよ!!」  弾かれるように立ち上がって、ハナコは吼えた。   振り向いたギルの目が、僅かに驚きの色を帯びている。 「じゃあ、何!? まさかこっちに気を遣って、たった一回キスすれば出られる部屋の抜け道をどうにか探すために、小一時間も壁とおしゃべりしてたってわけ!?」 「…………」  無言の肯定。 「別に、それはいいわよ! 罠とか、隠し通路とか、あるかもだし! でも、あんた、普段だったらあたしを捨て駒にしてでもそういうの、突破するでしょうが!」 「それは……そうだが」 「おい!!」  あっさりと肯定したギルに突っ込みつつ、ハナコは一気にまくし立てた。 「それなのに、その、そういう大人のやつはこっちに気を遣って、遠ざけて……なんかそれ、すっごく、嫌!!」 「…………」 「キスくらいすればいいじゃない! それが、はっ、初めてのやつだって、こんなところに閉じ込められ続けるよりずっとマシでしょうが!」 「……初めてなら、なおさらのことだ」 「そんなの、これからいくらだってすればいいでしょ! これからいっぱいあんたよりカッコいい人とキスしまくって、こんな初めての思い出なんて、どうでもよくなるくらいにしてやるわよ!」  もはや自分でも何を言ってるのかよくわからなくなってきて、なぜか視界がぼやけてくる。  言わなくてもいい自分のキス歴まで暴露してしまったことを思考の端でうっすら気付きつつ、ハナコは感情の爆発に身を任せて叫んだ。   「だから、こんなことくらい……頼りなさいよ! あんたはそうは思ってないかもしれないけどッ、あたしたち……仲間でしょうが!」  普段だったら恥ずかしくって、絶対言わないような言葉。  なのに、不思議とそれを口にした時、胸につかえた重石が外れたような開放感があった。  気付けば、頬に熱いものが流れていた。それを拭うこともしないまま、ハナコはギルを見据えていた。ギルも、その目を正面から受け止めていた。  やがて数十秒が経ち、荒い呼吸が収まってきた頃、ハナコは少し冷静さを取り戻していた。  そして、猛烈に恥ずかしくなってきた。  ギルから視線を外すと、のろのろと力が抜けるようにしゃがみ込み、そのまま真下にあったベッドに再び腰掛ける。  その間、互いに無言のままだった。  隣の男は今、どんな顔をしているのか。ギルと目を合わせることができない。   「……落ち着いたか」  ギルが、静かに問いかけてくる。  数秒の後、ハナコは無言で頷いて応えた。 「そうか。……悪かった」 「謝んないで。あたしも、その、ちょっとかっこ悪い感じになっちゃったし」 「いいや」  否定の言葉。けれどその言葉には、不思議と優しい響きがあった。 「お前は、格好いい女だよ」 「え……」  思わず振り向くと、すぐ目の前にギルの顔があった。  え? ちょっと、近い近い。  ふと気付けば、ギルの腕がハナコの肩におもむろに添えられていた。 「……やはり、怖いか?」 「へ!? いやっ、そんなことないし!? こんなのレンハートじゃ挨拶代わりだから!」 「……そうか。一瞬で終わらせる。目を閉じていろ」  あ、そっか。  キス、しちゃうんだ。  突然湧き上がってきた実感に、一瞬でハナコの全身が内気功を練り上げた時よりカチンコチンになる。  挟んだクルミを砕くような勢いでギュッと目を閉じ、全身を縮み上がらせていると、その顎にそっとギルの指が触れるのを感じた。  あ。あっ、だめ。  まぶたの裏、暗闇のすぐ向こうで吐息が近づいてくる感覚に心臓が爆発しそうになりながら、緊張に耐えかねたハナコが思わずどうでもいいことをペラペラ喋りだす。 「あっ!! そ、そういえば、キスって別に口と口でする必要もないわよね! ほら、ほっぺとかおでこにだってキスするでしょ! でも、仕方ないわよね!? そういう指定なんだし! あーもう、ほんとに気の利かない部屋なんだからもう!」  ───ピタ、と。  吐息が触れ合うほどの距離で、ギルの動きが止まるのを感じた。 「…………え?」  数秒。いや、十数秒待っても覚悟していた瞬間が訪れず、ハナコは恐る恐る目を開けた。  目の前にはギルがいた。ハナコから視線を外し、部屋の扉の上に書かれた文字を鬼の形相で睨みつける男が。 「……そうか。なぜ気付かなかった? 俺は、阿呆か……」 「え? ギ、ギル?」 「借りるぞ」  文字通りハナコの手を乱暴に取ると、口づけ、というより唇をギュッと押し付けるかのような雑さでギルがハナコの手の甲にキスをした。  一瞬の後、ピーという音とともに人工物めいた声が室内に響き渡る。 『キスを感知しました。ロックを解錠します』  ガチャリと錠が外れる音がして、それきり部屋に静けさが戻る。 「…………」 「…………」  誰も、なにも喋らなかった。  しばらくして、唐突に夢から覚めたようにギルが立ち上がる。  無言のまま部屋の脇に立てかけてあった棺桶を再び背負おうとしているギルの背に、数秒遅れて現実に戻ってきたハナコが叫ぶ。 「え? ちょっと! 今ので開くの!? さっきまでの時間なんだったのよ!」 「忘れろ。行くぞ」 「こっちはねえ! すっっごく覚悟してたんだから! ……ま、まぁあんたとのキスじゃ、子供なんてできるわけないのはわかってたけどね」 「は?」  信じられないものを見る目でギルがハナコを振り返った。   「……な、なによ」 「いや、なんでもない。……お前、もう子の授かり方を知っているのか?」 「はぁ? 馬鹿にしないで。もう14なんだけど? 好きな人とキスしてから一緒のベッドで寝たら宿るんでしょ……あ、だからこの部屋ベッドがあったの?」 「そうか」  短く相槌をうつと、それきりギルはさっさと部屋の出口へと歩き出してしまった。 「置いていくぞ、アズライール」 「あ、ちょっと待って──待つがいい! メトリ達の様子が気になるのだな!? 我も付き合ってやってもいいぞ!」 「そうだな。……それと」  床に転がっていた愛用の大鎌を手に取り、慌ててハナコがその後を追う。  それを振り向くことなく、いつも通りの陰気さを取り戻したギルがぶっきらぼうに告げる。 「初めての口づけは、いつか大切な相手と交わす時まで取っておけ」 「むっ……」  ……“それ”は、少なくとも自分ではないのだと。  誰よりも己を大切にしない、それを当然だと考えている男の、その性根がハナコは気に食わなかった。  どうしてギルが危険を顧みず死地に飛び込むのを見ると、ハナコの心がぎゅ、と痛むのか。  その答えはまだわからないが、いつかそのネクラは叩き直してやる、と。  心の中で密かに誓って、ハナコは──†天逆の魔戦士 アズライール†は一息にトラップルームを後にした。   【了】