二次元裏@ふたば

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1082603 B25/09/12(金)20:40:52No.1352505372そうだねx1 21:45頃消えます
うちの子の進化回です
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うちの子
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お借りした方々
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このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/09/12(金)20:41:11No.1352505507+
しばらく抱えて歩いていると、腕の中のルクスモンが目を覚ました。
「……セヨン?」
「ゴメン、サンヒョク……ワタシ」それ以上、何を言ったらいいのかわからなくて、私は押し黙る。
「……セヨン、無理に言葉にしなくてもいいよ。ボクは大丈夫だから。」
そう言ってルクスモンは私の腕から飛び降り、自分の脚で歩き出す。
よかった、思ったよりダメージや損傷は少ないようだ。……普段ならメネジメントを欠かさないのに、頭から抜けていた。
つまり私はそれだけ冷静じゃなかったのだ。ゲームのプロとして、実に恥ずかしい。
自分より優れた者や手強いライバルに出会い、嫉妬に心が塗りつぶされる。
その度に私は、嫉妬心を向上心に変えて、一つ上の自分に成長してきた、はずだったのに。
また同じことを繰り返してる……これじゃヒカゲさんにもジェットさんにも、失礼だし恥ずかしい、本当に恥ずかしい。
そして何より、サンヒョク……ルクスモンの気持ちを考えなかったことが、人間として何より恥ずかしい。
「そのままじゃ風邪を引いちゃうよ。セヨン、どこか火を炊ける場所を探そう。」促されて、私はルクスモンの後について歩き出した。
225/09/12(金)20:41:30No.1352505641+
突発的に飛び出してきたから、いつもの移動用バックパックは置いてきてしまっていた。
探索時に持ち歩くミニポーチ、その中から替えの下着を取り出して着替えつつ脱いだ服をルクスモンが熾した焚き火で乾かす。
「……コイツかァ。」
「仕方ないだろセヨン。」ブラの替えは入ってないから下着代わりのTシャツを着た……のだけど、私はこのTシャツがあまり好きじゃなのだ。
私の所属するプロゲームチーム「アングリータヌキゲーミング」のチームTシャツなんだけど、正直ダサい。
ダサいだけならともかく、これを着てる時にたまに耳とか尻尾が出てくる。しかもなんか動く。
実体のない立体映像みたいで触れない……のだが、なんか感触があるような気がする。
オーナーは独自のすごい技術で作ったARオブジェクトだって言ってたけど……今の私はそれを疑っている。
デジタルワールドに来てから見聞きしたものを思い起こすと、多分コレって……
まぁ、それを確かめるのは、お父さんとお母さんを殺した仇を討って、リアルワールドに帰ってからだ。
帰ったら私は日本に移ってオーナーの保護のもとで暮らす予定になっている。
確かめるのは、それからでもいい。
325/09/12(金)20:41:46No.1352505774+
非常用ブランケットにくるまって一夜を明かした私が目を覚ますと、すでにルクスモンが朝食の準備をしていた。
消えた焚き火を熾しなおし、湯を沸かしている。
ポーチに入れておいた作り置きの携帯食を軽く焼いて、白湯と一緒にいただく。いつもよりもずっと簡素な朝食だ。
「……ルクスモン、ああイウの、イヤだっタ?」食べ終わった頃、私は言った。
何のことか説明しなくても、お互いにわかっていた。ルクスモンはすぐには答えなかった。
しばらく言葉を選ぶように考え、それから話しはじめた。
「僕がさ、昔は七大魔王やその眷属たちと戦ってたのは知ってるよね?」
「ウン。」
「その頃の記憶がちゃんとあるからさ……何度も殺し合った相手と同じに進化するのはちょっと……さ?」
「ウン……そうダネ。」そうだ、ルクスモンがあのデータを持っていたのは、メフィスモンと戦って……おそらくは倒した経験があったからだ。
ベルフェモンやリヴァイアモンは……単独で倒したとは思えないから、当時の仲間と共に戦って倒したのだろうか。
昨日、そのデータを使うことが出来たのは、私の怒りや悔しさにそれらのデータが反応した、のかもしれない。
425/09/12(金)20:42:00No.1352505888+
だけどそれは、正しい使い方だったのか、と言うと……
「セヨンが勝つためにはどうしてもそうしたい、って言うなら、ものすごく嫌だけど……僕、我慢するよ。」
そうだ。ルクスモンが、サンヒョクが嫌がっている事を強いるのが、正しい進化であるはずがない。
進化するのはルクスモン、エンジェモンのほうなのに、テイマーがその気持ちを踏みにじって良い訳がなかった。
「……ウウン、もうシないヨ。」私はサンヒョクを、ルクスモンを抱きしめる。
「今度ハ、サンヒョクの望む進化をシよウ。」たった一人残った弟を、悲しませたら姉失格だ。

とりあえず、みんなの所に戻ることにした。マサヒロくんも、ヒカゲさんも、きっと心配してるだろう。
僅かな荷物をまとめ、焚き火の始末を……
「セヨン!」ルクスモンの大声と共に、スマートグラスに情報が表示される。
高空より急速接近する物体あり。数は不明……いや、3体。おそらく……ううん、間違いなくデジモンだ。
3体は信じられないようなスピードでこちらに向かって急降下してくる。
焚き火の煙が見つかったのだろう。少しこちらが動き出すのが遅かったか。
525/09/12(金)20:42:15No.1352506003+
それらは地上に激突する寸前で逆噴射して急制動をかけた。猛烈なエアブラストが土煙と水蒸気を巻き上げて視界を奪う。
巻き起こる風から両腕を交差させて顔をかばいつつ、手にしたデジヴァイスiCにデジソウルを込める。
デジソウルガンは……マサヒロくんの所に預けたままだ。
「デジソウル、チャージ!」
「ルクスモン進化、エンジェモン!」取得できてるデータは、それらがプテラノモンであると示していた。
ということはつまり……
「おうおう、やっぱ死んでなかったぜ!」
「久しぶりだなぁ、選定者サンよぉ!」
「っつーことはあれか?そこのブサいガキがテメェのパートナーって訳かい?」
3体とも全く同じ姿をしたプテラノモン、まるで三つ子かクローンかというぐらいに個体差を見て取れない。
現にスマートグラスにも『ほぼ同一』と表示が出ている。……いや、デジモンなんだからコピー&ペースト、なのか?
「貴様ら……トリプテラノ三兄弟!」エンジェモンが怒りの咆哮を響かせる。
625/09/12(金)20:42:29No.1352506104+
「じゃあちょうどいいや。」
「これで親子三人仲良くあの世で暮らせるってもんだな。」
「いやぁ、俺達って優しいよなぁ!」
なるほど、やっぱりこいつらが。
「ついでにペットも一緒に送ってやるよ。」
「あーでも兄弟、こいつデジタマに戻っちまうからやっぱり死に別れになるんじゃねえ?」
「じゃーデジタマに戻らねえよう丁寧にデリートしなきゃな!」
下品な笑い声。完全にこちらを舐めているのだ。無理もない、戦力差が大きすぎる。
「全く、バルチャモンが消滅したって言うから来てみたらなぁ」
「こんな成熟期一匹にやられたのかよあいつ。情けねえなあ。」
「とりまコイツ殺してジェネラルへの手土産にするか。」
ジェネラル?……そうか、こいつらにも、テイマーに相当する奴がいるってことか。
そんなことよりも。
「ねえ、エンジェモン。」私は低空でホバリングするプテラノモンどもから目を離さずに尋ねる。
「アイツらが、お父さんとお母さんの、仇、なんダネ?」
725/09/12(金)20:42:44No.1352506213+
「……ああ、そうだ。」エンジェモンが歯ぎしりをする。
「ソッカ……。」不思議だ。
「あぁ?なんだコイツ、もしかして仇討ちのためにデジタルワールドに来たのか?」
「だとしたらずいぶんご苦労なことだな。」
「だってわざわざ俺達に殺されに来たようなもんなんだからなぁ!」
いざ、親の仇を眼の前にすると。
こんなに頭がすぅっと冴えて、冷静になれるものなんだ。
バトルインターフェース、展開。トランスポンダ、オン。
私は状況を分析し、無言で戦闘行動を開始する。

私はすぐ近くの消しそびれていた焚き火からまだ燃えている枝の中か比較的太くて長い――場合によっては松明として使う目的で焚べていた枝を手にする。
スマートグラスを通じてエンジェモンには時間稼ぎを指示する。即ち、敵の攻撃を回避することに専念しつつ、隙あらば一撃をいれる。
しかし三位一体なプテラノモンどもの攻撃は連携と精度、何より速度に優れていて、一撃いれるような隙がまるで生まれない。
幸いなことにテイマーである私は放置されている。舐められている、というだけではない。
825/09/12(金)20:42:58No.1352506337+
あいつらはエンジェモンを嬲ることを楽しむあまり、他の2体に美味しいところを持っていかれないように牽制しているのだ。
あんなに連携取れてるのにそう振る舞う有り様は、何かいびつなものを感じる。
でもおかげで私はかなり自由に動けている。私は周囲を駆け回って、簡単に葉や枝を寄せ集めては片っ端から火を着けていく。
地面にあるものを集めている事もあって、湿り気の多いそれらは着火しても激しく燃えることはなく煙を出して燻るばかりだ。
だけど私はその行動をひたすら繰り返す。だって『火を燃やす』ことが目的じゃないから。
そうしてる間に、エンジェモンには少しずつダメージが積み重なっていく。
牽制し合っていても、その攻撃は正確で回避に専念してることもあってかろうじて致命傷は免れている。
あるいは少しでも長く楽しもうと、あいつらが手を抜いているのかもしれない。
どうやらそんなに長くは保ちそうにない。間に合うかな……?
「……ん?何か煙たくねえか?」
「あっ、あのガキ、火ィ着けてやがる!」
「なるほど、煙に紛れて自分だけ逃げようって腹か。」
どうやら逃げるための煙幕だと思ってるようだ。それは半分正解だ。
925/09/12(金)20:43:17No.1352506467+
「逃げられると面倒だ、誰かアイツ抑えとけよ。」
「は?俺やらねえぞ。俺はまだコイツと遊びてぇんだ。お前やれよ。」
「ざっけんな!そうしたら俺がコイツを殺せねえじゃねえか!言い出しっぺがやれよ!」
こっちを放っておく気はないが、エンジェモンも餌食にしたい連中はいがみ合いをはじめた。
「ヘブンズナックル!」その隙を見逃さず、エンジェモンが近くの個体に拳を振るう。
「うおっ!……危ねぇ危ねぇ!」
「何やってんだよマヌケ!」
「どうする?とりまコイツ動けなくしてからガキをヤるか?」
エンジェモンの攻撃は回避された。まだあいつらの口論は続いてるけど……時間稼ぎもそろそろ限界みたいだ。
「あーっ、まだるっこしい!俺らがコイツを抑えておくからお前はあのガキを捕まえろ!」
「そうだな!両方同時に痛めつけるって手もあったな!」
「オッケーわかった俺があのガキを捕まえる!」
まずい、1体が私に狙いを定めた。エンジェモンは……1体に両脚で抑えつけられてしまっている!
1025/09/12(金)20:43:34No.1352506594+
「セヨン!」エンジェモンが私の名を呼ぶ。
「サンヒョク!」私も思わずエンジェモン、いや弟の名を呼んでしまう。
プテラノモンの尖った口先が、私に迫ってきた。
もはやこれまでか、その瞬間だった。
「黒縄大熱波!」プテラノモンに真横から炎の奔流が叩きつけられた。
「ぐわあっ!なっ、何だぁ!?」プテラノモンは大きく体勢を崩して横向きに墜落した。
ただし、低空だったので大したダメージは受けてない。しかしそこに再び大火炎を浴びせられ、その外皮が灼かれる。
「大丈夫か、セヨン!」炎が飛んできた方向を見ると、マサヒロくんとヒノクルモンさんがこちらに駆け寄ってきていた。
彼の手にはデジソウルガンが、そして少し後ろには息を切らせながら走ってくるヒカゲさんが見えた。
「ヨカっタ、間に合っタ!」
「やっぱりここにいたのか、セヨン……探したぞ。」そう言いながらデジソウルガンを差し出す。
「ちゃント、届いテた?」
「ああ、こいつのおかげでな。」彼が示すデジソウルガンの表示部分には、『ホスト:至近距離』の文字が浮かんでいた。
1125/09/12(金)20:43:58No.1352506770+
続きはtxtからお願いします
間違いとか解釈違いとかあったら
ごめんなさぁぁぁあい!
1225/09/12(金)20:44:13No.1352506899+
新ビジュ
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新オリデジ解説
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新アイテム解説
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1325/09/12(金)20:49:21No.1352508856+
ガンダムだこれ
1425/09/12(金)20:58:17No.1352513281+
>ガンダムだこれ
はー?一向にホーリーエンジェモンの格闘特化型ですが?

……シャイニ…だけじゃなくてR-…も混じってるのは内緒です
1525/09/12(金)21:31:57No.1352529028+
(とりあえずセヨンが大丈夫そうなのは良かったけど……なんかセヨンのパートナーが既視感しかないやつになってたな…これツッコんだ方が良いのか…?)
「……どんなに苦しくてもやり遂げられそうなデジモンだったな」
1625/09/12(金)21:36:17No.1352531250+
>(とりあえずセヨンが大丈夫そうなのは良かったけど……なんかセヨンのパートナーが既視感しかないやつになってたな…これツッコんだ方が良いのか…?)
>「……どんなに苦しくてもやり遂げられそうなデジモンだったな」
安心してください
ソーラーモンリペアさんとのデジクロスも準備中です
1725/09/12(金)21:41:19No.1352533604+
赤字ですね
次はセヨンの親の仇の黒幕を出す予定です
1825/09/12(金)21:41:39No.1352533777+
じゃあもう少し昌宏の完全体は寝かせとくか…


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