太い指に金糸が絡む。艶のある滑らかな手触りを弄ぶような嗜虐的な指遣い。 根元に返る痛みに、女は軽く眉をひそめながら相手を睨みつけた。 だがその碧い瞳を、男は頭上から勝ち誇るように見下ろすばかり。 両者の力関係は――女が囚人で男が看守という事実に基づけば、極めて妥当なもの。 それでも彼女が反抗的な姿勢を崩さないのは、本来そこにいるべき女ではないからだ。 罪を犯したわけでもなければ敵地で不覚を取ったわけでもない。 生業である賞金稼ぎのために、一囚人としての立場を偽造して潜入する手筈のはずが―― “協力者”は彼女の収監前に飛ばされて、監視役も目の前の男にすげ替えられていた。 銀河連邦に表の面でも裏の面でも協力している立場上、本名を使うわけにもいかず、 まして潜り込んだ目的を悟られてもいけない――のだが、この男は、 既にこの偽囚人についての一切を、“前任者”から引き継いでいるらしかった。 囚人番号と、“氏名”をわざとらしく呼ぶその猫なで声は、余りに露骨なほどである。 黙っていてほしいなら――言葉には一切表れずとも、そういうことであった。 女が着ているのは、囚人服としては実に簡素な――嫌、ほとんど意味のないものだ。 下着もなく、肋の上半分ぐらいまでしか丈のない短な白い肌着。当然、汗をかけば透ける。 そして下半身は、鼠径部の下半分はなんとか隠せるか、という程度の小さな逆三角形で、 陰毛の頭がちらちらと、肌との境に覗いているような有様である。 若い女囚がそのような娼婦めいた格好をさせられるのはここではそう珍しくなかった。 そして同時に、看守が特定の囚人に“便宜”を図るために彼女らの持分を要求することも。 男が何を求めているのかは、いまだ彼女の髪を掴む手とは反対側の手にて、 ほっそりした腰や筋肉質の腹、むちむちの腿を撫で回していることからも明らかだ。 ぼろん、と音を立てながら男の性器が重力に引かれて女の鼻先に垂らされる。 彼女の両腕は手枷によってしっかりと壁に繋げられていたから、自由になるのは舌だけだ。 男はまだ半勃起のそれの根元だけを軽く摘んでひょいひょいと左右に振ってみせた。 彼が余裕のある表情を崩さないうちに、女は自ら舌を皿のように軽く曲げて口を開き、 あたかも自分から彼の性器にしゃぶりつこうとしているかのような演技をする。 その茶番に満足したか、男は彼女の髪を再び強くぎゅっと握り込みながら咥えさせ、 相手がどの程度、自分に忠実な素振りをできるかの試金石にする。 決して舌使いは上手いとは言えない。だが銀河でも抜群の美人に奉仕させている事実は、 彼の想像以上に、肉体的興奮を高めているらしかった。息は段々と上がり始め、 先程までのいたぶるような表情は、射精を我慢する情けない面へと変わる。 腰をがくがくさせながら、せめても自分の優位を保とうという意思を見せるも、 結局、大した時間も掛からずに精を吐いてしまえばそれも台無しであった。 舌の器に白く黄ばんだ塊を乗せ――明らかに勝ち誇ったような表情を向ける彼女に、 男はなけなしの自尊心を傷付けられたらしく、顔を羞恥と怒りとに真っ赤に染める。 勢い任せに彼女を引き倒し、服をまくり上げ乳房をすっかり露出させて―― 優しくしてやれば調子に乗りやがって、と口から泡を噴き出しながら、揉む。 高い運動量によって無駄の削ぎ落とされた彼女の肉体の中で、胸、尻、腿だけは、 生中の女では勝負にならぬほどに豊かな丸みと柔らかさを持った、白い秘宝だ。 だがそれに触れられるものは銀河中にもほとんどいない――それを今、俺だけが、 自分の感情のままに弄ぶことができるのだ、という自信を取り戻させていく。 むきになって胸を揉み潰す男に、女は一層侮蔑的な視線を投げかけるものの、 その程度の反抗しかしてこないことが、彼の看守としての絶対的優位を再確認させる。 どれだけ好き勝手に扱っても、この女はこれ以上何もできないのだ、と―― いつしかまた、男の性器は彼のへそ下にぴたりとくっつくほどに勃起していた。 そのことに気づくと、にたり、と笑って――彼女の、股間に、それを。 刺し貫き、穿つ。お前は所詮女であり囚人、俺様に支配される存在でしかない―― そんな感情に突き動かされたまま、激しく腰を動かして奥へ奥へと押し込んでいく。 相手の両手が鎖によって吊られていることなどお構いなし、ひたすら膣内を抉り抜く。 やがて彼は己の立場やら何やらも忘れて、一匹の雄へと純化されていった。 目の前の雌を自分のものにする――その本能だけで動くだけの獣へと。 出したばかりのものが塊のままどろりとこぼれてくる様子を見ていると、 彼の性器はまたどうしようもなくそそり立つ――同時に、頭の中は、 どうすればこの女を独占できるだろうか、という冷徹な思考を巡らせていた。 彼女が独房に移されたのはそれからすぐのこと。彼がその専属となったのも同時期だ。 情報収集のために雑居房への移動を望む女は何度も要望を出したが、叶う気配はない。 そして男は、申請を出す対価と称して、彼女の身体を弄ぶのである。 次こそは移動させてやる、また次、その次、今度こそ――口だけで書類を作りもせず、 他の看守が近付こうものなら、この女は危険だからと追い払う。 実際には、ただ生臭い体液があちらこちらにぼとぼとと散っている部屋なだけなのに―― 監獄の中で、十分な薬剤など得られるわけはなかった。道具に関してもそうだ。 長くても一、二か月での脱出を見越していた彼女は、拘束が長引くにつれ―― そして看守からの執拗な“取り立て”が続くにつれ、己の女性機能の確かなること、 射精され続ければ起き得る最悪の事態について思いを馳せざるを得なくなった。 ――当然のごとくその予想は当たり、ぽってりと膨らみ始めた下腹部は筋肉を沈め、 女性的な丸みが彼女の全身を覆い始めた――男は実に満足げに、 己の種付けたその子宮を、執念く何度も何度も皮膚の上から撫で回す。 看守に“お手つき”にされた女囚が獄中出産することも珍しくはないのだ、と、 自身の行為を棚上げしたかのような軽薄さでもって。 安定期に入ると、男は彼女の尻穴や乳首を育てるのにも飽きたらしく、 自分の子のいる子宮を目掛けて、また容赦なくがんがんと突き入れる。 やめてくれ、子供が――と女が不安げな声を上げると、その言葉尻を捕まえて、 彼女からの“要望”――抽挿の速度の緩和を提案する。“取り立て”と天秤に掛けて。 自ら腰を振って彼を射精させねば、好き放題に突かれて胎児に障りが出る―― だがそうして奉仕すること自体が、母体への負担を発生させる、という二律背反、 それを避けるために自ら彼の性器をしゃぶるために跪き、 乳汁を分泌しながらの胸での奉仕をし、色素が沈着し広がった尻穴への挿入をねだる。 そんな涙ぐましい努力も、彼の気まぐれ一つで全て踏み潰されてしまうのだが。 臨月というのに彼女は四肢を鎖で繋がれてぶら下げられた状態で、 ゆさゆさと全身を揺さぶられながら、膣奥に雄の槍をぶち込まれている。 抽挿の衝撃で腹がばるんばるんと波打ち、乳房もその波を受けて踊る。 ぼたぼたと飛び散る母乳は、床に転がされたまま眠っている第一子のためのもので、 今腹に仕込まれている第二子の出産も、もうすぐにでも始まっておかしくない。 にも関わらず、男は腰を振ることをやめず――女は疲労のあまりにうわ言で、 止めて、降ろして、産ませて――そんなことを繰り返すのであった。 彼女の罪状は、でたらめに書き連ねられた結果何百年もの刑期が嵩んでいる。 出産によって社会に奉仕させ、刑期を減らす――そんな与太話もあるこの牢獄にて、 生娘のままで出られる女囚は、ほとんど皆無といってよかった。 こうして一人の看守にとことん搾取される哀れな女も――星の数ほどいるのである。