イズマコロニーはアジア人のコロニーであった。とりわけ日系人が多く、故に仏教信仰が根強く「お盆」の風習があった。
しかし、サイド3にはそれがない。
「『お盆』かぁ。なんかコモリくんから聞いたよ。先祖供養だって？」
「うん、だいたいあってるよ」ニャアン
サイド3には盆休みの概念がありませんが、エグザべくんは「夏季休暇」を使い。8月第三週をまるまる休んでいました。
夫婦の時間を大切にしたいというエグザべくんの想いが「夏季休暇」を実現したのです
少し前まで休暇もない航宙航空強襲揚陸艦及び航宙巡洋戦闘艦（ソドンとかパープルウィドウとか）に配属されていたので、休みがあるだけ幸せです。
「お盆らしい事…このコロニーではできないかい？」
「火を使うから多分無理だと思う、それに私達のお盆は旧暦の7月の執り行うの」

ニャアンは地元の風土について教授します。ニャアンの先祖はインドシナ半島の出身で仏教徒です
まず仏暦と旧暦（陰暦）についてエグザべくんに教えます。次に「霊月」に当たる旧暦の7月に先祖供養を行うと教えます
「紙に「お札」の絵を書いて、それを使わなくなった古い物をお焚き上げして、先祖に送るの」
「不思議な習わしだね」
「イズマコロニーにいた頃はアパート近くの広場でまとめて焚いてくれたんだ。同じベトナム系の人が何人もいるゲットーだから、それができた」
「でもここじゃ、できないね」
サイド3は原則火気厳禁。タバコも市街地は電子タバコのみ。まぁコロニー生活者にタバコ飲みはいないに等しいのですけど
酸素税が発生するくらいですから、みんな澄んだ空気に感謝して生きているのです。

「いいのよ『あなた』。お墓はみんなサイド2と一緒に消えちゃったし、お盆じゃなくてもお父さんやお母さん、おばあちゃんの事を思っているから」
ニャアンは窓の外を眺めながら語ります。目線には団地の緑地。遊ぶ子どもたちの姿が見えます。
ニャアンに芽生える新しい命も、もうすぐ産まれます。妊娠9ヶ月。「臨月」です
「ニャアン…先祖供養ではないが。このズムシティには失った物を弔うに相応しい場所がある」
しばし、考え込んだ後。エグザべくんが口を広げます
「行って…みようか？君が嫌じゃなければ」
「嫌がるような場所？」ニャアンは続けます
「ニャアン。ジオンは嫌いかい？」
「そんな事ない！キシリア様に拾ってもらえたから今の自分がある…キシリア様は悪い人だったしジオンも悪い事をしていたけど…嫌いじゃないよ」
「じゃあいこうか、中心街だからちょっと歩くよ」
「この子にも、いい運動になるね」
そう行ってニャアンはお腹を撫で、ワンピースにニットのカーディガンを羽織った。
出かける準備であった。

エグザべくん、タンスに締まっておいた軍服に袖を通す、防虫剤「ナフタレン」の匂いがプンと香る
「その格好で、いくの？」
「そいいう場所だからだよニャアン。ニャアンは楽な格好でいいよ」
とエグザべくん、少尉のバッジは軍籍から抜けた際に返納したが。別の勲章があった
普段「見せびらかす」物ではないと大切に金庫（という名のキシリア様から貰った缶入りクッキーの空箱）にしまっておいた『ジオン十字勲章』を取り出す
ジョニー・ライデン。シン・マツナガ。鉄の戦士たちにしか贈られない勲章であるが。
エグザべ少尉には授与された、ニャアンと共に宇宙を救った英雄だからである。
「ニャアンも、身に付けなくていい。どこかバッグの中にしまって持ち歩いてくれたらそれでいい」
とニャアンの分の「十字勲章」を手に取る。
ニャアン、スエード生地のバッグにこっそりジュエリーケースに入れた勲章を忍ばせる。
「さぁ行こう、中心街のハズレにあるんだ。タクシーで行こう」
エグザべくんタクシーを呼ぶ。

片道4km、メーターにして55ﾊｲﾄの道すがら、街を眺めるニャアン。遠くにズムシティ公舎が見える。
「あそこにキシリア様が住んでいたの？」
「平時、ご公務はあそこで行われていたらしい。普段は別邸や宮殿で住まわれていたそうだよ。」
「へぇ…」
「着きましたよ」タクシーのおじさんが車を止める。使い古されたサイドブレーキが「ギィー」と金切り音を立てる
エグザべくんは『100ハイト金貨』で支払い、小銭をもらう。（ジオンでは紙幣と金貨があります。100ハイトと1000ハイトは紙幣と金貨が両方流通しています。）
重いお腹を抱えて、車を降りるニャアン。先に降りていたエグザべくんが手を引いてくれる。
垣根が見え、静かな草原が広がっている。大きな公園のようであった。黒く光る御影石で出来た『石碑』がいくつも並んでいる。
「むかし、教科書でみた「ストーンヘッジ」みたい」とニャアン後述する。

「ここはねニャアン『無名戦士の墓』なんだ。ジオン。連邦。中立コロニー。全ての犠牲者を弔う『碑』なんだ」
「おはか…なの？」
「そう、死体も見つからない宇宙に漂流する屍（かばね）達の名が、石碑一つ一つに刻まれている。ジオン兵だけだけどね。連邦と中立コロニーの犠牲者はジオンでも把握できない」
「わたしのおとうさんもおかあさんも？」
「そうだ、ここで弔っている僕の父さんや母さん、サイド2の犠牲者はすべて、ここで弔われている」
悲しい墓を歩く。中心部にはモニュメントが立ち、鉄（くろがね）の床に覆われた「篝火（かがりび）」が見える。ぐらついた焔は、消える事なく灯り続けている。
「ここで皆、亡くなった人たちに祈りを捧げるんだ」

エグザべくんは語り続ける
「ニャアン…サイド2が戦禍に巻き込まれたのはジオン独立戦争という名の侵略戦争の為なんだ。知ってるね？」
「うん…」
「中立コロニーを燃やし、シリンダーごと地球に落とし、世界人口の半分を死に至らしめた。人類史最大の虐殺らしい。どんな流行病でも気象変動でもそこまで死ぬ事はなかった」
「…」ニャアンは沈黙で頷く。
「僕もニャアンもジオンに属していた。しかし、あの凄惨な虐殺を認める訳にはいかない。だから、この石碑があるんだ」
「もともとジオン無名戦士の墓はあったけど。アルテイシア様が改修（なお）されて、連邦軍の兵士や戦禍で失われた人民もここで弔う事になった。焼け石に水。ちっぽけなたむけにしか思えない」
エグザべくんは神妙に語ります。

「ニャアン、ジオンは僕達サイド2の人たちに酷い事をした。『酷い』では済まされない。でもねニャアン」
「うん」
「ジオンがあったから僕は今、生きている。天涯孤独の身をフラナガンスクールが拾ってくれた。学び舎での同族殺しの末今生きている。ミゲルを覚えているだろ」
「あのひとはきらい」
「毎日ミゲルに殺されるような生活だった。謀殺が日常茶飯事だった。けどジオンを憎んではいない。ジオンがあるから今の僕がいるんだ。そう思っている」
「そうだね…わたしは…どうだろう…」
ニャアンは困惑しています。
「ニャアンも僕と出会ってなかったら…どうなっていたんだろうね？」
「多分殺されていた…キシリア様と出会えなかったら、きっと死んでいた…それともまた軍警達に『もっとひどい事』をさせられていたと…思う」
『もっとひどい事』に関してはみなさんの想像におまかせします

「だから…私はジオンを恨めない…きっと恨めないと思う」
ニャアンは弱々しく話す。涙袋が腫れている。ワンピースの袖をギュっと力をこめ握る彼女がいた。『堪えて』いたのだ、あの頃の哀しみに
「ダイジョウブだよ」エグザべくんは泣きそうなニャアンの肩を同じくギュっと抱きしめる。包容力に満ちていたとニャアンは後述する。
「そうだよニャアン。僕達の生活や人生はジオンに壊されたけど、ジオンによって命を拾われた。これで五分と五分。という事にしよう」
「今はあの団地に住まわせてもらっている。安定した暮らしが担保されている。これで僕らとジオンの取引は成立だ」
「とり…ひき…？」
「そうさ、僕達はジオンと取引をした、それだけの事さ」
「さぁ…この『灯（ともしび）』に祈ろう。失われた家族の事、そして先祖の事も
「わかった、ありがとうエグザべくん…ごめんなさい『あなた』」

「祈ろうニャアン…いままであった悲しい事、嬉しい事を全部ご先祖様にお話するんだ」
二人、掌を重ねる。そして祈る。平和を。そして過去を祈る。祈るのだ。
昼時間から夜時間へと変貌した。灯の明かりが二人を包み込む。赫灼（かくやく）たる光で赤く反射したエグザべくんの顔をニャアンが覗く。
「この灯の火はとても強い、消える事がないよう常に油が焚べるれている。これが消える時は絶滅戦争により世界が終わる刻。その瞬間だそうだ。アルテイシア様の講話からの受け売りだけどね」
「明るいね…火」
「帰ろうニャアン、もう夜だ」「そうだね」
二人、再度掌を握りながら帰路に突く。最寄りのタクシー寄せには何台ものブレーキランプの明かりが赤く乱反射していた。

―――所はジオン公共団地。某棟。某室エグニャアの愛の棲家。
「お盆の行いはこれでおしまいかい？」
「ううん、盆踊り…踊るの、櫓が立って祭り囃子が聞こえる。マチュと浴衣を買おうかって話していた。イズマコロニーで」
「祭典みたいなものかい？」「そうだね、お祭りだかれね」
「エグザべくん、日本には「ハレ」と「ケ」の日があって―――お盆はハレの日でね」
ニャアンの語りが夜の帳を彩る。
その夜、二人は褥で久しぶりにサイド2時代の話をしたそうな。失った家族に想いを馳せ、抱き合い。そして涙を流した。
ジオン無名戦士の墓。その灯火は消える事は、決してない。

これがニャアン人妻お盆概念の全容です
みなさん先祖供養をしましょう
次回はジークアクスの放送次第で語り足りない所があると思うので続きはまた後日

おう…

>みなさん先祖供養をしましょう

あいつ

ジフレドちゃん...

ジフレドもあの世からニャアン達を見守っているよ

お盆はルナとアルテミスがニャアンの元へ帰って来る日です
コンチにキュウリを乗せてお迎えしましょう

あいつ
長いな
…いいな

素敵だね

アルテイシア様でてきた・・・

インドシナのお盆について詳しくなってしまった

ルナとアルテミス
猫ちゃんみたいな名前の双子星はいまでも宇宙からニャアンの事を見守っているという

>素敵だね
エアマスターをどうして組まねえんだ！
教えはどうしたんだよ！！

キュウリを乗せたコンチに乗りご先祖様が現世に帰ってきます
ナスを乗せたハロに乗りご先祖様はあの世へゆっくり帰っていきます
それがオリベ家とイトウ家のお盆です

何かに対して祈りましょう
今日くらいはニャアンと一緒に祈りましょう

おてがきまで来た…

オリベ家に「ルナ」「アルテミス」二匹の猫が家族に加わる日はきっと近いです

マチュ夫婦はお盆を実家で過ごすみたいだよ？
ニャアンには実家がなかったね…エグザべくんにもないね

ニャアンには精霊流しが似合う

ニャアンには「さだまさし」が似合いますね
個人的ニャアンイメージソングシンガーは「中島みゆき」です

あなたはもう横ちょの風呂屋
赤いマフラー手拭いにして

4畳半が似合うなエグニャアン夫妻

>マチュ夫婦はお盆を実家で過ごすみたいだよ？
>ニャアンには実家がなかったね…エグザべくんにもないね
週末にはイズマコロニー土産を持って帰って来るよ
ニャアンが親しんだ中華料理屋の春雨スープのレトルト版を引っ提げ返ってくるよ
「なんとか土竜ソース」も買ってきてくれる

>4畳半が似合うなエグニャアン夫妻

ニャアンは京大生だった？

ボブカットのニャアンはきっとかわいいね

鴨川にいくと等間隔で座るエグニャアカップルの姿が見れるよ

験担ぎで同じパンツを履き続けるシュウジ...

夜は短し歩けよニャアン

酔っ払うと歯をベタベタ触ってくるマリーダさん

4畳ニャアンタイムマシーンブルース

ニャアン達と平和を祈りましょう

>ニャアンは京大生だった？
古い四畳半の下宿での腐れ大学生マチュニャアン達の生活を見たいかと言えばすごく見たい
ヒゲマンとかシロウズはドぐされな大学八年生くらいの下宿の神様で

ズムシティで祇園祭を！？

やだよ狸と天狗が居そうなズムシティ
ザビ家全員狸になっちまう

筆が乗ってる…

「私」こと冴えない京大生エグザべ君…

>ズムシティで祇園祭を！？
ズムシティって京都って感じするじゃん
選民意識とか

そういえばコロニーの中で暮らしてる人達のお祭りや宗教や盆正月とかの
身近な祈る気持ちって考えたことなかったな

NT的代理代理戦争を引き継いだマチュとニャアンは
ニャアンの愛車ジフレド号（自転車）をピンクに塗ったりするんだ…

生きてたのかニャアンをママにしたがる「」