「んっ…ぃっ♡わ、わ、わがっだからっ♡きょーすけがっ、あ、そ、そんなにしたらっ、あ、私ぃっ♡ぉ゛っ♡まっ、あぁっ♡ま、待てってっ♡さ、さっきっ、ば、バカみたいにぃっ、い、イガっ、されぇっ♡ぉ゛っ♡ぁぉっ♡」  ぬちゅっ…ずりゅぅっ 「あ、ぎぃっ♡そ、ソコっ♡だ、だめっ♡子宮こぅっ、つ、つぶすなぁっ♡た、ただでさえっ、最近っ、お、お前にぃっ、や、やられてっ♡よ、弱くなってるのにぃっ♡こ、こんなんじゃっ♡い、イギっ、じぬぅうぅっ♡」  ばちゅんっ!ぱんっ!!!ぱんぱんぱんっ!ぱんぱんぱんっ!!! 「か、かたぃっのぉっ、ご、ごりってっ♡こ、このぉっ♡か、格付けでもシてるつもりかよぉっ♡と、とっくにまんこダラダラなるほどっ、お、堕とされてんのにぃっ♡ま、まだ、こんなっ♡♡あっ、ぉ、ぉっ♡」 ずちゅっ…ゴチュ、んっ!! 「~~~~~~~!?!?!?!ひ、ぎ、ぉ゛っ♡ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛♡」  ごりっ…ぐりっ!ぐりぐりぐりっ!!! 「やめっ♡た、ただでさえっ、ば、バカなっちゃってるんだぞっ♡なのにっ、これ以上ぅっ♡のーみそグチャグチャにされたらっ♡いぐっ♡いぐいぐいぐっ!!!!♡」  ばちゅっ!!ぱんぱんぱんっ!! 「んぎぃっ♡あっ、さいてーっ!きょーすけっ、さいてーだぁっ♡い、イっでるっていってんのにぃっ♡あ、私のっ、まんこぉっ♡そ、そんなっ、いじめてぇっ!!♡ぉ゛っ♡…ぉ゛ぁ゛っ♡い……ぎぃっ♡」  きゅぅ~~~~~~っ♡  びくんっ!!!びくっ………びゅくぅっ………!! 「ぁ……ぅ………ぁ~~~~~………♡」 〇  今日もさんざんヤられたな、と虎子は思いながらベッドに倒れながら思う。胎の中に収められていたブツが抜けたせいでなんだか違和感を感じる、数時間は繋がりっぱなしだったからみっちりと埋まっている方が普通に思えた、どうせ十数分も経てばまた元の感覚に戻るのだろうが、どこかそれは寂しい。  射精は3回されたがイクだけなら10回はイったかもしれない、股からは尿とも潮ともつかない体液を噴き散らし続けてしまった。シーツの下には大きめのビニールを敷いているから内部は無事だがシーツは早い所洗濯しないと大変な状態だ。この上で寝るのは普通だったら勘弁したい、今は単にコトが終わった後で体中が汁塗れだから気にならないに過ぎない。 「……ふへ………♡」  力の入らない身体に少しだけ叱咤して顔だけを横に動かす、男子の私室と言えば散らかり放題なイメージがあるが真逆の綺麗に片づけられた部屋だ、しかしそこに最近自分の色がついていることを見てニヤける顔が止まらない。  本棚の一か所に一緒に買ったマグカップがおかれている、普段使いすればいいのに汚したくないとか言ってちょっとした飾り代わりになっていた。机の上には香水が見える、ピアスのように穴をあけるようなのはあまり好まないらしいから代わりに贈ったものだ、虎子が男に付けて欲しいという好み全開で選んだものだが遠目で見ても内容量が減っている。つまり、欠かさずに使ってくれているという事に他ならない。  好きな男の世界に自分が入り込んでいるという高揚感がまた虎子の胎を疼かせる。自分もだいぶ変わったな、と思った。デジモンというデジタル生命体と関わりながらすでにそれなりの戦いを経た、きっかけと言えた、多くの事件を憎からず思っていた男と乗り越えていくうちに関係性は段々と親密さを増し、気づけば頻繁にセックスまでするようになった。  少し前の自分を思い出す、ちょっとした…それこそ少女漫画程度の性描写ですら心臓が跳ねたというのに今ではもっと過激な性的コンテンツを能動的に見るまでになっていた、好きな男を喜ばせたいと思う心から、自分の身体の使い方を学ぶためである。おかげか、すでに男の性を受け止めていない部分などないほどに精液に塗れていた。他のどうでもいい男ならおぞけも走るが、愛しい人のならばいくらでも自分を汚して欲しいと願うほどになっていた。 「んっ…」  傍らに投げ捨てられていたスマートフォンのカメラを起動する、インカメラにして眺めて首元を映す。 「んー……1…2…3…」  赤い痕を数える、行為の最中に吸われたもの、俗称キスマーク、数えただけでも7あった、片手では数えきれない上に制服では首元を隠せないから他者から丸見えだ、化粧である程度は誤魔化せるから良いとはいえ1個くらいは見せびらかしたいと特に濃い赤の痕を指でさする。1つ1つが愛されている証だから誇ることはあれど、恥じることはないはずだが世間では爛れている等という。外野が何と言おうと知ったことではないが、自分のせいで彼氏に迷惑が掛かるのは嫌だから今は引き下がることにする。『別に好きで付けたから、隠したくないならいいんだが』などというが、やっていることは好き合っていても不順異性交遊に当たる、大学進学を見据えていることは知っているから停学や退学になるかもしれないなどということを露見させるわけにはいかない。  そう考えれば男も変わったな、と思う。少し前、まだ衝突してばかりの頃は四角四面といったか、ルールに反するようなことをすることに対し極度の嫌悪感を示す堅い人間だった、少なくとも学生のうちは性行為などと言って断ってもおかしくないほどの倫理観の塊だった。今では誘おうものなら1も2もなく…どころか途中からは自分以上に熱中し始める。  それを考えれば少し不思議だな、と思う事もある。男は自分から誘ってこない、基本的にセックスをねだるのは虎子からだ。嫌ということはないはずだ、男は嫌な時はバッサリという。冷静に見えて自分の感情を示すことに一切の躊躇がない、セックスが嫌なら絶対に嫌というし、実際にテスト期間には流石に今はダメだと言われ引き下がるほかなかった。  とはいえ少なくともセックスをすることに消極的ではないことはわかるが、どうしてなのだろうか?気にすることのほどでもないが脳裏の片隅に少しだけ残る。 「戻ったぞ」  扉が開く音がする、覗く顔があった。 「ん、お帰り恭介」  愛する彼氏が戻ってきた、ちょっとしたことなのに心が高鳴る。別に乙女などと自分を称するつもりもないが多少はそういう心もありはする。 「ほれ、水」 「さーんきゅ…冷たっ!?」  手に渡すと見せかけて頬にペットボトルを当てられる、冷蔵庫でしっかり冷やされていたからか背筋が跳ねる程に冷たい。 「冷えてていいだろう」 「だからっていきなり肌にくっつけるなよ…ビックリするだろ」 「その反応が可愛いからつい、な」  これだ、最近は堅物人間の様相はどこへやら、揶揄う事すらやってのける。タラシの雰囲気すら纏い始めている、何ならもともとの真面目さに柔軟性を感じさせるようになった結果何人か女子が粉を掛けようとしていて気が気ではない。 「ったく、そう言うのアタシ以外にすんなよ?」 「当然だろ、虎子が可愛いからやるんだ」 「~~~~~~!!」 「どうした?」 「そ、そういうところだぞっ!」  顔をそむけるように背を向けた、しかし追うように背中に感触、抱きしめられている。 「なんだ、もしかして僕が誰にでもするとでも?」 「そ、そんなことはないけどっ……」  ぎゅ、と、感触、乳を揉まれている。左乳をさするようにしてからフニフニと指を埋め込むように。 「あぅっ………♡」 「お前に見捨てられたって、浮気なんて馬鹿な真似はしないぞ?」 「み、見捨てたりするかバカ…」 「それは良かった、僕だってこれでも不安なんだ、つまらない男だといつ離れられるか」 「うぅ…あ、アタシが離れらんないってわかって言ってんじゃないのかよぉ」 「無論、まだ心をつかんでる自覚はあるよ」  右手をアゴに添えられる、向きをかえられた、すぐ横には恭介の顔がある、小さく水音がした、キス、すぐに音は大きくなる。舌を刺しこまれ口腔を蹂躙されてしまう。1分近く、ずっと恭介の思うままになぶられた、抵抗などする気は毛頭なかった、虎などと勇ましい名前だが今は子猫にすら劣るかもしれない、たっぷり楽しまれて、あるいは楽しんでから唇が離れる。互いの唇には唾液が橋のようにかかっていた。  しかし淫らなそれとは違い恭介の眼は真剣な光をともしている。 「だが、常々僕は思うよ、それに甘えて好きになってもらう努力をし続けないのは違うと、だから僕はもっと虎子に好きになって欲しいし、ずっと好きでいて欲しい」 「……は、歯の浮くようなセリフをよく言えるわ!」 「嫌だったか?」 「……す、好き…♡」 「なら良いか」  乳を揉む手が止まり、両の手が抱きしめるように力を入れてきた。腕ごとにすっぽりと包まれそのまま横倒しに転ぶ。一緒に。 「ご、強引だぞ」  形ばかりの抵抗を見せる。こっちの方が負けて気持ちいい。 「ああ、男は強引だぞ?犬塚なんて名字だが今はオオカミだ、僕は」  尻に感触を感じる。恭介のブツがまた勃起していてそれが押し当てられていた。熱を感じる、淫欲の混じった男の熱がまた虎子を止め始めていた。位置で言えば反対側なのにもう子宮が熱を帯びた、ねばつく汁が恭介の為に分泌されているのを自分でも理解した、もう拒めない、拒まない、来るならばすぐにでも包んでやれるように身体が変わっている 「虎子」  続けるかなどと気づかう言葉も、出来るかなどと試す言葉もない、ある意味の信頼でこちらの準備が出来ていることを理解していた、後ろ側から大きく勃起したちんこがまんこのナカに来る。びちゃとわざとらし位に淫らな音がした、もう誘う事すら勝手にするとは自分の身体とは言え、この男に惚れぬいてるな、と思った。  しっかりと奥まで押し込まれる。子宮が震えた、歓喜、また好きな男が自分を求めているというこの瞬間に雌の、男に抱かれて喜ぶ体の本能がまた一気に顔を出す。また無茶苦茶にされる、滅茶苦茶に壊される、そんな少し後のことが一瞬頭によぎりまたそれが甘い欲望の痺れをもたらした、ゴムをつけてなかったら妊娠してもおかしくないし本当はそうあるべきだと思うほどに濃厚な雌が疼いてしまう。獣だ、今。しかしそれが今何よりも望むことだ。目の前の獣の為に自分も獣になろう、ただただ雄の求めに答えて、雄を興奮させるためだけにあえぐ弱いメスに。  抱きしめられ、男の腰が動く。動きやすいように自分の腰の位置を少し整えた。再度交わりが始まる。  ちょっとだけ思い出した、どうしてこれほどまでに求めてくれるのなら、誘うのが自分だけなのだろうな? 〇 「ってことがあってよ」  放課後、今日は恭介が生徒会の仕事だからと時間が合わないから久しぶりに不良仲間のところに顔を出した。  別に特段仲がいいというわけではないし、虎子自身は一匹狼ではないが単身で動くことも多かったがそれでも多少は似たような存在とコミュニティができたりもする。 「うわ、またノロケっすか」  マスクをつけ、髪を茶髪に染めた女の不良友達がげんなりしたように言ってくる。口元は見えないがマスクが外れていれば表情は確実に面倒そうな顔をしていたに違いない。 「良いだろ、ラブラブだぞ」 「答えになってねーっす」 「これ以外に言いようがないんだよ!」 「嫌、知らないから…で、んなラブラブしておいて何が不満なんスか」 「別に不満なんてないけどよ」 「うっぜ!うわうっぜ!」 「いーじゃねーか黙って聞こうぜモブ子!」 「モブ子言うなっす、聞かせられる身にもなれっス…で、早く本題」 「……余韻も何もないなー…で、何であっちの方から誘ってくれないかって話で」 「……はい、かいさーんっ!お疲れーっす」 「あ、まだ話し終わってねぇぞ!?」 「知るかヴォケっ!不良のシモ話なんぞ聞いてられんわ!!」 「いくなよー、きけよー!」 「酒飲んでないのに絡み上戸ってよくそんな器用な真似するっすね!?」 「そもそも酔ってねぇし!」 「なお悪いわ!………あーもぉ、アレでしょ、誘う前にトラさんから言ってるから結果的にってだけじゃないっすか?」 「そ、そうかなー………?」 「しらねー………気になるんだったらあと聞けばいいんじゃないっすか?」 「き、聞けっておい…恥ずかしいなぁ」 「いや、自分のセックス事情ばかばか話す今のトラさんよか恥ずかしいの無いから」 「ひでぇ………」 「ひどくないっす………あー…久しぶりに話しかけられたかと思えばこれとか………」 「いーだろ、こういう時の為の集まりだろ!?」 「しらねーっすって…」 「知っとけ――あ、恭介から連絡…あ、悪い仕事終わったからってアタシ行くわ」 「自分だけ好き勝手よーやるわ、まあいいわ、さっさといけっす」 「おう、じゃーな」 「うぃー」 〇 「待ってたのか」 「彼氏おいてく訳ねーだろ」  恭介が虎子とかちあったのはすでにグラウンドに出ていてからだった。太陽はオレンジに染まり夕日に変わっているところに仁王立ちしていた、熱そうだな、と思いつつも余計なことは口出しせずに虎子の横に並ぶ。ふわ、と甘い匂いが香る。香水の物だ、別に特段オシャレに気を遣ってないとは言っていたがそれでも虎子は女子で自分よりよほど知識がある、今日付けているのはおーどとわれ?なる香水だと登校中に聞いた。大体持続時間が3~4時間程度らしいから付け直してきたのだろう。仕事で疲れた後に少しばかり癒される。  自分も変わったな、と思った。昔ならば学校に香水をつけてくるなんて何を考えているとガミガミと言っていたかもしれないが今となっては少しくらい目こぼしをしてもという気持ちが買ってしまうから好きにさせてしまっていた。どう考えてもいい事ではない、規律というものは一度ほつれればすぐにほどけてしまう、なのに特例とばかりに見て見ぬふり、むしろ目が見えなくなっているといっても過言ではない。恋は盲目というが、すでに闇の中にいるようだ、真っ暗闇の中で虎子という明かりだけを探してもがいている。 「にしても、恭介も熱心だよな」  歩きながらそんなことを虎子が言う。熱心か、と少しばかり自嘲した、今の自分は打算も込みだ。 「そうか?」  自らの思いをおくびにも出さないようにし勤めて平静に返す。 「ん、放課後とか1番疲れてる時に生徒会に呼び出されるってなあ、面倒くさくない?」 「あまりそう言ったことは考えたこと無いな…やりがい自体は感じていると言事もあるかもしれない」 「まっじめー…でもまあ、そういうところも好きだよ」 「ああ、知ってる」 「…て、照れさせてやろうと思ったのに」  夕日の中でも真っ赤になっていることが分かる虎子にこみ上げるものがある。愛おしさだ、感極まって抱きしめそうになるが今は帰りだ、歩くのが遅くなってはいけないから肩を抱き寄せるにとどめた。 「急じゃん」  言いながらも身体をくっつけてくる、汗ばんでももういいな、と思い更に力を込めた。虎子がくすぐったそうに身をよじるが、しっかりと抱えて離さない。 「あっちーなぁもぅ」 「お前が可愛いのが悪い」 「人のせいにしやがって」 「事実だ、もっと抱きしめようか」 「い、いいよ…その、歩きにくくなるし」 「そうか」  虎子が言うのならば残念だがやめておこう、今のままにしておく。  しばらくゆっくりとした歩みでともに歩く、声、切り出すように虎子かくる。 「なあ恭介」 「ん?どうした」  少しばかりまごついてから意を決したように、 「ちょっとした疑問なんだけどな…?」 「ふむ」 「その…なんでセックスさぁ……そっちからは誘ってくれねぇの?」  その言葉に吹き出しかけた、いずれ聞かれるかもしれないと思ったが今来るか、と。  正直に言って黙っていられるなら黙っていたい、別に言って悪い事ではないがそれでも気恥ずかしくはある。どうするべきか考えてすぐに答えは出た、正直に話すほかないだろう。 「壊してしまいそうだからだ」 「……は?」  何を言っているのかわからないといった顔をしている。そうだろう、当然だ、言葉を紡ぎ補足していく。 「僕は常々虎子が嫌がることはしないように、と考えている」 「そ、それは分かるよ?うん」 「そしてそれはセックスでも同じだ……しょ、正直に言おう……そのだな………た、足りないんだ」 「え……?」 「あの程度じゃ………足りない」  嘘だろ、と虎子はつぶやくが本当だ、嘘など一切言っていない。 「正直な話やるんだったら1日つぶしてもいいくらいだ……いや、むしろ2連休3連休くらいなら外に出ずずっと虎子を抱いていたいくらいだ」 「お………おう………」 「男女に性欲差というものはあるらしいがそれで言えば男は10代から20代が1番性欲を覚えるのだという、おそらく事実だ、というよりはなるべく理性を持つようにしているが、普段たいがい虎子の事しか考えていないぞ」 「な、なかなかのカミングアウトじゃん………?」 「自分でもそう思う、だが…まあやはりだが体力差や男女差もあるからやはりその…なんだ、なるべく虎子に合わせようと僕は思っているし、なるべくそうしたいと思っていて…だからこそ、その、なんだ…虎子の誘いに乗ることで自分を抑えているんだ」 「……???ど、どういうことだ」  つまりだな、と、 「虎子の誘いに乗ればあくまで僕が受け入れてもらっているという形で理性を働かせられる、だが…もしも逆なら…僕の言葉に虎子乗ってくれているという形になれば………その、なんだ………抑えられる気がしないんだ」  言い切って息を吐く。 「………な、なるほどな、そう言う事だったのか」 「そうだ…軽蔑するか?」 「は………なんで………?」 「結局言ってることは身勝手極まりないからだ……そのうえでやってることは虎子の誘いに甘えてるだけだぞ」 「まあ………それでも私の事思ってくれてるんだろう?」 「それはもちろんだ」 「じゃあいいよ、許す」 「そうか、嬉しいな」 「ならさ」  ん? 〇 「1回誘ってみてよ」  口からそんな言葉が出ている。今恭介の厚意を、意思を踏みにじることをしていると理解しながらも虎子はその言葉を告げずにはいられなかった。  思われてることはとても嬉しい、少しだけ考えた、実はセックスという行為があまり好きではないがあくまで合わせてくれてるのではないかと、それが全く違う方向の事を告げられると思ってはいなかったが、嫌じゃないのなら行幸だ。  そうなれば後は欲しくなってしまった、目の前の男が、恭介の本気の愛を。受け止めてやりたいと感じてしまった。 「いや、僕の話を聞いていたのか………?」 「聞いたうえで言ったに決まってるだろ」  そうだ、もうその果てに壊れてしまったってかまわない。  はしたないとかつての自分が心の底で言っている、ウブだったころの自分が。しかしそれ以上に胎の奥底の雌が鳴いている、これを止めるにはもはや壊れてしまうほかがない。  だから、挑発。 「それとも…いいよって言われても腰引けちゃうチキンボーイだったか?恭介は…♡」  別にもっと蠱惑的な言葉で誘ってもいい、だがそれでは普段と同じ自分から誘うのと変わらない、だから最低限の言葉でイライラさせてやる。言え、言え、言え、欲しいと言ってくれ、私の事なんてぼろ雑巾にしていい、だから、全部の欲望を私に叩き込みたいと………言え! 「虎子」  言葉に上を見た、獣がいる。 「わざと挑発してくれたんだな、ありがとう」 「な、なんのことかは知らないけど」 「ならそうしておこう…そのうえで言わせてもらう」  視線が合う、僕などというどこか穏やかな育ちのいい一人称を使うような男が見せるものではない、普段のどこか優し気な人を気づかうそれではない、欲望塗れの視線、それも自分から誘ってセックスに持ち込んだ時に見せるよりも濃厚な雄の欲望を纏った視線が虎子を余計に昂らせた。 「抱かせろ」  本当にただそれだけの言葉だ、もっと言い方があるのかもしれないなどとちょっとした理性が言う。しかし、 「……うん♡」  一発で屈服した、雄に負けて無茶苦茶にされるのは気持ちがイイ。雌のマゾヒズムを極限までに引き出される、もう駄目だ、意思を無視されて思うがままに自分の事を扱われて、穴という穴をドロドロ精液で満たされてなお恭介とちんぽに媚びるバカな雌になっちゃうんだ、それはとても幸せなことに思えた、もしかしたら違うとしても少なくとも本能はそう言っている。 「なら準備をしようか」  恭介がそんなことを言う。 「準備?」 「ああ…言ったろ…足りないって、だったらもう壊すほどに…するぞ」  舌なめずりをする獣に、今食われる。