「ともりんが気にしててさ〜」
あのちゃんが私の背後から得意げな声で説明してくれる。
私だけじゃただ渡すだけになっていたから、ほっとする。
「じゃあ新しいの買ってあげよっかって今日一緒に買いに行ったんだよね」
「…そうなんだ」
「ち・な・み・に、私も探すの手伝ってるから感謝してよね〜」
本当のことだから私はこくこく頷いていたのに、何故か立希ちゃんはあのちゃんをじろりと睨む。
それから諦めたように溜息を吐いた。
「ありがとう、燈…あと愛音も」
「うん…」
「りっきーてば素直じゃないなあ」
立希ちゃんの眉がピクリと動いた。けどすぐに何事もなかったように笑顔を私に向けてくれる。
両手で包むように持っているドラムスティックを、確かめるようにぎゅっと握って。
「本当にありがとう…これ使わないで宝物にするから！」
「え、この流れで使わないとかある？」

あのちゃんが私より先に声を上げて、柔らかい笑顔だった立希ちゃんの眉がつり上がった。
怒ってるように見える、立希ちゃんのいつもの表情。眼の前だと少しびっくりする。
「愛音うるさい！　お前だって野良猫から貰ったピック使ってないでしょ！」
「いや〜…まあ、あれはレア物っぽいし…」
「はあ？　理由になってないけど」
宝物、立希ちゃんにもあのちゃんにもあって。
ただ集めることが好きな私には、無くしそうになってやっと気付けるくらい鈍くて。
でも…一生、離したくない、そう思えるもの。
「…私にも…宝物、ある」
「燈…？」
「え〜教えて教えて！」
あのちゃんがくれた言葉、握った手の暖かさ。
楽奈ちゃんの寄り添ってくれたギターの音色。
そよちゃんがずっと大切にしてくれる思い出。
立希ちゃんが一生懸命作ってくれる歌。

形なんてどこにも無くて、けれどずっと私の中に在って。
それは胸の内をじんわりと温かくしてくれる。
「えと…MyGO!!!!!が…大切で……宝物」
もっと上手に言葉にできたら良いのにな。ちゃんと伝えられたかな。
ちらりと二人の顔を見る。
「燈…！」
「ともりん良いこと言う！　めっちゃ嬉しいんだけど！」
嬉しそうな、恥ずかしそうな、そういう笑顔がそこにはあって。
ホッとして、そしたらもっと温かくなる。
「はぁ？　燈の言葉はいつだって最高だから」
「…それともりんにちゃんと言ってあげなよ〜」
「はあ！？」
みんなの宝物のなかに、私も居たら良いな。
そんな風に考えたら私も恥ずかしくなって、つい微笑んだ。

りっきーが愛音にお礼を言うなんて…

燈の前だから一応…

いい怪？文書だった…

燈ちゃんが何か気になってる時助けてくれる愛音ちゃん

燈一人だとスティック選ぶので困りそうだな…

ｹﾝｺｳﾆｲｲ…

しっとりともりんいい…

ちゃんと嬉しいって伝えるあのちゃん
感極まって言葉にできないりっきー