二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1754140655051.jpg-(121111 B)
121111 B25/08/02(土)22:17:35No.1339351973そうだねx2 23:43頃消えます
夜分失礼します今日も今日とてイモゲンチャーの怪文書書きました。クロウ良子編ラスト、気合いと根性入れました、よろしくお願いします

本文
fu5386947.txt

お借りしました2人
fu5386949.jpg
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/08/02(土)22:17:53No.1339352096+
 進捗がないことは歩みを止めていい理由にはならない。
 希望がないことは絶望を抱いていい理由にはならない。
 意味がないことは否定をしていい理由にはならない。
225/08/02(土)22:18:07No.1339352199+
 人は無価値の中にいる、意味など存在しない。人は良く自分の生まれた意味、などとうそぶく、自分が何かをする際に自己の存在定義を抱こうとする。
 ウェブなどではよく見るだろう言語はやりがいなどという言葉が分かりやすい。良い訳でしかない、現実に存在するのは何かを行った事象のみ、そのあとにやりがいなどという理屈がこねくり回される。
 ならばイレイザーと呼ばれる何かを追うのは何のためか、少なくともやりがいなどはない、しかしそれは義務でもない。少なくともクロウは自分が行う必要は存在しないと考えている。そもそも追い続けるとしていつまで追うのか、高校生活も半ば、フリーで動ける時間は限られている、大学に行くにしいても就職するにしても。
325/08/02(土)22:18:18No.1339352271+
 それでもなお追わねばらないという奇妙な直感があった。己の中の本能とでもいうべきものがそれをせよと告げている感覚がある。やらねば何かが終わってしまうという奇妙な勘だ。
 それが今自分を突き動かしている原動力だとクロウは定義する。あやふやであいまい、言語にすると理解を得られそうにないが、それでもなお身命を賭してデジタルワールドを歩む。歩まねばらない、歩み続けなければならない、と。
 風が吹いている、乾いた風は日本ではあまり感じられない、ここはデジタルワールドだから当然だ。
 今日は目撃情報の中でも荒地に足を踏み入れていた。聞くことのできた情報曰く、イレイザーの何某がここを使って実験を行っているという眉唾のような話。普通ならば足を向けるまでもない情報だ、それでもなお藁をつかむ思いでここに来た、見たところ何も内容だった。
425/08/02(土)22:18:28No.1339352333+
 眼前には荒涼とした風景が広がっている、地平線の見える乾いた大地と山岳が続いている、何かで見たと思えばバイト先にテレビで流れていた再放送の古い映画だ、マカロニウェスタンと言ったか、カウボーイがだだっ広い荒野を馬に乗り颯爽と駆ける、そんな台地。少なくとも歩くつもりは起きない。
「また空振りか、こりゃ?」
 頭を抱えながらぶやく。そろそろ尻尾の1つも掴ませて欲しいものだが、どうにも出てくることがない。大分悪党なのだからそろそろ油断してくれてもいいのだが、現実にはそうにも行かないのだろう。
525/08/02(土)22:18:46No.1339352448+
「んー……何かなー」
「どうした良子」
「なーんだか、違和感?」
 何かをにらみつけるように見ている良子に問いかける。納得がいかないとばかりに唸る姿に怪訝そうな目を向けてしまう。しかしこういった時の直感というものはバカにならない。蓄積された言語化されない部分での思考能力は時に意識するよりも如実に結果を出すことがある。
「違和感、ねぇ」
 もしもそれが正しいのであれば自分は何かを見落としているとクロウは思う。見渡す、荒野を。やはりただの広い空間にしか思えない。
625/08/02(土)22:18:58No.1339352531+
「……ちょっとこっち」
 良子が手を引いた、ついて来いというように。何も言わずに足を動かす、向かう先は切り立った崖のような場所だった、荒涼とした大地に大きく高くそびえたつ。とはいえ見渡せばほかにいくつか似たような場所が見えた、あえて注目するような場所は見当たらないように思えた。
「ここが…どうしたって言うんだ?」
「ん、ん−…なんか変な感じがして………そう、多分ここら辺………」
 何かを探すように岩肌を撫でている。
「ここ………かな?」
 そこを強く押した、変化、世界が変わる。
725/08/02(土)22:19:10No.1339352615+
「あってたか…」
 先程まで見ていた世界が一変している、たとえデジタルであっても自然を感じた世界から人工物の世界に。あるいは0と1の世界、無限に広がる空間にワイヤーフレームの道がある。フィクションでよく見るサイバースペース。
「ここは………」
「多分切り離された電脳空間……だと思う、聞いたことあるでしょ、デジタルワールドで私たちが見てる世界はあくまで私たちの視覚とか知覚に寄ったテクスチャを貼ってあるようなものだって」
「ああ…情報としての塊の中から抽出したデータを使ってるんだよな……確か」
「そう…だから現実と違って無理矢理空間同士も知識があればできないわけじゃないはずで…多分ここ、強引に繋がれたんだと思う、揺らいで見えたんだよね」
825/08/02(土)22:19:22No.1339352682+
「揺らいで…?」
「そう…陽炎って言うのかな、もしくはそこだけぼやけてるって言うか…そういう感じ」
「なるほどな」
 はは、と、乾いた笑いが来る、
「こんなの分かっちゃうようになるなんて…大分デジタルな人間になってきてるかなー」
 馬鹿か、と言いかけて押し込める。良子の言葉を否定するのはたやすい、否定するだけだ、そのあとに続ける言葉を思い浮かべられない。クロウにとって良子は相棒だ、大事な存在だ、誤魔化した言葉で飾ることを自分に許さない。
925/08/02(土)22:19:32No.1339352741+
「さあな」
 ぶっきらぼうな言葉が出る、本当はもっといろいろ言える言葉があったはずなのに、こんな時に優しい嘘の1つも吐けない。
「ま、分からないよね」
 良子が笑みを浮かべる、複雑な、いろいろな何かを飲み込んだ笑みだ。
 心が締め付けられる。何かを言わなければいけないはずの口が何かを言う事を拒んでいる。慰めも何もかもが今侮辱するように思えた。自らの不甲斐なさを呪う。年上であるということに意味はなく、これまでのあらゆる経験が無に帰している。
「とりあえずいこっか」
 察されたらしい、ますますみじめに思えた。所詮自分勝手な自己嫌悪とはいえ。
1025/08/02(土)22:19:44No.1339352801+
「ああ」
 内心を押し隠しながら先に進む。
 隠されていたデジタルの世界は広く、しかし狭い。
『こういうところは久しぶりな気がするな、クロウ』
 あえてデジヴァイスの中にいるルドモンがそんな風に言う。なぜあえてなのかは分からない。しかしそうだな、と返しながら思い返す。イレイザーではなく相手がかつての宿敵、恩師の弟だった時は痕跡探しや一時撤退の際に時折入り込んだ。その先で思わぬ出会いや戦いがあったが今は良い記憶だ、何より決着がついている。
「こいつが手掛かりの1つに繋がりゃいいが」
 広い空間ではあるがいけるスペースは限られている。少ない時間で探しきれることを祈りつつ、更に足を動かす。デジタルな世界なのにアナログな事をするのはどこかおかしく思えたが、結局やることは地道な行為でしかない。
1125/08/02(土)22:20:27No.1339353072+
冒頭10レス頂きました
俺の全力です、お受け取り下さい
ちなみに書いてるときは実は常に全力です
1225/08/02(土)22:52:51No.1339365078+
結果的にエロを促進して帰っていった研究員さん…!
1325/08/02(土)22:54:08No.1339365585+
>結果的にエロを促進して帰っていった研究員さん…!
もちろん研究員にそんな意図はございません…!
1425/08/02(土)22:54:45No.1339365815+
ありがとうございますバトルにエロにてんこ盛りだ…
1525/08/02(土)22:59:07No.1339367319+
>ありがとうございますバトルにエロにてんこ盛りだ…
しっかり詰め込ませていただきました
1625/08/02(土)23:39:38No.1339380753+
赤字なので本日もお読みくださりありがとうございます、また次回もよろしくお願いします


1754140655051.jpg fu5386947.txt fu5386949.jpg