クソ親父…！！

じょ、冗談きついですわ燈…
嘘ですわよね…？

「は？」

わたくしの声が凍る。
彼女は心底幸せそうだった。唇は歓喜に震え、手は愛おしげに腹部を撫で、いつから付けていたのだろう、その薬指には指輪が光る。
父。
あの酒に溺れ、わたくしを拒絶し捨てたクソ親父が、わたくしの燈を奪う？
「燈、あなた、何を言っていますの？」
いったいどこの誰が純粋な燈にこんな悪質な冗談を吹き込んだのか。ピンク色頭を思い浮かべながら叫ぶが、彼女は夢見るように微笑んだままだ。
「き、清告さん、優しくて…誠実で…！私、し、幸せなの、祥ちゃん…！」
本心からの燈の声にわたくしの心が割れる音が重なる。わたくしは吐いた。自らの吐瀉物の中に倒れながら、目の前が真っ暗になって考える事をやめた。

──の匂いがする。

どれくらいの時間が経ったのか。わたくしが気がつくと、そこは清らかなチャペルだった。白い花に飾られた会場、笑顔の友人達。まるで新郎のような格好の父がわたくしの前に立ち、穏やかな顔で言う。
「祥子、ありがとう。燈と彼女の詩に出会えたのは、お前のおかげだ。俺は彼女の詩に救われたんだ。」
その言葉に、わたくしの胸が締め付けられる。違う。何を言っているのか。それは、その詩はわたくしのための。
父の横に燈が立つ。──ああ、なんと美しいのだろう…純白のドレスに包まれた花嫁は目を潤ませて言う。
「祥ちゃん…！お、お父さんと出会えたのも、祥ちゃんのおかげだよ。ほ、本当に…！ありがとう…！これからはお父さんと、お母さんと、一生！一緒だから…！」
彼女の感謝は純粋で、愛に溢れていた。父の妻としての愛。母としての愛がわたくしの心を抉る。

夢ならばどれほどよかったでしょう

参列者である仲間たちから拍手が起こっていた。そよが微笑み、愛音さんが花びらを撒き、睦が静かに頷き、膝の上で楽奈さんが眠る立希が白目を剥いている。「最高の式です」と、招待された信頼で感涙しながら海鈴が祝う。初華は私の隣で「お義兄さん、お義姉さん、素敵…！」と感無量だ。この場にいる皆が、世界が２人を祝福する。
だが、わたくしには地獄だ。この幸福は、わたくしを置き去りにする。
──わたくしのものだったのに。
この祝福も、燈も、……お父様、だって…わたくしのものだったのに…！！
「えー、それでは誓いのキスを」
神父の祐天寺がそう告げると、2人は向き合い、照れ臭そうに笑い合った。燈が目を閉じ、唇を上向かせる。クソ親父がかがみ、2人の距離がゼロになっていく。
もう、耐えられない。耐えられるわけがない。
視線を外し、ドレス越しでもわかるくらい大きくなっている燈のお腹を見ながらわたくしは吐いた。そして再び心を手放した。

夢から覚める匂いが必要だ

神父祐天寺でダメだった

──琲の匂いがする。

さわがしい音で気がつくと、そこはボロボロの赤羽の家だった。
音の正体は考えるまでもない。元気な赤ちゃんの──燈とクソ親父との子供の泣き声だ。
燈が赤ちゃんを抱き、囁く。
「ヨシヨシ、大丈夫、だよ…。祥子お姉ちゃんだよ。祥ちゃん…ほら、妹…だよ？抱っこ…する？」
燈があやすとその子はすぐに泣き止み、先程までが嘘のように笑う。燈に代わり抱いたわたくしを見上げて、これまた、にぱっと笑うのだ。
その赤ちゃんは、幸福の結晶だった。無垢な瞳、柔らかな笑顔、まるでかつてのわたくし自身のような、燈にそっくりな、わたくしの妹。
だが、彼女は燈と父の愛の証。わたくしの燈を奪い、わたくしの居場所を永遠に奪う存在。わかっている。感じている。かつて私の隣だけにあった燈の愛がその全てが妹に注がれていることを。妹の愛らしいその顔が、わたくしの心を刺す。愛したい。この無垢な妹を、守りたい。……なのに、憎しみが溢れ、胸が張り裂ける。わたくしは目を背け、魂を閉ざす。この幸福に、わたくしはいらない。
ジッ、と…燈にもわたくしにも似ていない紫がかった目で、妹がわたくしを見ていた。

夜になり、寝ている妹を抱えて台所にうずくまる。薄い仕切りがあるだけの隣の部屋では父が燈を抱きしめ、恋人同士のように微笑む。
「燈、ありがとう」
と彼が言うと、彼女は
「う、うん…だ、大好きだよ」
と抱きしめ返す。重なった２つの影が蠢き、熱い吐息と衣擦れの音だけが聞こえ始める。
「もう、やめて！！」
わたくしはピアノにすがり、衝動のまま無茶苦茶に鍵盤を叩く。ああ、もう、何もかもを忘れてしまいたい…！再び忘却に逃げなければならない…！！醜い心を表す旋律が、不協和音が、響く。家が崩れ、月光が射す。
「燈…！！あなたはわたくしの光なのに…！！…どうして！？…ああ！この子も、父も、許せない…！！」
その時、赤ちゃんの笑い声が耳を刺す。ハッと目を向けると、月光に照らされた燈そっくりの顔の妹が、誰かにそっくりの目で、ジッと見つめてきて、言う。

「祥ちゃん、今度は忘却れないでね」

感涙しました

──珈琲の匂いがする。


「いやぁぁあああああああああああ！！？！う、うああああああ！！！！」
自らの叫び声とともに目が覚める。自室代わりのロフトの上、汗と涙で枕が濡れている。鼻を刺すのは、香ばしいコーヒーの匂い。キッチンで叔母が朝の支度をしているのだ。
「祥ちゃん！？え！？だ、大丈夫！？」
悲鳴が聴こえたのだろう。彼女の慌てた声と、近づいてくる足音がする。
夢だった。
なんて酷い、悪夢。燈との暖かな夢を見ていたのは確かに覚えているのに、どうして、何がきっかけであんな悪夢に転じてしまったのだろうか。
わたくしは、深く息を吸い、コーヒーの匂いが肺を満たすのに顔をしかめながら、震える手で枕元に置いてあるノートに触れた。
燈は、ここにいる。

「ほんっっとうに嫌いですわ…この匂い」

この日作った曲はものすごく評判が良かった。

夢でよかった…

夢で良かったー！！
…なんか干渉受けてない？

仕事もない無職のクソ親父が美少女JKと結婚なんて夢ですらありえませんわ！！！！！！

なんなんにゃむ…

感涙しました🐼💦

なんだろう…何故だかほぼ出番無い人が怖い…

海鈴本当にこの怪文書よんだの？

色んな意味で怪文書な怪文書が多いな今日は…！

昼のスレ見て思い付いたな貴様？

悪夢見るレベルで嫌いなら流石にいいなよ…

>昼のスレ見て思い付いたな貴様？
ともりんママいいよね…！

地獄すぎる…

でも本当にこのルートでも割と幸せになれそうな気がする

あー…
きよとも
たーそよ
さだたき
宮田愛音の…

>仕事もない無職のクソ親父が美少女JKと結婚なんて夢ですらありえませんわ！！！！！！
ともりんの歌を聴く事で立ち直って再就職すれば可能…！

そんなわけねぇですわ！！！！！！！！！
JKが推定40代のオッサンと結婚なんて地獄もいいとこですわ！！！！！！！！！！！！！！！
結婚したのにまだボロアパートとか死んでくださいまし！！！！！

落ち着いてください神

祥子…！お前の友達のような良い子がいると…手を出してしまって…俺は恥ずかしい…！

睦の気持ちが分かりましたわ…

　
>結婚したのにまだボロアパートとか死んでくださいまし！！！！！
じゃあ豪邸持ってるジジイと…

>結婚したのにまだボロアパートとか死んでくださいまし！！！！！
ぉぁ…2人の愛があればどんな所でも…幸せ…！

手を出すなぁぁぁ！！！！！

>祥子…！お前の友達のような良い子がいると…手を出してしまって…俺は恥ずかしい…！
クソ親父のせいで知り合った婦警さんに通報しましたわ！

🐶ぉぁ…

神が破壊神になってしまう

こんな世界もあり得たかもね～おもしろいにゃむね～
にゃむにゃむ………

でもこの世界線だと妹さん産まれますよ神
ともりんの子供とかきっとかわいいぞぉ！

>でもこの世界線だと妹さん産まれますよ神
>ともりんの子供とかきっとかわいいぞぉ！
心がふたつありますわ～

清告さん…すごく真面目で…温かくて…
祥ちゃんの優しいとこ…似てるなって思って…

父親と親友の致してるシーンを夢に見るんじゃないよ！

燈を孕ませるのはわたくしですわ～！！

>清告さん…すごく真面目で…温かくて…
>祥ちゃんの優しいとこ…似てるなって思って…
わ、わかる…！💛

今日はカロリー高い怪文書ばっかだ…

この時間帯怪文書ラッシュで目が追いつかなくなるけど楽しい

>>清告さん…すごく真面目で…温かくて…
>>祥ちゃんの優しいとこ…似てるなって思って…
>わ、わかる…！💛
地獄ですわ…

ホラーか？
ホラーだったわ…

さきちゃんの夢の中でも白目を剥いてるりっきーでダメだった

初華は現実でクソ親父に割とよくしてもらってたからな…