二次元裏@ふたば

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1219340 B25/03/23(日)20:52:18No.1295218527そうだねx10 22:02頃消えます
大きなお屋敷の閑雅な庭園で2人の女の子が遊びまわっている。
一方はお人形さんみたいなきれいな子、もう一方は私と同じ顔を持った優しそうな子。
2人だけの世界でとびっきりの笑顔でじゃれ合う。
「初音、よかったね」
葉に隠れていた蜘蛛を見て悲鳴をあげる姉を見て苦笑する。まだ虫苦手なんだ…クモかわいいのに。
私、本物の三角初華ことスパイダーマンは、その幸せそうな世界を遠くの鉄塔の上から眺めていた。

家の中でただ一人違うモノとしての境遇に苛まれて、毎日悲しそうに過ごしていた初音。
でも私の代役を掴んだ初音が、ただ一度きり見せた幸せそうな顔はいつまでも覚えてる。
それが再びさきちゃんに向けられている。代役なんかじゃない、正真正銘の初音として。
あんな表情、私は一度もさせてあげられなかったな…。
それどころかパパの死で狂った私の失言が発端で、初音も他の大勢の人たちも傷つけた。
もう、元に戻すことはできない。
「だからせめて、その責任は全部私がもらうね。ずーっと笑っていてね。大好きだったよお姉ちゃん」
名前も顔も隠されたマスクヒーローはスウィングで空を駆け──笑顔を忘れてしまった人々の元へ跳ぶ。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
125/03/23(日)20:52:37No.1295218664そうだねx3
──都内某所 音楽ステージ

はぁ。sumimi活動休止…おやsumimiか~。薄々予感してたけどいきなりすぎるよ…。
ライブ本番前日の準備も全て終わり、誰もいないステージにこっそり忍び込んでまなはひとりぼーっと佇んでた。
ここにはういちゃんと「sumimi」として立つ予定だった。
本番はソロアイドル「純田まな」としてただ一人で歌う。
でも、ういちゃんがムジカ始めたときから何回もソロで仕事してるし、まな大丈夫だよ。
休止が決まっても、プロのアイドルはお客さんに情けないところ見せちゃいけないよね。
笑顔のまなを見せないと!うん笑顔笑顔……笑うのってどうやるんだっけ?

何万回も鏡の前で練習したのに、笑えない。
仮面のように表情が張り付いて、動けない。
まな、考えないようにしてたのに…。目を背けてた汚くて黒い感情が溢れて止まらなかった。
まなはういちゃんがムジカに浮気するの、どんなに空元気を出しても本当はモヤモヤしてた。
まなが必死にsumimiは解散しませんよ~~って叫んでも……心にはどんどんヒビが入ってた。
225/03/23(日)20:53:16No.1295218921そうだねx3
泣いちゃダメなのに、涙が止まってくれない。
ずっとsumimiやろうねって約束したじゃん…ういちゃんの嘘つき。
なんで隣にういちゃんいないの?このステージ、まな思い入れすごいあるんだよ?
商業施設のお披露目と一緒にとかじゃない、初めてふたりでsumimiの単独ライブ成功させた舞台なのに。
怒りと悲しみで頭の中がぐちゃぐちゃになって、ふたりでやるはずだった曲を、呟くように誰もいない客席に向かって歌い出した。

「Here, the world… 繋ごう… 鼓動 リズム…」(・・・・ ・・・・・・・)
新しい歌は生まれない。あるのは嗚咽の反響音と沈黙だけ。いつもまなを迎えてくれてた優しい声は返ってこない。
「Here, the world… 未来は…」真っ暗だよ……。
「明るいよー♪」
「ふぇっ?」
急に上から陽気な声がして、びっくりして跳ね上がるように視線を向ける。
そこには赤い全身タイツと覆面姿のクモみたいな女の子?が糸のような何かを手から出して、逆さ吊りになってこちらを見ていた。

「へ、へ、変質者さんだ~~~~~~~っ!!!!!」
325/03/23(日)20:53:48No.1295219131そうだねx3
「ごめんなさいパトロールで通りがかったら大好きな曲を最推しが歌っててつい合いの手入れちゃって…変態じゃないから通報しないで~!」
すごい勢いですがりつかれてかわいそうに思い、110番を押しかけてたのをやめてあげる。
変な恰好だけど悪い子じゃなさそう。

でもまなが泣いてるとこ…。ファンの子みたいだしがっかりするところ見せちゃったかも。
「ねえHere, the world、続き歌わないの?」
「…まな一人だし、歌えないよ」
「じゃあ私が、スパイダーマンが初華やるから、まなちゃんはまな歌って!」
尻込みするまなをスパイダーマンさん?が「いいからいいから」と強引に背中を押す。なんなのこの子~!
「お姉…初華やるならギターは必須だもんね!これ借りるよ!」
舞台袖にあった白いエレキギターを持ってきて勝手に弾きだす。自信満々だけど…うんギターへたっぴだ。
「ふーっ…。よし、準備できた。まなちゃん、一緒に歌おう?」
あれ?今深呼吸して落ち着いたとき、喋り方がういちゃんにそっくり。
つい差し出されたマイクを手に取ってしまう。顔見えないのに…なんでこんなにドキドキするの?
「それじゃいくよ!せーのっ」
425/03/23(日)20:54:20No.1295219357そうだねx3
「…Here, the world 繋ごう 鼓動リズム」「生まれるニューソング♪」
やっぱういちゃんと全然違う。
でも元気な歌声と拙いけど前に進もうとするギターの伴奏が、転んで動けなかったまなの手を引っ張り上げてくれる。
「っ!Here, the world!みらーいはー!」
「「明るいよーっ!」」
つられて声量が上がる。胸のリズムが走りだす。久しぶりの大好きな曲を、二人で一緒に歌って気持ちが舞いあがる。

爪弾いてるスパイダーマンさんが「ここ大好き!」ってはしゃぐ。
歌いながら、まなも笑顔で答える「まなも好き!」って!
「Juicy, Juicy momentだんだんJuicy, Juicy oh yeah♪」「ほら果汁みたいにLet's bloom togetherっ♪」
「Juicy, Juicy momentますますJuicy, Juicy oh yeah♪」「ほら世界にはヒトリじゃ描ーけーなー-い♪」
「夢ばかりだよ♪」「Here, the world!繋ごう このメロディ──」
リズムも音程もめちゃくちゃ。
でも、二人だけの世界でずっと笑って歌っていたいくらい幸せだった。
525/03/23(日)20:55:06No.1295219691そうだねx3
息を切らしてしゃがみ込む。こんなはしゃぎながら歌ったの初めてかも。
ういちゃんのことはまだ整理ついてないけど、歌って悲しい気持ちはどこかに行っちゃった。
「一緒にsumimiやってくれてありがとう…スパイダーマンさん」
「ううん!まなちゃんが笑えるようになってよかった」
「あっほんとだあ…えへへ」
「私も諦めてた夢を叶えてもらえたし!お姉ちゃんみたいにはできなかったけど…」
「…?それってどういう…」

そのとき突然、足音と大声が響く──『A.B.P.D.だ!そこの全身タイツの不法侵入者!大人しく投降しなさい!』
「やばっ!逃げるよまなちゃん!」「えっまなも?なんでそんな話になるの~!?きゃっ!?」
スパイダーマンさんが悲鳴をあげるまなを抱きかかえ、糸を出して建物の外へと飛びだす。
お日さまのような、やさしい香りと体温に抱かれ夜の街を駆けていく。
恐る恐る目をあけると、月と街の光で照らされた夜景が広がっていた。
「わぁきれい……。ねえスパイダーマンさん。まな、明日一人でもちゃんと笑って歌うから。どうか見守っててね」
「うん、親愛なる隣人として、ずっとずっと応援してる!」
625/03/23(日)20:55:37No.1295219943そうだねx9
※A.B.P.D. (AkaBanePoliceDepartment)
Ultimate Spider Air Play Shin-Uika #1 おわsumimi~
725/03/23(日)21:03:49No.1295223547+
>1742730738076.png
正常なモブレズの9割はまなちゃんに夢中で右上のスパイダーマンに気づかない
825/03/23(日)21:06:37No.1295224934そうだねx1
スパイダーマン創作なのになぜこんなキラキラしたういまなを読まされてるんだ…
925/03/23(日)21:08:24No.1295225844+
ありがとうスパイダー初華
1025/03/23(日)21:10:35No.1295226893+
本土に引っ越してたおかげでスパイダー初華の説得力が増しちまったのだ
1125/03/23(日)21:10:39No.1295226912+
いいもの読ませてもらった
1225/03/23(日)21:11:13No.1295227187そうだねx2
もう一話あるよ!
1325/03/23(日)21:11:26No.1295227288+
まなの皮の下に真初華入ってるパターンかと思って警戒してしまった
1425/03/23(日)21:11:40No.1295227419そうだねx2
『スパイダーマン!?きゃ~~私初めて見ちゃった!!』
『スパイディー!!昨日は助けてくれてありがとー!!』
『ふーっふーっマスクの臭い嗅がせて!絶対いい臭い!』
THWIPP!!───街ゆく人々の声援に手を振り、太陽が沈んで灯りが燈ったビル街を糸を飛ばしてひとり駆け抜ける。
「Here, the world! 繋ごう 鼓動 リズム♪」
お気に入りの歌を口ずさんで、大好きな人が待つ場所に向かってスウィングしてる。
Here, the world!、世間で流れるのは珍しくなったけど、私にとっては特別な歌だ。
本物の三角初華の存在を世界からかき消した、呪いの歌。
でも私の理想の頂点を見せ、私の脳を焼いた、最高の歌。
月と太陽が届けてくれた私の大嫌いも大好きも入った歌。
私のせいで、陰ってしまったお日さま。雲を晴らすため、パトロールの合間に足繁く他愛ない話をしに通っていた。
途中、傍受していたA.B.P.D.の無線から大絶叫が響いた。
『銀行強盗発生!至急現場に急行せよ!!』
「えー!?やれやれ今応援に行くよっ!!」
待ち合わせに向かうのも簡単じゃない。スパイダーマンの責任は相変わらず重いよ!
1525/03/23(日)21:11:52No.1295227516そうだねx1
遅くなっちゃった。まさかあんな翼の生えた銀行強盗がいるなんて…かなり手こずっちゃった。
こつーん…──こつーん…──ウェブを丸めて作った玉をベランダのガラス戸にゆっくり投げる。
どうしようまなちゃんに嫌われちゃったら。どうか嫌いにならないで…。
そのときガラス戸を開けて、もこもこした部屋着姿の優しそうな女の子がぱたぱたと出てきた。
「も~~おそ~~い!まなせっかく今日早く仕事から帰ってきたのに~!」
「まなちゃんごめん!!」
「…ふふっ冗談だよ~許してあげる!今日もいっぱいお話つきあってね~」
やっぱりまなちゃんは世界一かわいくて優しい。大好き。
───
「でね?その子、突然自分のこと「わたくしが神ですわ」って宣言しだして」
「ぷっ……ふふふっ神って…かわいいね~~まなもその子に会ってみた~い」
夜のベランダで二人おしゃべりに花を咲かせる。この前は元気なかったけど、自然に笑えるようになって本当に良かった。
…?急にまなちゃん、私のマスクした顔をじーっと見つめだしたけどどうしたんだろ?ドキドキするんだけど。
「まなちゃん?」
「…ううんなんでもないよ~?あっそうだ!ちょっと待っててね」
1625/03/23(日)21:12:03No.1295227618+
「じゃーんっ!ドーナッツ買っておいたんだ~!一緒に食べよ~!」
家の中からいい香りがする箱を持ってきた。というかそれって!
「パスパレコラボのやつ!?わ~気になってたんだ!」
「え?スパイダーマンさんパスパレさん好きなの?」
「うん大好き!デビューからずっと箱推ししてて!憧れのアイドルで!!」
「そ、そうなんだ…」
「千聖さんかっこよくて綺麗!麻弥ちゃんのドラムうますぎ!イヴちゃんは強いブシだし!日奈ちゃんはるんっ♪としたシンパシー感じるし!彩ちゃんは一生懸命なのが全部大好き!!」
「…………へー…そーなんだー」
まなちゃん?声低いし唇尖らせてて…なんか不機嫌になってない?…ハッ。
「ごめん最推しは絶対にsumimiでまなちゃんで…でも実は私の推し50人以上いるんだけど、えっとその」
「浮気者のスパイダーマンさんほっといてまな一人で食べちゃおうかな~」
「まなちゃんごめんなさい!」
「嘘だよ~まなもパスパレさん大好き!はいドーナッツ半分こ」
アイドルオタの悪癖が出ちゃった…反省しなきゃ。ほっと胸をなでおろし半分この片方を受け取る。
……しまった。マスクでどうやって食べればいいんだろう。
1725/03/23(日)21:12:16No.1295227720+
どうしよう突っ返す?せっかくまなちゃんのおててから直接もらった物を?
そんなお姉ちゃんがやりそうな不義理かませる訳ない!お姉ちゃん、バカ!
今ここでマスクを外して、私の素顔をまなちゃんに見せるということは───どういうことになるか考えたくもない。
まなちゃんはドーナッツに口をつけず、じっと私のマスクを見る。
…こうなったら!私は口と鼻先だけ出るよう、マスクを半脱ぎにしてドーナッツを頬張った。
目元が隠れてればなんとかなる…はず!
まなちゃんは少しだけ驚いたような表情をして、目を閉じ微笑みながら少し息を吐いた。
この反応はどっちだろ?正体隠せたの?あれ?なんかまなちゃんの顔が近付いてくる!?
「…ねえスパイダーマンさん」
「はひぃ」急に至近距離で熱を帯びた声音で呼ばれ、舌がうまく回らなかった。
「ほっぺに、ついてるよ」
はむっ。まなちゃんの唇が私の頬にくっついたドーナッツの欠片をついばむ。
「えへへ、おいしかった」
あわわ…お、お姉ちゃああああん!まなちゃんがすごいよおおおお!!
「わた、私パトロールに戻らなきゃ!まなちゃんおやsumimiー!……また明日!」「ふふっおやsumimi~」
1825/03/23(日)21:12:28No.1295227819+
いつものまなちゃんと違うサムネと思ったら横に何かいる
まなちゃんが笑顔になったから許すが…
1925/03/23(日)21:12:39No.1295227897+
「もう…もっと一緒におしゃべりしたかったなあ」
Ultimate Spider Air Play Shin-Uika #2 おわり
おやsumimi~
2025/03/23(日)21:18:36No.1295230479そうだねx6
M.まな
J. 純田
そういうことだよね…
2125/03/23(日)21:20:41No.1295231364+
まなういは…ある!!!!!!
2225/03/23(日)21:22:01No.1295231903+
初華(初音)スパイダーマン説もいよいよ終焉か…と思ってたらなんか「」タンリーが急増している!
2325/03/23(日)21:22:50No.1295232267+
真ういまなはおねロリの波動を感じるの
2425/03/23(日)21:23:15No.1295232424+
「」はここにいちゃいけないよって書こうと思ったけどスパイディ要素が…
2525/03/23(日)21:24:22No.1295232899そうだねx8
最終話まで毎日スパイディういまな書きたい…
書く💛
2625/03/23(日)21:25:00No.1295233153+
真初華が本編に登場せずに本土に渡ったことしかわからないからね…
これはスパイダーマンやってるね
2725/03/23(日)21:26:38No.1295233810そうだねx1
>J. 純田
>そういうことだよね…
純田の読みは「すみだ」だからSだよう!
2825/03/23(日)21:28:36No.1295234601+
三角初華スパイダーマン説が受け継がれるのも凄いことになったな
2925/03/23(日)21:29:11No.1295234814そうだねx8
私はかつて毎日スパイディを描いていた「」タン・リーだが
彼の怪文書にはアメイジングなスピリットを感じる
この話は皆が幸せになることを祈っているね
ヒーローとはきっとそういう存在なんだ
ありがとうを言わせてもらうよ
3025/03/23(日)21:31:13No.1295235710+
>お姉ちゃん、バカ!
3125/03/23(日)21:31:49No.1295235956+
すごい数の「」タン・リーが集まってくる!
3225/03/23(日)21:34:22No.1295236986+
明日もうういまな書く気力無いから助かる…
3325/03/23(日)21:41:52No.1295240269+
砂糖まみれのドーナツみたいに甘い真ういまな…
3425/03/23(日)21:45:00No.1295241632そうだねx2
>明日もうういまな書く気力無いから助かる…
立ち上がって…書いて…
3525/03/23(日)21:46:15No.1295242127+
さ…最終話で新曲ライブやるかもしれないし…
3625/03/23(日)21:48:39No.1295243150+
どうするんだよこれで来週本当に真初華とsumimi組んだら
3725/03/23(日)21:50:32No.1295243917+
それはそれで色んな方面にハッピーエンドだからいいんじゃない?
本編的にさ
3825/03/23(日)21:50:40No.1295243974+
>どうするんだよこれで来週本当に真初華とsumimi組んだら
だから今しか書けないの!書くしかないの!
3925/03/23(日)21:52:08No.1295244529+
映画スパイディじゃなくてアメコミも増えないかな
あっちはもっとおしゃべりだし
4025/03/23(日)21:55:37No.1295245955+
太陽みたいな子には太陽みたいな子ぶつけるんだよ!
4125/03/23(日)21:56:58No.1295246507+
真初華がシスコンなのか復讐者なのかもわからんからな…
4225/03/23(日)22:01:43No.1295248416+
赤羽は比較的変態みたいなやつ多いからね


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