… | 1025/03/09(日)23:00:55No.1290795407+今回が初めてではない、このゾイド乗りはいつも飲んだくれているしマトモに直立してブリーフィングに出てる姿を見たことがない。腹が立つよりも先に健康が心配になってくるレベルの酒量だ。 「ライトニングサイクス、主機立ち上がりました。給弾作業に入ります」 「よし、フルに入ったらハンガーを―――」 「弾丸は半分でいいわぁ、サイクスちゃんの起動を急いでちょうだい」 唐突に肩に抱えている中尉が喋り出した。そのままコクピットに向かってシートに身体を押し込む。細かい指先の震えが止まり、操縦桿を握るのを確認した。 「ヘルキャットちゃんを三機つけて。敗走中の味方を回収次第、そのまま基地までエスコートなさい」 「並走はさせなくていいわ、後からゆっくり…どのみち追いつけないでしょうからぁ」 さっきまでと人が変わったように、ドブ川のような眼が鋭く前方を睨む。ゲートが開くと共に、黒い機体は軽やかに飛び出していった。 弾薬は半分…彼女は半分も使い切らず命中させる。機体の被弾もない。これまで通り、この部隊じゃ一番手間がかからない。そんな腕をしていながら、彼女はここに流れてくるしかなかった。 味方殺しの汚名と共に。 |