… | 1025/02/23(日)22:41:27No.1286318222+「ソーン3、目標を捕捉。南南東へ向けて移動中」 無機質な声がコクピットに響いたのを合図にコンソールを確認した。画面に映ったセイバータイガーを見つめる視線は自機のものではない、即席のコールサインで呼ばれる通信相手の視界は淀みなく標的を捉え続けていた。 「上出来だソーン3、こちらも照合した。攻撃を開始しろ」 「攻撃前に警告が必要です、目標に繋げる許可をください」 「必要はない。非常事態だ、迅速に対応しろ」 ただの脱走ならそうだろうが、今回は少々都合が悪い。ガイロス帝国に関わるスキャンダル…勿論自分も聞いてなどいないが、それを外部に漏らす算段でいる。という上からの指示だ。 ちんたら警告して逃すわけにもいかないし、もっと言えば、目標を生かして捕まえる理由も、任務を記録に残す必要すらない。 「しかし」 無機質な音声は再び口応えする。その反応に少しばかり苛立ちを覚えた。 「ゼネバス人には知る必要のないことだ、任務を果たせソーン3。貴様の存在価値はそれしかない」 視界が動き獲物へと迫る。装備した剣が装甲を破壊する様を確認して、ようやく一息ついた。俺たちを裏切ったゼネバス人め、今後も精々役に立って見せろ。 |