・ジャムと俺くんがラッコ鍋を食べる話 ――雪国ギルドにて。 今回の依頼は完了ですね! ではこちらにサインを…… はい、報酬も確かに受け取りました! ありがとうございましたー! ふう、これで終わりですね! 北の湖に生息する魔生物の討伐依頼ということで驚きましたけど、魔ラッコとは。 お腹の流氷で頭を砕いてこようとするなんて、また厄介な生態でしたねえ…… あ、受付の人。討伐対象の魔ラッコのお肉が余ったんですけど、どうしましょう? そちらで引き取ってもらう事ってできます? そもそも、これって食べれるんですか? おや。 どうしたんですか、ギルドの皆さん。 「ラッコ肉はとっても美味しいから今日中に二人で鍋にして食べたほうがいい?」 へえ、そうなんですか! ちょうど、お腹も減ってきましたね……じゅるり……! 〇〇さん、〇〇さん……! これは一択ですよ! 換金率もそんなに高くないですし! それに私は――もうこのお肉を食べることしか頭に無いです!! ――ですよね!! やったー!! 〇〇さん大好きです! 〇〇さんならそう言うと思ってました!! 早速帰ってさっそく食べましょう!! ね!! ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ……持って帰ってきちゃいましたね、こんなにたくさん……!! よーし、早速煮込みますよー!! どんどん入れちゃってください! うわぁ、おいしそう……!! クセはちょっと強そうですが、匂いだけでもぎゅんぎゅんお腹を刺激します……!! 「いただきまーす!」”いただきます” ****** うーん……確かに……これは、おいしいですね…… ……いや、おいしいんですけど、なんか、前評判の割には……。 むしろ……なんか、物足りない、というか…… ……なんか、おなかがすごく、きゅんきゅんする…… ……いや、この部屋、なんか暑くないですか…… おかしいですね、今日はむしろ寒い日だったはずですけど…… ……〇〇さんも、暑そうですね。……脱がないんですか? “なんとなく脱いじゃいけない気が”……? えー、なんですか、それ。 ぬげばいーじゃないですか。いまなら、だあれも気にしてませんよ。 むしろ、〇〇さんが、きにしすぎなだけなんじゃないですかー? ……えいっ。 なにって……あついから、ぬいだだけですよー…… ふふっ……〇〇さん、お顔が赤いですよ……そんなに、暑いんですか? 〇〇さんも、がまんしないで、脱いだほうがいいですよー。 へえ……”あつくない”んですか。 なら――どーして、おみみまで、こんなにまっかっかなんですかぁ? パァン!パァン! ムッワァァァァ…… あっ……脱いじゃうん、ですね。 ちょっと、あっち向かないでくださいよー……きにしません、って。 ひとりだけ見せるのがいや、でしたら。 わたしのも、みていいですから…… もう……〇〇さんは、はずかしがりやさん、ですねえ―― いつも、さんざん見てるくせに。 気づいてますよ。おんなのこは、そういうの……わかりますから。 おとこの人は、胸とか、お尻とか……好きですもんね。 ……いいですよ。私も、今は〇〇さんのこと、見ちゃってますし。 今なら、好きなだけ見てもいいんですよ…… (ジャムはおもむろに、勇者に近づいて耳打ちした。) すぅ…… それとも、やっぱり……ふともも、ですか? うわあ、〇〇さんのほっぺた、やけどしそうなくらい、あつくなってる…… これは、私の手がつめたいだけ、ですかね……? おや。〇〇さんのおてても、つめたいですねえ…… これは、前の雪かきのときみたいに……あたためないと、いけませんね。 知ってますよね、〇〇さん。わたし、体温高いんですよ。 “そ、それが”……? ふふふ……わかってるくせに。 ……わたしのふともも、ほかほかですよ。 ――うひゃあっ!? つめ、たい…… ……あれ。〇〇さん、なんで、あたまに? ……“熱出てる”……? そんなわけ、ないれふよ……げんき、げんきれふ…… あれ? 〇〇さんがたくさん……ひといくらい、わたひが……えへ、へ…… ****** あ……おはようございます、〇〇さん。 昨日は……看病してくれて、ありがとうございます。 その……ごめんなさいっ…… 実は、昨晩の記憶が全くないのですが……!! それでも、何か途轍もない過ちを犯した気がするのですが……!! “……” ああ、あ……やっぱり、私なにかしちゃったんだ…… 鍋の食べ過ぎでお腹がびっくりして吐いちゃったりとかしてましたよね!? 教えてください、後生ですから……!! “……距離が近い……”? ”嫌というわけではないけど”……? それ、とんでもなく怒ってる奴じゃないですか!!? 本当にごめんなさい〇〇さーん!! 悪いところがあったら直しますからー!! だから、だから――昨日何があったのか、教えてくださいよー!! ジャムと俺くんがラッコ鍋を食べる話 おわり ・魔ラッコ 危険生物。氷で頭蓋を割ってこようとする。 肉は普通に美味だが、あらゆる耐性・加護を貫通する催淫作用有り。 勇者(雪国の俺くん)は気合で耐えた。