… | 1425/02/07(金)23:53:35No.1280812195+正面一杯に広がる荒野に、黒い点が現れては消えてを繰り返す。あぁ、だからこのルートはやめとけって言ったんだ。 光学迷彩を纏うヘルキャットの群れ、ここいらで鎌鼬だとか呼ばれるタチの悪い賊の乗機だ。新生ガイロス帝国が全てのゾイドを管理するとか言っときながら、あんな上等な機体まで管理不行届きだと言って横流しされてやがる。 集団で来られちゃいくら大型ゾイドでも危ない相手―――もちろんライオン型なんて暴れ猫を自分が動かせるはずもない。コクピットの後席に押し込められた体を縮こまらせて、前席のパイロットに祈りを捧げるのが精々だった。 そのパイロットがスロットルを開く。ドンと背中を叩かれたと思うと、景色が一気に後方へと吹き飛んだ。その端っこに爪を空振りさせたヘルキャットが一体映る。 次の瞬間には、端は正面に切り替わっていた。大出力のイオンブースターを真横に向けた青い機体が横っ飛びして、前足を軸に半回転。その勢いで振り向いたもう片足がヘルキャットの肩を打ち砕いた。 想像するだに胃が裏返りそうな横方向のG…に襲われると思って目を瞑ったが、恐れていた衝撃は訪れなかった。 |