「うひゃぁ！？」
「トレーナーちゃん！？」

進もうとした右足が何かに引っかかり、釣られて左足が引っ張られる。
危うく転びそうになるが、そこまでヤワな体幹ではない。どうにかバランスを取り戻して、下を見る。
左右の靴ひもが１つに結ばれている。こんなイタズラをするのは……。

「テイオ〜？」

振り返ると、私の担当するもう一人のウマ娘、トウカイテイオーが芝生にあぐらをかいていた。

「危ないでしょ？」
「ニシシ、ごめんごめん。トレーナーってばマヤノに夢中でぜんぜん気づかないんだもん」

前かがみの姿勢で歯を見せて笑うテイオー。笑顔が素敵なのはよろしい。

「マヤに夢中になっちゃうのは仕方ないよねぇ。そしたらテイオーちゃんがちょっかい出したくなるのも、同じくらい仕方ないよ〜」
「そんなわけないでしょ〜！」
「あははっ」
「まぁまぁ、転ばなかったんだし許してよ」

テイオーが私の肩に手をかけて、ちょうど洋画のお調子者キャラがするように言った。
実は私の方が1cmテイオーより小さいのは秘密だ。
マヤにはバレている。黙ってくれているが、いつかポロっと言ってしまうのではないかと少し心配。
正直、全くの新人である私にこの子達のトレーナーが務まるのか、分からない。
もっと大人の威厳を見せるべきかもしれないし、先輩たちがするように時には本気で叱ったほうがいいのかもしれない。
今のところ、私はこの2人のトレーナーというより年の近い姉みたいではないか。

「次はボクの番だね。準備できてるよ〜」
「うん、他の子もいないし始めちゃって」

テイオーがコースに向かう。
　
「ねートレーナーちゃん、マヤもう終わりでいい？いっぱい頑張ったでしょ〜？」

後ろから抱き着かれる。
　
「えっ」

出た出た、マヤのおねだり。やらないと言って聞かない時よりはいいけど、キュートなお願いを拒否するのは正直胸が痛む。
実際今日は結構走ったのだが、デビューまでにはもう少し力をつけさせたい。どうしたものか……。

「そうだ――」

ならば、こういうのはどうだろう。

「テイオー、1回戻ってきて」
「なにー？」

小走りでテイオーが戻ってくる。まだくっついてるマヤを離して２人並んだところで、交渉スタート。

「今から貴方たち２人で模擬レースをやってもらいます」

ちょっと大げさに指を立てて、トレーナーらしく指示を下す。
　
「勝った方には私がはちみーをおごる。これでどう？」

「「はちみー！」」と同時に飛び上がる２人。

「いいねいいね、やろーよマヤノ」
「トレーナーちゃんも走る？」
「無理だってぇ……ほら、勝ったらはちみー、位置について」
　
こんな動機付けではたして良いのかは疑問だけれど、とりあえず今日は走ってくれそうなのでokとする。
ゲートはないから、その場に並んでもらい、合図を出す。
ビュンと音を立てて私の視界から姿を消す２人。目が追い付かなかった。
距離３０００メートル。
本格化が始まっているテイオーにマヤノが太刀打ちできるかできないかの距離だと思って選んだ。
先行するテイオーに、１バ身ほど離れて追随するマヤ。すでに走りが洗練されている方と、どんな作戦でもちゃんと走れる方。あと５００メートル。やっぱりこの子たちはすごい。
そして結果は――

「はぁ……ふぅ……どうだったトレーナー？」

最終直線でマヤはテイオーを追い抜かしそうな勢いではあった、僅差ではあるけど……。

「テイオーの勝ち、だね」

やったね！と全身で喜びを表現するテイオー、そして見るからに残念そうなマヤ。

「ううぅ……トレーナーちゃんくやしいよ〜！もう一回！」

うるうる目の上目遣い、耳を下げてバンビみたいな顔で抗議されると、私は正直抵抗する手段を持たない――
　
「じゃあ……もう１周走ったらマヤにもはちみーあげるから、ね？」

「わかった！」と言い終わる前にマヤノは走り出して、気づけばかなり遠くまで走っていった。さすがに甘すぎるかな……？

「まだ子供だねぇマヤノは」
「貴方も十分子供でしょ？」
「そんなことないよーだ」
「いや、あるね」
「ないもんっ」

こんな言い合いをする自分も子供だな。そう思っても、ついこの子たちのペースに乗せられてしまうのがいつものパターンだった。

「トレーナーちゃん！走ったよっ！」
「わっ、もう！？」

タイムを計っておくべきだった。

「じゃあ〜トレーナーちゃ〜ん？」

さっきまでの悲しさが跡形もない笑顔で。

「次ははちみーの時間だよね〜」

こっちはにんまりとした顔で。
　
「もう……しょうがないねっ」
「「やったぁ！」」

もう降参、というふうに手を上げると２人が両側からぎゅーっと抱き着いてきた。
走った直後の体が熱くなっているのがわかる。まったく、なんてかわいい子たちなんだろう。

「え、え、このまま行くの？」
「だめ〜？」
「ダメっていうか、恥ずかしいんだけど……」

３人固まった状態で、はちみー屋さんの方角へ。
これじゃあ抱き着かれているというより、連行されているみたいだ……。
大人の威厳とか、そういうのが足りてるのかはわからない。
でも私の課すトレーニングにも（大体は）ついてきてくれて、確実に成長している。
こんな私の指導でもこれだけ成長するのだから、この子たちの才能は計り知れない。
やっぱり、まだ自分にはこの子らの担当が勤まる自信はないけれど……今は上手く行っているようだし、何より２人は楽しそうだ。
貴方たちの憧れるような大人ではないかもしれないけど、ついてきてくれるなら。
私は貴方たちを力の限り鍛え上げるよ。

「っていうかテイオー、まだメニュー終わってないでしょ！？」
「えーそうだっけー？」
「んもう！明日の分追加！」

マヤが末っ子でテイオーが上も下も見える次女って感じで良いっすね…

>身長149cm
これいる？

このトレーナーちょっと可愛い過ぎて危ないと思う…

>>身長149cm
>これいる？
いる

テイマヤに女トレを挟むのもアリかもしれない…
前回のテイマヤ
fu4583747.txt

この空間絶対いい匂いする

🧪間に挟まりたいねえｗ

テイマヤ久しぶりに見た

>このトレーナーちょっと可愛い過ぎて危ないと思う…
今は子供の二人だけどどこかで歯車が違う方向に行くかもしれない
そんな三人いいですよね

トレーナーだけどんどん身長置いてかれて欲しい
どっちがお姉さんなのか分からなくなって欲しい

こんなおやつみたいなトレーナー学園に放り込んで大丈夫か？

女トレはみんな無防備すぎる

>こんなおやつみたいなトレーナー学園に放り込んで大丈夫か？
今は大丈夫
これから大丈夫じゃなくなる

>こんなおやつみたいなトレーナー学園に放り込んで大丈夫か？
テイマヤが守るから大丈夫

他の高身長なイケメンウマ娘相手とかだと太刀打ちの余地もなかっただろうしテイマヤは健全な組み合わせだろう

>>こんなおやつみたいなトレーナー学園に放り込んで大丈夫か？
>テイマヤがおやつにするから大丈夫

ちっちゃい恩師いいよね

>>テイマヤがおやつにするから大丈夫
おやつで済む？主食として一生食べ尽されることにならない？

149センチだけど二次性徴はとっくに過ぎた大人のレディーなんだろうな...

いつか二人が多くの勝利を収めて立派にトゥインクルシリーズを走り切った時
トレーナーはどうやって契約完了を告げたり迎えたりするのか気になる
二人が契約を完了させてくれるかは知らない

おやつって表現わかるけどひどい
もっとおやつあげて

>おしゅ…
>🧪間に挟まりたいねえｗ
タキオンは許されてヤエノは消されてるのダメだった

>タキオンは許されてヤエノは消されてるのダメだった
タキオンは悪ふざけも含まれてるとわかるけど
ヤエノのそれは純粋な分ガチだから…

タキオン歳下には案外紳士だからな…

2人が結託するとトレーナーはどうなる？