①  モモがその噂を耳にしたのはつい最近の事であった。  近くの街で女子高生が相手もいないのに突如妊娠し、僅か数週間で見るからに成人した男の顔を持った赤ん坊を産んだという。  不審な点として、女子高生は妊娠の前に宇宙人にアブダクションされるというタワマンに出入りしたと聞いた。  そして、その少女の近くにはホログラムゴーストが見守っていたと。  モモはそれがデジモンとパートナーである確信した。  そして、件のタワマンにもデジモンの影がある。 1 ② 「モモ本当に行くの?」 「当たり前でしょ!ノ…ノノ姉の手がかりになるなら例え火の中…タワマンの中だって…!」  モモは鞄の帯を握りしめる。 2 ③ 「…でもこんなに大きいとこなんて侵入したら怒られるだけじゃすまないよ…」  何十階あるのだろうか上階は雨の中霞んでいる。  モモも流石に予想していた規模の違いに、怪異とはまた違う緊張感を覚えた。 「だ…大丈夫だって!タワマンだって鉄華のとこで勝手は分かってるし!い…行くよ!レオくん!」 3 ④  (それに引き下がれるもんか!みんなウチの事子供扱いして!)  タワマンに来る前にモモは情報が噂程度であり、心もとないと同じテーマ―である知り合いのりんねと虎子に相談をしていた。  しかし、返ってきた言葉はふたりとも同じで、 「「この件はこっちでやるから子供は危ないから関わるな」」  更に両者からガミガミとお小言を頂戴までしてしまった。 (ふたりともパートナーが究極体に進化できるからって!ウチとレオくんだって立派なテーマ―とパートナーなんだ!歳だってテーマ―に関係ないし!頭だって虎子よりいいもん!) 「行くよ!レオ君!」 「待ってよ!モモ!!」   モモは膨れた顔のままヌッヌッとタワマンへ向かった。 4 ⑤  友人の鉄華から作ってもらった電子ハッキングキー、「テリッパー」を使い電子ロックを解除する。  こんな車の電子キーみたいな簡易なもので開くのかと思ったが拍子抜けするほどすんなりと開いた。  部屋の登録情報も一時的に鉄華に抑えてもらっている。  しかし、大義はあれで社会通念上は間違いなく犯罪。  その事にモモの心臓は聞こえそう程高鳴っていた。 5 ⑥  極に達したのが受付を通りすがるところ、情報では常にフロントが在中している…筈であったが誰もいない。  これ幸いとモモはエレベーターへと向かった。  エレベーターに向かいフロントを抜ける時、暗いフロントに違和感を覚えた。 6 ⑦  エレベーターの扉が開き安堵した思った。 「あん♥んっ♥も…っとん♥」 「・・・っ!!っ!!」  モモは目の前の光景に脳が数秒フリーズした。  それは本来あるべきエレベーターの光景と全く違っていた。  男女が…着衣のまま…そのものずばり言えば性行為…セックスをしていた。 「っ…!」  緊張感が極に高まりそれから解き放たれるという瞬間、不意打ちのように殴る感覚。  自身も何度も床の上で夢想し慰めた男女の交わりが目の前に繰り広げられていた。  モモがその唐突さと緊張感の持つ高ぶりが合わさり自身のパンティーが一部湿る感覚と腹部から頭のてっぺんへ電撃が流れる感覚を覚えた。 「ご…!ごめんなさああ!!!!い!!」  モモは訳も分からず謝罪しながら階段へ向かいかけ登ってその場を後にした。 7 ⑧ 「んっ♥あっ…そこ♥」  しかし階段から上がって行こうとしたがそこでも男女がお互いに肉と肉とぶつけ合っていた。 (う…うぅなんなんだよここぉ…タワマンってエッチなところだったんだ) 「し…しつれいしまぁす…」 「んっ♥もっと♥射精して赤ちゃん頂戴♥」  男女は通りすがるモモの事など気にも止めずただ快楽を貪り合っていた。 8 ⑨ 「モモ…やっぱり変だよ。なんか頭がぼーっとするし…  それにあの人たちどこかで見た事がない?」  鞄の中に隠れていたレオルモンが怯えながらモモに語り掛けてくる。 「なに言ってるんだよレオ君。  ウチの知り合いって正直変なひとばっかだけどあんな倫理観ガン無視なスケベなひとは流石に…多分きっといないよ!」 「そうかな…そうかも」 「そうだよ!早く行こ!顔熱くってたまんないよ!」  足早に階段を上がっていくモモを先程まで一心不乱と交わっていた男女がまるでそんな事など端からなかったかのようにモモの後ろ姿を眺めていた。  モモはそれに全く気付くことができなかった。 9 ⑩ 「あっ♥」「ん♥」「っ♥」「んっはぁ♥」  酒池肉林、男も女も何も関係なくただただ快楽を貪り合っていた。  恥も外聞もなく裸体を晒し合い、そこには人間…理性を獲得した姿はなくただ動物、否それ以下の肉が溶け合う様であった。  モモはそれを掻き分け時に、身体を弄られ快楽を自分の中の理性と別の極致にあるものを煽られ掻き乱されながらもようやく肉の林を抜け噂に聞いた女子高生が攫われたという展望のラウンジへやって来た。 10 ⑪  ラウンジは先ほどまでの嬌声が文字通り木霊していた廊下とは打って変わって雨の音が打ったような静けさであった。 「ここが噂に聞いた…」 11 ⑫ 「とりあえず探してみようか」 「う…うん」  だが、ラウンジは特に物もなく周りを見渡すだけで怪しいところもなくすぐに手詰まりとなってしまった。 「おかしいなぁ…確かに噂だとここって聞いたのに」 「ねぇモモやっぱりおかしいよ…もう帰ろうよ」 「何言ってるのレオ君!女性に乱暴する不埒な輩なんてウチらが成敗しなきゃ!」 「だってその噂だって、昨日モモが朝起きてから急に言い出した事じゃないか」 「…え」  モモはレオルモンが何を言い出したのか言葉は聞こえても意味が理解できなかった。  だって、この噂は皆が…いやいつから誰に聞いたのかモモは思い出せなかった。  しかし、りんねと虎子には通じていた筈だ。  手を出すな。ふたりが言った言葉がずっと脳内で反響して繰り返される。  嫌な汗が滲み出てきた。 「ウチは…この噂…」 13 ⑬ 「それは夢の中ですよ」 「「!?」」  モモ達が振り向くといつの間に男が出入口に立っていた。  黒いスーツにネクタイ、そしてその顔は平均的でどこにでもいそうで、それでいて異質で不気味であった。 「夢を送っていたのです。  屋上にあるアンテナから電波に乗せふふ…伝播させていた。  目的の為にここへ侵入できる資格のあるあなた方テーマ―であるメスの被検体を」  男の言葉にモモの頭の霧が晴れるように思考が廻り同時に危機感を覚えた。  ありえる訳がない。密閉された空間であってもあんなところ構わず情事を交わす人間がいる筈がない。  それも大人数で何故だかあの段階では全くそれが不自然と思えなかった。  そして同時にある思考が一気に膨れ上がった。 「逃げなきゃ…」 14 ⑭ 「無理ですよ」  突然窓の明かりが一切消えたように思えた。  暗くなったのではない明かりが、風景が、外界が消え失せ大きな眼球がモモ達を見つめていた。  蛇に睨まれた蛙の様にモモは背後の視線にも拘わらず動く事できず、目の前の男の言葉に耳を傾けざるおえなかった。 「知り合いの姿であればあなたの性的興奮を自然に呼び起こす事ができると思ったのですが、あなたは思ったより理性的な雌であるようですね」  その口から放たれた自分に対した性に言及する言葉に悪寒が走った。 「モモ走って!!」 15 ⑮  レオルモンの言葉にモモは反射的に身体を動かした。  動かしてからは金縛りが解けたかのように一心に逃げるという事ができた。 「我々に協力してもらいたい。  ある事をしてもらえればそれ以外はあなたの生活は一切変化はない」 「クリティカルバイト!!」  レオルモンが男に噛み付くが男の肌には牙が全く通らなかった。 「あるデジモンを倒すため、我々側の人間のパートナーが欲しい。  あなたに我々の子供を産んで欲しいのですよ」  モモに手を伸ばす男の手をレオルモンが今度は爪で弾き、モモは男をすり抜け廊下へ出る。  ガラスが割れる音がする。  それに続いて靴音がいくつも聞こえてきた。 「はぁあ!!!???」  男と同じ顔…体型…クローンとでも言うべき物が津波の様にモモへ向かい押し寄せてきた。  これが全て自分と性交をするために向かってきているのかモモはその事実に強い生理的嫌悪感を覚えた。 16 ⑯  なんとか男の追跡を振り切りマンションの入り口に辿り着いた。  道中で先ほどまでの男女は一切いなかった。  このマンションは罠だ。自分の様なテーマ―をおびき寄せる罠だったんだ。  他のテーマ―…りんね達に知らせねばいけない。  焦るモモを片目に自動ドアは一切開こうとしなかった。 「モモどいて!!」  レオルモンが爪で切り裂こうとするがドアはビクともしなかった。 「開けて!!!誰か!!!開けて!!!」  モモが痛みも気にせず手を何度も叩きつけ外へ助けを求めたが誰も気にすら止めず通行人は何食わぬ顔で通り過ぎて行った。 17   ⑰ 「無駄ですよ。真見無目 モモ。  ここはデジタルワールドが浸食して混じり合っている云わば彼岸。  幾ら目の前にひとが見えたとしても、叫ぼうが泣こうが声は現実世界の彼らには一切届きません。  当然、スマートフォン等の機器も使えませんので悪しからず」  いつの間に背後にまで迫っていた男は淡々と告げ、ズボンのジッパーを下ろしていく。  そこからはグロテスクな機械上の男性器が触手…生きているようにそれをくねらせながら伸びてきた。  そして、男の顔が粘液を垂らしながら割れそこからぎょろりとした眼を持つデジモン、ケラモンが現れた。  モモは逃げられない状況と悟り足が一気に震え始め、そして力が抜けその場にへたりこみ涙ぐんでいた。 「な…なんだよぉ来るなよ!やめろよ!」  涙ぐみ震える声、その姿はさながら愛らしい小動物の精一杯の威嚇であった。  パンティーが拒んでいるとは言え、自身の蜜壺への入口に男のペニスが目と鼻の先に来た時であった。 「やめさなさい私、お忘れですかデジタルワールドで妊娠させてしまえば子供もデジタルに還元され我々でも簡単に解析できる2進法でしかない。  我々が欲しいのは有機的な可能性なのです」 「これは早計でした。  ではあの2体と同じ現実空間のスペースへ」 「ええ、そこで保管している2体の被検体と妊娠に適した個体を吟味するのです」 18 ⑱ 「2た…誰の事言ってるの!?まさか!?」 「ええ、真見無目 モモと友好関係を結んでいる岩家イチカ、堀 鉄華の2体です。  真見無目 モモが確保できないのであればこの2体を被検体として出産させる事となるでしょう」 「そんな…この!レオ君!!!」  飛びかかろうとするレオルモンをケラモンの後ろから無数の触手状の物が吹き飛ばす。  レオルモンは壁に激突し蹲り悶え苦しんいる。  奥の暗闇から数体の蜘蛛とピエロが混じり合ったようなデジモン、インフェルモンが顔を出してきた。 「こいつら完全…た…」  しかしモモが見つめていたのは更に奥、真円とも言える4つの暗闇に輝く瞳であった。  目の前にあり、実際に危害を加えようとするインフェルモンより危険に思えモモはそれから目を離せなかった。  心臓を掴まれる感覚、身体をばらばらに解体される様に思えた。 19 ⑲ 「っ!」  暗闇の瞳に気を取られてる内にモモの身体に触手が捲きつき服を剥ぎ取った。 「ここじゃ違うって!?」 「ですが装飾はいりません」 「デジモンの方も負傷しましたが実験には差し支えないでしょう」 「あ…うぅ…あ」  モモは動こうとしたが瞳に怯え震え動けず、口も震え何も言えなかった。  ただ、動こうとしようにも触手に拘束され何もできないのは明白であった。 20 ⑳ 「あ…う」  連行されそうなモモは倒れて蹲ってるレオルモンを何か訴えかけるように見つめた。  エレベーターに乗せられそうになった瞬間、モモは絞り出すような声を出した。 「助けて…」  誰にも聞こえないような小さな声であったが、 「モモを離せ!!!!」  レオルモンはその言葉を確かに聞き取りそして動いていた。  触手に噛み付いた。 「なんですか離しなさい」  レオルモンを振りほどこうと触手を振り回した事によりモモの拘束が弱まりそこから逃げ出した。 「レオくん!」  モモはレオルモンを抱えそのまま逃げそうとした。  触手が再びモモ達を捉えようと鞭のように振るい一部が壁を破壊した。 21 ㉑  モモはケラモン達ではなく瞳から逃れるためにその穴に飛び込んだ。  そこの光景で自分が現実世界と切り離された彼岸にいると理解できた。  まるで乱雑にゴミ箱に捨てられたかのようにビルが倒れ重なり合っていた。  モモを追いケラモン達が穴に群がってきた。 22 ㉒  相当の高所ではあったが追ってきたケラモン達がクッションとなりモモ達に外傷はなかった。 「パーカーは無事だ…これだけでも、きゃ!?」  モモがパーカーを拾い上げる時、ケラモンの群れから音がした。  瀕死のケラモンがモモを掴もうと手を伸ばしていた。  数秒もせずケラモンはそのまま息絶え霧散していった。  モモは恐怖した、自分の生命よりも目的を優先する。  しかもそれが尊厳だとかプライドとか人間的なものではなくより機械的な効率としての冷たいものであった。 23 ㉓  モモは恐怖からその場から離れようとした時、何かにぶつかった。  泡立ちビンの中に何かがあった。  それはレオルモンと人間の女性が溶液に漬けられていた。 「生きてる…?」  レオルモンと女性からは口から泡が出ている、呼吸している。  しかし、瞳には生気が見当たらない魂のない物そのものであるように思えた。  身体は実験か器具がそのままであったり切り刻まれた跡が見受けられた。  モモはそこから一目散に逃げだし建物が重なっている部分に恐怖で蹲り身を隠した。 24   ㉔  大粒の涙を流し、恐怖を紛らわそうと頭を掻きむしった。 (あいつらだ…実験したんだ…生身の人間の前にデータで再現した人間とデジモンを…ウチもあんな風にされるの?嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ鉄華達も…?嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)  ただ、自分ではどうする事もできないと恐怖から身体が全く言う事を利かなかった。  ただ、無意味に恐怖を言語化し脳で反芻擦る事しかできなかった。 25 ㉕ 「…モ、モモ!」  レオルモンの言葉にモモは我に帰った。 「モモ、このままじゃイチカ達が…行かなきゃ…!」 「あ…ぅ…でも…ううウチ…」  鉄華とイチカの顔が浮かび上がったが、同時に先程の瞳と先程の溶液に漬けられた女性とデジモンを思い出した。 「あああああああ!!!!!!!!」  声が漏れモモはまた頭を掻きむしる。 「モモ!」 「あぅ…あ…でも…レオく…ウチ…ウチ」 「このままじゃ、鉄華とイチカが危ない!  ボクはモモの大事な友達を傷つけさせたくない!  それに先みたいな事をする奴らがもしパートナーを得て現実世界に来たら何しでかすか分かったもんじゃないよ!」 「でも…でも…ウチ…怖い…!怖いよレオ君…レオ君だって成熟期だって…あんなの勝てないよ…」 「僕は…」  レオルモンはモモの指摘に一度顔を伏せた。  しかし、すぐに顔をあげ弱気ないつもの顔から一転し真っ直ぐにモモの瞳を見た。 「ボクが…ボクが必ずモモを守る!だからモモも僕を信じて!僕が必ずモモも…ふたりを助けて見せる!」 「…」  モモは目を下にする。 「ふたりの場所はウチらには分からないだから…方法は…分かってる…でも…でも」 26 ㉖  その瞬間モモは視線に気付いた。  自分の後ろからインフェルモンが覗き込んでいた。  インフェルモンの口が開き口の中の砲身が露出しレオルモンに向けていた。 27 ㉗  遠方からの爆発音にケラモン達が気付いた。  粉塵を巻き上げ、それがインフェルモンがモモ達を見つけたのだすぐに気付き、大挙した。 28 ㉘  ケラモンが爆発の現場に来るとそこには瀕死のレオルモンを抱え荒い息遣いのモモがいた。  奥ではインフェルモンが今まさに霧散しようとしていた。 「驚きました。まさか完全体を仕留めるとは、実験の被検体としたいところですがそのデジモンは瀕死…用をなしませんね」 「はぁはぁ…やめっ!」  モモの言葉を遮りケラモンがモモを捕え連れ去ってしまう。 29 ㉙ 「う…ん…っ!?」  モモが気付いた時はどこか暗い部屋に仰向けに寝るように拘束されていた。  両腕には球体状のものが嵌められ身動きが取れない。  目の前にはケラモンが先ほどの様にグロテスクなペニス状の触手を剥き出しにしていた。 「あ!…あぁ!ああ!」 30 ㉚ 「おやめなさい!この未成年淫行を狙う社会歩適合者デジモン!」 「ボクの友達に何すんだよ!ていうかポリアグモンどこだよ!」 「イチカ…!鉄華…!」  そこには同じように両手を拘束され吊られていつイチカと鉄華の姿があった。 「ごめぇ…ふらりともウチのせいで…」 「気にすんなですわ!そもそもこの法治国家においてどんな理由でもこんな蛮行は認められていませんわー!」 「そうだぞ!変態!ロリコン!眉毛繋がってる!ばあか!ばあか!」 「被検体が覚醒しましたしでは交配を開始しましょう」 「無視すんなですわー!!!」 31 ㉛  ケラモンの言葉とともに、モモの脚にも球体がつき足を上げていく。  そこに小さな棒状の機器が左右から伸びモモのピタリと張り付いている小陰唇をゆっくりと開けられた。  更に危機から枝分かれるするようにライトが生えモモの女性器全体を照らし出した。 「やあ…はずか…」 「処女膜も確認できますね、血液検査でも性病等の可能性は極めて低いと考えられる。  交配には適した個体ですね」 「鉄華…イチカ…見ないで」 32 ㉜  検査を終わらせたケラモンはモモの脚の拘束を解きイチカ達と同じように吊る。 「らに…するんらよ!!!」  モモの目を塞ぐように機器が取り付けられ視界がなくなる。  何をされるのか。自分の心臓の音だけが感じ取れた。 「ひゃ!?な…なに!?」  モモの身体に何か指の様なものが軽く触れるか触れないかの程度で感覚を刺激してきた。 「モモさん落ち着いてくださいまし!ただ細い触手が身体に触れているだけですわ!」 「ひ…あっ…♥」  触るか触らないかの緊張感からモモの感覚は鋭さを増していき性感を付いて来る触手の触り方にモモから嬌声が漏れ出した。 「なにをしてんだよ!やっぱり嬲って楽しんでる変態じゃないか!!!」 「否定します。雌のオーガズムの達成はより妊娠に適したものとなります。  故にこういった手間を掛けるのですよ」 「はぁ!!???ばあか!!!ばあか!!!」 33 ㉝ 「心拍数の上昇を確認できました。  次に移りましょう」   モモの目隠しは外された。  今度は液状の入った触手がモモの乳房に伸ばされた。  乳首を捻り刺激を与えられた、モモは柔らかな痛みと一緒に刺激で快楽が身体に走った。 「痛みによる刺激が快楽になる個体ですか、膣液が先程より多く分泌されているようですね」  更にそこから触手が乳房を包み乳頭を液体で満たした。 「エストロゲンです。  疑似的ではありますが、媚薬効果の補助となるでしょう」 34 ㉞  更に別の触手が伸びくる。 「うぐっ!?…んぐ!?」  触手が口の中に挿入され食道、胃に通じされにそこから液体を注入される。 「んぐ!?んん!!??」 「また、膣液の量が増えましたね。  ただ、母体を痛めすぎる訳にはいかない。  そろそろ、快楽の方で責め立てますか」 35 ㉟  モモはうつ伏せになるようにして尻を上げる体勢にされる。 「ひゃぁああ!!!???」  何か粘液状のものがモモのアナルに挿入される。  振動し腸内を振動させる。 「腸側から小前庭腺を刺激させています」 「ん♥はぁああああ♥」 「モモ!!」 「オーガズムに達しましたか。  しかしこのバイブレーターは有機性ですのでなくなるまではピストン運動を含めてもう暫く使わせていただきましょう」 「ひっ」 36 ㊱  そうして、へたり込むモモを後目に触手は再びモモのアヌスで触手をピストン運動と振動により犯しはじめた。  同時にその行為を天井から覗きそして動く影があった。 37 ㊲ 「そろそろいいでしょう交配を開始します」  そういうとぐったりとしているモモを仰向けにし、股を開かせる。 「いあや!いや!いや!いや!!!!」  抵抗しようとするモモとは裏腹にモモの蜜壺は蜜を溢れ出しヒクヒクと痙攣していた。  モモの生物学的女性の部分が雄を受け入れる準備が完全に整っている事の証明であった。  ケラモンから伸ばされた触が手モモの小陰唇を捲り当てがわられる。 「レオ君…」 38 ㊳ 「うおらああああああああですわ!!!」  モモへ触手が挿入されそうになった瞬間、ケラモンが大きく吹き飛んだ。  「な…なぜ!?」  ケラモンを吹き飛ばしのはイチカであった。  自家製のノックアウト1号から伸びたアームがケラモンを吹き飛ばしたのだ。 「なぜ拘束が外れているのですか!?」 39 ㊴  「にしし、モモのとこのレオくんが拘束を解いてくれたんだよ」 「モモ!!怖かったよ!!ぉ!」 「真見無目 モモのレオルモンは消滅が確認されたはず」  拘束を外されたレオルモンがモモに抱きつく。 「遅いよレオ君!怖かったんだよ!  あのレオルモンはお前達が実験体にしたレオルモンだ  ウチが捕まって鉄華達のとこを突き止めるために…協力してもらった」 「わざわざ捕獲されというのですか…  しかし、再び捕獲すれば問題ないですね」 「そうもいかないんだな~、もうプリアグモンでここのシステムは掌握しちゃったもんね。  外部と連絡も取れるし…ほらきた」 「!?」  部屋全体が衝撃音と共に大きく揺れる、それが何度も繰り返される。 「こわ~いお姉さん達のお迎えが来てるよ」 40 ㊵ 「直ぐに、この空間をデジタルワールドへ切り替え…ぐえ!!」  行動しようとするケラモン達を砲撃により吹き飛ばされた。 「危ないですわね!こっちの位置分かってるのですの!?」  空間の風穴から顔を出したのはアマテラスモンであった。 41 ㊶ 「てめえら、ウチのシマのガキ共攫って何してんだ」 「げっ恭介さん…と虎子」 「おい!モモ!!!てめえ関わんなつったのに何やってんだ!この馬鹿!!!」 「虎子、説教は後だ。今は目の前の不埒者を倒す事の方が先だ」 「随分とお怒り方がやってきてしまったようですね…」 「あぁ!?んだ澄ました顔して気に食わねえ野郎だな!?  それに私達がキレてるだぁ!?私達のキレなんてあいつに比べりゃ鼻くそみてえなもんだ!ばぁあか!!!!」 42 ㊷ 「何を…がっ!!??」  ケラモンが質問が投げかける前に頭上から降ってきた刀に潰された。  そこにいたのはサムライレガスモンとりんねであった。  りんねの表情は怒りに満ちていた。 「将軍!!」 「委細承知」  りんねの一声にサムライレガレクスモンが刀でケラモン、インフェルモン達を薙ぎ払っていく。 43 ㊸ 「ここまでされるとは予想外でしたが、なんとか空間は閉じました。  今ここは完全にデジタルワールド、我々の領域です」   アマテラスモンが開けた穴が閉じ再び周囲が暗く閉ざされた。  更にケラモン達がお互いに共食いを始め交わり別のデジモンへと進化した。 「こいつ…」  それはモモがはじめに見た4つの眼光…ディアボロモンとアーマゲモンであった。  更に後方を見るとその2体が何万体と埋め尽くす数がいた。 「モモ…」 「レオくん…ウチ先は怖かった…怖くて…でも今違うよ。  ウチレオ君や鉄華達を信じてる…こいつらをこのままに出来ない。  力を貸して」 「うん…!」  レオルモンは力強く応えた。 「馬鹿言うな成熟期どまりが何とかできる訳ねえだろ馬鹿か」 「んな!?虎子…キミってほんと空気読めないんですね!!そんなんだから恭介さんの足引っ張るんですよ!」 「あぁ!?んなわけねえだろ!むしろあいつが引っ張ってんだよ!!  たくっあんなバケモン、究極体のジョグレス体だって手が出ねえんだ。  究極体3対と成熟期とアーマー体でどうにかなるか馬鹿!」 「じゃあ…」 「だから、ゲスト連れて来たのよ」 「りんねぇ…ゲストって?」 「あいつらが勝ちたがってて最も恐れてる奴よ  ま、ちょっと違うんだけどね」 44 ㊹  瞬間、後方にいたディアボロモン達の群れが一斉に吹きとんだ。 「!?貴方は!?」  そこには一体のデジモンが佇んでいた。 45 ㊺ 「オメガモン!!!!!!!!!!!ここまで追って来ましたか!!!!」  羽織を脱ぎ捨て構えてのはオメガモンであった。  周囲のディアボロモン達も一斉に飛びかかるが、左手の刀により一斉に薙ぎ払われる。 46 ㊻  流麗な動きで右手の弓を構える。  一瞬の間を置いて閃光が幾つも走り、ディアボロモン達を消し去っていく。 47 ㊼ 「これは望ましくない状況ですね。  オメガモンを前に引くのは気に障りますが、戦略的撤退としましょう」  一体のディアボロモンが逃走しようとモモ達の方向へ向かって行く。 「っ!?」 「心配しなくても大丈夫。決着は今回中心にいた彼女ら3人が着けるさ」 48 ㊽ 「モモ、イチカ、鉄華!散々っぱらやられたんだ!てめえらできっちり借りを返してやれ!」 「どきなさい!!!!」  ディアボロモンが逃げようとする前にモモ達が立ちはだかる。 49 ㊾ 「今回は…私にやらせてもらおう」 「あら、シュリモン珍しく出しゃばりますわね」 「やられっぱなしは性に合わんのでな」 「にしし、やられた分きっちりやり返してやるよポリアグモン!」 「うん!」 「レオくん」 「大丈夫…モモは必ずボクが守るよ…!」 「うん!」 50 ㊿ 「まずはボク達からだ!!  ポリアグモンワープ進化!!!」 「サイバーウォーグレイモン!!!」  サイバーウォーグレイモンはディアボロモンの爪を躱し懐へ潜り込んだ。 「テンペスト!!!ショット!!!」  サイバーウォーグレイモンから放たれた光弾がディアボロモンの胸部の発射口を破壊した。更に、 「今のでこいつにハッキングできた!こいつらは幼年期のクラモンの集合体だ!ウィルスで攻撃を加えれば剥がれていって弱体化するはずだ!」 「が˝あ˝あ˝あ˝あ˝あ˝」  ディアボロモンの咆哮と共に無数のクラモンが剥がれ落ち退化しインフェルモンに戻った。  しかし、隙を突きインフェルモンはサイバーウォーグレイモンを避け前へ歩を進めた。 51 51 「次は私達ですわ!シュリモン!!」 「草薙!!!」  シュリモンが背中の巨大な手裏剣をインフェルモンの口の中の銃口からの射撃で弾き飛ばす。  しかし、銃口はディアボロモンの胸部の発射口に当たるのか銃口はそのまま破裂してしまった。 「今ですわ!ロケットパンチですわ!!!!!」  ノックアウト1号の拳が飛びインフェルモンの顔に直撃する。  フラつくインフェルモンへシュリモンが詰め寄る。 「紅葉!!おろし!!」  シュリモンの両手の手裏剣が高速回転しインフェルモンを切り裂く。 「まだ…です!!」  それでもインフェルモンは態勢を立て直し歩を進めた。 52 52 「ふぅ…」  レオルモンが静かに息を吐き、視線を突進してくるインフェルモンに向ける。 「行ってくるよ、モモ」 「うん、信じてる…」 「うん!」 「レオルモン!しんかああ!!!!」 「どきなさい!!!あなたのような弱い個体が進化したところで完全体の私に!!!」 「レオモン!!!」 「いける…いけるよ!!レオモン!!!」 「ああ!獣!!王!!!拳!!!!!」  突進してくるインフェルモンにカウンターの獣王拳をレオモンがぶつける。  しかし、インフェルモンの攻撃にレオモンの拳が割れ血が噴き出す。 「うぐっ!?」 「っ!…けるな…負けるな!レオモン!!!!」 「っ!!!モモォォおおおお!!!!!!!!!」  押し倒されかけるレオモンはモモの声に再び足に力を入れ体勢を立て直しインフェルモンの身体に拳を打ち込んだ。  インフェルモンの身体にヒビが入り、より拳は内臓へ食い込みそして吹き飛ばし後方のビルへめり込ませた。 53 53 「馬鹿な…何故…スペックではこちらが…」  レオモンがインフェルモンの前へやって来る。 「モモが…名前を呼んでくれた…信じてくれた。  だからボクは…ボク達は勝つことができた…!」 「そんな…非合理的な理屈…」 「それがキミ達が欲しがったものだよ」  なにかに気付いたように一瞬インフェルモンは動きを止めそして納得したかのように瞳を閉じ崩れ落ちていった。 「そうです…か」 「…」 54 54 「モ˝モ˝や˝っ˝た˝よ˝~˝ご˝わ˝か˝っ˝た˝よ˝ぉ˝~˝」  レオモンはレオルモンに退化しモモへ抱きついた。 「うん…見てた恰好良かったよ」 「よくやったなモモ、レオルモン。やるじゃねえか」  モモが振り返るとそこには虎子と恭介がいた。  他のディアボロモン達も気付けばいなくなっていた。 「だが…」 「うわ!?何するんですか!?」  虎子はモモのパーカーごとぐいっと引っ張り上げた。 「まだ、話半分だ。ケジメつけねえといけない相手がまだいんだろ」  虎子が後ろを指さすところにはりんねがいた。 55 55 「えっと…りん姉」  モモがおずおずとりんねの前に出る。 「ごめんなさい…」 「ごめんなさいって何が…?」 「えっと…その…危ない事して」 56 56  りんねが腕を上げ、それにモモはびくりとし瞼を閉じた。  しかし、次のあった感覚はモモの予想に反して痛みではなく優しく包まれる感覚だった。 「ほんとよ…心配したんだからこの馬鹿…」  モモの目に入ったのは大粒の涙を流すりんねだった。 57 57 「んなさい…ごべんなさい…ご˝べ˝ん˝な˝さ˝い˝ご˝べ˝ん˝な˝さ˝い˝あ˝ぶ˝な˝い˝こ˝と˝し˝て˝ご˝べ˝ん˝な˝さ˝い˝」  顔じゅうから大粒の涙を流しモモは謝った。 「…ふん、モモもりんねも子供みたい」  鉄華がジトッとした眼で文句を吐いた。 「はっ拗ねてんじゃねえよおめえらも行って来い!」 「わっ!?」「私もですの!?」  虎子に押され鉄華とイチカもりんね達のところに放り込まれる。  最初はぐちぐちと言っていた鉄華も次第に素直になり、りんねに抱きついた。 「いいもんだな」 「ああ…妹を取られて少し寂しいかお姉ちゃん?」 「はっ馬鹿言ってんじゃねえよ」  そう言うと虎子は恭介に肩を寄せた。 58 58 「なぁサイゼ行こうぜ腹減った~」 「あんたそれさっきのデジモン見て思いついたでしょう」 「虎子たんじゅ~ん」 「しかし、デジモンの影響を脱したあのマンション…とんでもないボロボロの廃マンションだったな」 「いいですけど、一度帰ってしっかり服着たいですわ…」  モモは視線を感じ振り返った。  ごった返した人混みの中でどこにでもいそうな平均的な顔の男と目が合った気がした。 59