イバラ [メイン]
眼前で掌を合わせる。この美しい少年は、よくこうした仕草をとる。
「もう一つの選択は……材料を探す、ことでしょうか」
「アレの由来……FHの、なにかではあるのでしょうが」
口にしつつ、少し手がこわばる。それを自覚し、ほぐすように自分に言い聞かせつつ……
「あれだけ大仰なモノを埋めておいたなら、どういう手筋を使ったにせよ過去にその痕跡が残っているはずです。そこから遡って、誰によるモノかを探す」
「鍵の形が分からないなら、掛けた本人から聞き出せばいい。……これはこれで、雲をつかむような話ですね」
ほう、と息を吐く。いずれにせよ、前途多難なのは目に見えている。
もしかしたら、この食わせ物の支部長なら何か腹案があるかもしれないが。凡夫と卑下する自分にはこの程度しか思いつかない。