いつかの戦場、力及ばず地面に倒れ伏して一人の少女を見上げる。 「アウラム…」 「イヴ…待って!それは!」 自身の胸に剣を添えながらこちらを向いて笑った後、彼女は剣を。 「イヴ!!」 彼女の名前を叫んだ瞬間に、自室の布団で目を覚ました。 (夢か…。) 悪夢、かつての過去の夢を見た、自身の未熟で何もできなかった過去の出来事を。 「アウラム。」 無力だった記憶がフラッシュバックしている時に隣から心配そうな声をかけられる。 「ごめん起こしちゃった?」 夢の出来事の後に色々あった間に恋仲になった彼女、隣で眠っていたはずだったが起こしてしまったようだ。 「随分うなされていたので。」 そういって彼女が水の入ったコップを差しだしてきた。 「凄い汗ですよ。」 「…ありがとう。」 言われてみると確かに全身がじっとりと寝る前とは違う嫌な汗をかいていた、タオルで拭きながら水で喉を潤す。 「また過去を?」 「あぁ…。」 彼女、いやパラディオンのみんなにも伝えてある過去、自分が未熟だったから起きてしまった結果を…。 「大丈夫です、あなたは1人ではないのですから、私たちがいます。」 優しくい言葉と共に彼女に抱き締められる。 彼女のぬくもりに包まれる感覚に、さっきまで感じていた恐怖心と後悔が収まっていくのがわかる。 「………ありがとう。」 かつての無力感による敗北による傷を誰かに癒してもらうことに少し罪悪感も受けながら彼女に身をゆだねた。 「……アウラム?」 「待ってほしい。」 しばらく彼女に抱き締められているとさっきまで優しかった彼女の声色が何段階か下がった。 理由はわかる、彼女の香りと……柔らかさに包まれたら男はそうなる、これは…そう不可抗力だ。 「アウラム?あなたはこの状況で」 まずい、この空気はあまりよくない、間違いなく説教で朝までコースだ、…仕方ないこういう時はいっその事別の流れに乗せてしまうべきだ。 「んッ!」 抱き締めている腕をつかんで彼女をベッドの上に押し倒した。 「ッ…」 物語に出てくるような端正な顔に女性らしい彼女の裸体、それが自分の手のすぐ近くに…誤魔化すための冗談のつもりの行動だったのに数刻前に満足したはずの欲望が湧いてくる。 「あぁ…あの純粋だったアウラムが…。」 押し倒された彼女は悲壮感のある台詞を言っている、が表情と形だけの抵抗を考えると抵抗をする気はないようだ。 そのまま彼女の身体に覆いかぶさった。 因みに2人はその日遅刻した。