「…………」 「……えっと、颯乃ちゃん?」 スプシ図書館からほど近い場所に構えたテントの中。そこで霜桐雪奈は神田颯乃の腕に包まれていた。 今日は色々なことがあった。南雲楽音を救出するためのインデックス614に始まり、図書館を襲撃するイータモンやゴグマモンへの対処、巻き込まれたスプシモンの救助など、1日中走り回って流石に体力の限界だった。図書館では防衛の労いとしてハロウィンパーティが催されているらしいが、二人は一足先に体を休めるためにテントを設置していた。 魔術衣装を解除することも忘れ、疲れた身体を休めるために並んで腰かける。そこで颯乃は刀の作成のために別行動を取っている間に、いつの間にか雪奈が魔術を覚えたことを尋ねた。 雪奈は自分が抱えていた悩みを打ち明けた。守られるだけで何もできない自分が嫌だったこと。どんどん強くなるみんなが羨ましかったこと。どうすればいいか色々な人に相談したこと。その中で魔術を使う才能を見出し、こうして戦う力を得られたこと。 それを聞いた颯乃は雪奈の身体を抱き寄せ、しばらく二人の間に沈黙が流れた。 やがて颯乃がぽつりと口を開く。 「……すまない。私たちの行動が知らないうちに雪奈を傷つけていたなんて……」 「謝らないでよ。わたしが勝手に悩んでいただけだし。それにこうして颯乃ちゃんたちと一緒に並んで戦えるようになったんだから」 「いや、雪奈が抱える悩みにずっと気づけなかった。私もまだ未熟だな……気づけていたなら剣なんて捨てて……」 颯乃の言葉を遮るように雪奈はその身体を強く抱きしめ返した。 不意を打たれた颯乃が息を飲む。その身体は小さく震えていた。 「雪奈……?」 「……そんなこと言わないで。わたし、颯乃ちゃんに剣を捨ててほしくない。わたしのせいで颯乃ちゃんがやりたいことを奪いたくない……そんなことになったらわたし……」 雪奈の声に嗚咽が混じる。魔術を覚えなかったら。誰にも相談しなかったら。颯乃に悩みを打ち明けていたら。そんなあったかもしれない最悪な未来を想像し、胸が苦しくなった。 颯乃はそんな雪奈の涙にぬれた目をしっかりと見据えた。 両頬に包まれた手の温もりが暖かく感じる。 「颯乃ちゃん……?」 「そんな顔をするな。雪奈が共に戦えるようになって嬉しい。私も剣を捨てなくていい。それでいいじゃないか。これからも頼りにしている」 「……うん。ありがとう颯乃ちゃん。これからは私が颯乃ちゃんを守るから、颯乃ちゃんもわたしを守ってね」 目元を拭い、見つめ返す。しっかりと愛する人の顔を目に焼き付ける。 胸の苦しいものが取れていく。代わりに心地のいい感情で満たされていった。 二人はどちらともなく顔を近づけ、やがて唇を重ね合わせた。 「ん……」 「ちゅ……」 始めは壊れ物に触れるように、ゆっくりと柔らかい感触を楽しむ。それはやがて啄むように互いの唇を吸い、そして舌を絡めるようになった。 舌の味蕾全体に唾液を塗布するように、相手の舌の裏まで楽しむように絡め合わせる。 「はぅ……れろ……颯乃ちゃん……んん……」 「ふっ……くちゅ……雪奈……ちゅ……」 やがて颯乃の手が雪奈の胸元に伸びる。普段着より開かれたその服の襟に指をかけ、勢いよくずり下げた。纏っていた布地から解放された乳房が弾む。その揺れが颯乃の興奮を更に昂らせた。 冷えた外気が胸を刺激し、小さく声が漏れる。 「……ぁっ……颯乃ちゃんのえっち……」 「雪奈がこんな格好をしているのが悪い」 「じゃあデザインした女神様のせいだね。興奮した?」 「……した」 「よかった。女神様に感謝だね」 雪奈が蠱惑的に微笑んだのを合図に、二人の口づけが再開した。 唾液が混ざるクチュクチュとした水音がテント内に広がる。 互いの舌を絡めつつ、手がそれぞれの胸を揉みしだく。いつの間にか颯乃の服がまくり上げられ、同じく同年代の平均よりもはるかに見事なそれを晒していた。 徐々に固くなっていく乳頭を弄ぶ。爪先で引っ掻く度にどちらともなく嬌声が上がる。 「んっ、ちく、び、コリコリしちゃ……んぁ、んっ、はぁ……れろ、はんっ、んぅ……」 「ふふっ、雪奈のここ、すごく硬くなってるぞ……んちゅ、ちゅる……ずず……じゅる……」 「んにゅ……颯乃ちゃんだって、ここがこんなに立って、っっん……!ふぅ、ふぅ、んんっ……!」 やがて二人の手が互いの全身に伸びていく。腹からへそ、腰、尻、太腿。余すことなく愛撫する。 自然と互いの身体が抱き寄せられていく。手から伝わる滑らかな肌の感触と、密着した身体から伝わる体温と鼓動が二人の熱をさらに高めた。 そして高鳴りが二人の許容量を超えた時、溢れ出す蜜が股から勢いよく噴射した。 「あぅ、颯乃ちゃん……颯乃ちゃん。颯乃ちゃん!はぅ、ふっ、んっ、んっ、んんっ〜!!」 「雪奈……くぅ……んんっ、はうっ、ふっ、んっ、んふっっ〜!!」 達した二人は数秒ぐったりと力を抜くと、長い間絡められていた舌を離す。唾液で彩られた橋が名残惜しそうに途切れた。 「ふぅ、ふぅ、ふぅ……えへへ。颯乃ちゃんから求めてくれて嬉しい……」 「はぁ、はぁ、ふぅ……ああ、たまにはな……」 「そんなにわたしの魔術衣装よかった?」 「ああ。すごく似合ってる。藍色の外套も、雪のような白い髪も。その、少し肌を見せ過ぎだと思うがな……」 「ホント?わたしもこのスカートのラインとか好きなんだ」 「……なあ、私にもう一度魔術を見せてくれないか?」 「え?今?」 「ああ。今日はごたごたしてちゃんと見れなかったからな。雪奈が魔術を使うところをしっかりと見てみたい」 颯乃の突然の申し出に目を丸くする。何もこんな時じゃなくてもとも思ったが、まだ火照った身体が満たされていないのと、何より恋人が自分に期待していることに応えたい。そう考えた雪奈は杖を手に取ると、意識を己の内にある魔術の根源へと向けた。 (ええっと、こんなときに役立ちそうなのは……あれでいいかな?) 魔術のコードを構築し、実行するために目を閉じて精神を集中させる。 しかし、研ぎ澄まされた神経が先ほどまでのまぐわいを思い起こさせた。 頭に浮かんでくるのは今目の前にいる颯乃の姿だった。凛々しい瞳、長いまつ毛、濡烏色の艷やかな髪、整った鼻筋、瑞々しい唇、程よく主張する鎖骨、しなやかな手、張りのある胸、引き締まったお腹、重量感のあるお尻、撫で心地のいい腿、可憐な足。これをさっきまで自分の好きにできていた事実が、雪奈の感情を昂らせた。 (うわわ、集中しないと……先生に怒られちゃう) 頭を振って魔術へと意識を向ける。何とか発動までこぎつけると、やがて二人の身体に何かが広がる感覚がした。 「ど、どうかな?」 「うん、何となく色々なものがよく感じ取れるようになった気がする」 「よかったぁ……感覚強化の魔術をかけてみたんだ。見たいものがよく見えるようになったり、聞きたい音がよく聞こえるようになったり。だから触った感触とかも、いつもより感じやすくなったと思う」 「そうなのか。じゃあ試してみよう」 颯乃が指先で雪奈の太腿をなぞる。いつも以上にビリリとした感触が背筋をかけ、それだけで体温が上がっていくのを感じた。 「んひぁっ!颯乃ちゃんっ!」 「ああ、すまない。本当によく感じているようだな」 「もう。どうせ触るなら……こっち……」 雪奈は下着を下ろし、足を開いて己の奥底を見せる。すっかり濡れそぼったそれは、愛する人を待ち望んで今か今かとひくひく痙攣していた。 「ああ、そうだな……」 颯乃も下着を脱ぎ捨て、股の間に身体を滑り込ませる。同じくすっかり準備ができている秘所を口づけさせ―― 「ひぅっ!!?」 「んぐっ!!?」 普段とは違う感覚に背筋がのけ反った。まだお互いの膣を合わせただけだというのに、膣内に何かがつぷりと挿入った感覚がする。指よりも硬く太いものが膣壁をかき分け、己の深いところに振れたような気がした。 それだけではない。普段存在しない自分の一部が、相手の膣内に包まれている感じがした。 結合部を見る。そこには普段と同じく触れ合った二人の性器があるのみで、何ら異常は見られない。口は愛液を染み出させつつも、何かを受け入れたように開いた様子も、普段存在しない何かがある様子もなかった。 「は、颯乃ちゃん……これ、大丈夫かな……?」 「あ、ああ……とにかく動くぞ……」 恐る恐る颯乃が腰を前後させ、互いの膣を押し付け合う。すると膣内に入り込んでいた感触が腰の動きに合わせて中を擦り、今までにない快楽が全身を駆け巡った。 「んんっ!!ああっ!!なにこれ!?なにこれぇ!?わたしの奥、颯乃ちゃんがコンコンしてくる!それに颯乃ちゃんの膣内、ぞりそりして、すっごい締め付けてきて、なにこれ!?すっごくキモチいいよぉ!!」 「はあ、はあ、雪奈が、んっ!膣内で動いているのを感じる!あっ!私の膣内でぬるぬるして、固いものが絡んできて、あぁん!」 未知の快楽に二人は己を忘れて腰をぶつけ合う。その度に肉が波打ち、体温が上がり、呼吸が乱れた。その光景がますます興奮の坩堝へと二人を陥れる。 肌を叩くような音と水がかき混ぜられるような音がテント中に響き渡るが、それも二人の嬌声にかき消されていった。 「あっ!あっ!あっ!颯乃ちゃん、ちょっと、ん!激しすぎ!んあ!んっ!キモチよすぎて、あんっ!あたまおかしくなりそう!あん!あっ!」 「すまない、あんっ!あんまりキモチよくて、んっ!腰が、んんっ!止まらない!雪奈の膣内、ふわふわで、とろとろで、んやぁ!」 「はっ!はっ!あん!わ、わかった!颯乃ちゃんの、好きに動いて!あっ!あっ!わたし、全部受け止めるから!あっ!あっ!やんっ!」 入っていると感じるものの引っかかりが雪奈の弱点を刺激する。それが気持ちいいという感覚に変換され、雪奈の全身を血液のように駆け巡った。 同時に膣壁が前後する固いものを逃すまいと絡め取り、それが颯乃の脳にまで快楽を供給する。颯乃は更にその快楽を得ようと、一心不乱に腰を前後させた。 「あっ!あっ!あんっ!んんっ!ふぁぁ!すごい、あっ!あっ!颯乃ちゃんが、んぁ!わたしの弱いところ、んくっ!いっぱい突いてきて、んん!んぁ!あっ!あっ!」 「ああ!んぁ!雪奈も、私の、んぉ!奥の奥まで、固いのが、んんっ!はぁ、雪奈が、包むように、んぁ!絡みついてきて、んんっ!キモチよすぎて!あんっ!」 やがて互いの膣内にあると思われる固いものが一層膨らむ。それはまるで口を窄め、勢いよく水を出す寸前のホースのようにも思えた。 「あっ!あっ!おっ!んっ!んっ!は、颯乃のちゃん、わたし、もう、あっ!なんか上がってきて!あっ!我慢、できないよぉ!」 「はぁ!はぁ!はぁ!私もだ!膣内、ぐちゃぐちゃにかき回されて!もう、あっ!耐えられない!」 「じゃあ!あっ!一緒にイこ!わたしの膣内に、んぁ!颯乃ちゃんを、んん!全部出してぇ!」 「ああ!んっ!私の膣内、あっ!雪奈で、あっ!全部満たしてくれ!」 スパートをかけるように腰の動きが更に加速する。寄せては返す波のようだった快楽が濁流の如く押し寄せ、二人の理性を押し流した。 やがてギリギリまで押さえつけられていたものが決壊するダムの如く溢れ出し、二人の体内に叩きつけられた。 「イクよ!颯乃ちゃん!イク!イク!イグッ!んっ!んっ!あああああああああああぁあ!」 「雪奈!くっ!んっ!あっ!イッ!んっ!んんんんんんんんんんんん!!」 ありったけのものを吐き出し、ぐったりと横たわる二人。呼吸は乱れ、視界は翳みがかっていたが、心地いい疲労感が支配していた。 視線を落としてもやはり身体に異常は見られない。自分を貫くあの感触も、相手に包まれるあの感覚も、体内に放たれた何かも、まるで錯覚だったように痕跡すら残っていなかった。 「ふわぁ……はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」 「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ……」 汗だくになり、呼吸が乱れた互いの顔を見る。 あの感覚が錯覚だったとしても、先ほどまでの時間は確かに本物だったことは理解できた。 「はぁ、はぁ……これ、毎回はちょっとダメだね……クセになっちゃいそう……」 「はぁ、はぁ……同感だな……雪奈?」 「すぅ……すぅ……」 気づけばいつの間にか雪奈が寝息を立てていた。 今日一日の連戦、魔術の連続使用、そして先ほどまでの愛しい時間。それらに遂に体力の限界を迎えたのだ。 (無理もないか。今日一日頑張ったからな……) 颯乃は雪奈の身体を抱き寄せる。子供を寝かしつける母親のように頭を胸に抱え、背中を優しく、愛おしそうに叩いた。 「お疲れ様、雪奈」 「……えへへ、はやのちゃん、だいすきぃ……すぅ……すぅ……」 ―――――――――――――― 「ただいまー!ハヤノー!セツナー!いやー眼福眼福!ハロウィンバニーは最高だったぜ!特にマミーモンの仮装してる子がいてよぉ!」 「おみやげもかくほしてあるぞ。みんなでたべよう」 「お帰り、ゴブリモン、ヒヤリモン。雪奈は今寝ているんだ。少し静かにな」 「うへへぇ……はやのちゃぁん……ぐぅ……」 「おっとすまねぇ。いい夢見てそうだなぁ……あのさハヤノ、ヤルことヤルのはいいんだけどさ、せめて終わったら片付けてくれねぇか?敷物びしゃびしゃでこれじゃあ寝られないぞ……」 「へ!?ああ、すまない!すぐ片付けるから出て行ってくれ!雪奈、雪奈!起きて手伝ってくれ!」 「やぁん……はやのちゃん……らめだよそんなとこぉ……ぐぅ……」 「あーもうこの二人はよぉ!」 「やれやれ……」