館突入ナイトブレイブ  ガアガアと鴉が泣き人気のない森の中にポツンと立つ不気味な館、そこから少し離れた薮でナイトブレイブは様子を伺っていた。  必死にこちらに頼み込む息子や娘を助けて欲しいと泣く親達の姿を思い出し拳に力が入る。  一歩、館に向けて歩き始めた瞬間見知った気配が館から出てくるのが分かった。その気配は迷う事なくナイトブレイブのいる薮に近づいてくる。 「よぉ、ナイトブレイブ」 「貴様はダークレパード!何故ここに!」  現れたのはやはり見知った相手でナイトブレイブは直様戦闘体制に入る。 「フッなにちょっとした野暮用さ。ここには手紙を届けに来たにすぎん。だからそう殺気立つな今日はお前と遊んでいる暇はない」  「……本当だろうな」  ジロリとダークレパードを見つめつつナイトブレイブは今だに剣に手を置いたまま話を続ける。 「俺はお前と違って嘘は好かん、それにしてもここの館の主は良い趣味をしている。お前も寄ってみるといい」 「何を言って……まて!」 「じゃあな、俺はもう帰るが…そうだなあの館に行くのなら早くした方がいいぞ。近々魔王軍が動くみたいだからな」  そう言うとダークレパードは闇に紛れる様に姿を消しあたりには静寂が訪れる。ナイトブレイブはダークレパードが消えた方向を見つめつつも館へと向き直った 「……迷ってる暇はない、ということか」  警備の少なそうな所から中へと踏み入りナイトブレイブはBL(ブレイブリープ)で廊下を駆け抜ける。 「こう言うのは大抵隠されているものだと相場は決まっているが…あった!」  風の流れを読み隠された部屋を見つけ出すとナイトブレイブは急いで人の気配がする方に進む。 「泣き声がする…こっちか!」  ぐすぐすと微かに響く泣き声を頼りに薄暗い廊下を走る。館の大きさ的にここにはきっと沢山の子どもが誘拐、あるいは買われて来たのだろう。 「待っていてくれすぐに助けて見せる…!」  泣き声がする部屋へ辿り着いたナイトブレイブはゆっくりと扉を少しだけ開けて中を伺う。そこには想像を絶する光景があった。 「……っ!!」  少年や少女が笑いながら交じりあっていた。しかし何方も涙を流し少年は何故かバニースーツに身を包んでいた。ぐちゃぐちゃとした水音とげらげらと子供達の声とは違う下卑た笑い声が響いている。ナイトブレイブは我が目を疑ったが何度見直しても目の前の光景は消える事なく存在していた。ダークレパードの言葉が脳内でリフレインする。 「……そういう事か」  ナイトブレイブはここに来ることが遅れてしまった事を恥ながら扉を勢い良く蹴り開け部屋へと突入した。  「そこまでだ!その子達を解放してもらう!!」  中へ踏み込むと同時に少年と少女が此方を見た。ナイトブレイブは2人と目が合った、ボサついた髪の毛、折檻の跡が残る体、淀んだ目と不釣り合いな口角だけが上がった顔。しかし絶望に濡れたその瞳が訴えていた。言葉にしなくても痛いほど感じる。2人はナイトブレイブに手を伸ばしていた。 ━━助けてと