【依頼受注】 受付嬢: \C[18]近隣のゴブリン退治\C[0] を受けてくださるのですね。 受付嬢: この村の周辺に、ゴブリンの巣があってですね… 一体一体は、追い払うこと自体は難しくないんですが、 群れになるとこの村の自警団では手を出せないんです。 受付嬢: ちょうど今が繁殖期の時期に当たっていまして、 人間の女性を拐って…その、これ以上は…私の口からは。 …村の周りでも、目撃情報が増えてきているのです。 ラ・ピュセル: わかった、引き受けよう。 そこに行って、数を減らしてくればいい…ということかな? 受付嬢: その通りです。 ただ…騎士様も女性なわけですから、 ――お身体には重々お気をつけて。 【分岐1】 ラ・ピュセル: はっ! でやぁあっ! 村からほど近い、岩山にぱっくりと開いた昏い穴――その最奥部には、 人間とは相容れず――けれど、人間の胎をも利用して増える下級の魔物、 一般にゴブリンと呼ばれるものたちの巣があった。そして立地の都合上、 繁殖期を迎えた彼らが“孕み袋”を調達する先は、自然と決まる。 ラ・ピュセルは洞窟の行き止まりに自ら足を運び、剣を手に振り向いた。 随分美人なオンナが、攫いもせずに迷い込んできたという幸運は、 白い刃がひらめくたびに、どんどんと不幸の側へと反転していく。 享楽と怠惰の権化たるゴブリンにとって、これは天災に等しかった。 ラ・ピュセル: やっ! はぁあ――っ! どこか人に近しいゴブリンを斬り捨てることに、無論抵抗感はある。 だが涙ながらに、村への脅威を排除してくれと頼まれてしまったなら―― ラ・ピュセルは持ち前の身体能力と自慢の剣を振るうことに躊躇しない。 瞬く間に、無数の屍がごろごろと転がるのであった。 ――\C[18]けれど。\C[0] 魔法少女が後れを取るわけはない \C[18]戦いに絶対というものはない\C[0] 【脱出】 数で勝るゴブリンたちも、仲間が斬り捨てられていくたびに、 次は自分――とばかりに、一体、また一体と腰が引けていく。 何十体目かを地面に転がしたラ・ピュセルが一息ついた頃には、 彼女に挑みかかろうという勇気あるゴブリンは残っていなかった。 何体かが、洞窟の出口の方に逃げていくのが横目に見えたが―― 元より彼女一人では、追撃を仕掛けるのは不可能であった。 巣に十分な打撃を与えた、と判断したラ・ピュセルは、 魔法の剣を虚空に消し去り、村へと帰っていくのだった。 【エロイベ】 斬っても斬ってもきりがない――岩肌の向こう側からは、 また新たなゴブリンたちが、緑色の禿げ頭を覗かせている。 彼らは仲間の死骸を、気に掛けてもいないようだった―― より正確には、気にしている余裕がない、というところだろうか。 目の前のオンナを、自分、あるいは隣の仲間はとても倒せないだろう。 しかしこのまま好き勝手させていれば、巣が壊滅状態になる。 ここまで個体数を増やしてきた苦労が水の泡――となれば、 どうあっても、こいつに“落とし前”をつけさせねばならない。 ラ・ピュセル: っ―― いったい、ここに、何体いるんだ――? 剣が緑の肉を薙ぐ。屍肉の上を掻き分けて、また緑の肉が載る。 ゴブリンは人の言語を理解しない。発することさえも不可能だ。 けれど――上半身と下半身を真っ二つに両断されながら、 もごもごと動く唇は、明らかに呪詛を吐いていた。 それを見るたびに、ラ・ピュセルの気持ちは沈んでいく。 自分は何のためにここにいて、剣を振るっているのだろうか? 軽いめまいがして、がくりと体幹が歪んだ瞬間に―― 皮一枚で繋がったゴブリンの上半身が、彼女の服を掴んだ。 ラ・ピュセル: しまっ――! くっ、はなせっ…! 剣を振り終えて重心がずれ、めまいが重なり、急に重石がへばりつく。 一つ一つは、ゴブリン如きに付け入ることのできるような隙ではない。 それがほとんど運命的に、その瞬間の彼女を絡め取った。 ゴブリンたちにも、飛び掛かることが可能だという自信を与えた。 あとは流されるままだ。衣服は隙間に入ったゴブリンの細い指の先端で、 ちょうど果実の皮のように――これも進化の過程による――剥かれ、 その白く透き通ろ肌が、ごつごつした岩肌の中に剥き出しになる。 剣は何体ものゴブリンによってむしり取られ、虚空の中に消えた。 ラ・ピュセル: ぁっ…やめっ、やめ、ろ、ぉおおお! ★非処女 ぞっ、と背筋が冷たくなる。周囲のゴブリンは皆、雄だ。 そして相対する自分だけが雌――そのことを理解した途端、 ラ・ピュセルには、自分が何をされるかの想像図がくっきり見えた。 それを裏付けるように、どのゴブリンも一様に性器を勃起させている。 この最奥部までには、いくつもの脇穴な小部屋が無数に見えていた。 もしそれら一つ一つに、ゴブリンが隠れていたとしたら―― 自分の狩った分は、全体からすればほんの一部でしかなかったのでは? やはりそれもまた、後方に続く無数の禿頭に、実証されてしまう。 男に生まれついたとはいえ、今は魔法少女――ラ・ピュセルとしての姿。 艶めいた髪も、柔らかく張りのある白く透き通る肌も、 豊かな胸、丸みのある尻、くびれた腰も、雌としての魅力に溢れている。 そしてそれに、このゴブリンどもは恋焦がれているのである。 ラ・ピュセル: くそっ、はなせ、 はなせ…っ…! 一度相手の流れに飲まれてしまえば、立て直すのは極めて困難だ。 騎士に憧れただけの子供が、どうして平常心のままでいられるだろう。 腕を振り回せば、ぐちゃりと肉の潰れる感触だけはする―― しかしその生理的嫌悪感で、手は反射的に止まる。瞳孔は恐怖に開く。 その隙を、ゴブリン達は巧みに突いてくる。仲間の屍を踏み越えて。 自分こそがこのオンナをものにしてやる――利己的極まる動機も、 巣の全ての個体が等しく持っていたなら、それは群体の思考と化す。 水滴を弾けても、水流の粒全てを払い除けられはしないのと同じ―― ラ・ピュセル: うぁあっ…! やめっ、やめ、ろ…っ! 声は虚しく、天井に跳ねる。ラ・ピュセルは地面に引き倒され、 その艶めかしい身体の上には、醜い緑肌の小鬼が無数に群がっていた。 今から何をされるか、わからないはずもない。彼女は既に“女”である。 わかっているからこそ、原状が――将来が、恐ろしくてたまらない。 ゴブリンの中には、目の前の極上のオンナを貪る夢想に負けてか、 既に先走り汁どころか、精さえもだらだらとこぼしているものがいる。 そこから湧き上がる、濃厚な雄の臭い――鼻の中に、入り込んでくる。 そして自分が雌であることを、ラ・ピュセルは自覚してしまうのだ。 ラ・ピュセル (こんなやつらに…  僕の、身体を…!) 彼女が力を振り絞ったところで、もうどうにもならなかった。 引き倒された状態からではゴブリンの数を正確に測ることはできないが、 そのひしめく気配は、あるいは百にも届こうかというほどだ。 それが全て、自分を――その事実に、ラ・ピュセルは震えた。 泥の中をもがくが如くである。押し寄せる緑の肉を手足で押し返しても、 その戻り際に、別のゴブリンがしがみついて距離を縮めてくるのだ。 最も守りたい場所、女としての証――そこにも雄の欲は絡みつく。 強引に、少しずつ股を割り開かれ、雄の槍をあてがわれ―― ラ・ピュセル: っ…! ぐっ、ぁ… ぬけ、ぬ、けよぉ…! 挿入を果たした幸運な個体は、ラ・ピュセルの胴にしがみついて、 その小さな背丈を彼女の身体に埋めるようにかくかくと腰を振る。 どれだけ抗議したところでゴブリンはそれに耳を傾けるでもなく、 一滴でも多くの精を注ぐことだけに全身全霊を集中している。 雄と雌が交わったその結果、それはラ・ピュセルも理解している。 よもや、この小鬼風情の――と虚勢を張ってみたところで無駄なことだ。 彼女は今や、同じく囚われた数多の無力な雌と何も変わらない。 己の肢体を、雄に好き勝手に貪られるだけの存在なのだ。 ラ・ピュセル: ぁ、あ…! くそっ、こいつ…っ! …だし、てる… 身体の奥に染み込んでくる熱。今の彼女の最も忌むべきもの。 男の気持ちがわかるからこそ、それを叩きつけられることの不愉快さが、 女の身により深く刻まれる。おぞましさが何倍にも跳ね上がる。 ましてその先を想像したなら――どれだけの嫌悪を呼ぶだろう? それでも相手が一体きりなら、耐えることもできただろうが―― まだまだゴブリンの数は増える。同じだけの雄が彼女を狙っている。 お前の胎を膨らませてやるとばかりに、どの個体もぎらついている。 反吐が出る。それを押し込むように、口にも性器がねじ込まれる。 喉の奥へと逆流していく、いがいがとした不快感の塊―― ラ・ピュセル: っごっ…! ごぶ、お、ぇえ…! 涙に視界は霞み、現実を受け入れる気力も失われていく。 ゴブリンたちが満足しきるまで、彼女に休息は訪れないだろう。 そのいつ来るやもわからぬ時を、ラ・ピュセルは朦朧としながら待つ。 自分の身体が、好き勝手に汚されていくのをどこか他人事に見て―― ★処女 彼女の悲鳴は、ゴブリンたちを却って興奮させるだけであった。 先程まで、あんなに好き放題暴れてくれた強いオンナ、雌の人間が、 今では、攫ってきた村娘よろしく、無力に泣き叫ぶだけなのだから。 “お楽しみ”の合図を聞きつけたゴブリンが、また奥から出てくる―― 一度成立した力関係、場の流れというものは容易には覆らない。 まして、衣服を剥ぎ取られゴブリンと同じく一糸纏わぬ姿にされて、 無数の雄の、怒りと憎しみと獣欲とのうねりとを突きつけられたなら―― ラ・ピュセルがそれに圧倒されてしまったあのも、また当然のことである。 ラ・ピュセル: ひっ…や…や、めっ…! た、す… 騎士ぶって見せたところで、その地金は所詮一介の男子中学生だ。 彼の中にもあった雄の欲求は、ここまで露骨で無濾過なものではない。 臭う――そのことに気付いたとき、ラ・ピュセルはぞっとした。 この雌性溢れた肉体の放つ芳香に、ここまで無自覚であったかと。 ゴブリンたちの放つ雄臭い精の臭いは、彼らの不衛生さをも貫通する。 泥、排泄物、血、屍。それらを想起させる汚臭よりずっと明確に鼻に届く。 その真逆のことが、ちょうど彼らに起きている。目をぎらつかせながら、 自分こそがこのオンナを孕ませてやると、どのゴブリンもが思っている。 ラ・ピュセル: (逃げなきゃ…!  このままじゃ…!) いつしか彼女は地面に引き倒され、何匹ものゴブリンが群がっていた。 膂力においては、ゴブリンごときが戦闘特化の魔法少女に叶うはずもない。 上腕にしがみつく数体を、そのまま天井の染みにすることも可能である。 けれど――ラ・ピュセルはすっかり打ちのめされてしまったようになった。 ラ・ピュセル: (こいつら全部…  僕の、体を…狙ってるのか…!?) 自身の種を残したいという欲求。それが全てのゴブリンを支配している。 この巣全体が一つの生物として、細胞である彼らを統括している。 こいつを逃がすな、孕ませろ、殺した分より多く産め――そんな風に。 雄と雌の間の、原始的引力の恐ろしさをラ・ピュセルは本能的に理解した。 緑の影はなお増える。切り捨てた数はほんの一部に過ぎなかった。 我慢できなくなった一体が、ラ・ピュセルの肌を舐め回し始めると、 堰を切ったように我もと、無数の下が白い肌の上に汚い唾液を塗りたくる。 そして舐めるだけでなく、彼女のあちこちに噛みつきさえもする。 魔力によって強化された肌は、無論その程度で傷つきはしないが―― ラ・ピュセル: わっ、わぁっ、や、ぁ、 っ…!ぁ、あぁ…! “彼”の人生において、数多の舌と歯とに晒される経験などなかった。 それが蟻やら蝿ではない、子供ほどの体格の無数の生物の口なのだ。 真っ当な精神状態であれ、という方が無茶だろう。まして敵の巣の中で。 ありえない想像だが、食い殺される――そう感じたほどである。 生半に狂えないことが、よりつぶさにゴブリンの唇の感触を伝えてくる。 全身のあらゆる箇所を、この醜い小鬼に汚されているような感覚。 発作的にラ・ピュセルは脚をぶんぶん振った――肉の潰れる音が何度か。 だが新手のゴブリンが、そうして開いた脚の隙間に身体を潜り込ませ―― ラ・ピュセル: うっ、ぁ、あ――? … ……おい、うそ、だろ…? いかに肉体と精神とに加護を受けたとて、限度はあるものだ。 処女膜なども、その本来の役割を果たせば破れるのが道理である。 女の肉体から戻れない――それだけではなく、処女までをも奪われた。 ラ・ピュセルは呆然と、緑の槍が刺さった膣口を見つめていた。 肉体の一線を越えられたのに連動して、心もがくん、と均衡を失う。 事実を咀嚼しきれずに彼女の頭が停止している間に件のゴブリンは、 かくかくと腰を動かしながら、目の前の極上のオンナを味わっていた。 匂いも、締まりも、柔らかさも。どれを取っても頭抜けている。 ラ・ピュセル: お、おい… ぬけ、ぬけ、よぉ…っ…! あっ、ぁ、ぁああ… その弱々しい声を踏みつけるがごとくにゴブリンは一際強く腰を押し付け、 彼女の最奥に下等な亜人の種を吐く。どろりと生々しい熱が残る―― ラ・ピュセルは目を丸くして、一体目のゴブリンが離れるのを見送った。 そして二体目が自分こそ、と腰を振り始めるのにも対応できない。 場の雰囲気に呑まれた彼女は、何体もが入れ替わり立ち替わり、 自分の胎内に精を叩きつけてくるのを受け入れるばかり。 ゴブリンなどは本来自分に敵したいことなど忘れてしまったかのよう。 何十体目かが離れてようやく――その瞳には涙が浮かんだ。 【分岐2】 ラ・ピュセル: うぅ…く、くそぉ…っ… … …… 抵抗する意志をなくしたと見なされた彼女は、ゴブリンの巣の奥、 繁殖のために捕らえた雌をつなぐための空間に運んでこられた。 担ぎ上げられてくる最中、物々しい檻やら手錠やら、鎖やら―― そんなものに繋がれてうなだれた、哀れな姿の女が幾人か見えた。 ラ・ピュセル: (僕も…あんなふうに…  …絶対、嫌だ…!) 心ではそう思っても、体には嫌な疲労感がへばりついていた。 自分の体が自分ではない、他の誰かに支配されているのかとも思える。 どこかの檻から、顔も知らぬ“先輩”のすすり泣く声が聞こえてくると、 そこでようやく彼女にも、己の運命というものが現実味を帯びてきた。 ラ・ピュセルはごつごつした岩の天井を見上げながらゆっくり息を整える。 少しだけだが、身体に力が戻ってきた――そんな気もうっすらと。 最高のオンナを捕まえた、とゴブリンが浮かれている今が絶好の機会だ。 このまま状況に流されていては、決して事態は好転せぬだろう。 ――\C[18]さて。\C[0] まずは逃げることが優先だ \C[18]あの人たちのことは?\C[0] 【脱出】 不覚を取ったとはいえ、魔法少女としての身体能力は健在のままだ。 腕に繋がれた鎖を、ラ・ピュセルは軽々と手枷ごと外してみせた。 涙で汚れた顔を擦りながら、周囲に足音がないことを確かめる。 剥ぎ取られた服も、元々は魔力によって構成されたものだ。 意識を集中させ、本来の自分を取り戻したさえすれば、 自然に、彼女の身体の周りには見慣れた騎士としての衣装が再生する。 手の中に見えざる剣の感覚を確認すると、ラ・ピュセルは軽く目を瞑る。 酷い目にはあったが、立ち直れないというほどではない―― ラ・ピュセル: 今なら…逃げられ、そう、だ… 戻ってきた見張りのゴブリンを手早く黙らせると、 ラ・ピュセルは岩壁を伝うように洞窟の中を走り抜けていく。 入口に着いた彼女は、村への道を目で辿って人心地ついた。 返り討ちにあったなどと、とても言えるわけもあるまいが―― 【エロイベ】 ラ・ピュセルの脳裏には、先程の哀れな女たちの姿が焼き付いていた。 自分はまだ、この状況から逃げるだけの力を有しているが―― 錆びついた手錠一つ、彼女らが自力で外せるとも思えない。 焦燥しきった顔、絶望と自棄に塗り潰された歪んだ微笑み。 ラ・ピュセル: (僕は…何のためにこの巣に来たんだ?  ああいう人を出さないためじゃないのか…) 一度でもそのことを考えたなら、見捨てていけるわけもない。 魔法少女とは――騎士とは、弱者をこそ救う存在ではなかったか。 耳を澄ませる。足音は疎らで、さほど脅威でもなさそうだ。 自分の手枷をねじり切り、目の前の一人の手錠を外して―― 入口へ送り、引き返してまた一人。何度も最奥までを往復する。 十人弱を逃がし終え、取りこぼしを確認するラ・ピュセルの背後には、 孕み袋を逃がされて、怒りを隠しもしないゴブリンたちの群れが在る。 少しでも永く時間を稼ぐために――誇り高き女騎士は、剣を呼び寄せた。 洞窟の外に行こうとするゴブリンを許さずず、同時に掃討もしきらず―― その注意が自分だけに向くように、適度な脅威であり続けねばならない。 一度目のような、不慮の事故で遅れを取るということはないが、 時間を稼ぐという困難な仕事は、やはりラ・ピュセルの手に余る。 ラ・ピュセル: (くそっ…これ以上、  こいつらを釘付けにしておけない…!) 彼女への対処から、逃げた女の追跡にゴブリンたちが意識を向け始めた頃、 ラ・ピュセルは、剣を取り落とした風にしてわざと隙を作ってみせた。 ゴブリンたちは、また一斉に彼女を捕らえるためにわらわらと集まってくる。 洞窟の外に目を向けていた個体もまた、くるりと踵を返してくる。 捕まえるのに苦労するようなオンナより、目の前のオンナが最優先だ。 ゴブリンの怠惰な性格を思えば、こうするのが足止めには最適だろう。 それは当然、彼女が再び汚されるということを意味していたが―― ラ・ピュセルはまた機を見て逃げればよいと、どこか楽観視していた。 ラ・ピュセル: っ、ぶっ、うっ…っ! んむぅ…! 生殖には直接結びつかない穴、口にさえもゴブリンは性器を突き立てる。 ラ・ピュセルに対する熱は、さらに執念く実体を帯びたようでもあった。 既に一度汚された身、あれと同じ程度なら耐えられる――その想定を、 はるかに上回るほどに、ゴブリンたちは彼女を強く犯し始めたのである。 前と言わず後ろと言わず、常に性器が押し付けられ、挿入される。 そして彼らは好き放題に、ラ・ピュセルという極上の女に精を吐き、 彼女が抵抗するより早く、次の個体に場所を譲ってしまう。 それが時間の感覚もあやふやになるぐらい、ひたすら続くのだ。 ラ・ピュセル: (これ…いつまで…  つづ…くん、だ――?  はやく…に、げ…) 隙を見つけるどころの話ではない。そもそもそんなものはないのだ。 ほとんど無尽蔵なゴブリンが、延々と交代しながら群がってくるのだから、 息継ぎすること自体、射精後に性器を引き抜かれたほんの一瞬しかない。 深く息を吸い込めば、肺の中にまで雄臭い空気が流れ込んでくる。 囚われた女を助ける――それは必然的に、彼女たちの受け持っていた分、 それさえもラ・ピュセル一人に集中することを意味していた。 ヒロイズムに麻痺した思考ではそこまで想像が及ぶこともなく、 こうして犯され続けて初めて、彼女は現状を理解したのだ。 ラ・ピュセル: うっ、ぐっ、ふ…! げはっ、ぁ―― や、やめ…むぐぅっ…! その白い肌の中と外とを、ひたすらにゴブリンの精液が洗う。 臭いが身体の芯にまで染み込んでいってしまうような気がする。 嗅覚は麻痺し――けれど、雄の臭いだけがくっきりと輪郭を保っていた。 ラ・ピュセルの心はゆっくりと、現実に抗う力を喪失していった―― 【分岐3】 ラ・ピュセル: や、休ませて、くれ… もう、いいだろ――? ラ・ピュセルは自分にのしかかって腰を振るゴブリンにそう懇願した。 言葉が通じるとは思えない。だが彼らが限りなく本能に生きる生物な以上、 今の彼女を犯すことに、全く意味があるとは思えなかった。 ちゅぽん、と名残惜しそうな音を立てて性器が引き抜かれる―― ラ・ピュセル: 満足かよ… くそう… 僕の…お腹…こんな… ひたすらに犯され続けているうちに、彼女の肉体は屈してしまった。 雌としての在り方を全うするために、雄の精を受け入れてしまった。 ありもしない隙を伺ううちに、どんどんと腹は大きく膨らんでいって、 今では立派な臨月サイズ。当然、中にいるのははゴブリンとの混血児だ。 雌を孕ませる、という目的が達成された以上、彼女を犯す意味はない。 けれども、腹が膨れてなお雌としての魅力を未だ保つその肉体は、 ゴブリンたちにとっては、飽きのこない玩具として映っていた。 種付けの最中のような、間断なき凌辱こそ行われないものの―― ラ・ピュセル: (僕…どうなっちゃうんだろう…?  妊娠、しちゃう…なんて…) 目の前のゴブリンは性器の中に残っていた精液をしごき出し、 彼女の膨らんだ腹の、特にへそ周りにびちゃびちゃと飛ばして、手で擦る。 何体ものゴブリンが、決まって最後にはそうしていくのだから、 そこには何らかの呪術的な色彩があると判断することは難しくない。 単に、孕ませた雌への支配欲の顕れか――あるいは何らかのまじないか。 塗りたくられた精液が乾いてパリパリと割れるそのむず痒さに、 ラ・ピュセルはなんとも言えない、彼らからのメッセージを感じるのだ。 それが愛だとか情だとかいうものとは別のものだとはわかっていても―― ラ・ピュセル: あ痛っ…! やめろ、そこは…お前らの―― ……! 精液を塗り終えたゴブリンは、ラ・ピュセルの乳房をぺろぺろと舐めた後、 いきなり彼女の乳首周りに噛みついた。やはり血など出はしないが、 歯列に圧された痕がうっすらと赤い楕円形を描いている。 お前らの――ものではない。では誰のものであろう? 自分が何を言いかけようとしたのか、ラ・ピュセルは理解を拒んだ。 女の肉体となり、犯され、孕まされ――母であることを受け入れつつある。 ほんの少し前までの自意識において、それは決して存在し得ない感情だ。 妊娠中で既にこうならば――産んでしまえば、どうなるだろう? ラ・ピュセル: (いやだ…いやだ、いやだ…!) 彼女の心内がかき回されている最中にも、別のゴブリンはやってくる。 ゴブリンの性器の形を覚え込まされてしまった膣内を味わうために。 ずきり、と鈍く響く痛みは――彼女に残された時間の少ないことを意味した。 このゴブリンの後には、順番待ちはいないようだが―― ――\C[18]僕はどうしたい?\C[0] ここにいることに耐えられない \C[18]何も考えたくない\C[0] 【脱出】 ラ・ピュセル: だめだ… ここにいたら… 逃げ、なきゃ…! 重たい身体を引き起こし、静寂を取り戻した牢を見渡す――気配はない。 ラ・ピュセルを孕ませ終えて、心をも完全に屈服させたと油断したのか、 近頃は見張りに付くようなものもいない。給餌か交尾のために、 一日に十体も見れば多い方である――今しか、ない。 妊娠させられたからといって、魔法少女の身体能力に陰りは見られない。 お飾り程度の手枷など全く拘束力を有しない――ぱきり、と鉄が砕けた。 腹部には嫌な痛みがずっと残り続けているが、それはひとまず置く。 ラ・ピュセルは歯を食いしばりながら、入口の方へ駆けていった。 【エロイベ】 ラ・ピュセル: (ここから逃げて…どう、するんだ…?  ゴブリンに…負けて…それで…) 腹部の重りは、肉体よりも精神にこそ作用しているようだった。 数に任せたゴブリン風情に負けて、一年近くも逃げる機会を見出だせず―― 高潔な女騎士の生き様でもない。憧れた魔法少女の生き様とも、現状は違う。 今の彼女は、雄に支配されて肉体を変質させられた一体の雌にでしかない。 乾いた笑いが出る。自嘲、自棄、屈辱。己の運命が歪んだことへの絶望。 洞窟を出たところで――彼女の誇りなど、とっくに地に塗れていよう。 だからといって直接的に自死を選べるほど、彼女は死に無自覚ではない。 どうせなら――と言葉を紡いだ先に、ぞっとする感覚が立ちはだかるのだ。 ラ・ピュセル: うぐっ…! おねがい、おとなしく、して… 腹を内側からしたたかに蹴られて、ラ・ピュセルは反射的に呻いた。 ――今自分は何と言ったろう。“おとなしくして”だと?この“何か”に? 胎内のそれを、感情ある何かと認識してしまっている自分がいる。 内側に、自分とは違う命の在ることを理解してしまっている―― ラ・ピュセル: あ、あは、あはは… そうか…僕…もう、 この子の…こと… 例えば情け容赦なく肉を抉り臓腑を噛じる寄生虫か何かであったなら、 “彼”は己の肉体と連続しない、忌々しい敵だと憎むことだとできたろう。 あの言葉は、“岸部颯太”がゴブリンの母であることを自覚して初めて、 無意識の泥の中より湧き上がってきた言葉だ。己の変質を前提とした。 妊娠することができるのは、当然女の身体の“ラ・ピュセル”だ。 その妊娠を自ら認めてしまった以上、心身ともに元の形ではあれない。 母親としての生き様を既に自分が選んでしまっているのだとしたら、 それに準ずることこそが、“正しい姿”なのではないか―― ラ・ピュセル: ふっ、ぅ、うぅう…! はやく、うま、れ、てぇ…っ! 彼女が洞窟内の広場に引き出されてきたのは、それからすぐのことだ。 断続的な痛みは、ラ・ピュセルにある予感を持たせた――産まれる。 妊娠、という事象を認識させるに過ぎなかったその大きな臨月胎は、 陣痛という具体的な前兆によって、“その次”へと彼女を誘う。 ゴブリンの敷いたボロボロの布――どこかのカーテンの切れ端に座り、 やはり教えられるまでもなく、ラ・ピュセルは自然といきみ始めていた。 胎内にいるのは――周囲で野次を飛ばすゴブリンたちの種である以上、 その姿も、おおよそ想像できる――絶望的な容姿であるのだろう。 ラ・ピュセル: っ、ふっ、ぐぅ、っ… いたっ、いたいぃぃっ…! ゴブリンたちは彼女に何らの手助けなどもせず、手を打って囃すばかり。 生殖という行為によって強制的にであれ彼らとの縁が結ばれていた、 そう考えていたラ・ピュセルの孤独感は、痛みをさらに強く感じさせる。 頑健な肉体が、この程度で朽ちるはずもないのだが――死んでしまう、と。 ラ・ピュセル: っは――は―― …ごほっ、う、ぐっ… ――あれ、っ、あ―― 霞む視界の先には、緑色の肉の塊がもぞもぞと蠢いている。 赤黒い臍の緒が、自分とそれとをはっきり結びつけているのも見える。 産んでしまった。産まれてしまった。もう自分は、男の側ではない。 ただの雌であることを、これ以上なく突きつけられてしまった。 ラ・ピュセル: あはは…おいで… ママ、だよ…☆ 産声を上げる赤子は、想像に反して随分と“母親似”であった。 ゴブリンの醜く高い鼻に比べて整った鼻筋、ぱっちりと大きな瞳―― そして頭部にはラ・ピュセルと同じような細い角が生えていて、 小ぶりではあるものの、竜の尻尾まで生えていた。 それはゴブリンと人のハーフというよりは、ドラゴニュートだとか、 リザードマンだとかと言われる方がよほど説得力のある外見である。 ゴブリンたちは見慣れぬ赤子に動揺したようだが――種付けしたのは自分、 産んだのはこのオンナ、という単純な理屈によって一応納得したようだ。 ラ・ピュセル: ぁ… ちょっと、まって、ぇ… ラ・ピュセルが赤子を抱き寄せるより先に、ゴブリンが彼女に跨った。 良き孕み袋となる資質を目の前で証明されて興奮したのだろう、 鼻息荒く、性器を固く勃起させて少しく凹んだ腹の皮に擦り付けている。 臍の緒もまだ残り、後産もまだというのに――止まる気配はない。 ラ・ピュセル: (こいつ…産んだばっかりなのに…  “次”妊娠させようと、してる…っ☆) 雌としての生き様を認めてしまえば、雌であることを肯定してくれる、 そんな雄どもの抜き身の欲求に、彼女自身流されてしまうものだ。 赤子が泣き喚き、母の庇護を求めているというのに――ラ・ピュセルは、 再度孕まされつつあるという事実に、本能的に酷く興奮していた。 ラ・ピュセル: それっ、あかちゃんの、だからぁ… すっちゃ…だめぇっ…☆ 乳首をゴブリンに噛じられながら、ラ・ピュセルは何度も絶頂した。 遠からぬうちに、また妊娠させられてしまう――また産まされてしまう。 その想像に、ぞくぞくと背筋が震えた。何体も、何体も―― 胎内に熱を感じながら、殺到するゴブリンの数を――頼もしく思った。 … …… ……… ラ・ピュセル: 今日は皆に、魔法少女の話をしてあげるね。 これは“私”が、まだ小さかったとき… ラ・ピュセルの血を引き、身体能力をも受け継いだ強大な仔ゴブリンたちは、 母親のしてくれる物語に、瞳を見開いて聞き入っている。 彼女の持つような、剣の魔法こそ持たないが――並のゴブリンとは違い、 高い知能さえ持っている彼らは、人間の天敵にすらなりうる存在だ。 産まれた命自体に罪があるわけではない。ラ・ピュセルはそう考える。 離乳する前から並々ならぬ存在感を放つ我が子らは、剥き出しの“力”だ。 どう導いていくかで、彼らの運命も大きく変わってしまうのだろう。 ならば、正しい心の持ち主に育ってほしい――そう考えたのである。 今もまた、新しい子を仕込まれて胎はぼってりと大きく膨らんでいるし、 乳を含ませたばかりの赤子は、またすぐに腹を空かせて母を呼んでいる。 彼女の献身により、ゴブリンの混血児にしてはどの子も大人しい性格だ―― 何体産まされても、ちゃんと育ててみせる。彼女はそう決意するのだった。