このテキストは「うみねこのなく頃に」にて各EPが何故執筆されたか、を考察するものです 「うみねこのなく頃に」のネタバレが多く含まれるので注意 また漫画版の話を前提に進めるため、漫画版の内容を把握した上で読んでください 後死ぬほど妄想入っているので話半分で見て ■EP1 竜騎士07曰く「EP1とEP5は表裏の関係」 恐らくこのEPは「推理することで夏妃を犯人に誤認させるよう仕向けた作品」 ただし夏妃の反応から、恐らく夏妃は金蔵が死んでいること以外何も知らないため、 紗音嘉音を一使用人としてしか怪しむことができておらず最後までただの被害者のまま亡くなっている 魔法世界がまだ存在していないことや親族の背景もあまり見えず淡々と進んでいることもあり、 ヤスが全員死ね死ね言いながら書いていた初期の作品と考える ■EP2 EP1と同じく、「推理することで楼座が犯人に誤認させるよう仕向けた作品」 ただしEP1とは違い、明確に楼座が殺人に協力している違いがある 犯人を把握した上で最後まで生き残っているので、魔女の棋譜にて楼座のみが魔女の存在を否定している この話は楼座と真里亞の背景説明が多く、楼座の悪人っぷりを描いて、 一方で真里亞に対しては後半は仲直りし、良い母親であるように描いている(真里亞に対する懺悔) ヤスにとって夏妃、楼座は明確な恨みがある相手のためEP1、2でピックアップキャラとして二人が書かれているが、 漫画版EP8の死ね死ねを考える限り、大なり小なり戦人以外の全員分の犯人誤認の作品を作っていたのではなかろうか 魔法の話が出てきたり、真里亞に対する情が垣間見えることから、 ヤスとしても泣きながら書いていた後期の作品と考える(妄想) ここまではヤスが執筆した作品 EP2の上位世界についてはEP3でまとめて説明 ■EP3 EP8にて記述されているが「幾子、十八が執筆した絵羽を明確に犯人として告発した作品」 黄金を見つけたことで絵羽が主犯となり、ヤスを共犯として殺人を行っているため、 ヤスを主犯とした他のEPと同じゲーム盤(=ルール)を適用できる EP2では上位世界にてベアトに屈服、EP3ではベアトと協力してエヴァトを倒すという流れだが、 EP2の内容から推理することが出来なかった十八は、現実世界の結果である絵羽生き残りから犯人を断定(=魔女に屈服) 誤った犯人を認めた(=ベアトを仲間にした)まま、悪である絵羽(エヴァト)を糾弾する、 という構図がEP3の上位世界の真実であると考える つまり最後に現れる縁寿は、十八の元に訪れた絵羽の装飾ということになる ■EP4 EP3執筆後に絵羽と話し合ったことで真犯人が判明 (※ただし漫画版ではBanquetを皮切りに何作かを発表した頃に訪ねてきた、と書かれている) 恐らくこの作品は「絵羽以外の真犯人は誰か」「縁寿へのメッセージ」という2つの目的で執筆されている これも今までと同じゲーム盤を適用できていることから、 ヤスが犯人であることはEP4の時点で幾子・十八側も予想していたと考える しかし「ホワイダニット」「紗音嘉音の入れ替わり」は執筆側も気付けてはいないためEP5、6で判明することになる 駒の戦人が2日目の後半で推理する場面があり、「示し合わせ」「嘉音が犯人」ということを当てているが、 かなり懐疑的なのは執筆者側の代弁となっていると考えられる 紗音嘉音の入れ替わりに関しては、魔女の赤字がなければ単純に共犯という形で説明できるためである 余談だが、EP4〜7全てで「示し合わせ」という手段が使われていることから、 (EP7が真実かはともかく)実際の六軒島事件でも似たような示し合わせが使われたと考えられる 縁寿へのメッセージは、絵羽が犯人でないこと、愛とはどういうことかを遠回しに説いているのだと考える ここでEP4の1998年の縁寿を振り返ると、六軒島行きのボートへ乗り、六軒島にて霞含む数名の殺人現場へ居合わせる しかしEP6時点の縁寿はこれから六軒島へ向かう場面になり、EP4はあったかもしれない未来として描かれていた事がわかる 偽書にどこまで執筆されているか問題に切り込むことになってしまうが、 このEPは偽書に1998年の縁寿も描かれていて、現実の縁寿も魔法(=愛)を知ってほしいとして描かれているのではないだろうか 執拗に真里亞の話が続くのは、親しかった縁寿へのメッセージを助長させる ただし偽書にどこまで執筆されているか問題は、全執筆されてたら何故ヤス、真里亞、縁寿の情報を細かく知っているのかとか EP6で原稿を見せられた縁寿の反応がもっと顕著ではないか、とか細かいツッコミが出てきそうなので、 今回は大雑把にEP4は縁寿へのメッセージを伝えようとしていた、とだけ考察する ただこのメッセージはEP8の縁寿の反応から、この時点の縁寿に受け入れられることではなかったため拒否されている そのためEP4で魔法を理解した縁寿が、EP8で改めて魔法を理解するという流れになっているのは、 EP4は十八が描いた想像上の縁寿、EP8は現実の縁寿だからである (反論としてはEP6で魔法が装飾であることは縁寿も理解していたので、単純に表面上の魔法の理解をEP4でしただけとも考えられる) 一方でベアトが何故乗り気でないか等のゲーム版後半の上位世界の現実装飾、についてはしっくりくる考察ができなかった ベアトがゲームを続けることに乗り気で無くなってしまった原因は、執筆者の犯人特定の意欲が失われていった、と考えることはできる うみねこ作中で幾子・十八作の偽書はクオリティが高く評価されていた、ということから ベルン・ラムダの二人は偽書読者の暗喩だったのだろうか? またゲーム盤後半では執拗に「EP4までで戦人が紗音との約束を破ったことに気付かせる」ことを主題としている 自分の考えでは、これを「EP4執筆時点までに十八が気付くことが何らかのタイムリミットに繋がる」 という装飾ができるのではないか?、と考えたが特に何も思い浮かばなかった 幾子=ヤス説なら何かしら案は浮かびそうだが… ■EP5 この作品はEP1の表裏の関係にあることとゲーム盤上の流れから「夏妃を犯人に誤認させるよう仕向けた作品」 かつ想像にはなるが「夏妃犯人の否定」を目的として書かれている EP1と違い、愛が無いため推理させることはなく直球で犯人であるように描いている 更にこの説を後押しする根拠として、ゲーム終盤のお茶会にてヱリカが 「過去の4つのゲームは全て夏妃の犯行とそのイレギュラーで説明可能」 「編纂に入り極上の物語を献上する」という台詞を行っている この夏妃犯人の物語を献上するということは、ベルンの台詞からベアトの魔女伝説の破壊に繋がるとのこと ここから妄想になってしまうが、恐らくEP4執筆後のうみねこ内の作中世界では夏妃犯人説が勢力を増していたのではないだろうか? 偽書作家は複数居るとのことなので、幾子・十八以外が作成した夏妃犯人説の偽書(EP5')が登場 そしてかなりの評価を得ることになったと予想する しかしEP4執筆から幾子・十八は夏妃が犯人ではないことを理解していた そこでEP5'をベースに夏妃が犯人とも考えることもできつつ、 戦人犯人説(実際は共犯)とも考えられることを世間に理解させるため執筆したものと考えられる 探偵のヱリカ、ノックスを使用するドラノールが登場するのは、 上記EP5'の反論を書いたことで外部の推理作家からのツッコミが来たのではないだろうか? ゲームマスターがラムダに変更されたのも、ベースの執筆者が幾子・十八と別ならば納得がいく またロノウェが零した「愛が無い、義理が通っていない」というのは戦人が買収されており、推理する必要がないということだが、 この盤上の魔法使用場面から別方向の意味も含んでいたと考える 魔法を使用する箇所はベアトと夏妃が会話する内心描写に留まっているため、 犯行ではワープはしているがEP2〜4のように派手な描写はない EP5'のゲーム盤は夏妃犯人を糾弾する、のみの意図で作成されたため、装飾できる場所が内心描写しかなかったと考えられる これは「愛が無い=親族に対する情が一切無い」という意味で説明することができ、 夏妃に寄り添うベアト=幾子・十八による夏妃に対する情、かつベースからの加筆であることが想像できる 加筆説のまま進めてしまうが、EP5'では犯人を特定したため盤上は中断扱いとなっている 一方で加筆では戦人が「駄目だな、全然駄目だぜ」という台詞を夏妃に向けて中断している 戦人の性格や立場を考えるに、黄金で買収は考えにくいため、夏妃の過去を揺さぶるために殺人協力 (この時の戦人の考えは芝居協力?)をしていた しかし夏妃が告白を行ったことで、これ以上の辱めは許さないと反論を始めるシーンではないだろうか? ただしこのゲーム盤上でのヤスは、ひたすら夏妃に辱めを与え、かつ親族を皆殺しにすることだけを目標にしている これは碑文を解いたとしても変わらないため、ここで戦人が夏妃を養護したとしても皆殺しの流れは変わらないと考えられる 余談だが戦人共犯の件もあることから、 碑文の謎については予めヤスから戦人に教えられていて、親族が論争に発展することを誘導していた可能性がある これは戦人が金蔵の幻影を見たことが、実際はヤスに誘導されていた暗喩を示していると考えられる ■EP6 正直EP6はしっくり来る説が思い浮かばなかった 重要なのは「ゲームマスターが戦人となったこと」「本来描きたかった内容は狂言殺人」「戦人がロジックエラーを起こした」こと 個人的なEP3〜5は十八の話を聞きながら、幾子が執筆していたが、何らかの理由で十八単独が執筆することになった、と考える EP5の流れから外部の推理作家からのツッコミが来たことの継続で、 十八が書いたらぁ!とインターネット上のチャットでEP6を作り始めてロジックエラーをやらかした、ぐらいしか思い浮かばない… というのもEP6はヱリカの存在もあり、一つ一つの謎に対して今までと以上に執拗に突っ込まれている かつヱリカによる殺人や後出しのガムテープといった、テーブルトークのような場面が非常に目立つ つまりゲーム盤上の情報があまりにもリアルタイムに変化しているのだ こう考えるとインターネット上のチャットでEP6を元にテーブルトークしてセッションしていた、と考えられないだろうか? ただこの考えは、EP5の加筆説以上に手がかりとなる情報がないため、とんでも理論の域を出ない 執筆理由は「紗音嘉音同一人物説の特定」だとは思うが、十八が執筆後に気付いただけの結果なだけで、 執筆理由は別にあるとも考えられなくもない EP7〜8はそれぞれ犯人の告白、幾子・十八の絵羽日記公表の葛藤、縁寿への再度のメッセージかつ現実世界の話と考える …が、自分が気付いていないだけでそれらすら装飾・比喩された話である可能性もあると考える これを読んだあなた。どうか真相を暴いてください。それだけが私の望みです。