二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1728138173492.jpg-(70502 B)
70502 B24/10/05(土)23:22:53No.1239937374+ 00:34頃消えます
「でもユーラシアって、コンパス承認してないよな?」
「だから総裁自ら同行されるんでしょ? 多分政治的な交渉とかあるんじゃない?」
 ファウンデーション王国へ向かう道すがら、シンとルナマリアは語らう。
 そこに、ヒルダ達ハーケン隊の三人が現れる。
「おう、坊主たち! 気を付けろよ! あそこはオバケが出るかんなぁ!」
「はあ?」
「ファウンデーションだよ。あそこの独立運動の時ユーラシアの連中が見たんだってよ、ケルピーをさ」
 マーズとヘルベルトが気さくに語りかける。
「ケルピーって?」
「水に住む化け物だよ。ま、それだけ得体の知れない国ってことさ、あそこは」
 そう言うと、ヒルダはルナマリアに抱き着く。
「ちょ、ハーケン大尉! セクハラは駄目です!」
「バケモノ……」
 嘗て矛を交えたとは思えぬヒルダ達の気さくさにどこか感慨を抱きつつ、シンはひとり呟いた。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/10/05(土)23:23:23No.1239937622+
 ファウンデーション王城前に着いた一行は、順番にヘリから降りていく。
 そんな彼らを、七人の青年達が出迎える。
「ようこそ姫。ファウンデーション宰相、オルフェ・ラム・タオです。おいでを心より歓迎いたします」
「コンパス総裁、ラクス・クラインです。お目に描かれて光栄に存じます」
 七人のリーダー格と思しき青年・オルフェと、ラクスは互いに握手を交わす。
 その瞬間。
 互いに、何かが流れ込んできた。
 産まれる前から子供の頃、そして現在までの互いの記憶。
 それと共に、両者に得も知れぬ充足感がもたらされた。
224/10/05(土)23:23:35No.1239937747+
 オルフェは、何かを確信したかのように微笑む。
(ようやくお会いできましたね、ラクス・クライン)
(ーー貴方は?)
(私はあなたの運命。ともに世界を導く者)
(えっ……?)
「ラクス」
 キラの声により、ラクスは現実へと引き戻される。
 握手を解くと、オルフェは皆を案内する。
 一行はそれに付いていくが、ラクスの後ろを歩くキラの頭の中に、声が響く。
(邪魔な奴……!)
「!?」
 キラは突然の幻聴に動揺するが、周囲を見渡しても何も存在しない。
 ーーただ、彼をねめつけるオルフェの部下たちの視線が少し気になった。
324/10/05(土)23:24:34No.1239938262+
 その頃、ファウンデーション王国郊外。
 銃を持った兵士たちが、若者たちに銃を向ける。
 銃声がとどろき、鮮血を噴き出しながら次々に倒れていく若者たち。
 その光景を、物陰から静かに見守る一人の男が居た。
 苦虫を嚙み潰したような顔をしながら、男はひとり呟く。
「……これが貴方の言った『平和な世界』なのですか、議長……」
424/10/05(土)23:24:45No.1239938358+
「ようこそファウンデーションへ。アウラ・マハ・ハイバルである。このたびのコンパスの迅速な対応、痛み入る」
 王城内・謁見の間に招かれたコンパス一行は、玉座に座す女王・アウラに謁見する。齢10歳程とは思えない威厳ある物言いだった。
「ご拝謁の栄誉を賜り、まことに光栄に存じます。アウラ陛下」
 ラクスが着物の裾を摘まみながら優雅に挨拶する。
「ミケールのパルチザンには、わが国もほとほと手を焼いておる。ユーラシアには何度か申し入れをしておるのだが……どうも対応に時間がかかっているようでな」
「致し方ありません。あちらは国内に多数の火種を抱えておいでですから」
 アウラの発言に対し、何処か他人事のようにオルフェが告げる。
「卿らには感謝しておる。どうか、わが国の民を守っておくれ」
「身に余るお言葉です。全力を尽くさせていただきます」
 ラクス、そしてそれに続くようにキラ達が首を垂れる。こういった事に慣れていないシンは少し遅れた。
「ささやかながら、歓談の席を設けさせてもらった。そこでゆっくりと、そなたらの話を聞かせてくれ」
524/10/05(土)23:25:20No.1239938665+
 歓迎会までの間、一行はオルフェの側近であるというイングリッド・トラドールに宮殿内を案内される。そして通りがかった練兵場内で、側近二人が剣戟を行っていた。
「彼らがわが国の近衛師団です」
「噂のブラックナイツか……彼らが」
 ムウがボソリと呟く。
 それらを意にも介さず、側近二人は切り合いを続けるが、やがて銀髪の青年が赤毛の青年の剣を弾き飛ばした。弾き飛ばされた剣はキラの足元に突き刺さり、キラは少し身を引く。
「やれやれ、シュラには勝てませんねぇ」
 赤毛の青年は、特に悔しそうな様子も、申し訳なさそうな様子もなく肩をすくめる。
 勝利した銀髪の青年は、キラの方に視線を向ける。
「一手、ご指南いただけませんか、ヤマト隊長?」
「あ、いや、僕は……」
「へぇぇ? 剣が使えない隊長さんかい?」
「コンパスっての、案外たいしたことないんじゃない?」
「……それはこないだ実証したし」
 キラが引くと、後ろに控えていた残り三人が煽るように挑発する。
624/10/05(土)23:26:13No.1239939060+
「お客人に失礼ですよ、あなたたち!」
 イングリッドが彼らを𠮟りつけるが、特に意に介した様子はない。
「ちっ! 隊長、ここは俺が!」
「っ、シン!」
 前に出たシンが剣を取る。キラは制止しようとするが、ムウがキラの肩を掴む。
「やらせてみろ」
「えっ?」
「近衛師団長ーーシュラ・サーペンタイン」
「ヤマト隊のシン・アスカ!」
 互いに名乗った二人は、それぞれ剣を構える。シンがまず切りかかるが、
シュラはそれを軽く躱す。シンは続けて切りかかるものの、そのすべてをシュラは何でもないように躱す。そしてーーシュラは大きく飛びあがり、シンの背後に回る。シンもとっさに振り返るが、体勢を立て直す間も無くシンの剣は弾き飛ばされる。シュラの剣はシンの喉元に当てられていた。
「なんだよ、フリーダム・キラーもたいしたことないなぁ」
「まあ、よくもった方じゃない? アハハハッ!」
 団員たちの嘲笑に、キラ達は不愉快さをあらわにする。
724/10/05(土)23:26:45No.1239939297+
「……やはりアスラン・ザラが最強か」
「はぁっ!? 誰があんな……」
「やめろ、シン」
 激昂するシンをキラが止める。しかし、シュラは再度キラに剣を向ける。
「サーペンタイン団長、いいかげんにしてください!」
 イングリッドが再び制止するが、シュラはそれを無視してキラの目を見据える。
「世界を統べるのは、力のある者だけだ。おまえにその力があるのか?」
「……そんな世界、人は望まない」
「ふっ、そうかな?」
 シュラはサーベルを鞘に納める。
「君の指揮で戦うのが楽しみだ」
 そう言うと、シュラは仲間たちを連れて去っていく。イングリッドはそれを呆れた様子で見送る。
824/10/05(土)23:27:11No.1239939479+
「あんたってホント情けないわね! こんなことなら私が出ればよかった」 
「やめてよ、アグネス」
 しょげ返るシンをアグネスがシンを罵倒するが、ルナマリアがかばう。
 すると、その声を聞いたシュラが、ふと足を止めた。
「アグネス・ギーベンラート……『月光のワルキューレ』か?」
「え? ……ええ」
「……強き者は美しい」
「えっ……」
 アグネスは去るシュラをぼうっと見守っていた。
924/10/05(土)23:27:30No.1239939625+
 その夜、王城内の広間で晩餐会が開かれる。キラ達コンパスのメンバーも当然なながら出席していた。
「貴国のご繁栄はかねがね耳にしておりましたが……」
 ピンクのドレスに身を包んだラクスが、向かいに座るアウラと談笑する。
「わが国は年齢や出身を問わず、優秀な人材を登用している。ナチュラル、コーディネイターに関わりなくな。すべて、オルフェの采配じゃ」
 アウラが言い終わるとと共にオルフェは立ち上がり、ラクスの方へ向かう。
「一曲お願いできますでしょうか、姫?」
「……喜んで」
 ラクスはオルフェに差し出された手を取る。二人とも慣れた様子でダンスをこなしていく。
1024/10/05(土)23:27:43No.1239939710+
「しっかし、あんな坊ちゃん嬢ちゃんがあのブラックナイツとはねぇ」
「何なんすかね、あいつら?」
「コーディネイターなんじゃないですか?」
 二人のダンスを見ながら、ムウ、シン、ルナマリアは語らう。
「だろうな。だが……」
「何か?」
「……どうもマトモな軍隊には見えん、ってことだ」
1124/10/05(土)23:27:56No.1239939786+
良いものを読めてよかった
1224/10/05(土)23:28:04No.1239939843+
「私たちも踊りません、隊長!」
「……遊びに来たんじゃないよ、僕らは」
 キラはアグネスの誘いをにべもなく断り、その場を去る。
「よしなよ、もう。隊長にちょっかいかけるの」
 キラに袖にされたアグネスを、ルナマリアは窘める。
「何でよ? 何かいけない?」
「だって、あんた本当に好きなの、あの人?」
 そう言うと、アグネスはどこか見下ろすようなどや顔をして見せる。
「私は適当なところで妥協する気はないの。アンタと違って」
「なっ……」
 ルナマリアの動揺を見届けたアグネスは、さっさとその場を離れる。入れ替わりに、料理を持ってきたシンがやって来る。
1324/10/05(土)23:28:21No.1239939937+
「……いいの? 隊長の事アグネスに言わなくて」
 シンがルナマリアに問う。
「別に言う必要もないでしょ、隊長のプライベートな話だし。そんなに言いたきゃ貴方が言えば?」
「い、いや俺も良いかな……いやまーでも、すげーよなあキラさん。あんな美人二人と同時に付き合うなんてさ」
「私は正直ちょっと引くわね……まあ外野がどうこう言う事でもないけど。て言うか、貴方も私一人じゃ不満みたいな口ぶりね?」
「い、いやそう言うつもりじゃ……」
「言っとくけど、私はああいうの許さないからね!」
「お、俺にそんな甲斐性ないって!」
「ふん、どーだか」
1424/10/05(土)23:28:54No.1239940154+
 ラクスとオルフェは、王城内の薔薇の庭園に出ていた。
「これほど見事な花々も、あなたの目にはまるで映っていないようですね」
 そう言うと、オルフェは薔薇を一本手折り、ラクスに差し出す。
「あなたのために咲いたのです。どうぞ」
「……ありがとうございます。とてもきれいですわ」
「よかった。もしお気に召さなければ、薔薇たちがみんな、がっかりして萎れてしまうところでした」
 気障な台詞にラクスは少し面食らうも、それが似合うだけの気品がオルフェにはあった。
「いい香り……」
「やはり、あなたには笑顔が似合う……あなたのお悩みは、私にもわかります」
「え……?」
「誰しもそうでしょう? 今を生きる者ーー未来への道筋を探し求める者ならば」
 オルフェは続ける。
1524/10/05(土)23:29:19No.1239940315+
「人は争いを望んでいない。しかし一方で、争いはなくならない。コーディネイターもナチュラルも、同じ人間なのですけどね……悲しいことです。人はそんなささいなことを争う理由にする」
「はい……」
「でも、僕はこう思うのです。ささいな違いが問題なのではなく、真に公正ではない社会が問題ではないかと」
「え……?」
「今は誰もが戦火の影を引きずっています。不平や不満は、そういうときに醜い形になる。富の分配が不公平だからーー命の重さが違うからーー適切に評価される社会ではないからーーだから、人は争うのではないかと。誰もが誰かに必要とされる社会、公平で平等な社会を提示できれば……コーディネイターやナチュラルの違いも乗り越えて、世界はきっとより良い方向へ向かうと……僕は思うのです」
 オルフェは、情熱的にここまでを一息で語り切った。
1624/10/05(土)23:29:32No.1239940395+
「すばらしいお考えです。たしかに、そうかもしれませんわね」
「姫にそう言っていただけると、施政を担う者として自信が持てます」
 オルフェは、再度ラクスの手を取る。昼に握手を交わした時と同じ、説明し難い感覚がラクスを襲う。
「僕は、貧困も差別もない世界を作りたいのですよ。そのために、生を受けたと。そして、あなたも……」
 ラクスは何か飲み込まれそうな感覚を覚えるが、何かが自分の内側から働きかけるような感じを覚え、我に返る。
「……申し訳ありません、オルフェ閣下。少し、旅の疲れが出てしまったようで……これにて失礼させていただきます。今日は過分なおもてなしをありがとうございました」
 そう言うと、ラクスはそそくさとその場を去った。
1724/10/05(土)23:29:47No.1239940493+
 キラは、先ほど見た光景に少なからぬショックを受けていた。
 ラクスが、他の男と親密そうに見つめ合うなんて。
 とは言え、自分の立場で彼女にどうこう言える筋合いもなく、モヤモヤだけが募った。
 落ち着くために少し離れたところでキラがくつろいでいると、ルナマリアと出くわした。
「あ、隊長。どうしたんです、こんな所で?」
「まあ、ちょっとね……君は?」
「私はお手洗いに」
「ああ……」
 キラはそれ以上の詮索をやめた。一方、ルナマリアは続ける。
1824/10/05(土)23:30:00No.1239940596+
「ねえ隊長、つかぬ事をお伺いしますけど。アグネスの事どう思ってます?」
「どう、って。別に部下以上でも以下でもないけど。なんでそんなこと聞くの?」
「いや、アグネスとフレイって結構雰囲気似てるからどうなのかなーって」
「は? 何処が?」
 キラの声色に明確な殺気が籠もる。
「……こ、声とか?」
 地雷を踏んだことを察したルナマリアはお茶を濁す。キラは釈然としない様子を見せつつも、一応納得したのかその場を去る。
 ルナマリアはキラが見えなくなったのを確認すると、そのまま壁にもたれかかった。
「こ、怖〜……」
1924/10/05(土)23:30:24No.1239940761+
 ミレニアムに戻ったキラは、気分を落ち着かせるために機体の調整を行っていた。
「お夜食をお持ちしました」
 そこにアグネスが現れる。
「……ありがと。そこに置いといて」
 虫の居所が悪いキラはそっけない返事をしてしまう。しかし、アグネスはその場を離れない。
「……まだ何か用?」
「私、隊長がお気の毒で……あの人、みんなの前で、ほかの男とちゃらちゃら踊ったりして。隊長はこれから危険な戦場に向かうのに……」
「それは、どっちもそれが仕事だし」
「どうして怒らないんですか? あの人、隊長の優しさにつけ込んでるんですよ!」
 アグネスは『背後の気配』を確認すると、さらに畳みかける。
2024/10/05(土)23:31:17No.1239941153+
「私を見て! あの人を見返してやりたいんでしょ?」
「は? 何を……」
 アグネスはキラに近寄り、唇をキラに重ねようとする。アグネスの意図を察したキラは、彼女を突き放す。
「何のつもりだ、君は!?」
「どうしてあんな人がいいの!? 私ならしない! 愛する人を戦場に送り出して、自分は安全な場所でただ見てるなんてこと!」
 アグネスはキラの腕を掴み食い下がる。
「そういうことじゃない! 君は何もわかってない……僕の事も、彼女の事も!」
 キラはアグネスの手を振りほどくと、その場を去る。通路に出ると、ハロのデコレートが施されたおむすびとサラダが台車の上に置かれていた。
(まさか、ラクスが……!?)
 キラは急いでラクスを探すが、どこにも見つからない。
 駆け回るうちに、少し離れた港にまで来てしまった。
 そこに、ラクスではない人影が現れる。
2124/10/05(土)23:31:39No.1239941328+
「タオ……閣下?」
 先ほどラクスと踊っていた、オルフェ・ラム・タオその人だった。
「いい月だ。闇の中に、等しく安らぎをもたらす至高の光ーーそうは思いませんか?」 
「すみません、また後日に……」
「……彼女を追う資格が、君にあるのかな? 失礼だが、君は、彼女にふさわしくない。破壊、憎しみ、そして死ーー君が生み出すのはそんなものばかりだ。違うかい?」
「な……」
「デュランダル議長を討って、君は世界から何を奪った? 秩序、平和、争いのない社会ーー人々が失ったものに見合う働きを、君はしていると言えるのかな?」
「……未来は他人の手によって決められるものではありません」
 オルフェのまるで責めるような物言いに、流石のキラも反論する。
「ほう、では君が選んだ『未来』とやらは一体何を世界にもたらした? 未だ終わることの無い戦いの連鎖と、君の手を更に血塗れにしただけではないか」
「……っ」
 キラは何も言い返すことが出来ずに顔を歪める。
2224/10/05(土)23:31:58No.1239941452+
「人の運命は変えることはできないよ。……君のその忌まわしき出生と同様にね」
「!?」
 キラはオルフェの発言に動揺する。
(この人は、僕の事を知っている……!?)
 しかし、彼がかつてデュランダルと懇意だったという話を思い出し、彼から聞いたのだろうとひとまず自分を納得させる。しかしキラの動揺にかまわず、オルフェは続ける。
「デスティニープランを提示された世界は、もう戻ることはない。君も分かっているだろう? 皆、決めて欲しいんだよ、自分に出来ること、望まれることを。彼女はそんな世界を導く光だよ。そのかたわらに立てるのは、同じく世界を導く者だ」
 オルフェは、まるで演説を行うように語りかける。
「私ならできる。彼女の望む世界ーー戦いの連鎖もない、安定と調和の世界を創り出すことが。私には」
「そんなこと……」 
「少なくとも、君にはできない。戦うことしかできない君では」
 そう言い捨てると、オルフェはその場を後にした。
2324/10/05(土)23:32:20No.1239941591+
 その頃、ラクスは王城の外れにある湖畔の東屋に居た。先ほどアグネスが言い放った台詞が、脳内にリフレインする。
(……フレイさん、やはり私は……)
「眠れないのですか?」 
「……オルフェ閣下」
 再び、オルフェが現れる。ラクスはその場を去ろうとするが、オルフェは引き止める。
「どうぞ……私のことなど、月の作った影とでも思って」
 相変わらず気取った物言いだが、今のラクスにはそれが心地よかった。
「……どうすれば、これらすべてが終わるのでしょう? 誰も戦わず、許しあって暮らすことが、なぜこんなにも難しいのでしょう?」
 うなだれるラクスに、オルフェは微笑みかける。
「終わらせる事が出来ますよ、我々には。私は、あなたをお助けするためにここにいる。ただ、そのためだけに」
 オルフェは、三度ラクスの手を取る。先ほどと同じような感覚にラクスとオルフェは包まれる。
2424/10/05(土)23:32:34No.1239941687+
「あなたは……誰なのですか?」
「私はオルフェ・ラム・タオ。あなたと対になり、この世界に平和を取り戻すことができる者」
「そのようなことが……? でも……」
「私はそのために生を受けたのです。与えられた使命を果たすために。そして、あなたも」
 二人は、そのまましばらく見つめ合う。そしてそんな二人を陰から見る者達……キラとイングリッドの存在に、気付くことはなかった。
2524/10/05(土)23:32:56No.1239941874+
 深夜、王城内。
「参ろう、子どもたちよ……新たな未来へ」
 ブラックナイトスコードの隊員たちは、主君であるアウラの側に控えていた。紅一点のリデラートと、マスクをしたダニエルは、アウラに甘えるように寄り添い、頭をなでられている。
「『感じた』んだろう、オルフェ?」
 シュラがオルフェに問いかける。
「ああ……長い空白にも、まったく損なわれていなかった……間違いなく、彼女は我々のものだ……」
 オルフェが充足感に満ちた表情で答える。しかし、そこに口挟む者もいた。
2624/10/05(土)23:33:06No.1239941957+
「んー、ラクス姫基本的に凄くいい感じなんだけど。なんか私達とちょっと違う感じもしない?」
 リデラートが仲間達に問いかける。
「あー……」
「確かに、何とも言えませんが……」
 実のところ全員が似たような違和感を覚えていたが、それが何なのかは分からなかった。
 とは言え彼女は自分達と違って特別なので、そういうものなのだろうとも早々に割り切ってしまった。
 オルフェもラクスとの感応に今までにない充足感を覚えていたが、同時にラクスの中に存在するもう一つの気配に違和感を覚えていた。
 ただ、彼からすると、何故かその気配は堪らなく不愉快なものに思えた。
「まあよい」
 答えの見えない問題にアウラは話を切り上げさせる。
「そなたたちの運命のままに。全て、始めから決まっていた通りに」
「世界がそなたらを待っている」
2724/10/05(土)23:37:10No.1239943893+
どうもお久しぶりですキラフレ「」です
長引く暑さに参るやらプライベートで色々立て込むやらで更新が遅れたことをまずはお詫び申し上げます
いやでも自由は脚本の完成度が非常に高くてフレイが出てこない部分は全く弄りようが無いですね
物書きの端くれとして凄いなと思います
最後に今までのまとめです
https://www.pixiv.net/novel/series/11861256
今回投稿分は20話です
ではありがとうございました
2824/10/05(土)23:47:16No.1239948136+
まるでフレイが出てくる部分があったかのような書き方だなって思ってしまった


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