二次元裏@ふたば

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162598 B24/09/02(月)06:37:11No.1228471388そうだねx1 10:27頃消えます
トレセン主導の元、トレーナーに向けた数種類の特別講習会が開かれることになった。せっかくだし何か受講してみようと思ったグラスワンダーのトレーナーは、自分は芸術に疎いのが弱点だと考え、絵画教室を学んでみることにした。

「えーそれでは皆様にはウマ娘を描いてもらいます」

絵画と言うから風景画や建物などを描くのかと勝手に予想していたが、お題はなんとウマ娘。これなら自分でも結構上手くやれるかもしれない、とやる気が俄然沸いてくる。

「日頃ウマ娘の子達と接している皆様なら難しくはないはずです。ただし、自分が担当したウマ娘を描くのは無しですからね〜」

なるほど。見慣れすぎた担当の姿を描いても確かに簡単すぎて面白く無いだろう。問題無い。担当以外のウマ娘に関するデータもばっちり頭の中に入っている。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/09/02(月)06:38:27No.1228471483+
「調子はどうですか」

30分ほど経過してから声をかけられた。真っ黄色のスーツ姿で近寄ってきたのは、同じくこの教室に受講生として参加しているコパノリッキーのトレーナーだった。

「お疲れ様です。我ながらよくできていると思いますよ。よかったら休憩がてら、お互いの絵を見せ合いませんか?」

いいですねとコパノリッキーのトレーナーは自分の席に絵を取りに戻った。二人はお互いに、相手より上手く描けているという自信があった。
224/09/02(月)06:39:04No.1228471538+
「では私から……いかがですか?」

コパノリッキーのトレーナーから先に絵を見せてくれた。目を疑った。とても上手い。明るい笑顔のウマ娘たちが生き生きと描かれている。少し絵柄が古く感じるが、プロと比べても遜色無いだろう。

「驚いた。まさかここまで上手いとは。ただ一つ気になるんですが」
「なんですか?」

描かれたウマ娘の全てが口を開けて笑っているのだが、よく見ると小さな八重歯が生えている。ホッコータルマエにも、ワンダーアキュートにも、アグネスデジタルにもだ。

「この子たちって、八重歯生えてましたっけ?」
「……」

何故黙る。八重歯が好きなのだろうかこの人は。
微妙な空気になってしまった。沈黙を破ったのは教室の奥から聞こえてきた歓声だった。
324/09/02(月)06:40:23No.1228471623+
「みんな見てよ、アストンマーチャンのトレーナーさん、すごいのよ」

自身の担当ウマ娘であるアストンマーチャンの日常を描いた4コマ漫画をブログにアップし続け、遂には書籍化まで果たしたトレーナーがこの教室に参加していた。
グラスワンダーとコパノリッキーのトレーナーもどれどれと足を運び野次馬になる。やはり上手い。コパノリッキーのトレーナーも上手かったがそれ以上だ

「流石、書籍化したプロは違うわねえ」
講師の先生まで足を運び、素直に感嘆している。

「ただ、一つ気になるのだけど……」
「なんでしょう」

着ぐるみが初めて喋った。おそらく先生が感じている違和感は、この場にいる全員が気付いたことだ。
「どのウマ娘も、側に別のウマ娘がいるわね…それも皆栗毛の、王冠を被った…」
424/09/02(月)06:41:02No.1228471670+
講師の先生は存じなかったようだが、これはアストンマーチャンだ。渦中の着ぐるみ絵師の描いたウマ娘達はいずれもアストンマーチャンの人形を抱え、頭に乗せ、あるいはアストンマーチャン本人が後ろから覗いていたりとさまざまなシチュエーションでアストンマーチャンと共存している。

「まあ、担当の子以外も描いているのならいいのよ。オホホホ…」
着ぐるみがニッコリと笑った気がした。

しかし本来描かれるべきはずの担当外ウマ娘達より、アストンマーチャンの方が気合を入れて描かれているように見えたのは気のせいだろうか、とグラスワンダーのトレーナーは思った。
524/09/02(月)06:41:46No.1228471718+
「では、貴方の絵を伺いましょう」
二人が元の席に戻り、次はグラスワンダーのトレーナーが自分の描いた絵を見せる番だ。

「あまり自信はありませんが…」
「おお、これは…!」
まるで水墨画だった。筆ペンを持参して描いたらしい。
「雰囲気があっていいですねえ」
「お恥ずかしい限りで…」
「ただ、これ……」
コパノリッキーのトレーナーが怪訝そうに絵を指さして尋ねる。

「この子は、グラスワンダーでは?」
「いいえ、サイレンススズカですよ」
前者の問いかけに、後者はきっぱりと自信たっぷりに言い切った。
624/09/02(月)06:42:52No.1228471806+
「では、この子は…」と別の絵を指差す。
「グラスワンダーですよね?」
「その子はマンハッタンカフェです」
随分と前髪の邪魔そうなグラスワンダーだ。とコパノリッキーのトレーナーは思った。
「こちらは?」
「メジロパーマーです」
「こっちは?」
「スーパークリークです」
「これは?」
「ナカヤマフェスタです」

どうやら全てグラスワンダーに見えたのは勘違いだったらしい。
「全部グラスワンダーじゃないんですか!?」
「ちがいますよーっ」
グラスワンダーのトレーナーはこれだから素人はダメだ…もっとよく見ろとまた違う絵を出してくる。
724/09/02(月)06:43:23No.1228471842+
「この子はマルゼンスキー。自信作です」
ちょっと古臭い雰囲気のグラスワンダーだった。

「これはスティルインラブ」
ヴェールを被ったグラスワンダーだ。

「こっちはゴールドシチー。綺麗ですね」
金髪のグラスワンダー。

「エルコンドルパサーも描きましたよ」
マスクを被ったグラスワンダーだ。

かくしてコパノリッキーのトレーナーに密告され、グラスワンダーのトレーナーは講師の先生からお叱りを受け、一人だけ居残り授業をさせられたのであった。
824/09/02(月)06:44:43No.1228471929+
「まあ、そんな事が……」
「はは…笑ってくれ…」
噂が広まったせいで、肝心の担当にも知られてしまった。これ以上の辱めがあるだろうか。

「それだけ私を好きでいてくれたって事ですよね、嬉しいです♪」
「グラスは優しいなぁ」

「さてと、トレーニングに戻りますね」
椅子に座っていたグラスワンダーは立ち上がると、学校指定の鞄から林檎を一つ取り出してトレーナーの方へ放り投げた。いつの間にか手にしていた薙刀が高速で振るわれる。

「りんご、剥いておきましたので…休憩して食べてから来てください♪」
「あ、ああ…ありがとう」

トレーナーが手にした林檎を見ると、皮は完全には剥かれておらず、よく見るとそこには自分の似顔絵が刻まれていた。
「グラスは良い子だなあ」
924/09/02(月)06:45:26No.1228471979そうだねx7
終わり。グラスワンダーは可愛いね
1024/09/02(月)06:51:27No.1228472423そうだねx1
コパトレはマーベラスサンデーを描け
1124/09/02(月)06:54:08No.1228472643+
リッキー(のトレーナー)真面目にやって!
1224/09/02(月)06:58:26No.1228472964+
しれっととんでもない技術披露してんなグラス…
1324/09/02(月)06:58:33No.1228472986+
相対的にリッキーのトレーナーが1番マシになってしまった
1424/09/02(月)06:59:43No.1228473074+
何描いてもメーテルになる松本先生みたいな
1524/09/02(月)07:01:25No.1228473174そうだねx1
マルゼンスキーを描いてグラスワンダーになったの知られたら斬られそう
1624/09/02(月)07:09:07No.1228473725+
リッキートレはあらいずみるい宿してるんです?
1724/09/02(月)07:21:31No.1228474792+
黄色いスーツ着こなせるのすごい
1824/09/02(月)07:24:31No.1228475050+
まるでリッキーのトレーナーがリッキーのこと大好きみたいじゃん
1924/09/02(月)07:36:48No.1228476258そうだねx2
誰もいまさら触れないけどあの着ぐるみが普通に座って普通にプロの仕事を披露してるのは異常なんだわ
2024/09/02(月)08:25:30No.1228482865+
>黄色いスーツ着こなせるのすごい
なんかゲッツとか言いそうな感じになったな…
2124/09/02(月)09:54:42No.1228496760+
コパトレは超今風なのか…


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