二次元裏@ふたば

画像ファイル名:1724486676216.jpg-(70502 B)
70502 B24/08/24(土)17:04:36No.1225443089+ 18:29頃消えます
 南アフリカ共和国・プラント経済特別区オルドリン自治区。
 真夜中の当市に、カナジ郊外から飛来したMSが飛来する。
 内訳は、大半がウィンダムと105ダガー……そして、デストロイ一機。
 前触れもなく襲来した一群は、ザフトの防衛基地を襲撃後、市街地への攻撃を開始する。守備隊も必死に攻撃を加えるが、肝心のデストロイには陽電子リフレクターで弾かれ傷一つ付けられない。
 そうする内にデストロイの主砲、アウフプラール・ドライツェーンが火を吹く。道路一帯ごと防衛隊のジンと市民を見境なく焼き払う。
 そして、一機のウィンダムが、市民が避難する教会に襲い掛かる。思わず身を縮める避難民。
 しかし、直後にウィンダムの頭が上方から放たれたビームに撃ち抜かれる。
 人々が空を見上げると、遥か上空から四機のMSが飛来した。
このスレは古いので、もうすぐ消えます。
124/08/24(土)17:04:56No.1225443191+
 内二機は戦闘機のような姿から、現場に到着するや否や人型形態に変形する。その姿は前大戦・前々大戦で活躍した、自由と正義の名を冠する英雄の姿に瓜二つだった。
 残り二機の内、片一方はザフトの象徴・ジンをそのまま発展させたような姿の赤いMS。もう一方はザフトのデザインラインをなぞりながらも、既存のどれとも似ていない、まるで白い騎士のような姿をしていた。
「こちらは世界平和監視機構コンパス。攻撃部隊に告ぐ。直ちに戦闘を停止せよ」
 アナウンスを行うのは、コンパスヤマト隊隊長、キラ・ヤマト。
 しかし敵はアナウンスに従う様子はなく、デストロイは周囲にビームを撒き散らしながらMS形態に変形。ヤマト隊に砲撃を開始する。
「またこんなものを……! くっ!」
 キラは周辺のウィンダムとダガーを無力化しつつ、デストロイと交戦を開始する。
224/08/24(土)17:06:03No.1225443526+
 一方、残り三機のコンパス機は市民の防衛を行いつつ反撃を開始する。
「アグネス、援護しろ!」
「何言ってんの? 私の機体は近接専用。援護はあんたよ!」
 赤いMS――イモータルジャスティスのパイロット、シン・アスカと、白い騎士MS――ギャンシュトロームのパイロット、アグネス・ギーベンラートが軽口をたたき合いつつMSを撃破していく。
 一方、キラはデストロイの攻撃を軽やかにかわしつつ、デストロイを一瞬で無力化した。
「くそ、出る幕ないじゃん……」
 シンはぼやきつつ、ビームブーメランで敵MSの頭のみを器用に破壊した。
 そうする内に、敵部隊が後退を始める。
 そこに、ザフトの司令部から伝達が入る。
『オルドリン防衛司令部より達する。この戦闘の裏にはミケールが居る。カナジを制圧し、ミケールを引きずり出せ』
 その命令とともに、ザフト駐留軍が『反撃』を開始する。
324/08/24(土)17:06:34No.1225443660+
「何だって!?」
「マジ?」
 シンとアグネスは驚愕する。
「警告します、進軍を中止してください! ミケール大佐はここには居ません! これ以上の戦闘継続は、市民への被害があります!」
 キラが警告を発するも、ジンたちは攻撃の手を止めない。
「……形勢が変わればこれかっ!」
 キラは止む無く、追撃部隊のジンを無力化し始める。
「引っ込んでろ! 奴らはミランの仇!」
「何故分からないんだ!」
 キラは激昂しつつ、背後から襲い掛かるウィンダムとダガーの無力化も行う。
「隊長……」
「……やっぱりシンとは格が違うわね♪」
 そして夜が明けるとともに、ようやく戦闘は停止した。
 キラは無言でビームサーベルを収納すると、その場で一息をついた。
424/08/24(土)17:06:57No.1225443775+
『734よりCP。市内北部居住区に多数の要救助者あり。市民病院へ移送する』
『CPより734。市民病院は被災のため受け入れ不能。仮設救護所の開設を待て』
『こちら312。火災が酷くて手が付けられない。消火部隊を要請する……』
『165よりCP。橋梁崩落の為消防車が通行できない……』
 遅れてやって来たアークエンジェル隊とヤマト隊は合流する。
「キラ・ヤマト准将以下四名。乗艦許可願います」
「許可します。お疲れ様」
「よう、全機特に問題はなさそうだな。どうだ、新型には慣れたか?」
 アークエンジェル艦長、マリュー・ラミアス、およびその公私のパートナー、ムウ・ラ・フラガは四人を労う。
「はい」
「ええ、まあ……」
 シンとルナマリア・ホークも相槌を返す。
「……被害の状況は?」
「……今のところは死者249名。うち民間人が60名。多分もっと増えるわ」
 キラの質問に、マリューは暗い顔で返す。
524/08/24(土)17:07:11No.1225443839+
「今回も母艦は無し。MS部隊だけで一気に奇襲だ」
「ミケールのネットワークですね」
「だけど彼の参戦はフェイク。ザフトに国境侵犯させるのが狙いね」
「自分の名前をエサにすりゃ釣り出せると確信してるんだろ? ドマ、エーロン、ライハと毎度同じ手口だ」
「……アイツら、こんな事いつまで続けるんですか!? 最初っから帰還を想定しない作戦なんて、パイロットも機体も持ちませんよ!」
「でも続いてる。だから問題なんだ……!」
 シンの遣る瀬無い怒りに、キラも静かに答えを返す。
「根の深い問題だぜ。実際……」
 ムウが締めくくりつつ、キラ、マリュー、ムウの三人はその場を後にした。
624/08/24(土)17:07:22No.1225443892+
 プラント・アプリリウス市。プラント最高評議会ビル。
「わが軍の被害をクライン総裁はご存じないか! ブルーコスモスの一方的な侵攻を受けたのはこちらなのだ! 兵の心情を慮れば、ヤマト隊長の行動は無慈悲に過ぎる!」
 会議の場でプラント国防委員長・ジャガンナート中佐が大声でがなる。
 それを、コンパス総裁、ラクス・クラインは暗い顔で聞いていた。
724/08/24(土)17:07:36No.1225443969+
「ラメント議長、ご心配をおかけしました」
「いえ……しかしジャガンナートなどは厳しい事を言わざるを得んのですよ。軍内部の憤懣は高まっていると聞きます」
 会議後、ラクスと現プラント議長、ワルター・ド・ラメントは道すがら語り合う。
「ええ……まだコンパスが矢面に立っている内は暴発するようなこともないでしょうけれど」
「それも限度がある。憎しみを忘れられんのは愚か者と理解してはいても、やはり我らも感情に支配される。失ったものがあまりに大きすぎましたからな」
「はい……」
「結局カナジにミケールは?」
 ラクスは無言で首を横に振る。
824/08/24(土)17:07:48No.1225444035+
「やはり彼の潜伏先はユーラシアの軍事緩衝地帯ですか……」
「その可能性が高いと」
「そこまで分かっていても、手が出せないのが我らの現状ですな……」
「ええ……」
「ところで、ミレニアムが戻るのは一ヶ月ぶりでしたかな? 准将は、今回こそ少しは休養できるのですかな?」
「はい、予定では」
「それは良かった。……しかし、何度かお会いしてはいますが、不思議な男ですなあ、ヤマト隊長は」
「?」
「おおよそ戦場には似つかわしくない静かな印象ですが……今はこの戦争の矛盾を一人で背負おうとしているようだ」
「……優しいのです、彼は」
「なるほど……」
924/08/24(土)17:08:09No.1225444167+
 執務室に戻ったラクスは、モニター越しにオーブ首長国連邦首長にして義姉となる人、カガリ・ユラ・アスハと対談する。
『以上が、ファウンデーションのアウラ女帝からの申し出だ。プラントにも同じものが届いていると思うが』
『かの国は、ミケールの所在をかなり正確に掴んでいるようです。協力する意義はあると思うのですが』
 カガリの背後に控える秘書の少年、トーヤ・マシマが意見する。
『そうだな……だがトーヤ、物事には表と裏があるんだ』
「見返りは何なのでしょうか?」
『コンパスへの参加という話だ』
「それをきっかけに独立国として国際社会に認められようと?」
『おそらくな。ファウンデーションは独立後、技術・経済共に目覚ましい発展を遂げているが、当然ユーラシアとの関係は良くない。なにせユーラシア各地がそれをきっかけに独立の嵐だからな』
『いわゆるファウンデーション・ショックですね』
 トーヤが補足する。
1024/08/24(土)17:08:20No.1225444226+
「なぜそれほどまでに目覚ましい復興が可能だったのでしょう?」
『宰相のオルフェ・ラム・タオの手腕と聞いている。デュランダル前議長がその才能を認めたという……っ、総裁は、デスティニープランを疑っているのか!?』
「いえ、そういう訳では……わたくしたちは、デュランダル議長の示す未来を否定しました。ですがその可能性に惹かれる人も多いはずです。その人達までも否定することは出来ません」
『……確かにな』
「それに今、コンパスへの参加を認めると、コンパス理事国とユーラシアの関係が更にこじれる可能性も……」
『そうだな……だが半年前のフリーダム強奪事件ではオーブも彼らに借りがあるからな。ラクスは、反対か?』
「……少し、考えさせてください」
1124/08/24(土)17:08:33No.1225444316+
 仕事を終えたラクスは、定期便のシャトルで月面都市のコペルニクスに向かう。
 プラント内に居を構えてもよかったのだが、『もう一人の同居人』の都合上それは不可能に近い為、月の中立都市に新居を設ける必要があった。
 宇宙港から出たラクスの元に、一台の自動車が停車する。
「おかえりなさい、ラクス」
 運転していた赤いショートヘアの女性はサングラスを外すと、ラクスに気さくに挨拶する。
「ただいま、フレイさん」
 友人にして愛する人を共有する、フレイ・アルスターだった。
「キラは?」
「今日も残業です」
「はぁ……また?」
1224/08/24(土)17:09:17No.1225444521+
 フレイの運転ーーと言っても、殆ど自動操縦だがーーで、二人は帰途につく。
 食事は既に用意されていた。キラに連絡を入れると、先に食べておいてと返信が来た。
 キラのいない食卓で、二人は向かい合って夕食を取る。
 家事に専念するようになったフレイの料理の腕前は既にプロ級になっており、ラクスとしても尊敬するものはあった。
 二人は、少し食事の手を止めて語り合う。
「『血のバレンタイン』から早5年。未だ世界は右を見ても左を見ても紛争にテロだらけ。この状況で世界にキラの力が必要なのは分かるのよ。それでも、嫌なものは嫌」
「……英雄のいない時代は不幸であるが、英雄が必要な時代はもっと不幸である、とはよく言ったものですわね」
1324/08/24(土)17:09:40No.1225444661+
「アンタも引きこもりたきゃ引きこもってていいのよ。別に誰も責めはしないわ」
「どんな形であれわたくしが表に出ていないと、第二第三のミーアさんが現れる可能性があります。歌姫にしろ政治家にしろ『ラクス・クライン』の名と姿には幾らでも使い道がありますから。それだけは、絶対に避けねばなりません」
「アンタ自身はそんなもの望んでもないのにね。大変ね、『ラクス・クライン』も」
「ええ、大変なのです」
「そんな状況で私に出来ることといえば、そんなキラにご飯と一時の『癒し』を与えるくらい。結局、私の在り方は4年前から本質的に何一つ変わってない。それこそアンタみたいに政治でもできればまた違ったんだろうけど」
「最終的にキラの無事を祈るしか出来ないのはわたくしも同じことです。むしろキラを直接戦地に送っている分、より罪深いのはわたくしでしょう」
 ラクスは箸を置くと、目を伏せ俯く。
1424/08/24(土)17:09:55No.1225444746+
「……昔言ったとおり、最初から私が評議会に残っていればよかったのかもしれません」
「言ったでしょ、未来の事なんか誰も知りえないのよ。デュランダルがあんなヤバい奴だなんて誰にも分からなかったんだから、あんたのせいなんかじゃないわ。……振っといてなんだけど、もうこの話止めましょう」
「そうですわね。ところで、フレイさん」
「何?」
「最近、料理の味付けが少し酸い気がするのですが」
「そう? 普通じゃない?」
「……」
「しっかし帰って来ないキラもキラね。今度コロッケの代わりにタワシでも出してやろうかしら」
「流石のキラでもタワシは消化できませんわ……」
「いや、分かってるから」
1524/08/24(土)17:10:20No.1225444878+
 食事を終えた後二人でキラを待っていたが、結局ソファーで肩を並べて眠りこけてしまった。
 ーーまどろみの中、ラクスは夢を見る。
 霞がかった混濁した世界の中を、ラクスは一人で歩いている。
「……キラ?」
 少し先に愛する人の姿を見つけ、ラクスは思わず呼び止める。しかし、振り向いたキラの表情は暗い。
「どうしたのですか、キラ!」
 その瞬間、キラに見たこともない金髪の青年の顔がだぶる。
 思わず駆け寄ろうとするラクス。しかし、ラクスはその場から動けなかった。
 何か小さな手のようなものが、彼女の手を引きその場に留めようとしている。
 思わず振り返った瞬間、ラクスは目を覚ました。
1624/08/24(土)17:10:35No.1225444958+
 隣には、寝息を立てているフレイ。自分と彼女に毛布が掛けられている事に気づく。
 周囲をうかがうと、少し離れた机で、いつの間にか帰ってきていたキラが椅子の背もたれに寄りかかり眠りこけていた。
 ラクスはフレイを起こさないようそっと立ち上がり、キラの所へ向かう。
 キラはどうやらアルバムを見ていたらしく、机の上に写真が広げられていた。
 幼年学校時代に撮ったであろう、幼いキラとアスランが肩を組む写真。
 ヘリオポリスの頃の、ゼミのメンバー五人で撮った写真。
 マリュー、ムウ、ナタル、ノイマン、チャンドラの五人で撮られた写真。
 オーブのコテージが完成した時に撮ったと聞いた、ヤマト親子とフレイが映る写真。
 前大戦の逃避行時に撮った、自分とフレイとカガリの写真。
 少し前のデートで撮った、自分とキラとフレイの三人が映る写真。
 何故キラがこれを見ていたのかは分からないが、何となく良くない理由な気がしたので、ラクスは後で聞く気にはなれなかった。
1724/08/24(土)17:11:03No.1225445123+
 久々の休暇でオーブに戻った三人は、海岸沿いをキラの運転するスポーツカーで飛ばしていた。
 助手席はフレイ、後部座席にはラクス。席順はデート毎に交代で決めていた。
 行先は、穴場である桜の名所。島の外れにあるため、比較的人が少ないのが特長だった。
 到着した三人は、持参したマットと弁当を広げる。弁当の大半はフレイが作ったものだが、ラクスも少し手伝った。
「ミケール大佐は、ユーラシア国境のエルドア付近に潜んでいる異様ですわ。その逮捕に協力したいと、ファウンデーションのアウラ陛下から親書が届きました」
「それで、ラクスはどうしたいの?」
「……正直、迷っています。キラは、どう思われます?」
「そうして聞くの?」
「そ、それは……」
 ラクスは言葉に詰まる。それを打破したのは、フレイだった。
「全く、休暇中も仕事の話? よしなさいな。ほら、辛気臭い話は終わり! 貴方達も食べなさい!」
 そう言うと、フレイはキラの口にから揚げを押し込む。キラの口内にジューシーな味わいが広がる。
1824/08/24(土)17:11:09No.1225445160+
フレイ生存いいぞ!
1924/08/24(土)17:11:27No.1225445257+
「美味しい?」
 フレイはキラに微笑みかける。
「……うん、美味しいよ」
 お世辞ではない。この3年で、フレイの料理の腕前は格段に上がっていた。彼女が自分の為にここまでしてくれたという事実に、キラは嬉しさと一抹の申し訳なさを感じていた。
 ラクスも同じくから揚げを口に運ぶ。その顔から、かすかな笑みが零れる。
 キラはから揚げを飲み込むと、ラクスに語りかける。
「……それで終わるなら、僕が反対する理由はないよ。正直、僕も疲れてるのは事実だから。これで終わりにできるなら、それが一番いい」
 キラはラクスに微笑みかける。
「キラ……」
「だから、その話も終わりって言ったでしょ!」
 フレイは、キラの口にもう一つから揚げを押し込んだ。
2024/08/24(土)17:11:39No.1225445348+
 夜、コテージ。
 ふと目が覚めたキラは、ベッドから上半身を起こす。服は何も着ていない。両隣には、同じく一糸纏わぬ姿のフレイとラクスが静かな寝息を立てて眠っている。
 キラは二人を起こさぬようにそっとベッドを抜け出すと、コテージの玄関の窓から顔を出す。雲一つない夜空には、月がこうこうと輝いていた。
 つい一年前にあそこで世界の命運を決める戦いを行ったという事実を、キラは未だに実感できないでいた。デスティニープランを止めたことを後悔はしていないが、終わりの見えない戦いに疲れを感じているのも事実だった。
 キラは、二人が眠るベッドの方を振り返る。静かに上下する毛布の動きを眺めながら、自分はこれを守るために戦っているのだと己に言い聞かせた。
2124/08/24(土)17:11:52No.1225445420+
 一方、L5宙域のプラント・アプリリウス市宇宙港。ドックに格納されたスーパーミネルバ級MS惑星強襲揚陸艦・ミレニアム内。
「俺、やっぱ信頼されてないのかな……」
「はあ?」
 シンのつぶやきに、ルナマリアが反応する。
「いや、隊長結局いつも一人で戦ってるし」
「でも、それで被害も抑えられてるって」
「そうなんだけどさ! じゃあ、俺達は一体何なんだよって。隊長、言ってくれただろ? あの時俺に、一緒に戦おうって……」
「うん……」
「あの言葉に感動して、俺もコンパスに入ったのにさ」
「で、またうじうじ考えてるわけ?」
「そんなんじゃなくてさ! だから、何て言うか、もっと役に立ちたいんだ、キラさんの……」
「シンはジャスティスを任されてるじゃないの。信頼されてないなんて……」
 しかし、ルナマリアは最後まで言い切れなかった。ドアが開くと共に、第三の人物が現れる。
2224/08/24(土)17:12:06No.1225445499+
「信頼なんてされてるわけないじゃない! フリーダムキラーなんて呼ばれてたアンタが」
 アグネスが、会話に割り込んでくる。
「フリーダム、キラー?」
 初めて聞く単語に、ルナマリアが疑問を示す。
「あら、知らなかったの? おめでたいわね。いつ背中から撃ってくるかもしれない人、私だったら横に居てほしくないもの」
「アグネス……」
「ねえ、譲りなさいよ、ジャスティス。アンタが乗ってても宝の持ち腐れよ。アカデミーじゃ技術も評価も私の方が上だったじゃない?」
「ちょっと、アグネス!」
 ルナマリアが窘めるが、アグネスは止まらない。
2324/08/24(土)17:12:23No.1225445586+
「大戦の時もおかしいと思ってたのよね、アンタがフェイスだなんて。でも結局、デュランダル議長にとってちょうどいいコマだったって事でしょ?」
「いい加減にしなさい!」
 ルナマリアが叱りつけると、アグネスはどこ吹く風とばかりにその場を去って行った。
「シン、アンタも言われっぱなしで良いの!?」
「……だって、キラさんを殺そうとしたのも、議長のコマだったのも事実だし……」
「……」
 シンは、珍しくしおらしい態度を見せる。ルナマリアも、それ以上何も言えなかった。
2424/08/24(土)17:12:37No.1225445673+
「じゃあ、行ってくるよ」
「行ってきますわ」
「気を付けてね」
 休暇明け、キラとラクスはオーブの港へ向かおうとする。
 地球での作戦なので、一旦オーブでアークエンジェルに拾ってもらいミレニアムと合流する手はずとなっている。フレイはコテージの掃除やメンテナンスをしたいため、この後もしばらく地球に残る予定だった。
 フレイは、出発しようとする二人を見送ろうとする。しかし。
「……すみません、少しお花を摘みに行ってきます」
 ラクスが急にトイレに行きたいと言い出した。
「早めに済ませときなさいな」
「申し訳ありません……」
2524/08/24(土)17:12:53No.1225445756+
「ゔっ……」
 ラクスは、洗面台に盛大に嘔吐する。
「もう2ヶ月来ていない……結果も陽性……確定ですわね」
 当初は何かの間違いか別の『胤』を疑ったが、他ならぬ自分がキラしか知らないのだから、有り得ない仮定だった。
「ああ、信じられない……」
 ラクスは、感慨深げに自分の下腹部をさする。正直な所、殆ど望みは持っていなかったし、望みもしなかった。しかしそれは現実として起きている。
 だが喜びもつかの間、待ち受けるもう一つの「現実」に思い至り、ふっと冷静になる。
(私にとっては喜ばしいことではありますが……キラやフレイさんには何と説明しましょうか)
2624/08/24(土)17:13:05No.1225445825+
 フレイには以前、キラとの間には出来ないだろうと告げた。そして彼女はそんな自分に同情してくれた。
(裏切られた……と思われても仕方ありませんわね)
 ひょっとしたら不義を疑われるかもしれないし、そもそも「先に作るな」と言う条件で傍に置かせてもらったのに、まさか先にこうなってしまうとは思わなかった。
 キラは……きっと喜んではくれるだろう。しかし、籍を入れていない自分のこれに関して周りから何を言われるか分かったものではない。
 それに、そんな事以上に気になることがひとつあった。
「……最悪、私一人で育てることも考えるべきなのでしょうね」
 ラクスは一人呟いた。
2724/08/24(土)17:13:16No.1225445886+
 二人が出発した後、フレイはさっそく掃除に取り掛かる。まずゴミ箱のゴミを集めようと考えたが、久々に帰ってきたばかりでそんな物は殆どないという事に思い至る。
「ま、まずはトイレからかしらね……」
 フレイはトイレに向かうと、サニタリーボックスを開ける。ラクスの生理周期は把握しているため、ここだけは掃除が必要だと考えたからだった。
 しかし、蓋を開けると織物は入っておらず、代わりに何か棒状の物が一つ入っているだけだった。
「これは……」
 手に取ると、それは棒状の簡易検査キットだった。
 フレイは無表情で、その陽性の検査薬を見つめていた。
2824/08/24(土)17:13:16No.1225445891そうだねx1
なにここ
2924/08/24(土)17:13:48No.1225446057+
久し振りの方もはじめましての方もこんにちは
キラフレ「」です
自由編始まります
ヒット作だし配信は早めに来るだろうな〜とは思ってましたが公開終了半月で来てびっくりですね
まあここまで来たら最後までお付き合いいただけたらと思います
分量としては多分5〜6話くらいでひと月ぐらいで完結する予定です
本作を書く上で何回か映画を見返したんですがやはりいい作品だと思う一方
この前向きな雰囲気にどうしてアグネスは居るのにフレイは存在を許されなかったんだろうみたいなモヤモヤを抱えてしまいます
やはり漫画でも小説でもいいんで公式のフレイ生存IFみたいなのは見てみたいですね
ではもうちっとだけ続くんじゃという事でよろしくお願いします
3024/08/24(土)17:14:10No.1225446181+
これまでのまとめです
https://www.pixiv.net/novel/series/11861256
今回分はALTER PHASE-19になります
3124/08/24(土)17:14:19No.1225446245+
>この前向きな雰囲気にどうしてアグネスは居るのにフレイは存在を許されなかったんだろうみたいなモヤモヤを抱えてしまいます
わかるよ…
ありがとう3Pエッチ最高
3224/08/24(土)17:15:06No.1225446521そうだねx4
小説コピペ野郎め…とか思ってたらなんか始まった…
3324/08/24(土)17:15:38No.1225446704+
生きとったんかワレェ!
3424/08/24(土)17:15:50No.1225446772+
ラストのロマンティクスがどうなるか楽しみ
3524/08/24(土)17:16:34No.1225447016+
ステラが声出せるならフレイも出して欲しかったよな…
3624/08/24(土)17:17:56No.1225447453+
>生きとったんかワレェ!
はい生きてます
もう少し早く書き始めたかったんですがマイクラにはまってここまで伸びてしまいました
3724/08/24(土)17:20:11No.1225448222+
死んだ人がみんな許されない存在ってわけじゃないからな…
だから戦争はクソって話で
3824/08/24(土)17:20:18No.1225448273+
>生きとったんかワレェ!
これコズミック・イラの挨拶みたいで好き
3924/08/24(土)17:25:48No.1225450076+
以前の話読むのが面倒な人の為に概要をまとめると
・フレイ生存IF
・なんやかんやあってラクスも同棲、三人でそれなり上手くやってる
・運命編はほぼ原作進行
これだけ頭に入ってれば十分かと思います
4024/08/24(土)17:32:10No.1225452216+
フレイのたわしネタ拾うのはマニアックすぎる…
4124/08/24(土)17:32:10No.1225452217+
運命編はじまって助かる
4224/08/24(土)17:57:34No.1225460994+
>デュランダルがあんなヤバい奴だなんて誰にも分からなかったんだから
ダメだった
そうだね…
4324/08/24(土)17:58:19No.1225461260+
俺も渋でガンダム小説書いてたからゾロ目だったらさらさらする
4424/08/24(土)18:01:31No.1225462386そうだねx1
>俺も渋でガンダム小説書いてたからゾロ目だったらさらさらする
別にゾロ目じゃなくてもさらさらすればいいぞ
4524/08/24(土)18:02:00No.1225462572+
>・運命編はほぼ原作進行
ここはもうしょうがないよね…ってなってて笑った


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