黒縄先輩のことを明確に意識し始めたのはいつ頃からだっただろう。 一緒に買い物とか食事に誘ってもらったこともあったけど…その頃は素直に嬉しいとか、ちょっと照れたり緊張したりとか…ちょっと違うものだった気がする。 壮絶なレイドイベントの中で諫めてもらったり、面倒を見て貰ったり…その時にはしっかりしてるなーとか、頼れるとか、少しだけ包容力を感じたりも……した気がする とにかく、今はこのカッコいい先輩が好きだ。 好きになっていた。 向こうも悪しからず思ってくれている、というのは流石に分かる。 でもそれは、恐らく年下の後輩とか、チームの仲間として見られているような気がして…… そういう考えがずっと頭の中で堂々巡りをしているから、悶々とした気持ちが止まらない。 どうしたらいいかな。 こういう時だけ、素直にチームを頼りづらいような、そんな気持ちだった。 一人はつらい。 さみしい。 そして、なやましい。 昔はそんな事考えなくて、なんでも大っぴらに言ったり聞いたりしてたなぁなんて、少し苦笑する。 ……でも、やっぱりこういうのはカッコよくない。 そういう自覚はあるから、近いうちに決断をしなくちゃいけないような、そんな予感がしていた。 ところで、初めて会った時はどうだったっけ。 雰囲気がかっこいい……とか思ってたような。 ……やっぱり、最初から意識してたのかもしれない……。